(チョッとばかり、派手にやり過ぎたか)
光の槍で見た事のない化物を倒した隆誠だが、爆発の威力を加減し損ねていた事に眉を顰めていた。
隆誠は久しぶりに使っても相手を見て威力を調節する。相手が異形の存在であった故、普段の
同時に迂闊だったと後悔していた。敵を倒す為にやったとは言え、先程の爆発は森林周囲に大きく響き渡っていたから、そこに住まう者達の耳に必ず入っている筈だと。
(ほう、中々の手練れだな)
誰かが来てもおかしくないと思いながら周囲を探知してみれば、大当たりだったと隆誠は確信する。気配を決しながら様子を窺っているのが一人を発見した為に。
隆誠としては声を掛けたいところだが、そうしたら下手に警戒されてしまうかもしれないと、敢えて気付かないフリをしていた。それでも向こうが不意打ちするかもしれないと考慮し、一旦バイクから降りる。
向こうの出方を伺うように待っている中、複数の生命反応を探知した。明らかに大急ぎで向かっているおり、数分もしない内に辿り着くだろう。
(な、何だ? この妙な反応は……)
隆誠は少しばかり困惑している。此方へ向かって来ている者達の中に、人間のオーラと異形のオーラが混じっている不思議な存在がいたから。
人間と魔物の間に出来た
そんな考えを余所に、隆誠が探知していた者達が漸く到着した。後ろから来たので、彼はすぐに振り向く。
(見た目は人間そっくりだが、中身は完全に別物だな)
隆誠が目にしているのは端整な顔立ちをした四人の若い男女であっても、すぐに人間ではないと察した。人間に無い筈の角があるだけでなく、魔物特有のオーラも感じ取れるのだ。
しかし、そんな彼等とは別に気になる事がある。四人の前にいる
ヘルメット越しでありながらも、隆誠はスライムを凝視するも――
「さっき凄い爆発を起こしたのは君かな?」
魔物なのに人間の言葉を話した事に驚くのであった。
リムルは
シオンはともかく、シュナまで一緒に来たのは予想外だった。リムルとしては危険だからと言う理由で待機するように命じるも、「魔法による補助も必要です!」と後方支援に徹すると言われてしまった為、仕方なく連れていく事にした。
報告をしたソウエイが合流してリムルの後ろに控えながら、爆発が起きた場所へ向かうと、予想外なモノを目にする。
(ッ! アレはもしやバイクか!?)
ソウエイが言っていた奇妙な魔獣とは
(見るからに特注品と思わしきバイクじゃないか! 俺も人間の頃に、ああ言うカッコいいのに乗りたかったよ!)
嘗てサラリーマンの三上悟として生きていたリムルは、運転免許があってもバイクは持っていなかった。二十代の頃には特注のバイクに乗ってみたい願望はあったが、維持費だけで出費が大きくかさむ為に断念せざるを得ないと言う理由で。
(って、違う違う! 今はバイクじゃなくて……!)
すぐに頭を切り替えようと、リムルはバイクの所有者と思わしき者へ視線を向ける。黒いライダースーツを身に纏い、ヘルメットをしている人間へ。
ソウエイが人間だと判断したのは、この世界の物では見慣れない格好をしていただけでなく、魔物としての魔素が一切無かったのだろう。
《解。個体名:ソウエイの言う通り、目の前にいる者から魔物特有の
『大賢者』が証明するように補足していたが、途中から何やら不可解そうに呟いていた。
少々気になるも、リムルは一旦後回しにしようと目の前にいる人物に話し掛ける。
「さっき凄い爆発を起こしたのは君かな?」
「!?」
スライムの姿で話し掛けられたのが意外だったのか、ヘルメットで顔は分からなくても驚いているのが分かった。
「俺の言葉が分かるなら、取り敢えずその被り物を取ってくれないか? 君が人間なのは既に分かってるけど、出来れば顔を見せてもらいたい」
「………良いだろう」
リムルの言葉に向こうは若干間があるも、相手は一切抵抗せず応じる姿勢を見せてくれた。
そして彼は両手を使ってヘルメットを脱いで素顔を晒す。ベニマルやソウエイに一切劣らない端整な顔立ちをした黒髪の美男子で、予想通り人間だった。
(な、中々のイケメンじゃないか。人間だった頃の俺に負けず劣らずってとこだな)
リムルは思わず人間時代の自分と比べていた。見栄を張っている、と言うのが正しいだろう。
すると、向こうはこう言ってくる。
「驚いたよ。まさかスライムのお前にそこまでの知性があるとは、な」
思った事をそのまま口にしている美男子。
その発言に、リムルの背後から不穏な空気が漂い始めた。
笑みを消してるベニマルは刀に手を掛けて剣呑な気配を発しており、普段無表情のソウエイも口元に小さく笑みを浮かしながら激怒している。彼等だけでなく、シュナやシオンからも危険な
これで更に煽るような発言をしたら、いつ限界を迎えても不思議ではない。リムルがそう考えてしまうほど、今の四人は非常に危険な状態になっている。
「ま、俺としては非常に好都合だ。話し合いに応じてくれるなら、ここはお互いに自己紹介からしないか?」
「じゃあ、最初に名乗っておく。俺の名はリムルだ。確かにスライムだが、スライム呼ばわりは止めてくれ」
「それは失礼した。俺の名は隆誠。多分信じられないかもしれないが、俺は別の世界から突然来た存在だ」
「何だって!?」
突然驚くように声を荒げるリムルに、隆誠と呼ばれる青年だけでなく、ベニマル達も困惑していた。
「やっぱり日本人なのか!?」
「ああ、そうだが。って、お前まさか……」
リムルの発言に隆誠は気付いた。目の前にいるスライムが魔物でありながらも、人間の魂を宿っている理由が。