再転生した元神は転スラの世界へ   作:さすらいの旅人

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 隆誠が以前に会った異世界人――井沢静江(シズエ・イザワ)の同郷者である事を判明したリムルは、詳しい話を聞こうと自身の住処へ案内しようとする。

 

 配下のベニマル達は見ず知らずの人間をいきなり連れて行くのはどうかと難色を示すも、何があれば自分が責任を持つと言われて引かざるを得なかった。魔物でありながらも上下関係がハッキリしてる事に、隆誠が思わず感心してしまう程に。

 

 案内される隆誠も最初は同郷者と分かっただけで不用心だと若干呆れていたが、今の自分は突然異世界へ飛ばされた身である為、リムルの好意に甘える事にした。案内してる最中、ベニマルとソウエイはエンジン停止中のバイクを引いてる彼が妙な真似をしないかを目を光らせていたが、それは当然なので一切気にしていない。リムルが何故かチラチラとバイクに視線を向けている事も含めて。

 

「そこの青髪のお兄さん、良かったら名前を訊いても良いかい?」

 

「……ソウエイだ」

 

 突然声を掛けられてソウエイは無視したいところだが、リムルが大事な客人として招こうとしているので、敢えて答える事にした。

 

「ソウエイさん、ね。目の前にいる貴方は本物みたいだけど、つい先程まで俺を監視していたのは分身体の一つかな?」

 

「ッ!?」

 

 隆誠の問いに目を見開くソウエイだけでなく、聞いていたリムル達も同様の反応を示すのであった。

 

 

 

 

 

「成程な。リムルは俺と違って転生したのか」

 

「ああ。俺は元の世界で死んで、気付いたらスライムになってた」

 

 リムル達の案内で辿り着くも、そこは魔物が暮らす集落で、明らかに建設中だった。

 

 隆誠が驚いたのは、オークと思われる魔物達が建物だけでなく道路や水道など、そこら辺の大工や施工業者より手際が良い。明らかに日本の専門知識を基にされており、それを教えたのはリムルなのだとすぐに察した。

 

 そしてリムルは大事な話があると言う事で、隆誠を自身が寝泊まりする自宅の和室へ招いた。ベニマル達も護衛として同行したかったが、二人だけで話がしたいから下がれと命じられてしまい、今は隆誠とリムルだけしかいない。

 

 二人がいる建物は質素でありながらも中々風情があり、隆誠としては大変好ましい造りだった。彼としても広い家に住むより、必要最低限のスペースがあれば充分だから。

 

 招かれて早々、リムルは隆誠が日本人である事を再確認した後、自身の素性を話した。日本で通り魔に襲われて死んだと思っていたら、スライムに転生した事を。

 

(経緯は全く異なるが、まさか彼は聖書の神(わたし)と同じ転生者とは……)

 

 リムルの話を聞いて、彼の事を他人のように思えなくなっていた。

 

 本当であれば教えてくれた対価として、隆誠も転生した存在だと言う事を教えたいが敢えて口にしない。自分は嘗て天界を統べていた聖書の神だが、ある戦いが原因で死んでしまうも、人間として現在二度目の転生をしている。等と言って、スライムとなった元人間が架空の存在である筈の神を簡単に受け入れる訳がないから。

 

 加えてリムルは、隆誠の知る世界とは異なっている。同じ日本でも、魔法師が存在する世界でもなければ、三大勢力などの超常的存在がいた世界でもない。尤も、後者の世界は一般人に知れ渡らないよう完全に秘匿されている為に断定出来ないが。

 

「なぁ、隆誠はいつの時代からやってきたんだ?」

 

「西暦で言えば2098年だな」

 

「2098年!?」

 

 あと数年で22世紀に突入する時代からやってきたのが予想外みたいで、リムルは驚愕の声を出していた。

 

「ま、まさか隆誠が未来人だったとはな………って事はあのバイク、未来の技術が相当詰め込まれてるんじゃ」

 

「どうした? 急にブツブツ呟いてるが」

 

「い、いや気にするな。確認だけど隆誠、あそこに駐車してるのって……」

 

 リムルが恐る恐ると襖が解放されている先に駐車してるバイクを指すと――

 

「ああ、俺の時代で作られた特注品だ」

 

「マジかよ!」

 

 すると、リムルはスライムから美少女と思わしき人間の姿に変身し、すぐに隆誠の愛車へ直行した。

 

 突然の変身に隆誠が驚いている中、リムルは間近でマジマジとバイクを見ている。

 

「初めて見た時はもしやと思ってたけど、コレ本当にかっこいいな!」

 

「そ、そうか……」

 

 リムルが見せた姿に突っ込みたい隆誠だが、自身の愛車を純粋に褒めてくる為に出来なかった。

 

 因みに隆誠は高校時代からバイクに乗っており、大学生となった今は新しく買い替えてる。買ったのは彼でなく、彼の父親である司波龍郎が大学の入学祝いとしてプレゼントされたが。

 

「頼む隆誠! このバイクに乗せてくれ! と言うか運転してみたい!」

 

「いや、それはチョッと流石に……」

 

「大丈夫だって! こう見えて俺、運転免許持ってるからさ!」

 

「こう見えてって、今の貴方は人間じゃなくて転生したスライムだろう」

 

 もしもリムルが人間であれば許可したかもしれないが、スライムに転生したとなれば話は別だ。例え人間の姿になれても。

 

「そこを何とか! 俺こう言うカッコいいバイクに乗るのが夢だったんだよ!」

 

「………はぁっ、分かったよ」

 

 客人として丁重に扱われた為、今回はその恩に報いようと隆誠は頼みをきく事にした。

 

 了承された事でリムルは大喜びして、早速バイクに乗ってみようと――

 

「我が主!」

 

「おわっ! ラ、嵐牙(ランガ)!?」

 

 突如、リムルの影から何かが飛び出した。

 

 出てきたのは二本の角を生やした巨体の狼。リムルの影にいる側近で嵐牙狼族(テンペストウルフ)嵐牙(ランガ)。その彼は何故か憤怒の表情になっている。

 

(まさかウチのフェン(・・・)と似たヤツだったとは)

 

 隆誠はランガの事を全く知らないが、リムルの影の中に何かが潜んでいたのは気付いていた。

 

 仮にあの魔物が突然出て襲い掛かってきても、隆誠の影の中にいる神造精霊獣達が黙っていないだろう。

 

 リムルは予想外の不意打ちと言えるランガの登場に困惑する一方だ。

 

「ど、どうしたんだよランガ? 何かあったのか?」

 

「主よ。背中に乗りたいのなら我がいると言うのに、あんな魔獣に心を奪われるなんて……!」

 

「魔獣? いや、あれは魔獣じゃなくてだな」

 

 憤怒の表情になっているランガは、リムルから隆誠のバイクへと視線を向ける。

 

「よくも我が主を誑かしたな貴様ァ!!」

 

「わー! 落ち着けランガ! それは魔獣じゃなくて車なんだよ!」

 

「おい待て人の愛車に何する気だコラァァァ!」

 

 盛大な勘違いと嫉妬に狂うランガにリムルだけでなく、隆誠も阻止しようとするのは当然だった。

 

 因みに隆誠の影にいる神造精霊獣の中に、ランガと似た気持ちを抱いているのがいる事を補足しておく。




最後辺りからギャグになってしまいました。

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