見慣れない景色のなかで、ぽつりぽつりと見知った制服を見つけられたのはラッキーだった。なんとなく散策してみようと道を外れてしまったばっかりに……。山をさまよっている時に川を見つけたらこんな感じなのだろうかと思いつつ、足を動かしているとようやく目的地についた。
京都府立北宇治高校。学力は中の上。これといって部活で成果をあげていることもなく、ありきたりで無難な高校と言えるのだろう。
と、いうのもこの高校に通うことにしたのは諸事情あって超ギリギリ。進学するなら知っている人がいないところにしようと、思いきって離れたこの学校にしたのだ。急ながらも居候を許諾してくれた祖父母には感謝しかない。
校門では野球部や演劇部などが「初心者歓迎!」「青春を創ろう!」と勧誘に努めていた。運動部か……思いきってメジャーなスポーツを始めてみようかな。
ふと気がつくと不ぞろいな音楽が聞こえた。トランペットやチューバ?といった輝く楽器を持ち、演奏しているのはおそらく吹奏楽部なのだろう。多くの楽器が一緒に奏られているのはそれだけで聞きごたえがある。それでも隠しきれない完成度の低さが、全員が熱意をもって取り組んでいなかったのであろうことが伝わってくる。
吹奏楽部にはいるのはなんとなしに抵抗があったけど、あの様子なら初心者でも紛れそうだ。楽器もカッコイイし入るのもありかもしれない。
高校生活が始まってまだ序盤の今日。授業が早めに終わったのは部活見学をしろ、とのことだろう。どこを見ようか募集中の掲示板を眺めつつ考えていた。目の前の吹奏楽部の物を中心に色んな部活のポスターが広がっている。
「竜胆……だよな。吹部にはいんの?」
すると横から声をかけられた。たしか同じクラスの……同じクラスの……
「ごめん、名前なんだっけ? いや、同じクラスってのは覚えているんだけど」
「あー、ごめん。話したことなかったよな、俺は塚本秀一。よろしく」
「そうだそうだ、思い出した。改めて、僕は
身長は180センチほどではあるがそこまで筋肉ついている様子ではない。まだ1年なのにもうそこまで高くあるのは羨ましい。よく知らない相手でもまっすぐに視線を向いている。
「なんとなく吹部に入ろうかなーって候補に入っている感じ。初心者でもできるか不安なところがあるんだけどね。もしかして経験者?」
「中学までホルン吹いてた。あの丸いやつ。あんまり乗り気じゃなかったけどな」
肩を竦めたように言っているが満更でもなかったのだろう。こだわりがあるのかと思っていたけど変えるのもありなのか。
「1回見学してから考えるよ。まぁ初心者でも割と入れそうだし」
「まぁ、あのレベルはちょっとなぁ……」
経験者の塚本からしても言葉を選ぶようなものらしい。クオリティの問題は思っていた以上に深刻そうだ。
「ま、男子が1人でも入ってくれたら嬉しいし、前向きに考えといてくれ」
また明日。そう言って昇降口へ歩いていった。
さて、音楽室へと行きますか。
え?作者の学生生活? ははっ…