「おいおい、嘘だろ……!?」
「空を飛びながら凄そうな魔法使って倒しちゃったんだけど……!」
「あの人、本当に俺達と同じ人間でやんすか……!?」
隆誠が
彼との手合わせをして三人掛かりでも全く歯が立たずに敗北し、相当な実力者だと認識された。しかし、『魔力妨害』のスキルを持つメガロドンを簡単に倒す光景を見た事で、自分達との実力差が余りにも差があり過ぎると改めて思い知らされている。
もしもメガロドンを倒す時に使った炎の魔法、相手を簡単に両断する魔法を放ってきたら即死する事は間違いない。軽く想像しただけで顔を一気に青褪めながら身震いするカバル達だった。
(隆誠殿が強いのは分かっていたが、最早英雄級ではないか……!)
カバル達と一緒に見ているフューズも同様に驚くも、メガロドンを一撃で倒せる隆誠の実力に言葉を失っていた。先程の炎魔法は、爆炎の支配者として有名な
それと同時に、何故全く無名だったのかと疑問を抱いている。あれ程の実力者であれば多くの国が躍起になってスカウトするだろうし、仮に冒険者であればAランクどころか英雄扱いされてもおかしくない。仮に隆誠がブルムンド王国で冒険者活動していれば、軽率な行動が目立つ三馬鹿のカバル達を案内役として同行させていなかっただろう。
フューズの頭の中では隆誠がブルムンド王国へ来たら、大事な客人として扱う事が既に決定となっている。
☆
隆誠が地上に降りた後、残り半分の六匹となったメガロドンはリムルを除く
ゲルドとガビルはタッグを組み、その二人の部下達が協力し、多少の怪我など気にする事無く勇猛果敢に挑んだ事で絆を深めている。
ハクロウは実戦を通してゴブタ達
ソウエイは『影移動』でメガロドンの頭上に張り付いた後、『
シオンはランガとコンビを組んで、巨躯となったランガの背に乗って大空へ向かっていき、
ベニマルは一撃で仕留めた隆誠に負けじと、今まで以上に威力を高めた
残りはカリュブディスとなり、ソウエイ(+配下のソーカ達)、シオン、ランガ、ガビル(+部下達)、そして合流したドルフ率いる
「全然効いてないみたいだな」
「ダメージを与えても、薄皮一枚を切ってるようなもの、か」
いつの間にか隣にいるリムルの呟きに、隆誠も頷きながら冷静に観察していた。
因みに町で待機させている筈のミリムが何故か二人の近くにいるのだが、構っている暇はないので放置されている。隆誠がメガロドンと戦っている間、やっぱり自分も参加したいと何度も強請っていたみたいだが、リムルに却下されて完全に拗ねてしまっている。
すると、一瞬カリュブディスの一つ目が赤く光った。それを見たリムルと隆誠は攻撃に移るサインだと気付く。同時に空中から攻撃を仕掛けていたガビルやドルフ達も察知したのか、即座に回避しようと距離を取っている。
直後、カリュブディスの全身を覆う鱗が凄まじい勢いで剥がれていき、ソレ等が全てソウエイ達に襲いかかろうとする。
まるで暴風雨の如き降り注ぐ鱗が、全てを引き裂く砲弾となって撃ち出されるも、ソウエイ、シオン、ランガの三名は辛うじて回避。だがそれでも数が数なだけに、完全に避け切れていない。
「おいリムル、あの三人撤退する気が無さそうだぞ」
「はぁっ、全くアイツ等は……」
シオン達が凄まじい鱗の前に一切臆する様子を見せないどころか、最後まで立ち向かっていこうとするのを隆誠とリムルは気付いた。
嘆息していたリムルは即座に行動を移し、一瞬で姿を消す。
隆誠は一切慌てる事無く視線を向けた先には、いつの間にか移動したリムルがシオン達の前に飛翔し、迫り来る鱗に左手を翳している。直後、先程まであった数多の鱗が綺麗さっぱり消え失せた。
(ほう、あれだけの鱗を一瞬で消したか)
カリュブディスの鱗が消えたのは、リムルのスキルによるものだと隆誠は察した。詳細が分からなくても、全て食われてしまったのだと瞬時に理解する。
ガゼル王との手合わせ時には未熟な剣技しか見せなかったが、スキルを使っての戦闘では全く異なると改めて認識される。
隆誠がリムルの戦闘力を分析している中、当の本人はシオン達を一旦下がるように指示を出した後、単身でカリュブディスに挑もうとしていた。
魔法、もしくはスキルを応用した技なのかは不明だが、リムルは黒い炎や黒い雷を放っていた。魔法耐性を持つカリュブディスに通用しないのだが、工夫を凝らしているみたいでダメージを与えている。それでも相手が巨体である為に、実際は大したことないかもしれない。
(ん? カリュブディスの鱗が……)
リムルがダメージ面積を広げている中、カリュブディスの方でも変化があった。体組織が凄まじい勢いで修復しているだけでなく、剥がれた筈の鱗が再生されている。
傷を負わせても直ぐに回復する『超速再生』のスキルがあると知らされていたが、鱗まで再生するのはトレイニー達も予想外だっただろう。身体の一部だから再生するのは当然、と考えればそれまでになってしまうが。
(取り敢えず、あの厄介なスキルは今の内に対処しておくとしよう)
このままだと長期戦になってしまうと考えた隆誠は、リムルに助太刀をしようと再び飛翔する。
「おい待て、隆誠!」
再び動き出したのを見たベニマルが止めようとするも、隆誠は気にせず一直線にリムルがいる方へと向かっていく。
「随分梃子摺っているみたいだな、リムル」
「見りゃ分かるだろ」
接近してくるのを分かっていたのか、隆誠が声を掛けても振り向かずに思ったままを口にするリムル。
「『超速再生』の所為であっと言う間に回復するだけでなく、鱗まで再生するから堪ったもんじゃない」
「ならば俺が使えなくしてやるよ」
「おいおい、それが出来たら……って何だ!?」
リムルが呆れながら振り返ったその先には、隆誠の背後から夥しい光の剣と光の槍が出現し、全ての穂先がカリュブディスに向けられている。
その光景は地上にいるベニマル達、そして空中で距離を取っているドルフ達も当然見ており、信じられないと言わんばかりに驚愕していた。
「リュ、リューセー、お前、それって……!」
「少し離れていろ、リムル。でないと巻き添えを食うぞ」
隆誠がそう言った後、両腕を真っ直ぐ伸ばし――
「今回は加減無しだ!」
思いっきり振るった瞬間、待機していた全ての光の剣と光の槍がカリュブディス目掛けて突撃していく。
ソレ等全てがカリュブディスの身体に突き刺さり、途端に巨大な光の爆発が発生する。
「どわぁぁぁぁ!!」
「だから離れてろって言ったのに」
余りにも凄まじい爆風だった所為か、リムルは吹っ飛ばされそうになるも、隆誠が咄嗟に片腕を掴みながら防御結界を張る。
次回で決着になります。