TS転生した私が所属するVTuber事務所のライバー全員を堕としにいく話   作:恋狸

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でろでろに全智さんを甘やかそう

 私は半分一人暮らしのようなものだ。

 両親が帰ってくるのは決まって私の誕生日と、お盆と正月。

 愛されているのは日頃の超絶ハイテンションを見れば分かるからいいんだけど、あの両親私のVtuberの活動見てやがる。

 

「すごい。久しぶりにキレそう」

 

 両親から送られてきたのは私が『全員堕とす』と叫んだ切り抜きの画像と『(笑)』の一文字。明らかに馬鹿にしてきてやがる。

 許さん。

 

「……両親といえばだけど、全智さんは……いや、深入りはダメだね」

 

 料理配信を行った時の全智さんの様子を見れば大体予想はできる。だからこそ、それ以上を詮索するのは全智さんを傷つけてしまうだろう。

 彼女はきっと愛に飢えている。クールな一面に隠された本性は、一人になりたい気持ちと誰かと話したい相反する感情だ。

 

「ほっほっほ……愛に飢えているなら愛せばいい。この私がね。誰かの代わりなんかじゃない。私が私として全智さんを愛そう」

 

 そうと決まれば行動するに限る。

 料理配信を行ってから一週間以上が経過した。そろそろ寂しがってる頃合いに違いない。私には分かる。

 後方彼氏面だよ。対面では2回しか会ってないケド。

 

ーーー

花依『コラボしません?』

 

全智『わかった。暇な時にいつでも来て』

ーーー

 

「返信早っ。てか、暇な時にいつでもって……」

 

 うーむ、明日は土曜日だし行こうかな。

 あ、そうだ。

 

ーーー

花依『では明日どうですか?』

 

全智『かまわない』

 

花依『お泊りも?』

 

全智『!?!?!?』

ーーー

 

「よし、了承って意味だね。多分」

 

 私はスマホの電源をぶつりと切った。

 文字にまで感情が現れるようになるとは花依さんは感動ですよ、うん。

 どんどん普通の少女らしく可愛くなるのは私的にもベリーグット。もうこれ育成ゲームでしょ。

 

 ただ変な性癖を植え付けてる気がする。

 き、気にしないでいこう。

 

 

 

☆☆☆

 

「花依が……泊まりに……くる……??」

 

コメント

・放心してて草

・てぇてぇの過剰供給注意報だな

・手のひらで踊らされてんのおもろいw

・堕ちきってるのに何回堕とす気だw

 

☆☆☆

 

 

 よし。

 私はボストンバッグとクソ重いレジ袋を持って、全智さん宅の扉を開けた。

 

「こんにちはー」

 

 ゴミは……少ない、よし。

 全智さんはいつもの場所に座っていたが、どこかソワソワしている雰囲気が見受けられた。

 あー……なるほどねぇ。

 

 ニヤリと笑う私の心に嗜虐心が芽生える。

 

「あれれ、全智さん。そんなにソワソワして、私が泊まりに来るからって楽しみにしすぎじゃないですか?」

「ち、ちが……くないけど、泊まりとか初めてだから」

「は? カワイイ」

 

コメント 

・花依来た途端に人格変わってんだろ

・もう可愛さしかないんよ

・てぇてぇ

・花依も軽く反撃食らってるしwww

・全智の攻撃は全部無自覚だからなw

 

 頬を赤らめてモジモジとする全智さんには尊みしか感じられなかった。想像以上の反応だ。耐性つけてなかったら私の方が堕ちてたよ、危ない。

 

 私は一先ず場の空気を整える意味で咳払いをする。

 

「ゴホン。とりあえず……ってアレ、今日髪縛ってるんですね」

「うん……この前花依が縛ってくれたの気に入った」

「おー、それは良かったです」

 

 全智さんのアバターも桃色の長髪だけど、この前の料理配信を受けて絵師さんが、髪を縛った全智さんを描いてくれたのだ。

 だから切り替えも自由自在ということで、まさしく現実とリンクしている。いい仕事するじゃん。

 

「今日は本当に泊まる?」

「ええ、なんてったって今日のコンセプトは特殊ですからね」

「なにするの? 花依の企画、全部幸せになるから楽しみ」

「そ、そうでございますか、ハイ」

 

 ふんわり笑う全智さんに思わず赤面する私。

 どこか既視感のあるやり取りだけれど、何度だって全智さんの無自覚デレには慣れる気がしない。くそぅ、負けた気分だよ。

 

コメント

・また無自覚で照れさせてるぞw

・花×全は両者の照れが見れるからたまらねぇ

・てぇてぇすぎる 

・天国かな?

・絶対に挟まらないから200m先でずっと見てたい

・↑キモいって言おうと思ったけど解釈一致なんよ

・話さなくて良い。認識しなくていい。ただ見ていたい…

・草

 

「気を取り直して! 今日のコンセプトは、でろでろに全智さんを甘やかそう! おやすみからおはようまで!」

「……!?」

「どんなことでもやりますよ。家事全部。全智さんの要求に完璧水準で応えてみせます」

「ど、どんなことでも……?」

「ええ、どんなことでもです」

 

 何を想像しているのかよく分からないけど、全智さんの喉がゴクリと鳴った音が聞こえた。この状況が異性であればえっちぃ願いごとの出番だよね。

 まあ、全智さんに限ってそれはありえない話だケド。

 

コメント

・なんでも……!?

・ちょ、それは花依マズイんじゃ

・さては最近の全智の独り言を聴いていないな……?

・まあ、言わぬが花だろwww

・面白くなりそう

 

 最近の独り言? まあいいや。

 兎にも角にも全智さんを愛しまくろう計画の第一段階として、お願い事を聞いて頼ってもらえるようにしようとのこと。

 

 全智さんは再び顔を赤らめながら、純白の長髪をいじっている。

 相変わらず服装はゆるめで、少し寒くなってきたからか丈の長い黒のワイドパンツに無地のパーカーを着ている。

 上から覗く限り、恐らく下着を着ていない。

 やばい。エロい。

 

 見ないように心がけるけど、如何せん無防備だ。

 ……あー、もうツナちゃんと同じになっちゃうじゃん。思春期の猿になるのは勘弁。

 え、ツナちゃん? 思春期じゃない猿? 冗談だって。

 

「あ、とりあえず昼時なのでご飯作りますね。リクエストありますか? 結構食材も持ってきたんで大丈夫ですよ」

 

 全智さんは微かに悩んで答えた。

 

「オムライスたべたい」

「了解です〜。ちゃちゃっと作っちゃいますね」

「私も手伝う」

 

 ふんす、と気合を入れるように腕まくりをする全智さん。例の配信から時たま料理をするようになって自信がついたみたい。

 遠隔から私が教えることもあるし、簡単な工程なら安心して任せられる。

 

「分かりました。じゃあ、卵溶いてもらってもいいです?」

「まかせて」

「ふふっ、じゃあ始めますか」

 

 気合いの入った全智さんというのが思いの外面白くて、可愛くて笑ってしまった。

 

コメント

・なんだこの神聖な領域は

・付け入る(コメントする)隙がねぇ……!!

・夫婦か??夫婦だろ????

 

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