再転生した元神は転スラの世界へ   作:さすらいの旅人

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空永巨大鮫(メガロドン)

 魔国連邦(テンペスト)へ向かってくる全長五十メートルを超える体長の暴風大妖渦(カリュブディス)、体長二十メートルを超える十三匹の空永巨大鮫(メガロドン)を迎撃しようとする戦場は、ドワーフ王国方面へ伸びる街道上となった。そこは現在も道路拡幅工事中なのだが、ゲルド達は破壊されるのを承知している。住民がいる町を戦場にしたくない他、街道が壊れたら再度修理すれば良い、と言う理由を聞いたリムルや隆誠は頭が下がる思いになっていた程だ。

 

 カリュブディスとメガロドンに対抗する戦力として、盟主リムルに補佐の隆誠。鬼人のベニマル、シオン、ソウエイ(+配下のソーカ達)、ハクロウ。人鬼族(ホブゴブリン)のゴブタ率いる狼鬼兵部隊(ゴブリンライダー)猪人王(オーク・キング)のゲルド率いる猪人族(ハイ・オーク)達。龍人族(ドラゴニュート)のガビルとその部下達。そしてガゼル王からの助太刀として、ドワーフの騎士団長ドルフ率いる天翔騎士団(ペガサスナイツ)百騎を派兵してくれている。

 

 ガゼル王が今回の件をべスターからの連絡で知った際、見返りや盟約を持ち出すこと無く、即座に騎士団の派兵を約束した。その即決を聞いた隆誠は何か裏があるのではないかと一瞬疑うも、それは杞憂に終わっている。

 

『フンッ。弟弟子が困っているのなら、助けるのは当然だろう?』

 

 と言う、兄弟子として弟弟子を助けたい理由を知ったからだ。

 

 兄弟子風を吹かせるガゼル王に隆誠だけでなく、その弟弟子であるリムルも少しばかり呆れていた。助けてくれることに変わりないのだから、文句を言う筋合いなど一切無く感謝の言葉を述べている。

 

 戦力が集結してカリュブディスを待ち構えるも、向こうは此方が迎撃するのを分かったかのように移動を一旦止めて、配下のメガロドンを先行させる。

 

 

 

 

 

 

「喰らえ! 黒炎獄(ヘルフレア)!」

 

 戦端が開かれて早々、先制攻撃としてベニマルはメガロドンに自身の最強技を放っていた。

 

 ベニマルの黒炎獄(ヘルフレア)は、あらゆるものを焼き尽くす強力な鬼火。黒い炎を結界内で解き放ち、広範囲の殲滅力を有する。

 

(ほう。中々の技じゃないか)

 

 隆誠は全力で放ったベニマルの技を見て、相当な威力があると感嘆していた。

 

 並みの人間が受ければ、骨どころか灰も残らず全て簡単に(しょう)(めつ)する。それは当然魔物も含まれるのだが、黒い球形内に閉じ込めたメガロドンは身体が残っており、燃焼され尽くして墜落する結果になった。

 

「やはりあの眷族も『魔力妨害』と言うスキルがあるのは確定だな」

 

「まぁ、カリュブディスと違って『超速再成』が無いだけマシか」

 

 隆誠やリムル達は、トライアよりカリュブディスについての情報を事前に聞かされていた。

 

 カリュブディスとその眷族であるメガロドンには固有能力『魔力妨害』が備わっている。自身の範囲内で魔法を当てても、魔素の動きが乱される事で効果が著しく低下するとの事だ。それ故にベニマルが放った黒炎獄(ヘルフレア)の威力が低下した為、原形を留める結果となったのだ。

 

 既に予想していたので技を放ったベニマルやリムル達はショックを受けてはいないが、面倒な相手だと再認識させられている。だがそれでも、誰一人として狼狽える者はいない。

 

「それじゃあ次は俺が行こう」

 

「リューセー、本当に大丈夫なのか?」

 

 盟主直々に用意してくれた盟主補佐用の戦闘服を身に纏う隆誠がストレッチを終えると、リムルが心配そうに問う。

 

 今回の戦いで魔王ミリムが参入させる事が出来ない以上、魔国連邦(テンペスト)側で迎撃しなければならない。その国の盟主補佐を務める隆誠も、魔物のリムル達と一緒に戦う義務があるのは当然と言えよう。

 

 自分の実力が強大な魔物と戦えるかの確認も含めて、隆誠は全てのメガロドンを一人で相手すると提案した。その発言を聞いていた人間のフューズ達が驚愕している中、盟主から危険過ぎると即反対されてしまい、配下の者達と分担して戦うようにキツく言われている。

 

 本命のカリュブディスはメガロドンに任せて高みの見物状態になっている為、これを機に隆誠が動き出す。妥協したとは言え、それでもリムルは本当に大丈夫なのかと不安そうに見ている。

 

「まぁ見てなって。盟主補佐の俺が充分に戦えるってところを見せてやるから、さ」

 

 隆誠がそう言った後、飛翔術を使ってカリュブディスと同じ高さまで飛んでいく。

 

 

 

 

 

 

「では始めるか」

 

 隆誠が一定の高さまで到達した直後に留まっていると、一匹のメガロドンが獲物と見えたのか、口を大きく開けながら高速突撃をしてきた。

 

 刃のように尖った鱗を持ち、硬い物を簡単に噛み砕くノコギリ状の歯をした巨体の鮫に襲われたら一溜まりも無いだろう。

 

 そんな恐ろしい相手を隆誠は一切動じる事無く、笑みを浮かべながら右手から炎の塊を出現させている。直後、ソレを投擲するように右腕を軽く振るう。

 

 放たれた炎の塊は、突進するメガロドンに当たった瞬間、ベニマルの黒炎獄(ヘルフレア)と似たように白い球形内に閉じ込められる。

 

 そして、結果は――

 

(どうやら聖書の神(わたし)のオーラであれば通用するみたいだ、な)

 

 ベニマルの時と違って、対象の身体は骨や灰も一切残さず完全に(しょう)(めつ)していた。

 

 メガロドンにはカリュブディスと同様に『魔力妨害』を持つが、それはあくまでこの世界に存在する魔素による攻撃を抵抗(レジスト)する。だから魔法としての遠距離攻撃を使ったら、本来であればベニマルと同じ結果になっている。

 

 だが、隆誠はこの世界の住人ではない。先程放ったのは自身の闘気(オーラ)に加え、聖書の神として使う神聖気(オーラ)も含まれている為、魔素とは全く異なる物質により『魔力妨害』が適応されなかった。

 

 彼が使ったのは、元の世界で新たに造られた炎の神造精霊獣『ブレイズ』の力を利用したモノ。聖書の神の能力(ちから)もあるので、名付けるとすればベニマルの黒炎獄(ヘルフレア)に対して『白炎聖(ホーリーフレイム)』と言ったところだろう。

 

 因みに隆誠の『白炎聖(ホーリーフレイム)』でメガロドンを倒した事に、リムル達は信じられないと言わんばかりに驚愕していた。特に自分と似た技を使われたベニマルとしては、色々な意味でショックを受けている。

 

「さて、お次は……」

 

 地上でチョッとした大騒ぎになっている中、隆誠は次の標的へ視線を移していた。

 

 同胞が(しょう)(めつ)したのを見た所為か、数匹のメガロドンが一斉に向かってくる。

 

 隆誠は自身のオーラでも充分に通用すると再認識したのか、新たな技を使おうと、開いた片手を空に向かって伸ばす。そこから突如、円盤状となった大きなオーラの塊がブゥゥゥンと斬れそうな音を発している。

 

光円斬(こうえんざん)! とうっ!」

 

 技の名前を叫びながら、隆誠は円盤状の光を投げつける。

 

 光円斬(こうえんざん)とは、『ドラグ・ソボール』でツリリンが使う代表的な技。光を回転する円盤状のカッターのように練り上げ、それを投げつけて対象を切り裂く。

 

 今回は纏めて倒す為に使ったので、大きな円盤状のオーラは突如複数に分割する。その結果、光円斬が凄まじい斬れ味だと証明するように、数匹のメガロドンは当たった瞬間に両断されていた。

 

 身体を両断された事で即死したのか、突進していた筈のメガロドン達が途端に地上へ落下していく。

 

「よし、残りは任せるか」

 

 メガロドンの数が半分になったのを確認した隆誠は、他の者達に任せようと一旦地上へ降りようとする。

 

 

 

 

 

 

「リューセーの奴、『魔力妨害』を貫通出来るのかよ……!」

 

 隆誠が上空で一気に六匹のメガロドンを倒した事にリムルは只管驚愕するばかりだった。

 

 余りの光景に目が点になって言葉を失うばかりで、その間に大賢者が解析して、隆誠が放ったオーラは魔素とは全く異なるモノだから貫通出来たと言う情報を得る事が出来た。

 

「あの野郎、俺に対する当てつけか……!」

 

 驚愕するリムルとは別に、いつの間にかリムルの傍にいるベニマルが心底悔しそうに歯軋りしていた。

 

 全力で放った筈の黒炎獄(ヘルフレア)では(しょう)(めつ)させれなかったのに、隆誠は完全に(しょう)(めつ)させていた。しかも最強技を真似された事で、彼のプライドも傷付いている。

 

「リムル様。申し訳ありませんが、俺は再度前線に出ます」

 

「お、おう、頑張れよ……」

 

 凄まじいプレッシャーを放つベニマルに、リムルは少々ドン引きしながらも了承した。

 

「くっ! 私も活躍せねば!」

 

「盟主補佐とは言え、アイツばかり良い顔をされるのは少々癪だ」

 

「ほっほっほ。どうやらワシも本気でやらねばいかんのう」

 

 対抗心を燃やすベニマルだけでなく、盟主補佐の活躍を見ていた鬼人のシオン、ソウエイ、ハクロウも同様であった。




他にもDBキャラの技を出したかったのですが、今回は一つだけにしました。

活動報告でリクエストしてくれた方には申し訳ありません。
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