再転生した元神は転スラの世界へ   作:さすらいの旅人

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今回は殆ど説明だけです。


ジュラ・テンペスト連邦国設立

 隆誠は急いで宴会場に向かうも、未だに宴会の真っ最中だった。主にガゼル・ドワルゴを中心としたドワルゴン側が。

 

 リムルが説明をするも、予想外な内容に彼は驚きを示す。魔物の集団を国として認める他、ドワルゴンと友好関係の同盟を結ぶことなったと。

 

 (ドワーフも含めて)人間からしたら魔物は自身に仇なす危険な存在と見るのが、世界共通の常識になっている。それなのにガゼルはその常識を壊すように同盟を結ぼうとしているから、この男は相当柔軟な思考を持っていると元神の隆誠は関心を示すほどだ。

 

 無論この話は決して善意でなく、相互に利益がある為の提案だった。国家の危機に際しての相互協力や、相互技術提供の確約など、幾つもの条件が出されている。普通ならじっくり時間を掛けて考えるのだが、リムルは即座に了承していた。配下のリグルドやベニマル、トレイニーと呼ばれる樹妖精(ドライアド)も一切反論が無かったようだ。因みに彼女は以前までジュラの大森林の管理者の役割を担っていたが、リムルが盟主となった事で配下に加わったらしい。

 

 それらの話を一通り聞いて、何故配下じゃない自分を急いで呼び出したのかと隆誠が訊ねるも、リムルはこう言った。自分達と一緒に国の名前を考えて欲しいと。人間も交えて魔物が住まう国の名前を考えるなど普通に考えて有り得ないのだが、この町の盟主は元人間である為、同郷人の隆誠に頼んでしまうのは致し方ないかもしれない。呼ばれた当人は余り関わりたくないのだが、この町に住まわせてもらっている為に拒否する事が出来ない立場なので、断れず一緒に考えざるを得なかった。

 

「この町は全く異なる魔物達が(つど)っているのであれば、それらを一つに纏めた連邦国にしてみたらどうだ? いっそのことリムル連邦国、みたいな」

 

「そんなの却下だ! 何で俺の名前を入れるんだよ!?」

 

 軽い気持ちで言った隆誠にリムルが恥ずかしがって即座に反対するも、逆にベニマル達は素晴らしい名案だと言わんばかりに大賛成の様子だった。

 

 危うく『リムル連邦国』に決まりかかろうとするも、リムルがそうはさせまいと盟主権限を使って『ジュラ・テンペスト連邦国』、略して『魔国連邦(テンペスト)』にさせていた。余りの必死さに隆誠は笑いそうになっていたが。

 

 しかし、そうは問屋が卸さなかった。正式な国名が決まって安心しきっていたところ、今いる町の正式名称が『中央都市リムル』になってしまったのだ。当然リムルが止めようとするも、折角提案したリグルドに対して申し訳ない気持ちがあって諦めざるを得なかったらしい。

 

「ま、今後は王として頑張ることだ、リムル国王様」

 

「…………リューセー、お前は今日から俺の補佐になれ。盟主として拒否は許さん」

 

「何でだよ! 俺は人間だから無理だろうが!?」

 

 リムルは仕返しも兼ねてか、名前を付けることになった元凶の隆誠に補佐を務めるよう強制的に命じた。

 

 それとは別に――

 

(リューセーと呼ばれる男も、機会があれば見極める必要がありそうだな)

 

 魔物のリムルが人間である筈の隆誠を自身の側近にさせるのには、実力以外にも相応な理由がある筈だとガゼルはそう考えていた。

 

 

 

 

 

 

 宴会が終わった翌日。

 

 ジュラ・テンペスト連邦国は武装国家ドワルゴンと盟約を結ぶための調印式が行われた。

 

 この世界での盟約は国の代表同士の調印(サイン)をするだけで、魔法により保証されて世に公開される仕組みになっている。それが成立した瞬間、ジュラ・テンペスト連邦国の名が世界に知れ渡る事となった。

 

 異世界人の司波隆誠は、今後どうなるかを傍観するつもりでいたが、そうもいかなくなってしまった。盟主リムルが彼を補佐として強制就任させてしまった為に。

 

 いずれ元の世界に戻る予定の隆誠としては、補佐に就く気など毛頭無いので当初反対するも、結局のところ引き受ける事になった。それはリムルから『元の世界へ戻る目途が立つまでの間は自分を支えて欲しい』と、頭を下げてまで懇願されてしまったから。

 

 魔物に転生したとは言え、隆誠は同郷人(にんげん)からの切実な頼みを断れない。もしもリムルが横暴で傲慢な人物であれば即座に手を切っていたかもしれないが、丁寧な態度で接されただけでなく、町にも住まわせて貰っている恩があるので無碍には出来なかったのだ。四葉家当主補佐になる前の練習には丁度良い、と言う理由付けで自らを納得させている。

 

 突然決まった盟主補佐就任に、一部反対する者がいた。リムルの秘書を務めているシオンと言う鬼人が。彼女は新参者の隆誠が町に住んで一ヵ月の間に起きたとある事情(・・・・・)によって、少しばかり相性が悪い。それを未だに引き摺っている所為で紫苑は断固反対していたが、それはあくまで彼女の個人的な事情に過ぎなく、結局は押し切られる事になった。

 

 

 

 

 調印式が終わって二日後、ドワルゴンに戻った筈のガゼルがまたしても来ていた。しかも今度は配下を連れずに一人だけで。

 

 突然の来訪にリムルは当然呆れるも、向こうにはちゃんとした理由があった。諸事情によって免職されたドワーフのベスターと言う元大臣が非常に有能なので、是非ともこの町で働かせようと連れて来たのだ。

 

 ガゼルは盟約の中に含まれている相互技術提供を理由にベスターを派遣させているが、隆誠はある事に気付いた。余りにも此方側にとって都合が良すぎる展開ばかりだと言う事に。

 

 今まで(まつりごと)に触れていなかった所為か、隆誠はある事を忘れていた。『うまい話には裏がある』と言う(ことわざ)を。

 

 ガゼルは決して嘘など言ってない。ベスターを魔国連邦(テンペスト)で働かせれば、今後はドワルゴン側の仲介人として莫大な利益を得る事が出来ると踏んだのだろう。一昨日にやっていた宴会の時から。

 

 中々計算高くて食えない男だと隆誠が内心思っている中、ガゼルは突然彼の方へ視線を向ける。

 

「隆誠よ、リムルの補佐であるお主もベスターと仲良くやってくれ」

 

「ええ、勿論そのつもりです」

 

 隆誠はベスターと事を荒立てる気など毛頭無いとは言え、万が一に彼が良からぬ事を仕出かす場合は処断を下す必要があると考えている。例え何か起きたらカイジンが全責任を取る事になっているが、リムルの補佐に就いた以上はそう言う事を念頭に置かなければならない。

 

 だが、それは杞憂となる。寧ろ心配してしまうほど、ベスターが余りにも働き過ぎてしまう為に。




次回はミリム来襲です。
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