悪タイプ使いのトレーナー   作:カイドウ(かいどう

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殴り愛

 

 

あの後、家に帰った僕は母さんに魚を渡し、めちゃくちゃ喜ばれた。

今は庭で下処理した魚を串で刺して焼いている。

 

パチパチ、パチパチパチ……

 

僕も母さんもじっっと炎をみている。

 

丸々と肥えた魚から黄金色の油が一粒流れ落ち、炎の勢いを一瞬上げた。

 

ジュワア!!パチパチパチ……

 

 

「美味しそうねえ…」

「うん。釣ってきてほんとによかった」

 

すごくいい匂いが庭中に漂い、僕の腹がぐーぐーとなり、僕に訴えてきている。

早くそれを食わせろと。

 

「よし!もうできたわよ!食べましょう!」

「よし、あつ、あつつ。よし取れた!うわぁ見てよ母さんこの焼き目!」

「すごいわね。やっぱり田舎の魚は水が綺麗だから美味しそうよね…」

「じゃあいただきます!」

「私もいただきます!」

 

塩を少しかけてかぶり付く。

 

パリ、ジュワア!

 

……うんま、苦労して川まで言って自分で釣ったからっていうのもあるけどこのジューシな油とパリっとした皮、そして、ホクホクと美しい川魚特有の白い身がぎっしりと詰まっていて、そこから言葉では言い表せないような旨みが溢れ出ている。

美味い……!美味い……!

 

ふと、横を見ると母さんも幸せそうな顔で魚を食べていた。

 

「ほんとに美味しいわね…!また明日釣ってきて欲しいわ……!」

「勿論明日行くよ!あそこの川魚はみんな肥えてるからね!」

「お昼ご飯も用意するのお米だけだから楽だわ〜!」

 

いやあ、最高の気分だ。

その後も僕たちは夢中で魚を頬張るのだった。

 

「いやあ美味しかった!あと4匹あるから今日の夜姉さんに出せば?」

「そうね!お姉ちゃんも絶対喜ぶわ!」

 

姉さんに魚を食べてもらうのが楽しみだ。

 

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 

さて、魚を食べたあと、僕はオーキド博士の研究所に来ていた。

 

「おーカイドウくん!昨日ぶりじゃのう!」

「昨日ぶりです博士!釣り竿ありがとうございました!今日は魚をたくさん釣れたので何匹かどうぞ!」

「おおお!ありがとうカイドウくん!早速今夜食べさせてもらうよ。して、カイドウくん?今日は何の用で来たんだね?」

「実は………」

 

僕は昨日ヤミカラスに魚を取られて襲撃を受けたこと、自衛のためにヤミカラスを蹴り飛ばしてゲットした事を伝えた。

 

 

「け、蹴り飛ばしたんか……。なんというかその、カイドウくんは随分とアクティブなんじゃな。にしても蹴り飛ばしちゃったのか…」

「まずいですよね」

「ううむ。仕方ないと言えば仕方ないんじゃが…。ボールを開けた瞬間に攻撃されても何も言えんのお…」

「…………防具ってありますか?」

「ヘルメットと救命胴衣ならあるぞぉ」

「お願いします。貸してくださぁい!」

 

と、いうわけで

 

場所は変わってオーキド研究所の外のだだっ広い所でボールを開ける。

ガッチガチに装備して、ヤミカラスに挑もうと思う。

準備オーケー

右手でハイパーボールを構える。

 

「出てこい!ヤミカラス!」

 

ポオーン!

 

 

カアアアアアアアアアアアアア!!!!!

 

やばい。カンッカンに怒っている。

ヤミカラスは"かぜおこし"を使ってきた。突風が僕を襲うが、今回はそこそこの装備なので身を低くかがめることで耐え切ることができた。

それを狙ってヤミカラスは回転しながら"つつく"を発動しながら突っ込んできた。咄嗟にゴロンと横に転がって"つつく"を回避する。

 

「かああああああ!」

 

ヤミカラスは一旦距離を取るとまた突っ込んできた。

また"つつく"か"かぜおこし"か……

 

その時僕はヤミカラスはもう一つの技(・・・・・・)を覚えていたのを知らなかった。

 

「かあああああ!」

 

ヤミカラスは"おどろかす"を使ってきた。

マジか?!完全に対策し忘れた!マズイ。体が痺れて動けなくなっている。

ヤミカラスは"かぜおこし"をおこして追い風にして、自身の速度を上げながら回転しながら全力で回転しながら"つつく"を放ってきた。

 

カアアアアアアアアア!!!!

 

 

「ガハァ!!」

 

「カイドウくん!!!」

 

 

鳩尾に綺麗に刺さり、肺から一気に空気が出ていくのを感じた。

気づけば、目の前に地面が佇んでおり、僕は自分が倒れたのだと3秒後に察した。

もうこのまま倒れたままになりたいと激痛を感じる中思ったがまた距離をとって離れたヤミカラスがもう一回同じことをやろうとしていた。

 

 

自分の服を確認すると救命胴衣が抉り取られていた。

おそらく僕の骨も少しヒビが入っているだろう。

 

だが、これでもう奴の万策は尽きた。

確かにヤミカラスの攻撃はどれも強力だ。だが致命的な弱点がある。それは、直線攻撃しかできないということだ。

ここからは僕のターンだ。

 

ゆっくり深呼吸して、目の前に迫ってこようとしているヤミカラス左に避けて右フックを喰らわせる。

 

「カア?!」

 

そのまま腰をしっかり回してアッパーを腹に打ち付ける。

 

ドスン!!

 

か、硬い〜…。

 

「ガアァ」

 

腹がジンジンと痛み呼吸が上手く取りづらくなっていくが、構わず攻撃をくらわしていく。

 

「か、カアアアアァ…」

 

よ、よし、じゃあもうボールに戻すか。

 

弱ったヤミカラスをボールに入れようとすると、また初めて捕まえた時とは少し違った目を向けてきた。

次は、次は完膚なきまでに叩き潰す!

そういったあるような気がした。

ヤミカラスは殺意ではなく、闘志に燃えていた。

 

僕はハイパーボールにヤミカラスを戻した。

 

「ふうううう、とりあえず今日は終わった」

 

「すぐに手当をするぞカイドウくん」

 

「イデ、りょ、了解です博士」

 

僕は痛む腹を抑えながらまたオーキド研究所に戻ったのだった。

 

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

手当が終わったら早速博士に詰められた。

 

「さて、なんであんなことをやったんじゃ?」

 

「別に暴力を振りたかったっていう理由じゃないですよ。ただ、自衛とはいえ、ポケモンに危害を加えた状態でゲットしたのでまず仲良くなるのは今の時点では無理だなと思いました。なので、僕が主人であるということをわからせるのが一番平和なやり方です」

 

「そうか…!確か、ヤミカラスは信頼をおいたもの。またはボスと認めた相手に忠誠を誓うと聞いたことがある」

 

「その通りです。他のポケモンならとにかく仲良くなるっていう方法を選んだんでしょうけどね。二週間も待てませんので、ヤミカラスには悪いですけど」

 

「………あまり過度な危害を加えるんじゃないぞ。手加減していたのはわかっていたんじゃがの」

 

「はい、勿論ですよ。僕もあまり暴力は振りたくないので」

 

「あとあまりカイドウくんも無理をするんじゃないぞぉ。命大事に、だ」

 

「分かってますよ。今日はありがとうございました!」

 

「うむ。また明日も来るといい。どうせ同じことを毎日やるんじゃろう?」

 

「まぁ、はい」

 

「まぁ気長に、じゃ」

 

 

とりあえず僕は今日から始まったノルマを達成したのだった。

 

 

 

 

 

「ヘイーー!!!」

「ぬわーーーー!!!」

 

 

釣りにいったらまたヘイガニにやられた。おのれ。

 

 

 

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