天翼国フルブロジアへと到着した俺達が見たのは手に縦長の目を持つ異様な旗を掲げた魔王フレイの居城だった。
「……なによ、これ」
有翼族であるネムと行動を共にする事が多いステラがそう呟いた。
困惑しているのは他の誰もが一緒だったが、地球で数多くの戦歴を持つ英霊達が最初に理解して、ジャンヌ・ダルクが話しかけてきた。
「オーマ。どうやら魔王フレイの城は落とされたようです」
その発言にフォスが「そんな……っ」と衝撃を受けているとネムが膝から崩れ落ちた。
「ネム!」
「ちょっと、しっかりしなさいよ!」
ネムと行動を共にすることが多いフォスとステラが話しかけるもネムは立ち上がる事が出来なかった。
俺は彼女の心境をくみながらも、部下達に命じた。
「ジャンヌの行っている事が正しかろうと、生存者が何処かにいる可能性もある。部隊事に別れて探してくれ」
『はい!』
部隊に別れて捜索が開始された。
俺と共にいるのはフォスとステラとネム。そしてときめと朱奈がいるが、ネムは故郷を失った事による意気消沈。フォスとステラにネムの面倒を見て貰うのならば、俺と朱奈しか戦力的にいない。
ときめも戦闘訓練を受講しているとはいえ、基軸世界の魔法知識と運用方法をまだ習得できていないときめは魔法使いとしても戦えず、ジョーカーメモリも使えない。
彼女の高い身体能力も仙人に入るか入らないかのレベルにいる。
つまり、この場の戦力は俺が殆どといっていいだろう。
そう思っていると、魔王フレイの居城から何かがやってきた。
現れたのは三又槍のような武器を持つ全身が
100を優に超える兵士の数だ。
【告。総数:1000人です】
1000人もいたか。
「何者だ?」
そう訪ねると、恐らく軍団長の役目でも持っているのか、頭部の鎧を纏っていない顔の右側に刺青を持つ青髪の男が応えた。
「我々はハンドレッド!数多の世界を侵略する組織。貴様が仮面ライダーの力を有する魔王、"
俺の事を知っているようだ。
それにコイツらがフレイが言っていたハンドレッドという組織か。まさか数多の世界を侵略する侵略者とはな……
「一つ聞くが、魔王フレイ達はどうした?」
「ふん。知りたいか?なら教えてやろう」
大物ぶるように手を広げる男は説明を続けた。
「魔王フレイは敗れ、今はあの居城に捕えている。他の有翼族も何百人は捕えているぞ。まぁ、負け犬の尊厳はない生活だがな」
尊厳がない……か。もしや……
フレイ達に起きている生活にある程度の予想をつけながらも、俺はいつでも変身できるように準備していた。
「貴様を殺し、貴様の国を奪うとしよう」
そう言って奴は兜を被った。
「カッシーン部隊、目の前の魔王オーマを殺せ!」
『はっ!』
兜を被ったカッシーン部隊が槍先から強力なエネルギーと魔力が合わさった無数の砲弾が放たれた。
<暴食者>で砲弾を全て喰らい尽くす。と同時に元素魔法‟
大気中の水を無数の氷の礫へと凍結させて放つ元素魔法を受けたカッシーン部隊は、‟
煙が晴れると無傷のカッシーン部隊が立っていた。
「なるほど。フレイが言っていた通り、魔法や能力は通じにくいようだな。これならどうだ?」
カッシーン部隊が放ってきた砲弾には魔素量とは別の力を含まれていたが、魔素量して転換して自身に補充して、豚頭帝以来使っていなかったあの魔法を行使した。
‟
嘗ては四大属性の巨大龍が出ては殲滅する戦略級魔法の魔法だったが、以前と違って強くなり、オリジナルフォームにまで至った俺が放った‟
火龍・水氷龍・嵐龍・岩龍・空龍・光龍・闇龍・時龍という五元素と上位三元素の力を持つ龍がカッシーン部隊へと降り注がれた。
降り注がれた八体の龍が衝突すると、以前とは違う事象が龍一体が衝突した中心から直径1km内に起きた。
火龍が衝突すれば灼熱の大地となり、水氷龍が衝突すれば生物内の水分と一緒に凍結された霜雪の大地となり、嵐龍が衝突すれば暴風と万雷が大地を焼き削り続け、岩龍が衝突すれば地盤を深い溝になるまで砕き割れ、空龍が衝突すれば次元が崩壊し、光龍が衝突すれば光の微粒子によって物質が分解されていき、闇龍が衝突すれば強力な闇の引力で物質を呑まれては潰していき、時龍が衝突すれば刹那の時間に1000年の時が過ぎた。
「す……すごい……!」
「なんて破壊力してんのよ!?」
フォスとステラが驚嘆の声が響く。
そんな二人を無視してカッシーン部隊を見ると、そこには焼死体や凍死などの死体や五体揃った状態の死体やそうでない死体が9割近く存在しており、残りの1割が重傷を負いながらも此方に敵意を向けていた。
「どうやら戦死能力系の力を持つ魔法は通用するようだな」
「化け物が……!」
「た、隊長……」
兜が割れて素顔や顔の一部が曝されているカッシーン部隊がいた。
「こうなっては仕方ない……これを使うまでだ!」
そう言って先程の青髪の男がなにやら銃を取りだした。そして銃を持たない手には紫色の小さなボトルを持っていた。
あれは仮面ライダービルドに出てくるフルボトルに似ているな。
【告。敵個体が持つ銃はトランスチームガンという変身兼銃器であり、持っているボトルは蝙蝠の成分を秘めたロストボトルです】
ロストボトルってなんだ?
【解。フルボトルはパンドラボックス内に内蔵された64本のボトルですが、ロストボトルはフルボトルを基に作製された人工フルボトルです】
なるほどな。
トランスチームガンはなんだ?
【解。ハザードレベル3以上でないと変身が出来ない仮面ライダーと違い、誰が変身しても一定のスペックを発揮する事が出来るトランスチームシステムを搭載されたライダーウェポンであり、個体名:ロンメルが使うネビュラスチームガンをアレンジした武器です】
成る程。仮面ライダービルドやリムルの仮面ライダークローズやヨウムの仮面ライダーグリスのような伸び代がないロンメルやカジルと同じタイプの変身アイテム兼ライダーウェポンだったか。
そう思っていると、男がトランスチームガンにバットのロストボトルを装填した。
バット!
「……蒸血」
ミストマッチ!
バット・バッ・バット……ファイヤー
「ナイトローグ。それがこの力の名だ」
蒸気機関と蝙蝠を思わせる姿をしていた。
相手は仮面ライダーに似た姿を有した怪人になったな。フレイ達に関するさっさと倒したほうが良さそうだ。
そう思い、ラグルドが使っている変身音叉を取りだした。
指で変身音叉を弾き、額に近づけた。
すると額に小さな鬼が浮き上がり、俺の身体に紫色の炎が溢れ出した。
そして、仮面ライダー響鬼として変身した。
「……あれはラグルドさんがなってる」
「仮面ライダー……」
「……響鬼」
ラグルドが変身する仮面ライダー響鬼の姿となった俺にフォス達が視線を向けてきた。
「朱奈。ときめ達を護れ」
「はい!ご武運を」
一礼する朱奈にときめ達の護衛を任せた俺が悠然とした態度でナイトローグへと向かう。
生存している残りのカッシーンが砲弾を放ってくるが音撃棒烈火を両手に持って向かってくる砲弾に合わせるように覇気を纏わせた烈火で打ち返すように殴りつけた。
すると二種類の覇気を持つ俺の覇気を纏った砲弾となってカッシーン部隊へと襲い掛かる。
爆発と共に吹き飛ばされるカッシーン部隊。しかし、ナイトローグに変身しているリーダー格がスチームブレードを携えて襲い掛かってきた。
音撃棒烈火とスチームブレードが衝突した。
幾度となく攻防が俺達二人をいききしており、武器の衝突と同時に火花が生じていた。
ナイトローグが刺突してきた時に相手に背を向けた状態で胴体と脇の間を通らせては、左手の音撃棒を上空に放り投げてからスチームブレードを持つ手を強く掴んでから相手の顎に右肘で肘打ちを行なった。
怯んだナイトローグの隙を狙って右手で裏拳を行ない体勢を崩させて相手の右肩を絞めながらも相手を地面に叩き付けてからスチームブレードを離させてから絞め技を解除しては強烈な蹴りをナイトローグの腹部に当てた。
「ガハッ!?」
蹴られて俺から距離を強制的に取られたナイトローグに落ちてきた音撃棒烈火をキャッチして鬼棒術・烈火弾を放った。
音撃棒の先にある鬼の顔をした部分から大きな火球が放たれてナイトローグへと襲う。
巨大な爆発が生じた。
ボロボロな状態で地に倒れそうになるナイトローグだったが、最後に背中に巨大な蝙蝠の翼を展開した。
「ただでは死なんぞ!」
ナイトローグは空中へと飛行した。
「空中に飛べば勝てると思ったのか?」
そう問う俺の言葉を無視して蝙蝠の翼を大きく展開した状態でドリル状にきりもみキックを向けてきた。
「一点突破の攻撃か。なら……」
俺は<仮面ライダー響鬼>の力を最大限に発揮させてから鳴刀音叉剣に力を集約して魔法を発動した。
‟
魔素で出来た魑魅魍魎が具現化して、夜にまで響くように鳴り続ける鳴刀音叉剣を携えて、同時にナイトローグの影へと突き刺した。
すると、鳴刀音叉剣から鳴っていた音が消えたが、ナイトローグから青い炎を象った音によって浄化されて葬られた。
振るわれた‟
「オーマ様。ご無事ですか?」
戦闘が終わったことで朱奈達がやってきた。
「あぁ、問題ない。それより、他の皆から連絡はあったか?」
「いえ、ま『聞えるか、オーマ様』」
朱奈が探索に行っていた深魚から<思念伝達>がきた。
『深魚か。なにか見つけたか?』
『あぁ。魔王フレイの居城から少し離れた場所に洞窟があってね。そこに有翼族が複数人いた。怪我人が多数いるが、魔王フレイの幹部を名乗る女もいる』
『フレイの幹部がいるのか?』
『あぁ。名前はルチアだそうだ』
ルチアか。ネムなら知っているかもしれないな。
「ネム。ルチアという有翼族は知ってるか?」
「ルチア様?知ってる……なんでオーマ様が知ってるの?」
「深魚の部隊が居城から少し離れた洞窟で複数人の有翼族を発見してな。ルチアという有翼族だそうだ」
「……ホント?」
「あぁ。今からそこへ向かう。行くぞ」
そう言って四コマ忍法刀を取りだして煙りに呑まれながら移動した。
次回~女王奪還作戦・開始!~