再転生した元神は転スラの世界へ   作:さすらいの旅人

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今回は短いです。


ガゼル・ドワルゴ

(此奴、一体いつからおった……!?)

 

 武装国家ドワルゴンの国王――ガゼル・ドワルゴは、隆誠に対して最大級の警戒を露わにしている。彼直属の配下や騎士団たちも含めて。

 

 彼等は先程までの会話だけでなく、リムルとの手合わせ中にも周囲の警戒を誰一人怠っていない。もしも誰かが不意打ちを仕掛けようとしても、「剣聖」や「英雄王」称される実力者のガゼルが難なく防げるのは勿論のこと、配下達も主を守る為の盾となる為に迎撃していただろう。しかし、誰もが隆誠の接近に気付かず、彼が姿を現わした事で不覚を取る結果を作ってしまった。

 

「リューセー、お前いつからいたんだ!?」

 

 これはドワルゴン側だけでなく、リムル側も同様の反応を示していた。特にベニマル達は手合わせしているリムルとガゼルを見守りながらも、彼の背後に控えている騎士団達が妙な真似をすれば即座に迎撃出来るよう警戒していた。にも拘らず、後から現れたハクロウが隆誠について言った直後に出現。魔力探知を持つ彼等でさえも気付かなかった為、内心少しばかりショックを受ける程だった。

 

 全員が気付けなかったのは、隆誠が神の能力(ちから)を利用した『認識阻害』の他、気配やオーラを完全に遮断していたからだ。この世界は魔素と呼ばれるエネルギーが源になっている為、それを一切持たない隆誠にリムル達が探知出来なかったのは無理もない。

 

 そんな周囲の反応を余所に、リムルはすぐに隆誠に近付きながら問い詰めていた。

 

「えっと……貴方が手合わせしてる間に、かな?」

 

「その時点からいたのかよ!」

 

 隆誠が数分前からガゼルと騎士団の間にいたと言う事実にリムルだけでなく、ガゼル達も驚愕していた。

 

 魔力感知を活用していたのにも拘わらず、誰一人全く気付けなかった。これはリムルのスキルである『大賢者』も例外ではない。

 

《………………》

 

 無言になる『大賢者』だが、リムルにはかなり口惜しがっているのが伝わっていた。

 

「リムルよ、其奴(そやつ)は見たところ人間のようだが、お前の部下か?」

 

 魔物が住む町に(ドワーフとは別に)人間がいると言う情報が入っていない為、ガゼルは思わずリムルに訊ねてしまう。

 

「コイツは俺の友人で、一ヵ月前から俺達の町に住んでいるリューセーだ」

 

 異世界からやってきた同郷人とは流石に言えない為、リムルは内容を暈しながら簡単に紹介した。

 

 隆誠もガゼルや騎士団が一体何者なのかを問いたかったが、それは敢えてやらない。先程までの手合わせを見てかなりの実力者だから、恐らくこの世界ではかなり有名な人物だろうと推測している。加えて下手に無知を晒してしまえば、絶対面倒になる事も含めて。

 

「リムルの友人、か」

 

 ガゼルはリムルが何かを隠している事に気付くも、敢えて追求はしない。今回此処へ来たのはオークロードを倒した魔物集団の調査、並びにリムルを見極めに来たので、目の前にいる人間については一旦後回しにしたのだ。

 

 本来であれば自身だけでなく、配下達にも気付かれずに姿を隠すほどの手練れを見過ごす事は出来ない。しかし今この場で言及すれば、手合わせ後に判明した弟弟子のリムルや恩師であるハクロウの不興を買ってしまう事になり兼ねないから。

 

 

 

 

 

 

(あの集団は武装国家ドワルゴンで、リムルが手合わせした相手は剣聖と名高いドワーフ王『ガゼル・ドワルゴ』、ねぇ)

 

 場所を変えてドワーフ達の会合を終えた後、夜間になった現在は楽しい宴会の時間になっていた。

 

 宴会場所となっている建物は大変賑やかになっているが、隆誠は自宅でゆっくり寛いでいた。ガゼルが配下達を連れて此処へ来た目的がリムル達の調査であれば、人間の自分は部外者だからと言う理由で。

 

 本当ならリムルとしては、隆誠を宴会に参加させるつもりだった。ガゼル王は気にしてないかもしれないが、彼の配下達から相当警戒されていると言われてしまった為に。

 

 参加しなかった理由は他にもある。楽しい宴会とは言っても、此処からある意味本当の戦いなのだ。

 

 ジュラの森大同盟の盟主リムル、武装国家ドワルゴンの王ガゼル・ドワルゴ。配下達も一緒に参加しているとは言え、国のトップ同士による本格的な交渉が開始されてるなど、あのお気楽な同郷者(スライム)は微塵も考えていないだろうと隆誠は予想している。

 

(恐らくだけど、宴会が終わってからリムルが此処へ来るかもしれないな)

 

 隆誠は用意した少量の酒を飲みながら、後々の展開を予測していた。

 

 リムルが転生する前、三上悟と言う名でサラリーマンをやっていたと聞いているから、(まつりごと)など一度もやったことは無い筈だ。流石に配下達の前で無知を晒す事はしないだろうが、事が終えた後に同郷者である自分に愚痴を零しに来るかもしれない。知り合ってまだ一ヵ月経ってないとは言え、隆誠はリムルの行動パターンが何となく読めるようになっている。

 

 しかし、これはあくまで簡単な予測に過ぎない為、必ず当たるとは思っていない。予想が外れたのであれば、リムルは国の交渉を見事に成功させたと言う結果になるから。

 

 果たしてリムルが来るか否か、隆誠はそう考えながら自身の影に潜ませている一体の神造精霊獣を――

 

『リューセー、すぐに宴会場へ来てくれ! 大至急だ!』

 

『了解。直ぐに行くよ』

 

 ()でる為に呼び出そうとしていたが、盟主リムルから緊急の『思念伝達』が届いた。しかもかなり焦った感じで。

 

 突然の念話に隆誠は驚くも、予想していたより少々違うなと思いながらも、盟主からのヘルプに急いで駆けつけるのであった。




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