(ん? 何だかいつもより賑やかだな)
トレイニーと話を終えた隆誠は、外に出していたフェン達を再び影に潜ませたのを確認してから、町に戻った。到着して早々、町中が賑やかになっている事に気付く。
(と言うより、宴会騒ぎのような感じが……)
もしかしてリグルドが急な宴会企画をしているんじゃないかと隆誠は考えた。
今度はどんな理由で宴会をするのかと思いながら賑やかな場所へ辿り着くも、その先には予想外の光景が映っていた。
(あれ、俺以外の人間がいる……?)
余りの光景に隆誠は目が点になっていたところ、片目が髪で隠れてる青年が話し掛けようとする。
☆
隆誠が鍛錬を終えて町に戻っている頃、
ブルムンド王国側は、リムルが異世界で最初に出会った冒険者三人組のリーダーの剣士カバル、法術師エレン、盗賊ギド。その三人の上司である自由組合のブルムンド王国支部の
次にファルムス王国側は、団長のヨウムを含めた三十名の辺境調査団、そして魔法使いロンメル。因みに会議室にいるのはヨウムとロンメルのみで、残りの者達は現在外で魔物達と楽しく騒いでいる。
ヨウム達は矯正施設に収容されていた小悪党の集団なのだが、ファルムスにいる強欲な伯爵から森の調査をするよう強制的に命じられていた。勝手に逃げ出さないよう、お目付け役として派遣されたロンメルに契約魔法で強制的に従わせるも、その彼はヨウムについて行こうと離反を決意して既に解除している。因みに調査の目的は
そして一通りの話を聞き終えたリムルは計画を企てた。人間と仲良く共存する為、ヨウムに
「あ、そうそう。この
ヨウムが会議室から出た後、肝心な事を思い出したようにリムルはそう言った。
「リムルの旦那、それは一体どう言う事ですか!?」
「リムルさん、そう言う事は最初に言ってよ~!」
「初耳でやんすよ!」
今まで聞き役に徹していたカバル達が質問した。
カバル、エレン、ギドの三人は以前、
あの出来事から数ヵ月以上経ったとは言え、魔物の町に自分達以外の人間が住んでいるなど、彼等は全くの予想外だった。益してや人間が魔物であるリムルの補佐をしているなど前代未聞だから、驚愕するのは無理もないと言えよう。
「リムル殿、それは本当なのですか?」
聞いていたフューズも同様に驚いていたが、同時に疑問視していた。
この国に住まう者達は一人残らず全て
リムルやその配下の魔物達と対抗出来る存在がいるとしても、嘗て爆炎の支配者と呼ばれた英雄シズに匹敵する実力者でなければ務まらないだろうとフューズは考えている。しかし、今までの調査で得た情報の中で全くない為、そんな人間が本当にいるのかと疑わざるを得ないのだ。
「ああ。本当なら同じ人間の君達に紹介したかったんだが、実は数日前から私用で町にいなくて、森の何処かにいる筈だ」
「数日前からって……リムル殿の補佐をされている方が一人で、ですか?」
フューズ達は
ジュラの大森林は
「それはいくらなんでも危険過ぎるのでは?」
「大丈夫だ。
『………え?』
あっけらかんと答えるリムルにフューズだけでなく、聞いていたカバル達も目が点になるのであった。
☆
「成程、人間と仲良くしたいリムルとしては願ってもない展開だな」
「でもよぉ、俺よりこの町で補佐をやっているリューセーがやった方が良いんじゃねぇか?」
片目が髪で隠れてる青年――ヨウムは魔物の町に自分達以外の人間がいる事を知らなかった為、最初はかなり驚いた。それは隆誠も同様だったが、二人は互いに素性を話した後、新しく出来た友人のように接している。ついでにヨウムの声が某天使の息子と似ていた所為なのか、隆誠が珍しく親身になっていた事も補足しておく。
隆誠はヨウム達がジュラの大森林へ来た事情や、リムルより英雄になって欲しいとお願いをされた話を一通り聞いて色々納得した。特に後者は
「生憎俺にはチョッとした事情があって、そう言う事をするつもりは無い」
元の世界へ帰還しようと考えている隆誠としては、この異世界で英雄になる気など微塵も無い。リムルみたいに異世界転生していれば、もしかしたらやっていたかもしれないが。
「ヨウムが引き受けてくれるなら、俺は出来る限りサポートしようと思ってる」
「サポートって、どんな?」
「そうだなぁ。英雄に相応しい実力を付ける為の修行相手、もしくはヨウム達の料理担当になる、とか」
「修行相手はともかく、お前さん料理も出来るのかよ。不味くはねぇよな?」
「ほう? 疑うのであれば、今日の夕食は俺が作ろうじゃないか。男のお前が絶対気に入る料理を、な」
鶏の唐揚げ、もとい
そんなこんなで話が盛り上がっている中、一匹のスライムがポヨンポヨンと近付いて来た。
「リューセー、帰って来てるなら報告してくれよ。ってか、いつの間にヨウム君と仲良くなってるんだ?」
「ああ、すまんすまん」
すっかり忘れていたと隆誠はリムルに詫びていた。
その後にヨウムは改めてリムルと話して決心するかのように、英雄になる事を承諾するのであった。
そして夕食の時間。
約束通り隆誠はヨウムを自宅に招き、
「う、美味ぇ! 表面はカリッとして、中は肉汁がジュワっと口の中に広がる……!」
「そうか、気に入ってくれて何よりだよ」
完全に虜になってしまったかのように、ヨウムは残そうとする気が全く無いようにバクバクと食べていた。
因みにリムルはミリムが寝静まった後に夜食を頂く為に来た際――
「くそ~! 俺も揚げたての唐揚げ食いたかった~!」
「やはり貴方も好物だったか」
隆誠とヨウムが食べた唐揚げ定食の事を聞いて、物凄く悔しそうな表情をしていた。
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