ミリムを蜂蜜で懐柔させた事により、引き分けと言う結果になった。本当はリムルの勝利だが、蜂蜜を欲しがっている魔王少女が引き分けと言う提案を出した他、今後手出しをしないと誓ってくれたのだ。
その条件を聞いたリムルは快く受け入れている。配下や町に被害が及ばないのであれば、向こうの気が変わらぬ内に手を打つことにしたのだ。
リムルから蜂蜜入りの
だが、その間にまたしても予想外な事態が起きていた。魔王ミリムが
☆
「やれやれ。あの魔王少女には大変困ったものだな」
「あ、あははは……」
魔王ミリムがシュナとシオンに連れられて温泉を湛えた浴場で満喫している間、会議室でリムルが幹部達に本日の出来事を話していた。
一通りの話を聞き終えた後、盟主補佐の隆誠が呆れたように言い放つ。それは魔王に対して不敬な発言も同然なのだが、苦笑するリムルだけでなく、一緒に聞いていたベニマル達も全く否定出来ない様子だった。
「でもまあ、一応は許可なく暴れないと約束してくれてるし」
「だと良いが」
ミリムが大人しく言う事を聞く性格じゃないどころか、平然と周囲を巻き込むトラブルメーカーだと思っている。
現に彼女は
「いや、しかし……気になるのは、他の魔王達の出方じゃねぇか?」
今後も絶対に何か仕出かすと予想する隆誠とは別に、カイジンが意見を出した。
それに同調しているのか、ハクロウやベニマル、そしてソウエイも頷いている。
「カイジンさん、それはどう言う意味ですか?」
隆誠は魔王の存在を知っているが、他の魔王については皆無なのでカイジンに聞いてみる事にした。
「魔王は何人かいるんだが、お互いが牽制し合っているんだ。今回、リムルの旦那がミリム様と友達だと宣言したから、この町も魔王ミリムの庇護下に入る事を意味する。本来ならそれは望ましい事かもしれねぇが……」
「
「ほう。カイジンの話を聞いただけで、そこまで先を見据えたか」
「確かにリューセーの懸念が実現したら、それは不味いな」
不安な推測を立てる隆誠に、ハクロウは少々驚きながらも感心していた。
因みにリムルは既に分かっていたように振舞うも、内心では今になって漸く事の重大さを重く受け止めている。
「しかし実際に、魔王ミリム様にお帰り頂こうとしても無理なのでは? 言って聞いて下さるとは思えません」
誰もがリグルドの言う通りだと頷いている。
ミリムが素直に帰らないどころか、機嫌を損ねて町を破壊しようとする光景が目に浮かぶほどだ。
「正直言って、魔王ミリムは別次元の強さだった。隆誠が何とか戦えていたとは言え、リムル様がいなければ、俺達は今頃生きてはいない」
「その通りだ。他の魔王が敵対するというのなら、そいつ等を相手にする方がマシだろう」
本音を漏らすベニマルに、ソウエイが肯定した。
それを聞いた隆誠は、盟主補佐としてある提案を出す。
「以上の話から踏まえて魔王ミリムの相手は、
「「「異議なし!!」」」
「何ッ!? リューセー、貴様!!」
盟主に全て丸投げをする提案に、(リムルを除く)全員が一切反対する事無く即了承した。
「おい! 何で俺に丸投げなんだよ!?」
「あの魔王少女とまともに対応出来るのは貴方しかいないからな。だから任せる事にした」
「ふざけんな! 俺の補佐なんだから、もっといい提案を――」
「リムル様。現状では、それが最も正解ですじゃ」
隆誠に詰め寄りながら思いっきり抗議するリムルに、そこをハクロウが止めようとする。
「魔王ミリム様は、最強最古の魔王の
ハクロウの言葉が効いたのか、抗議していたリムルは観念するかのように嘆息している。
この瞬間に魔王ミリムはリムルが担当する、と言う暗黙のルールが成立したのであった。
「あっ、そうだリムル。魔王ミリムと一緒にいる間、俺の家に来るのは極力控えてくれ」
「何でだよ?」
「彼女が家に来た瞬間、俺の私物が色々荒らされそうな気がしてな」
現在隆誠が住んでいる家には、リムルが好む娯楽品や日本産の食べ物がある。それをミリムが見たら、どのような行動に出るかは容易に想像出来るだろう。
初めて見る娯楽品を気に入るだけでならまだしも、加減出来ず壊されてしまう。更には食べ物(特に甘いお菓子類)を勝手に食い荒らされる等々、傍迷惑極まりない行動をするのが目に見えている。
「……た、確かにそんな気がする」
「だろう?」
「はぁっ、分かったよ。でも俺一人で来るなら良いだろ?」
「是非ともそうしてくれ。もし夜中だったら、魔王ミリムの世話で疲れた時の夜食でも用意しておく」
「あ、それ良いかも。何か急に夜が楽しみになってきたな」
リムルと隆誠は同郷人としての会話をしているのだが――
(もしシュナとシオンが聞いてたら、絶対黙っていないだろうな)
(前から気になっていたが、リムル様は隆誠と随分仲が良いな。一体どう言う関係なんだ?)
端から見れば仲睦まじい夫婦のような感じであり、聞いていたベニマルとソウエイは何故此処まで仲が良いのか気になるのであった。