四日後。
ドワルゴンへと到着したリムル一行はドルフを初めとするドワーフが歓迎した。
「我が王。ガゼル・ドワルゴが王宮にてお待ちです」
そう頭を軽く下げて告げるドルフ。
そんなドルフに習うように朱奈がリムルを紹介した。
「こちらジュラ・テンペスト連邦国国主が一人。リムル=テンペスト陛下にあらせられます。どうぞガゼル王へのお取り次ぎを・・・」
「ではこちらへ・・・」
ドルフの案内のもと王宮へと入ったリムル達。
誰かと何か話すときは朱奈が代わりに話している状態だった。
リムルはただただニコニコと笑顔を振りまっていた。
そんなリムルの素人さに笑うガゼル。
「はっはっはっは。外交などハッタリが全てだぞ。あれでは甘く見られても文句は言えぬな」
ぐぅの音も出ない事を言われたリムル。
その後ガゼルから暴風大妖渦を葬った出来事を訪ねられた。
リムルはオーマが一刀両断したことを告げた。
「オーマが暴風大妖渦を一撃で倒したのか?」
「あぁ。一刀両断してたぞ。朧・泰山斬で切り倒してたぞ」
リムルは何でもないように発言するもガゼルを初めとして呆然としていた。
「くっくっくっ・・・確かに彼奴なら可能性としてはあるな。報告と相俟っていっそ真実味がある。よかろう、信じるぞリムルよ」
「どーも」
信じる事を告げながらガゼルは飲酒した。
「ふむ・・それにしても土産にもらったこの酒は美味いな」
「さすがはガゼル王。お目が高い。りんごで創った蒸留酒なんだ。果実類を輸入できる目途が立ったんでね」
「ほう?」
朱奈がガゼルの後ろに控えていたドルフ達にも酒を渡した。
ガゼル達が果実を手に入れた経緯を知ると大変驚愕していた。それも当然だろう相手がなんと獣王国ユーラザニアの魔王、カリオンなのだから。
事情を聴かされたガゼル達は魔王ミリムに続いて魔王カリオンからも懐かれた(魔王たらしかと思われるほどに・・・)俺とリムルに呆れていた。
「そうそう。その後で魔王ギィと白氷竜ヴェルザードが出てきて、オーマが魔王の地位に就くことになったんだよ」
「「「ぶふぉっ!!?」」」
リムルの発言を聴いて口内に残っていた酒を噴きだしてしまうガゼル達。
「なんだと!? オーマが魔王になるというのか!!?」
「あ、あぁ・・今日の夜に
そう聴いたガゼル達は完全に呆然としていた。
「まさか・・・オーマの奴が魔王になるとはな」
「ガゼル王。これは・・」
「流石に魔王の後ろ盾となるのは・・・」
ガゼルの後ろにいるドルフやバーンが明日にジュラ・テンペスト連邦国との国交樹立に関する発表前に、盟主の一人が魔王となるというのだ。
躊躇しても可笑しい光景ではない。
「静まれ! オーマが魔王に就くというのは確かに驚いたが、アイツの人の態はわかっている。魔王となるのも発展したばかりの国である魔国が他国からの侵略を防ぐために脅威として大きく警戒される魔王になる事を選んだのだろう。彼奴らしいわ」
そう酒を飲みながらつげるガゼルの言葉に説得力があった。
そして目の前で聴いているリムル達はオーマの事を理解してくれている事に嬉しく思った。
「(オーマの魔王就任理由を理解してくれているんだな。嬉しいもんだな)」
そう思うリムルだった。
「それにしても、なぜ魔王が三人も現れたのだ?」
「いや、ミリムはある日突然【挨拶に来た】とか行ってさ。そのまま流れで友達になったんだ。数週間後に暴風大妖渦が魔国にやってきたって樹妖精のトライアさんから報告を受けて討伐した後に、カリオンの部下を助けた事でカリオンと出会って、ついでに隠れていた魔王ギィ達にオーマが気がついてさ。いきなり魔法を放ったんだ」
リムルの言葉にガゼル達は驚愕と呆然としていた。
「魔王ギィに突然と魔法を放ったのか!!?」
「なんて命知らずな・・・」
「んで交易をカリオンに申し出てみたら了承してくれたってわけで、魔王ギィがオーマを魔王に推薦する事を決めたんだ」
「だとしたら魔国連邦の重要性は一気に跳ね上がる。いずれはファルムス王国に代わる貿易の中心地になるやもしれん」
「うむ。確かにな。少なくともこれは我が国がファルムスから輸入するどの酒よりも美味い」
そう言ってリムルが持ってきた酒を注いできた。
注がれた酒を飲みながらリムルは訪ねた。
「ファルムス王国ってどんな国なんだ?」
「まぁ、西方諸国でも一二を争う大国だがな。ここだけの発言だが、俺はあの国王は好かん。あの国王は欲深い。オーマの魔王就任はある意味、あの国王の欲深さの抑止力にはなるだろうよ」
「(ガゼル王がそんなに言う程ってことは、オーマの魔王就任は本当に英断だったのかもしれないな)」
リムルはオーマの判断を評価した。
「だから是が非でも獣王国との貿易を成功させろ。そして兄弟子にも酒を融通するのだ」
「兄弟子は関係ねーだろ」
酒欲しさに兄弟子を押し通すガゼルに呆れる。
その後、酒を飲んで酔っ払ってしまった紫苑が気絶してしまった為、リムル達の会合は終わった。
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翌日。
リムルはガゼルと共に二国間の友好宣言の式典を行なった。
既に書面上では友好関係である事は伝わっている。しかし、今回は書面上だけでなく実質的なアピールする為の場だ。
そんな場にて魔国連邦のイメージを背負っているリムルはオーマから注意された部分を書き直した原稿の内容を読み上げた。
原稿内容が短くなく謙ることがなく、更に相手の情に訴えるのではなく、自身が盟主として目指す国のイメージを決定事として発表した。
威厳のある態度で発表したのだった。
その姿は正しく威風堂々たる姿だった。
そんな姿に心撃たれるドワルゴン国民達も少なくなかった。
演説が終わり、ガゼルとリムルだけが会合していた。
「はっきり言って驚いたぞ、リムルよ」
「うん? 何が?」
リムルは酒を飲みながら、ガゼルの言葉を聞いた。
「オーマと違って情に訴えかける発言をすると思っていた」
「あぁ。オーマにダメ出しされたんだよ」
「ふん。成る程な。にしてもオーマは何やら国の統治に経験でもあるかのような行動を取るな」
「あぁ・・・そう言えば、昔は国の統治をしてたって言ってたな」
リムルは思い出しながらそう言った。
嘗て前世の仕事について語り合った事が二人にはある。その時、リムルはゼネコンのサラリーマンだった事を語り、オーマは内閣総理大臣を務めていた事を語っていた。
その際にオーマがリムルが死んでから何十年と先の未来にて亡くなっている事を知った際のリムルの反応はスライム状態で目玉が飛び出よんとした表情をしていたのは余談である。
「オーマに感謝しておけ。甘えた統治は厳禁だ。自ら掴み取りに行くモノとして告げたのだ。精々励め。お前は危うくて見ておれんわ」
リムルは心からの忠言をしてくれるガゼルに心から感謝を感じていた。
「それからリムルよ。お前達に頼みがある」
「頼みってなんだよ? 酒ならちゃんと納品するぞ」
「いや、酒のことではない。入れ」
二人だけの一室に入室してきたのはドワーフ特有の褐色肌を持ちながらもエルフ特有の長い耳を持つ20歳ほどの少年だった。
「お初にお目にかかります。リムル=テンペスト様。私は武装国家ドワルゴンが国王ガゼル・ドワルゴが長子、ヴィザル・ドワルゴでございます。以後お見知りおきを」
挨拶してきたのはガゼルの息子、ヴィゼル・ドワルゴであった。
「我の息子なのだが、此奴は昔から錬金術に関する知識に関しては武装国家内随一でな。だが、最近スランプに入ってしまってな。ペスやベスターであろうと此奴の知識には届かん・・・だが、貴様のとこには錬金術の随意を極めたようなモノがいるだろ?」
「もしかしてケミーのことか?」
リムルはガッチャードの力を手にしたオーマによって錬金術の随意を集めて出来たとされる人工生命体「ケミー」が100体も顕れた。
カード状態で生活するケミーもいるが、カードから出てきて生活しているケミーが殆どだ。
「そうだ。ドワルゴン随一のヴィゼルに是非とも学ばせて欲しいのだ」
「それはいいけど、俺達もタイムジャッカーに対抗した動きをすることになるから危険だぞ」
「なにを言う。何のために協定を結んだと思っておる」
ガゼルは魔国連邦の技術力は勿論のこと、仮面ライダーという戦力に対しても武装国家ドワルゴンへの脅威になりかねない。
しかし、失うには惜しい。だからこそ敵対ではなく協力という信用・信頼を勝ち取る方へと選択した。
無論、信頼たり得る存在となるか見定めたからこその判断だ。
信頼は一日にしてあらず。
タイムジャッカーという脅威の被害を受けた魔国とガゼルからすれば共闘する重要性を身を以て知っているため、敵対国が増えるなど以ての外だ。
唯でさえ仮面ライダーという力は"魔王の種"と"勇者の卵"を有した力を秘めている。そんな力を有した者達が集っている魔国連邦は先ず間違いなく世界からすれば脅威的だ。
そしてタイムジャッカーはアナザーライダーを作り出せてしまい、同じ力かアナザーライダーを破壊出来る力でないと倒す事が出来ないとなれば、ガゼルの考えは結果的にも英断と言えよう。
「それで、ヴィゼルを受け入れて貰えるか?」
「おう、いいぞ!」
リムルはヴィゼルの受け入れを了承した。
「にしてもガゼル王に子供がいたなんてな」
「・・・亡き妻との子だ」
「・・・・すいません」
息子がいた事を意外だと感じていたリムルの呟きに、ガゼルは思い馳せるかのような表情を浮かべてそう呟いた。
あまりに無神経な発言だった為、リムルは申し訳なさそうに謝罪した。
謝罪を受け取ったガゼルとの発表後の会合を終えた。
その日の夜。
リムルはカイジン達と打ち上げをした夜の街へとゴブタ達を連れて行ったらしく、そのことでシズさんと朱奈と紫苑から一週間の朝食が紫苑の料理を食すという罰ゲームを受けてしまったのは余談である。
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時を数時間前に巻き戻して、リムルが武装国家ドワルゴンへと到着した四日目の夜。
リムル達が嘗てカイジン達と打ち上げをした酒場に通っている頃に、魔国にいた俺は本日開催される
すると、俺の執務室にて悪魔の気配を感じ取った。
「我が魔王」
「あぁ。来たな」
近くにいたウォズとそう話していると禍々しい大きな扉が突如として現れた。
その扉が開かれると歪んだ空間の中から緑髪のロングヘアーにメイド服を着用した悪魔が現れた。"魔王の種"を有した悪魔のようだ。
「初めまして、私の名はミザリー。オーマ=テンペスト様ですね?」
「そうだ」
「我が主、ギィ様よりお連れするよう仰せつかりました」
そう言って彼女は後ろにある扉を通れるように道を開けた。
「どうぞ、お入り下さい」
ミザリーの促しを受けてウォズとジーンと共に扉の向こうへと向かっていく。
ギィとミリム、カリオンによって開催された
俺が来た時には既に十人の魔王が揃っていた。
上座にギィが座っており、左側にミリムが座っていた。
「よぉ! よく来たな」
「オーマ! 久しぶりなのだ!!」
ギィの左側はミリムを順に、青色髪の巨漢な男がいた。
【告。
<演算者>からの
どうやら、巨人族のようだ。
ダグリュールの隣にいるのはカリオンが座席しており、その隣に座ってるのは白を基調としたメンズスーツを着た男だ。
【告。
クレイマンか。たしか豚頭帝の一件に関わっていた魔王の一角だな。
クレイマンからかなり席が離れた場所にいるのは金髪ロングヘアーの青年だった。
【告。
っ!?
この男がシズさんを召喚して、イフリートを無理矢理憑依させた魔王か。
レオンの隣に座っているのは背中に金色が混じった鳥のような翼を生やした露出度の高い銀色ショートヘアー
【告。
クレイマンと同じく豚頭帝の一件に合意した魔王だな。
フレイの隣には机に俯いている紫色のメッシュを持つ銀髪の青年だった。
【告。
堕天? まるで兵藤一誠とやってきたという堕天使のようなイメージを持つ種族名だな。
そう思いながらディーノの隣にいる黒マントの中年男性。
【告。
吸血鬼なのか。
ロイという魔王を見ていると後ろに使えるメイドを見て厳しい目付きで睨んでしまった。
<演算者>。あのメイドの魔素量だが・・・
【是。主人の懸念通り。対象の魔素量は魔王ロイ以上の魔素量を秘めています】
やはりそうか。
あのメイドは何者なんだ・・・・そう思っているとメイドは俺の視線に気付いたのか微笑を浮かべた。
彼女の正体については後々調べるとしよう。
そう思いながらロイの隣にいたのは、頭部に動物を思わせる冠を持つ青年が座っていた。
【告。
レノックスという魔王の種族はどうもよくわからないが、何処かで聞き覚えがあるな・・・
そう思いながらも、彼の左側の席・・・・つまりギィの右隣の席なのだが空席だった。
「こちらへどうぞ」
ミザリーの案内を受けてギィとレノックスの隣に空いていた空席へと誘われた。
その席へと着席してウォズとジーンは俺の背後のゲートを思わせる場所を囲う様に起立して待機していた。
「それでは出席者をご紹介いたします」
ミザリーと同じく"魔王種"へと進化を果たした青色髪のショートヘアー女悪魔メイドが出席者に関して紹介を始めた。
「以上です」
青髪の女悪魔による紹介が終わった事でギィが両手を広げた。
「よく来てくれた。これより
ギィがそう言って魔王達の会合が始まった。
「議題は既に通達したとおりだ。俺とミリム、カリオンの推薦と賛同の元、ジュラ・テンペスト連邦国の盟主の一人であるオーマ=テンペストを魔王の座に就かせることだ。先ずはオーマの実力を見るとしよう」
そう言ってギィがパチリと指を鳴らすと机の中心点に渦巻く粒子が映像へと変わった。
すると、映像は俺が
仮面ライダー鎧武・カチドキアームズによる一撃によって
「一撃で
「異議ありです!」
ギィの訪ねにクレイマンが声を荒げながら椅子から立ち上がった異議申し立てた。
「なんだクレイマン」
「ギィ!
「どこがだ。レオンのように種と卵を有した
「だからといって・・「五月蠅いぞ、小物」」
ギィに異論を続けようとするクレイマンにレノックスが目を閉じながら告げた。
「貴様ごときが意見するだけでも烏滸がましいと思え」
「・・・・っ!!?」
クレイマンは歯を食いしばりながらレノックスを睨み付けていた。小物と言われて憤るなというのは無理なものだが、当のクレイマンが一々喚き散らしている姿は正しく「小物」でしかない。
クレイマンを黙らせたレノックスにギィが尋ねた。
「レノックス。お前から見てオーマはどう見える?」
「・・・問題ない。魔王内での噂と伝承された仮面ライダージオウの力を統べているのならば、確実にギィと同等の実力者として魔王として統治できるだろ。彼に魔王を名乗る資格は十分だ」
レノックスからの賛同によってダグリュールやディーノ、レオンまでもが賛成したことで多数決で俺の魔王就任が決定した。
「決まりだな。ではオーマの名称を考えるとしよう。オーマ、お前に希望はあるか?」
「いや、ない「我が魔王」」
ギィと話をしているとウォズが話しかけてきた。
魔王以外が喋り出した事に遺憾の意を表する者がいた。
「おい! 従者風情が魔王の会話にしゃしゃり出るな!!」
クレイマンだ。しかし、クレイマンの発言は一理ある。
魔王は「魔を統べる者の王者たる存在」だ。
それが席に着いている者達だ。
その魔王達の従者でしかない者が魔王の会話に参加するなど身の程知らずと受け取られても不思議ではない。
「まぁ、待てクレイマン。それで、ウォズだったか? 何か良い名前でもあるのか?」
ギィが仲裁に入り、ウォズに意見を尋ねた。
そんなギィの問いにウォズは意気揚々と返答した。
「勿論。この上ない、我が魔王に相応しき名称だ」
・・・・何やら嫌な予感がするな。
「"
・・・・・・やっぱりか。
ウォズがジオウの最終形態とも云えるあの姿の名を名称にしない筈がないと予感していたが・・予感は的中してしまった。
「ほぅ。中々良い名称だ」
しかし、レノックスがウォズの提案に乗りきだった。
マジ!? っとレノックスに驚愕の眼差しを向けてしまった。そう思ったのは俺だけではなく、ディーノやフレイまでもがレノックスを同じような思いで見ていた。
しかし、その中で奇妙な人物がいた。
それはロイの背後にいるメイドだ。彼女はオーマジオウと出てきた途端に何故か俺とウォズを睨み付けてきた。
彼女にはオーマジオウという名を知っているようだ。
「ギィ。私は彼の提案は良い物と思う」
「・・そうだな。異論のある奴はいるか?」
ギィの言葉にクレイマンが案の定否定的な事を告げてきたが、ミリムやカリオンを初めとした魔王達が肯定的な意見をしたことで俺の名称は"
「それでは・・新たな魔王を含め、魔王様達を紹介します」
「以上です」
青髪の女悪魔の紹介の後は魔王達の支配領域の配分が行なわれた。
その中でも俺は新米の魔王としては破格な領域だった。
ギィは武装国家ドワルゴンより更に北方にある氷土の大陸・ミリムは忘れられた竜の都・レノックスは超魔導国家ソーマ・ダグリュールは大陸の最西端にある不毛の大地と呼ばれる砂漠と熱帯地・ロイは西方聖教会がある神聖法皇国ルベルオス・ディーノはなし・カリオンは獣王国ユーラザニア・フレイは天翼国フルブロジア・クレイマンは傀儡国ジスターヴ・レオンは黄金郷エルドラド。
そして俺はジュラの大森林の全てだ。
ジュラの大森林はダグリュールの支配領域や東の帝国と同規模の支配領域を手にする事になるとは思いもしなかった。
「これで今回の
その後はギィ主催の食事をする事になったので、美味しく頂いてから帰国した。
次回~長鼻族の里~