転生したら、仮面ライダーになった件   作:森雄

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恩人

 イングラシア王国の自由学園に割り振られた一室にて俺は真剣な表情を浮かべていた。

 

「…………クロエ・オベール」

 

 俺はシズさんが担当していたクラスの一人である黒髪ロングヘアーの大人しげな少女────クロエ・オベール。

 彼女に対して考えていた。

 

「なんで……彼女と同じだったんだ」

 

 俺はあの時のことを思い出していた。

 

 俺が幾度も見続けてきた出来事であり、魔王として、勇者として進化する際に再会した越えるべき目標(常磐ソウゴさん)と出会った、あの頃を…………

 

 ────────────────────────────

 

 時は50年以上も前。

 

 俺が12歳の頃の話だった。

 

【お父さん、お母さん、お兄ちゃん!ツアー楽しみだね】

 

 そう屈託のない笑顔を向けてきたのは弟の正幸だった。

 アイツは当時4歳だった。

 

【そうだな】

【正幸。あまり勝手に動いちゃダメよ!】

【うん】

 

 両親の手を繋いで明るく返事をする正幸。

 

【お姉ちゃんも来られれば良かったのにね……】

【姉さんは大事な試合に行ってるからしかたないさ。姉さんの好きな苺パーティーをするからツアーに応募したんだろ?いっぱい取って喜ばすんだろ?】

【うん!】

 

 そんな家族と共にいる事に歓喜している俺も家族旅行を楽しみにしていた。

 観光バスに乗車して苺ツアーへと向かって行った時だった。

 

 何が起きたのかバスが突如として急停止した。

 

 両親含め、他のバス乗車のお客さん達も「なんだ?」と騒いでいると、一番後ろの席から不穏な気配を感じて振り向いた。

 

【お兄ちゃん。どうしたの?】

【界翔、どうかしたの?】

 

 正幸と母からそう訪ねられた。

 

【父さん。あんな男、あの席に座ってた?】

 

 俺がそう言うと父さんも俺が見ている方へと視線を向けた。

 父さんもいなかったはずの後部座席に何時の間にか座っている黒ずくめの男を視認した。

 

【……いや、確かにいなかった】

 

 父さんもいなかった存在が突然と現れた事に困惑と警戒をしていた。

 

【ほう。俺が見えているようだな】

 

 そう告げた謎の男の言葉は乗車している他のお客さん達にも聞えた。

 

【アンタ。いったい何者だ?】

 

 父さんがそう告げると謎の男が手を翳した。

 

 すると、大人達がノイズだらけで動かなくなってしまった。

 

【お、お父さん!お母さん!!】

【どうしたんだ。二人とも……!!?】

 

 動かなくなってしまった事に困惑する俺達子供達。

 

【この中に王たる存在がいる。さて、どの子供なのやら……】

 

 足を組んでそう呟いている男の発言に怒りを抱いた俺は、その男へと颯爽と歩み寄って殴りに掛った。

 

 しかし、男に簡単に殴ろうとした拳を受け止められた。

 

【随分と威勢の良い子供だ】

 

 そう言って俺の胸ぐらを掴んで持ち上げた。

 胸ぐらを掴まれて持ち上げられているせいで少しばかり息苦しい。だが、今はこの男から問い詰めないといけないと思い、抵抗しながら目の前の男から聴き出そうとしていたのだが……

 そんな時だった。

 何かが俺の隣を過ぎったと思うと、男の前に剣の刀身があって、障壁のような何かで受け止められていた。

 

【ふむ。明らかにこの世界の者ではないな。何者だ?】

 

 男がそう訪ねたと同時に障壁が爆ぜるような未知の力で剣が弾かれた。

 

【貴方が知る必要は無いわ】

 

 そう言って剣を振った者の容姿はロングヘアーを項当たりで髪止めで束ねている黒髪の美女だった。

 しかも格好がまるで小説にでも出てきそうな勇者の格好をしていた。

 

【"勇者の卵"持ち……そうか。貴様、基軸世界の者だな】

 

 男はまるで得心がいったと言わんばかりに呟いていた。

 

【そうなると……貴様がこの子供を守る理由にも、だいたい予想が付く。その子供が探し求めていた存在ということか】

 

 そう言って男は俺へと一瞬で近づいてきた。

 そんな男へと剣を振るう美女。紫色の球体で剣を受け止めた。

 

【邪魔だ。失せろ】

 

 受け止めていた球体が螺旋状に高速回転して美女へと波動のように放たれた。

 美女はバスの床に大きな引きずり痕を付けては、攻撃を剣で受け止めていた。

 

【!……貴方がね】

 

 そう言って美女は左手を後方へと伸ばすと、バスの目の前に銀色のオーロラが現れた。

 

【オーロラカーテンだと……!?】

 

 男は驚愕した。

 

 美女は男の隙を突いて、受け止めていた攻撃を、男へと跳ね返したのだった。

 オーロラカーテンと呼ばれるオーロラにバスが入り込んだと同時に、跳ね返された攻撃が男に衝突すると同時に爆発した。

 俺達の目の前に違う風景が広がっていた。

 

 そこには建築物に巨大な蟹の化物がよじ登っていたり、蜻蛉に似た青色の化物が空を駆け抜け、ゾロゾロと人型の化物が大量に周囲一帯にいた。

 

【ここは……】

【界翔!正幸!】

 

 聞き覚えのある声がしたから振り向くとそこには先程まで停止していた父さんと母さんがいた。

 動けるのは両親だけじゃなく、他の子供達の親御さんもそうだった。

 

【お父さん!お母さん!】

 

 正幸は涙を浮かべて喜んだ。

 

【父さん、母さん。動けるの?】

【?それはどういう意味だ界翔】

 

 変な質問をする俺に疑問に思う父さんだが、そんな疑問を答えようとした時だった。

 飛んでいる化物達が口から火の玉などを出してきてビルなどが壊された。

 

 壊されたビルの大きな破片がこちらへと飛んで来た。

 

【危ない!】

 

 両親が俺達兄弟を突き飛ばした。

 すると落ちてきた瓦礫が両親を押し潰した。

 

【っ!?】

【お父さん……お母さん……】

 

 瓦礫に潰された両親の身体の一部が瓦礫の中から出ていた。

 血塗れの状態で……

 

【お父さん!お母さん!!】

 

 正幸は父さん達が挟まっている瓦礫へと向かって行く。

 しかし、他の場所で爆発がした事を認識した俺は幼い正幸を抱きかかえて逃げた。

 

 正幸は父さん達を泣きながら呼びつける。俺も止まない涙が頬を伝っていくが、足を進めていく。

 

 魑魅魍魎に襲われそうになりながらもなんとか正幸を守りながら逃げていった。

 

 そんな時、何処からか発生した強力な爆風に飛ばされて、正幸を離してしまった。

 

【ま……さゆき!】

【お、お兄ちゃん!】

 

 爆風によって俺も正幸も怪我を負った。

 

 俺に関しては爆風で飛ばされた時に、脇腹を抉られた。

 明らかに命の危機だ。

 そんな俺を泣きながら近寄ってきた正幸が必死に俺に声を掛けてくる。しかし、明らかに俺の受けたダメージは深刻なせいで口から鉄の味が込み上がってくる。

 

【大丈夫?】

 

 そう俺達に聞いてきたのはさっき、変な男に攻撃をしていた女性だった。

 

【お、お兄ちゃんが……お兄ちゃんがぁ……】

 

 正幸は号泣しながらも縋るように泣きついていた。

 そんな正幸の頭を優しく撫でて聖母のような笑みで応えた。

 

【大丈夫よ】

 

 そう言うと、俺に手を向けると優しい光が俺の周りに起きた。

 

 身体中に光が行き渡ると抉られていた腹部が綺麗さっぱりと治っていた。

 

【これは……】

【お兄ちゃん!】

 

 正幸が涙を流して抱き付いてきた。

 正幸の頭を撫でながら落ちつかせながら女性に感謝を告げた。

 

【ありがとう。なんでそんなに助けてくれるんですか?】

 

 そう訪ねると女性は優しい笑みを浮かべたけど、何かを感じ取ったのか笑顔が消えて質問に応えてくれなかった。

 彼女はとある場所へと指差した。

 

【今すぐにあっちに行きなさい】

 

 そう言われて正幸を連れて俺は指差された場所へと隠れた。

 

 俺達が疑問に思いながらも指差された場所へと隠れた時だった。

 

 ドォ────ン!!!と豪快な物音が女性の前で何かが落ちて粉塵が起きた。

 

 煙が晴れるとそこにいたのは父さん達を奇妙な力で動けない状態にしていた怪しい男だった。

 

【……基軸世界の勇者が邪魔をするな】

【彼に何をする気かしら?】

 

 女性は剣先を男に向けた。

 

【貴様が知る必要はない】

 

 そう言うと男は禍々しい滅紫色の力を渦のように巻いていた。

 

【消えろ!】

 

 "魔絶渦潮槍(ランサー・ディ・オルドラ)"

 

 禍々しい滅紫色の渦の中心からまるで槍のように鋭く伸びてきた。

 女性は一瞬で虹色に輝く光を剣に纏わせた。そしてその剣に時計の文字盤が現れた。すると軽く10本の剣が現れた。

 

【あなたが消えなさい!】

 

 10本の剣が女性の持つ剣に融合するかのように集まっていき、巨大な虹色のエネルギー体の刀身が禍々しい渦の槍へと放たれた。

 

 "崩魔霊子斬(メルトスラッシュ)斬刃超過(オーバーエッジ)"

 

 禍々しい渦の槍と巨大なエネルギー体の刀身が衝突した。虹色と滅紫色が目の前を覆い尽くすと同時に強力な爆発が起きた。

 爆発に巻き込まれないよう正幸を抱き締めて建物の影からでないようにした。

 

 爆発と閃光が止むと、女性が所々傷を受けていて息を切らしていた。逆に男は無傷で立っていた。

 

【"崩魔霊子斬(メルトスラッシュ)"を使えるとはな……だが、私には通用しない】

 

 男は余裕の笑みを浮かべて女性を見下していた。

 女性は忌々しそうに男を睨み付けていると、男は近づいては女性へと指先を向けた。

 

【たかが勇者が、王に勝てると思ったのか?】

【あら。勝てなかったから、今のうちにあの子を狙ったのでしょ?】

 

 男の発言に女性が皮肉を告げると男は見るからに苛立ちを見せていた。

 

【王を不快にさせるとは良い度胸をしているな】

【事実を言っただけよ】

 

 不敵な笑みを浮かべながら告げる女性に怒りを隠さない男は先程の禍々しい滅紫色の力を指先に込めた。

 

【死ね!】

 

 女性が殺されると思った。

 なぜかわからなかったが、隠れていた俺は必死になって言った。

 

【止めろぉっ!!!】

 

 そう言うと、俺からなにかが吹き荒れたように男へと飛んでいった。

 

【っ!?】

 

 男がそれに気付いても既に遅く。俺から吹き荒れた何かによって建物へと吹き飛ばされた。

 俺はこの時、なにをしたのか理解出来なかった。

 

【今のは……】

【何してるの!早く行くわよ!!】

 

 俺が何をしたのか理解出来ずに呆然としていると傷を治った女性が俺の手を掴んで走った。

 

 彼女の手には気絶している正幸を抱えていた。

 

 俺は女性に引っ張られて走り続けていく。

 

 女性が走力を少しずつ弱めていき、足を止めた。

 

【ここまでくれば大丈夫よ】

 

 そう言って女性は腕に抱えた正幸を俺の傍に置いた。

 

【さっきはありがとう。おかげで助かったわ】

【あっ……いえ……】

 

 女性の感謝を素直に受け止められなかった。

 俺は戸惑っていた。男を吹き飛ばした何かは一体何だったのかと……なぜ俺にそんな力があるのかと……

 そんな俺の様子に気付いたのか、女性が話しかけてきた。

 

【どうしたの?】

 

 彼女はまるで聖母のように俺に話しかけてきた。

 

【俺は……いったい何者なんですか?知ってますよね】

 

 俺がそう訪ねると彼女はただ微笑を浮かべるだけだった。

 

【いずれ必ず分かる時がくるわ。未来でね】

 

 彼女の言葉が理解出来なかった。

 問い詰めようとした時だった。突如として俺達がいる近くで爆発音がした。

 

【っ!?】

 

 さっきの男が来たのかと思って視線を向けると、そこにはマゼンタ色の怪物を中心に色々な怪物が複数いて、一人の少年が倒れていた。

 

【テェアッ!!!】

 

 少年に向けられたマゼンタ色の怪物が放った攻撃を青色の何かが防いだけど、攻撃を防ぎきれずに壁へと吹き飛ばされた。

 

【ゲイツっ!?】

 

 茶髪の少年は倒れた黒髪で黒と赤色の服を着た少年──────ゲイツと同年代の少年を抱き上げた。

 

【……ジオウ……オーマジオウになれ……!時の王者に……】

【で、でも……】

 

 倒れた少年に言われた言葉に茶髪の少年──────ジオウは涙ぐみながら戸惑っていた。

 

【お前ならなれる……っ!最高最善の魔王に……】

【ゲイツ……死ぬな!】

 

 ジオウはゲイツに死なないで欲しいと告げるも、彼の命はもう消えようとしていた。

 それを悟っているゲイツは自身の本心を告げた。

 

【幸せだったぞ……この時代に来て……ソウゴ!……お前の……仲間に……友になれて……】

【……嫌だ……】

 

 死んで欲しくないと切に願うジオウことソウゴと呼ばれた少年の願いとは裏腹に、ゲイツは力無く息を引き取った。

 

【ゲイツ!ゲイツ……っ!!】

 

 深い悲しみがソウゴを包み込むが、何かを覚悟した途端に彼の腰に付けられたベルトが黄金に染まる。

 

 あれはいったい……

 

 煙からソウゴが現れると彼は雄叫びを上げた。

 彼が雄叫びを上げると、大地が独特な時計の形で陥没していた。

 

【変身】

 

 青年がベルトの両側を押すと鐘の音が轟いた。

 すると、マグマの様なものが陥没した大地に流れ込んでいく。

 

祝福の刻!

 

最高!最善!最大!最強王!!

 

逢魔時王(オーマジオウ)

 

 マグマが青年へと集約していき、彼の身体を覆うように無数の時計のベルトが纏わり付いて、その姿を変えた。

 

 その姿は一言で言えば「悪趣味な高級時計」のような印象を与えそうな程の華美が過ぎる装飾を持つ全身が黒と金で統一されていて、眼の部分に赤く「ライダー」と描かれていた。

 

 変身した青年から放たれた波動が、彼の目の前にいる怪人達を襲う。

 波動に襲われた怪人達は後退る。物影から見ていた俺もその波動に襲われて顔を守る様に腕で覆った。

 

【我が魔王……!?】

 

 そんな言葉が聞こえたので、腕をどけてみると、そこには何処かの制服を思わせる服装にマフラーを身につけ、黒い本を持った美青年がいた。

 

【ウォズ……祝え】

【は?】

【へ?】

 

 変身した彼の言葉に私も素っ頓狂な声を出してしまった。

 

【祝えと言っている……!】

 

 そう言われたウォズとやらは移動しながら告げた。

 

【……祝え!時空を超え、過去と未来をしろしめす究極の時の王者!

 

 その名もオーマジオウ!

 

 歴史の最終章へたどり着いた瞬間である!】

 

 そう言うと、目の前の怪人達の中心にいるマゼンタ色の怪物が笑った。

 

【フフフ。フハハハハハハハ!!俺はこの時を待っていた!このために、常磐ソウゴを追い詰めてきたのだ……今こそオーマジオウの力を貰うぞ!】

 

 そう言って怪物が両手を変身した青年へと向けると、何かのエネルギーで出来た糸が付着して、そこから黄金色の力が怪物に吸い込まれていた。

 

【素晴らしい力だ!この力さえあれば妹を凌駕できる。真の王位を継承することができる】

 

 そう言う怪物だったが、突如、身体中に火花を起こしては吸収が止んだ。

 

 そして力を奪われていたオーマジオウが無理矢理繋がっていたエネルギーを吹き飛ばした。

 

【お前如きが、俺の力を受け止めきれるとでも思ったか?】

 

 そう言う彼の周りには色や形が千差万別な無数の時計が現れた。

 

【俺の力は……全てのライダーの力だ!】

 

 そう言うと、周りに現れた時計達が全て、オーマジオウへと集中していった。

 正しく、自身の力だと言わんばかりに……

 

 それを見た怪物が周りの怪人達にオーマジオウを襲わせるが、オーマジオウはたった一撃で襲い来る全ての怪物を葬っていく。

 

【凄い……】

 

 余りの凄さに思わず口遊んでしまった。

 

【何という力だ】

【侮ったな。ライダーの歴史を……!】

 

 オーマジオウを倒せないと判断してなにやら銀色のオーロラのカーテンを出現させて逃げようとする怪物だったが、その後ろでエネルギーで出来た剣で怪物の腹を貫き刺した白色を主とし三日月模様の仮面を付けた女性だった。

 

【あなたの様な王はいらない!】

【貴様……最初から……俺の隙を狙って……】

 

 刺されたことで苦しんでいる怪物は、我慢して背後にいる女性を紫色に輝くエネルギーを纏った攻撃で殴りつけた。

 すると女性は壁にまで吹き飛び、爆発した。

 

【!?】

【ツクヨミッ!!】

 

 オーマジオウが怒りを顕わにベルトの両側を押した。

 

終焉の刻!

 

 黄金と黒と赤色のエネルギーを纏ったあオーマジオウが怪物へと飛び込んで右脚を向けた。

 

逢魔時王必殺撃!

 

 黄金のキックと描かれた文字が怪物の周囲を囲いこみ、そして女性を殺害した攻撃でオーマジオウに対抗しようとする怪物の右手に右脚をぶつけた。

 黄金のキックの文字が右脚に集約して激しいエネルギーの競い合いが起きたが、すぐさまオーマジオウのキックが怪物の導体を捕えて、吹き飛ばす。その時、何故かわからないが、何か時間が止まったような感覚を覚えた。

 

【流石だ。我が魔王……世界は救われた】

 

 そう言ってウォズは片膝を着いて忠義を示すような格好を取った。

 

【改めて忠誠を誓おう。君はこの世界に君臨する。未来永劫に渡って……】

 

 そういうウォズにオーマジオウは答えた。

 

【そうはならないよ】

 

 否定したのだ。

 ウォズもその返答に驚き、立ち上がった。

 

【何故だい?最強王者になったのに】

【この時空を、俺が破壊するから……】

【え?】

 

 オーマジオウの言葉にウォズだけでなく、俺も驚いていた。

 

【……その前に】

 

 オーマジオウが俺が隠れている方へと視線を向けた。

 

【我が魔王……彼は?】

【俺と同じく、ジオウの力を持った別時空の住人だよ】

 

 俺に手を向けてきたオーマジオウ。彼から放たれた波動が優しく俺を包み込み、オーマジオウ達の前へと連れてこられた。

 

【この時空を破壊して、君を元の時空に戻す】

【あの……】

 

 そう言うオーマジオウに俺はどうしても聴いてみたかった。

 

【時空を破壊する必要なんてあるんですか?】

【……あるよ。君のためだけじゃない。この世界を救えたのは、ゲイツや……ツクヨミや……ライダー達、皆のおかげだ。

 

 皆のいない世界で、俺一人が王様になったて仕方ない】

 

 先程までの彼は正しく霸道を極めた王。

 

 しかし、今の彼は霸道ではなく、王道の王だった。

 

【創造の前に、破壊が必要だから……歴史を創り直す】

【また……王になれるんですか?】

【なれるよ。なんだかいける気がする】

 

 確信めいたその発言は、正しく王様だった。

 

【時計の針はさ。未来にしか進まない。グルッと一周して元に戻った様に見えても未来に進んでるんだ】

 

 俺は言葉が出なかった。

 

【俺にも出来るんでしょうか?貴方達のように、世界(みらい)のために戦う事が……】

【出来るよ。なんだかいける気がする】

 

 そう言って、オーマジオウから放たれた黄金色のエネルギーが世界を包み込んでいく。

 壊された町などが新しく創られていった。

 

 黄金色のエネルギーに包み込まれてから目を覚ますと元の世界へと戻ってきていた。俺達が参加したツアーは事故として扱われて両親の死や他の参加者達の死は事故死として扱われた。そして、両親を失った俺と弟、当時一緒ではなかった姉は、それぞれ別の親戚に引き取られることになった。

 

 ────────────────────────────

 

 クロエは、あの時に俺や正幸を助けてくれた女性が握ってくれた手と一緒だった。

 

「調べてみる必要があるな……彼女とあの勇者を」

 

 俺は月を眺めながらそう呟いたのだった。

 




次回~天翼国フルブロジア~
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