黒の流星   作:ほせき

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本編後、帰還後の小話その2


小話2・バトル

「ギギギアル戦闘不能、勝者ヒン!」

「ギギギアル、お疲れ様でございました。ヒンの技はほぼ把握しましたし、今度こそはいけると思ったのですが……」

「わたくしもノボリの手持ちの技、特性、癖は把握しておりますから」

「ヒンお疲れ~。ギギギアルと一緒に回復しとく?」

「いえ、万全でない状態でどこまでトレーナー戦が出来るかも試しておきたいのでこのままで」

 

ヒンは現在、イッシュ地方にいた。

今日はスイッチステーションでの業務は休み。ノボリとクダリも時間があるし気になるということで、ポケモンバトルに付き合ってもらっている。

 

勿論、ヒン側のポケモンはヒン自身。ダブルバトル用に手持ちも一緒だが、基本的にはヒンが現代のトレーナー戦でどれだけやれるか、という検証が目的だ。

ヒスイの地で野生、あるいはトレーナー持ちのポケモンと幾度となく戦って幾らか検証はしたものの、現代でトレーナーの目と指示があればまた動きも違う。

当然のようにアクロマもいて、目を見開いて観察しデータを取っている。

 

「しかしヒン、ノーマルゴーストの複合と非常に珍しいタイプの上に多彩な技と、どのポケモン相手でもやれるのでは?」

「ですがフェアリーは物理技のみだったりしますし、ポケモンによっては決定打に欠けます。せめてめざめるパワーがじめんであれば補完できたのでございますが……」

「ノーマルとゴーストの技はともかく、かくとうとあくタイプの技も使えるし、めざパがじめんだともうずるいからそれでいいじゃない。せっかく手持ちの子達もいるんだしさー」

 

実際、ヒンが現代でポケモンバトルを行うことはないだろう。ポケモンとして技を放つとすれば、不測の事態が起こったときだけ。

だがそのもしもがないとも限らない。それを身をもって体験したからこそ、こうやって熱心にデータを採り、経験を積んでいる。

 

そして元々人工ポケモンの要素が含まれているため、そのポケモンが使える技は基本的に使えると言っていい。

それに加えてゴースト技、機械の体ゆえかはがね技、人型のポケモンが覚えるような技なんかも覚えたり技マシンが使えたりする。

ノボリとクダリの言う通り、技は多彩な方だろう。それを適切なタイミングで、常に全力で使いこなせなければ意味はないが。

 

「では次はクダリ、ダブルバトルをお願いできますか」

「オッケー、やっとぼくの出番! 希望はある?」

「お任せいたします」

「ならシビルドンとイワパレス! 出番だよー!」

「ではわたくしの相方はシャンデラに。ノボリ、審判をお願いいたします」

「かしこまりました。それでは両者、所定の位置へどうぞ」

 

シャンデラをボールから出したヒンは、揃ってバトルフィールドへと入る。反対側にはシビルドンとイワパレス、そしてトレーナーの位置にクダリが立つ。

ヒンはダブルバトルも不得意というわけではない。しかし自身もポケモンとしてバトルしつつ、トレーナーとして周囲にも気を配り相方に指示を出す、というのはさすがに難しい。並列思考は難なく行えるが、相方に理解できるよう早すぎず遅すぎず、ちょうど良いタイミングでとなると、お互いに数をこなすしかない。

 

「目指すは勝利!」

「それでは」

「「出発進行!」」

 

 

 

 

 

 

「ブラボー! 心の底から」

「ヒン! 何をしているのでございますか!」

「何であそこでだいばくはつなんか使ってるのぉ~!」

 

アクロマの手によってげんきのかたまりで戦闘不能から回復したヒンは、ダブルバトルの相方であるシャンデラと勝った喜びを分かち合おうとしたが、ノボリとクダリに左右から抱き着かれて言葉を止めた。

 

クダリ相手のダブルバトル、結果はヒン側の勝利ではあったが、決着が着く直前まで優勢だったのはクダリ側だった。

クダリはダブルバトルのエキスパートで、ヒンはギギギアル戦での負傷を引き継いでのバトル。ヒンとシャンデラの付き合いも短くはないが、トレーナーと手持ちの関係のみで、隣に立ち背中を預けてのバトルをしたのは数える程。クダリに分があるのは当然だった。

 

だからこそヒンは検証も兼ねて、ヒン側の敗北が濃厚になったのを感じ取ったとき、シビルドンとイワパレスに近い位置でだいばくはつを使って退場した。

 

当然、ノーマル技のためゴーストタイプのシャンデラは無傷。物理技ではあるものの、己の戦闘不能と引き換えであるため、威力は非常に高い。しかもヒンにとってはタイプ一致技だ。

削った後であるし、だいばくはつで二匹とも持って行けるとは思っていた。それが無理であったとしても、シビルドンとイワパレスならシャンデラの方が素早さは高い。撃ちもらしたとしても、シャンデラがキッチリ仕留めてくれると信頼していた。

予想通り、戦闘不能になりながらも二匹が小さくなりボールに吸い込まれるのを確認できたのだが。

そんな反応をされるとは思っておらずヒンは二人を見下ろしながら口を開く。

 

「お二人とも、手持ちにダストダスがおりますでしょう。同じ戦法を使わないので?」

「滅多に使いませんが!?」

「ぼくはやらないよお!」

「他の人型ポケモン相手だと皆様冷静でしたが」

「だいばくはつとじばくを覚える人型ポケモンはいません!」

「此処におりますが。それにバトルサブウェイでかんそうはだやちょすいが特性の一つであるポケモンとなみのり持ちのポケモンが同じ場に出されたら、警戒いたしますでしょう」

「それはそうだけど! でもヒン自身が戦闘不能になる技を使うとか思わないじゃん!」

「みちづれも使用できます」

「止めてくださいまし! 元々ヒンとのバトルは、ポケモン同士というよりポケモンが人を襲っているかのように見えるというのに……!」

 

ヒンの見た目は人型というよりも人そのものであるため、ノボリの言葉も分からないでもない。

普段はヒンがトレーナーも兼ねているため、通常は自身が戦闘不能になる技を使うことはない。その思い込みを利用したし、ヒンがだいばくはつやみちづれを使用できるとは言っていたなかったため、フェアではないと言えるのも確か。ここまで過剰反応されるとは思っていなかったものの。

 

「検証中で訓練だったからこその戦法で、ヘアがいなければ普段は致しません。それに少なくともヒスイ地方ではポケモンが人を襲うのはよくあることでございましたが」

「そうだった、ヒンは厳しい時代を生き抜いてきたんだった……」

「わたくし、話にだけ聞くショウさまに実際にお会いできた暁には、心の底から労わり称賛できそうでございます……」

 

ノボリとクダリにはかいつまんで話しただけでもこうなのだから、詳細は話さない方がいいのだろう。

命のやりとりではないからこそ、こうやって気軽にだいばくはつが使えるとも言えるのだが。今後は二人の前で戦闘不能になる技や、ヒン自身を犠牲にして次に繋ぐことは止めた方がいいかもしれない。

この中でアクロマだけが、貴重なデータが取れたと笑顔で喜んでいた。




ヒンはベースに人工ポケモン要素があるため、実はCSが高い特殊アタッカー。タマゴ未発見の550族
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