前世がレッドのイーブイ先輩 作:ちゃっぱ
「ごめんなさい、イーブイ先輩! 助けてください!!」
「……ぶぃ」
滅多に鳴かないはずの相棒たるイーブイが真顔で面倒くさそうな一声を上げる。
対する私は泣きながらも迫りくる
事の発端は校長に会ったあと、ネモに会いに行くまでの短時間で一緒に来ていたイーブイ先輩に鍛え上げられたニャオハによってボコボコにされたネモが私を狙い撃ちしてきたのだ。
私は何もしていない。私の頭の上に乗ったイーブイ先輩が無言でニャオハに命じたから。
私はただそこに立ってただけ!
ニャオハに指示だって出してないのに!
「アオイもっとバトルしようよぉ!」
「やだよぉ!」
引っ越す前もそうだった。私は何もしていないのに勝手に最強だと勘違いされ、チャンピオンに狙われ続けた日々。
ただ私の頭にイーブイ先輩が乗っているというだけで、皆が勘違いしていくんだ。
引っ越す前に共にいたポケモン達からは私の事をイーブイ先輩の第一の子分だと思われていたのだろう。
私が命じたら動いてくれる程度には懐いてるみたいだけど、ご主人とは思われてないようだった。
イーブイ先輩がいるから手持ちのポケモンは強く育つ。だから私自身で育てたポケモンはいない。
元々私はインドア派なんだ。旅なんてしたくない。生き物を強く育てるより、家でのんびり生活したい。
そんな引きこもり生活を母が許すわけもなく、私を外へ────強制的に旅をしてこいと家から追い出した。
引っ越す前はガラル地方で、ジムチャレンジもしてこいと言われた。
私だけならきっと第一のジムで敗北してすぐさま家へ帰ってのんびりしてたことだろう。
それを────きっと母に頼まれたんだろうね。
イーブイ先輩がやらかした。イーブイ先輩がいるから数々の苦難を乗り越えてきたのだ。強制的に巻き込まれてたけどね!
生まれた時に私の傍にいたイーブイは、私にとって兄のような存在だ。
だから自分のポケモンがいないことを嫌だとは思わなかったけど……。
「お願いアオイ! もう一回!!」
「やだ!」
イーブイ先輩とニャオハを抱えて逃げる。
ネモという人はそこまで運動神経がないのか、撒くことに成功したけれど……。
「イーブイ先輩、私はこれから平穏な学園生活を送れると思いますか?」
「……」
「にゃ?」
「うわーん! イーブイ先輩のせいだ! また私が勝手に最強だって勘違いされてチャンピオンタイムされるんだ!!」
「……」
「イーブイ先輩! 私の平穏な学園生活のためにポケモンを鍛えるのを止めてください! また私が最強だって勘違いされないために!!」
「……ぶぅい」
しょうがないなとイーブイ先輩が鳴いた。だからもう、大丈夫なはず。
ネモには誤解されたけど、彼女に見つからないようにしとけば大丈夫だよね!