再転生した元神は転スラの世界へ   作:さすらいの旅人

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今回はフライング投稿します。


見知らぬ集団の来襲

 建設作業が余りに速いこともあって、優先的に造るよう命じられた隆誠の家があっと言う間に完成した。

 

 家の造りは元の世界にある普通の一軒家と大して変わらない。リムルの計らいもあって、一人暮らし用の1LDKになっており、生活用品も用意されている。隆誠が新しい住居に住んで以降、リムルやベニマルがちょっとした目的で遊びに来ているが。

 

 何から何まで用意されている事に、隆誠は色々申し訳ない気持ちになっていた。町に住んでおいて働かないのは人として問題がある為、自分に出来る事がないかを盟主のリムルに頼んでみた。

 

 実力だけでなく料理も得意出来る事も教えた事で、警備部隊や料理人が良いんじゃないかとリムルに勧められた。どちらも興味あったのか、取り敢えず体験してみようと言う形でやる事になる。どちらの職も隆誠に向いていると判明するも、ちょっとした騒ぎが起きていたのだが、それは別の話とさせてもらう。

 

 因みに彼が働いている最中、新たな魔物――蜥蜴人(リザードマン)達が住む事になった。隆誠は事情を知らないが、以前にリムル達と一悶着を起こした蜥蜴人(リザードマン)の首領の息子ガビルが、百名の部下達を連れて町へやってきた。他にもガビルの妹と四人の部下も来て、全員リムルから名前を授かって龍人族(ドラゴニュート)へ進化した。尚、この世界の魔物は名前を与える際に大量の魔素を消費する為、名付け親であるリムルが大変だったと隆誠に愚痴っていた事も補足しておく。

 

 そして隆誠が住民となって一ヵ月経ち、町は今も平穏の時間を過ごしていたが、突如予想外な事態が起きようとする。

 

 

 

「いやあ、平和って本当に素晴らしいね。リューセーもそう思わないか?」

 

「それには深く同意するけど、貴方が此処を自分の家みたいに寛ぐのはどうかと……」

 

 隆誠が非番により自宅でゆっくり過ごしている中、此処にはもう一人いる。リビングにあるソファーで横になり、この世界のポテチ擬きを食べながら携帯ゲーム機で遊んでいる人間姿のリムルが。

 

 リムルには今世の目標の一つに、ポテチを食べながらゲームすると掲げていた。食べ物はともかく、隆誠が元の世界から持ってきたゲーム機のお陰で実現している。

 

 今やっている未来のゲームが凄く面白くて完全に嵌っており、彼にとって非常に楽しい日常になっているのだ。

 

 ゲーム目的で度々家に遊びに来る盟主に少々呆れながらも、隆誠は調達した食材を使って二人分の昼食を作ろうと台所へ向かう。

 

「ん?」

 

 突如、隆誠は何かを感じ取ったのか、調理寸前の手を止める。

 

(人間と思わしきオーラが、この町に向かって来てるな)

 

 簡易的に感知しただけだが、隆誠が確認した数は大体千だった。

 

 一人や二人だけならまだしも、千と言う集団が一斉にこの町へ向かって来るのは、明らかに何らかの目的があるとみるべきだろう。

 

「おいリムル――」

 

「何だって!?」

 

 リビングに寛いでいるリムルに緊急の報せようとするも、ゲームをしている筈の彼が突如声を荒げ、まるで誰かと話しているかのようだ。

 

 会話を終えたのか、先程までまったりしていた筈の彼が真剣な表情となって隆誠にこう言った。

 

「リューセー、緊急事態だ」

 

「緊急事態とは、もしや此処へ向かってくる集団の事か?」

 

「え? あ、ああ、そうだ」

 

 何で分かったんだと疑問を抱くリムルだが、今はそれを気にしている場合でない為、すぐに指示を出そうとする。

 

「シオンとベニマルとハクロウは俺が呼ぶから、リューセーはリグルドに住民への避難命令を出すように伝えてくれ!」

 

「了解した」

 

 やっている携帯ゲーム機をソファーの上に置いた後、リムルは急いで俺の家を出て行った。

 

 

 

 

 

 

(これは妙な展開になっているな)

 

 緊急指示を聞いたリグルドは、疑う様子を一切見せる事無く、すぐさま執務を中断して住民達に避難命令を出そうと動き出した。彼の行動を見た隆誠は迅速な対応だと思いながら、リムル達がいるであろう集団の元へと向かう。

 

 辿り着いた町の外の広場では羽が生えてる馬――天馬(ペガサス)に乗り、鎧を身に纏う騎士の集団がいる。その騎士達の前に、圧倒的なオーラを放つ人物の一人が、何故かリムルと剣を交えた手合わせをしている最中だった。

 

 盟主のリムルが集団のリーダーと思わしき者と戦っているのに、ベニマル達から助太刀する様子が見受けられない。彼等が手を出さずに見守っていると言う事は、そうせざるを得ない状況なのだろうと隆誠は察した。因みに騎士の集団とは別に、精霊と思わしき見慣れない複数の女性は一体何者なのかと隆誠は少々気になっているが、それは後回しにしている。立ち振る舞いからして恐らくリムルの味方だろう、と言う推測を立てながら。

 

(リムルの実力では無理、か)

 

 先程からずっと攻撃を仕掛けているリムルだが、全て簡単に防がれていた。どんなに虚を突いても、まるでお見通しと言わんばかりに悠然と受け流している。

 

 隆誠は以前にリムルと模擬戦をしており、身体能力と剣技などの実力を一通り把握している。技量が未熟なのを差し引いても、並みの相手や格下であれば問題無く倒せると。

 

 因みにリムルは指南役の白老(ハクロウ)との模擬戦により自信が付いた事もあって、隆誠の実力を測ろうと模擬戦を提案したのだが、逆に自身の実力を測られて圧倒的な敗北を叩きつけられて密かにショックを受けていた。その後にハクロウも隆誠と模擬戦するも、お互い全力でやらなかった為に引き分けで終わっている。

 

「貴様の力はそんなものなのか、リムルよ?」

 

「うるさい! まだ本気を出していないだけだし、慌てんな」

 

 男の挑発に、リムルは少々むきになったのか反射的に言い返している。

 

 直後、男の全身から凄まじい闘気(オーラ)が発せられた。

 

 それを受けた所為か、再度攻撃に移ろうとしていた筈のリムルが途端に動けなくなっている。

 

(いや、あれは単なる『威圧』じゃない。抵抗力の低い者なら、一種の魅了状態に陥るだろうな)

 

 あの闘気(オーラ)は英雄に相応しいモノだと隆誠は察した。ドワーフと思わしき男は、才知と武勇に優れている逸材な人物である事に。

 

 肝心のリムルは未だに動けず、どうやって打開するのかと見ている中――

 

「うおおおおあああああああああああああ!!」

 

(そう、それで良い)

 

 突如全力の咆哮をしていた。

 

 端から見れば血迷った行為だと思われるかもしれないが、見事な判断だと隆誠は笑みを浮かべている。威圧によって動けないのであれば、気合いを入れて抵抗すれば良いのだと。それを証明するように、リムルは漸く動けるようになっている。

 

「では次はこちらからだ」

 

 男の方は自身の威圧を跳ねのけたリムルに不快を抱かないどころか、ニヤリと笑っていた。

 

 宣言した直後、男はリムルの前から消えた――のではなく、一瞬で接近したのだ。

 

 隆誠の眼だと男が接近しながら下段からの斬り上げをしているのが見えるも、見えていないリムルは直感を信じたかのようにほんの少し後ろに下がった事で回避に成功する。

 

 まだ終わりではないと感じたのか、リムルは咄嗟に刀を翳した瞬間、キィィンと澄んだ音色が響いた。そうなったのは男が斬り上げた後、即座に上段からの斬り下ろしをやったから。

 

(あの技、もしかして……)

 

 隆誠は男が見せた剣技に見覚えがあった。しかもつい最近に。

 

「ふっ……ふははははは! こやつめ俺の剣を受け止めよったわ!」

 

「え?」

 

 豪快に笑いながら剣を引く男に、リムルは困惑の表情になっていた。

 

「それまで! 勝者、リムル・テンペスト!!」

 

 精霊と思わしき女性の一人がリムルの勝利宣言をした。

 

 彼女は勝負の立会人だったのかと思いながら眺めていると、リムルとガゼルの会話は続いている。

 

 そのお陰で意外な事実が判明する。ドワーフの男はハクロウの弟子だから、先ほど『(おぼろ)()(てん)轟雷(ごうらい)』を使っていたのだ。同時にリムルの兄弟子である事も含めて。

 

 すると、ハクロウはある事を訊こうとする。

 

「ところでリムル様、隆誠は此処に来ておらぬのですか?」

 

「え?」

 

 隆誠がいない事に気付いたハクロウに、リムルだけでなくベニマル達も周囲を見渡している。

 

「リューセーは住民の避難誘導をしてるんじゃないのか?」

 

「いえ、あやつはリグルド殿に避難命令を出した後、すぐにリムル様の元へ向かった筈なのですが――」

 

「俺なら此処ですよ」

 

『ッ!?』

 

 ドワーフの男と騎士の集団の間から突如現れた隆誠に、誰もが驚きの声を発していた。




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