TS転生した私が所属するVTuber事務所のライバー全員を堕としにいく話   作:恋狸

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息抜きにて出会う物語

 全智さんの家で1日中(意味深)過ごした後、私は久しぶりの1日オフということで街に繰り出していた。

 まあ、これでも一応女子高生だからね。それなりに人間関係を円滑にしていると遊びの誘いとかがやってくるんだけど、私の場合は家の習い事が忙しい……みたいなザ・優等生の言い訳を使って躱している。

 別に遊びに行くのが嫌なわけじゃないんだケド。

 

 VTuberとして忙しいのもあるし、高校生にもなると男女混合グループで遊びに行こう! みたいのが多くなる。

 そうすると美少女の私が行くと色々面倒なわけで。

 変な因縁も付けられたくないし、近づき過ぎず排他的にもならないように気をつけてる感じかな。

 

「どこ行こうかなぁ」

 

 宛もなく彷徨うのは久しぶりだ。

 何となく家にいる方が面倒な時ってあるよね。まさにそれ。とは言っても今大変な時期にあるクラちゃんツナちゃんを誘うわけにもいかないし……。

 川内は川内でテストの補習で死んでる。強く生きてよ。

 

「ナンパでもしようかな」

 

 さすがに危険か。

 そもそも私の目に止まるような娘は───

 

「およ?」

 

 雑多で人の行き交う街中。

 私はそこで何かを探すように必死な形相で地面に這う少女を見つけた。私と同い年か年下かな?

 何かを探す少女に声を掛ける者はいない。別に周りの人が冷たいというわけでもなく、ただ気づかないか気づいても自分のことで精一杯なだけだ。時間帯も昼頃と人の流れも速い。

 私は涙すら滲みそうな少女に、躊躇うことなく話しかけた。

 

「どうかしました? 何か探してるようですケド」

「コンタクトが……取れて」

 

 少しハスキーで、私でも真似するのが困難なほどに特徴的な声だった。そしてどこか既視感がある……けど、そうそう知ってる人に会うことはないよね……多分。

 それにしてもコンタクトが取れちゃったか。人通りの多い場所でそんなことになったら焦るし泣きたくもなるよね。

 正直往来で落としたなら踏まれてると思うけど……。

 

「私も探しますよ。ちょうど暇でしたし」

「あ、ありがとうございます……」

 

 遠慮がちにモゴモゴと口を動かした少女。

 私は笑顔で頷いて、少女と同じように屈んで辺りを見渡す。

 うーん……それっぽいのは無いなぁ。

 近くの路地裏とかに落ちてる、ってパターンも無さそう。これは完全に踏まれちゃったかな。

 

「コンタクト無いと何も見えない感じです? 落としたのは両眼?」

「はい……ほとんど何も見えないです。手探りでしか探せなくて……。乱視が酷いので視界も定まらなくて」

「あらら。コンタクトは市販の?」

「一応市販のです。薬局にあったのを使ってます」

 

 少女の口調は堅い。けれど焦りと申し訳無さが感じられた。

 私の方を見た少女は、普通の顔立ちで、そばかすが目立った。けど愛嬌のある顔だ。

 服も白のワンピースと、かなり清楚な装いである。

 とにかく私は、私の信条を守ることにした。

 

 ──この女の子の笑顔を見よう!!!

 

「多分このまま探しても埒が明かないので、薬局でコンタクトを買った方が良いですよん。私が道案内するので、手を繋いで付いてきてください!」

「でも迷惑に……」

「暇なので大丈夫ですよ!」

 

 私はニコリと、少女からは見えないかもしれないけど笑った。見えるかどうかが問題なんじゃない。笑顔であるか否かが大事だ。笑顔は向けるだけで安心材料になり得る。

 精一杯の笑顔を浮かべると、少女はコクリと頷いて手を差し出してきた。

 

 うん……女の子のすべすべな手。

 一瞬気持ち悪い思考が出たけど許して欲しい。

 

「じゃ、行きますよー」

 

 そうして私は少女の手を引いて薬局まで案内する。

 確か近くにコンタクトが売ってる薬局があったはず。乱視用のコンタクトが売ってるかは分からないけど、行ってみるだけ得だからヨシ!

 

「何歳です?」

「じゅ、十六歳です。高校1年の」

「あ、同い年じゃん。いきなり距離詰めてごめんけど、タメ口でいこ!」

「お、同い年なんだ。あたしも敬語、そんなに慣れてないから助かる」

 

 こういう相手が申し訳無さを感じてる時は距離を詰めるに限る。年が近いと話しやすいだろうし、多少の気安さは出ると思う。コンタクト落とすなんて災難したんだから、そんなに気にしなくても良い、という意思表示もある。

 実際少女の素の口調はかなりフランクで、何度も使っているような()()があった。

 

「いやぁ、コンタクト落とすなんて災難だったね」

「うん……ぶつかっちゃって。その拍子に。今日はメガネも忘れたし」

「ま、そんな日もあると思って切り替えよ!」

 

 とことん上手く行かない日ってのも存在するしね。

 気にし過ぎたらドツボにはまっちゃうから。

 

「着いたよん」

「ありがと」

 

 手を引きながらコンタクトコーナーに向かう。

 すると、運のいいことに乱視用のコンタクトが売っていた。

 

「えーっと、乱視用コンタクト……使い切りタイプで3000円だけど手持ち大丈夫?」

 

 意外に高いんだよね、コンタクトって。

 特に乱視用だとそれなりに高くもなるし、高校1年生にいきなり3000円の出費はデカい。服とかコスメでバカバカお金を使うのが女子高生だし、日々金欠と戦っている身なら難しい。

 

「あっ……口座から下ろせばあるんだけど、手持ちにないや……」

「そっか。じゃあ私建て替えておくね。後で返してくれれば良いからさ」

「や、さすがに申し訳ないって。あたしのミスだし、後で返すって言っても、会ったばかりなのにお金の建て替えとかも……」

「そう言える分には大丈夫。どのみちそんな歩くのも無理なフラフラ状態で放っておけないよ」

 

 当然少女は遠慮するけど、言った通り歩くのもままならない状態で放っておけない。声を掛けたなら責任は取らないとね〜。

 

「ごめん……お願いします。後でお礼するから」

「はーい。じゃあ私のカフェ巡りにでも付き合ってもらおうかな」

「そんなので良いの?」

「もっちろん。暇だったし」

 

 負い目を感じさせないためにも、私は少女を私の遊びに付き合わせることにした。これで私は女の子とお茶ができるし、少女は負い目を消せて一石二鳥ってわけ。……たぶん?

 

 うーん、それにしても既視感があるなぁ。

 声もそうだし状況そのものに既視感がある。

 

 あ、これクラちゃんの出会いと似てるじゃん。

 それは確かに既視感があるわけだ。ついつい珍しい声を聴いちゃったから過敏に反応しちゃったけど、ただシチュエーションがクラちゃんの時と似てるだけだね、多分。

 

 さて、ナンパも成功したし、お茶しよう!!

 

 




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