TS転生した私が所属するVTuber事務所のライバー全員を堕としにいく話 作:恋狸
『プロミネンスさんの自己肯定感については原因が分からないので一旦置いておきます。というより、そこら辺を勝手に推測されるのは嫌だと思うので』
「当てられてもお前に何が分かる……って思うし……。住所特定して手紙を置くとかいう激怖ホラームーブしておいてその配慮はなんなの……」
私は後輩が分からなさすぎてブルリと震えた。
でも、手紙を開く時に感じた恐怖はもう無かった。
……うん、別の恐怖が今はあるからかな。
「ここまで私に構うのは……堕とすため、ってやつ? 私個人に魅力なんて無いもんね」
『とりあえず私は堕とすとか関係なくプロミネンスさんのことは推しです。ここは勘違いしてほしくないので』
「違 っ た」
タイムリーすぎる言葉に私は再び震えた。
……普段の私だったらそんな言葉は信じないと思う。
でも住所特定して手紙を置き去るほど化け物じみた行動力の原理が、私を推していることなのであれば──現実に落とし込めて納得できる分、そのほうが都合が良かった。
嫌な感じで私の自己肯定感の低さを突破してくるのやめてほしい。怖いから。
「どうやって鍵開けたんだろう……莉子が出たのかな」
その割にはインターホンの音とかしなかったけど……。
引きこもりは他人の来訪に敏感だから、インターホンが鳴れば寝ていてもすぐに起きるはずなのに。
「ふ、不法侵入……?」
私は「やりかねない」と思った。
そこまで後輩の人となりを私は知らない。
私が持っている情報は、箱内のライバーを全員堕とそうとしていることと、陽キャであることと、私を推すがあまり住所を特定して置き手紙を送ることくらいだ。
や、やりかねない……。
「か、家族は大丈夫なの……?」
私は心配になって部屋の扉を開ける。
まずは莉子の部屋を訪れると、妹は布団にくるまりながらニヤけ顔ですぅすぅと寝息を立てていた。
「ふみゃう……夢見さんと…………お出かけぇ……」
友達の名前かな。妹の人間関係は知らないけど、ニヤけるほど仲の良い友達らしい。……ふぅ、とりあえず無事で良かった。
続けて両親の部屋を訪れたが、どちらも普通に寝ていた。
……ま、まあ推しの家族を傷つけるわけがないよね。
「どうやって手紙置いたの……!?」
も、もしかしたら手紙の続きに書いてるかも……。
私は内心戦々恐々としながら続きを読み始めた。
『私が言いたいことは以上です。
その上でお願いがあるんです。
もし私の言うことを信じてくれるなら、学力王決定戦の前日に、初めて会った時と同じ部屋であなたを待っています。
どうしても、お見せしたいものがあるんです。
少しでも、ほんの少しでも──
そんな想いがあるのであれば。
私はあなたのお手伝いをすることができるかもしれません』
「…………っっ!」
──逃げたくない。
そんなの、ずっと思ってる。
それでも……足がすくむんだよ。
怖いんだよ。
あの時花依さんに会えたのだって、たまたまだ。
たまたま少しだけ勇気が出ただけだ。
……逃げたくない。
逃げたくないよ。
「でも……っ……あれ。まだ何か……」
手紙には続きがあった。
『来て欲しいんですけど、来れなかった場合は仕方ないと思います。いやでも……もしかしたら……莉子ちゃんと今度遊ぶ時にオススメのVTuberを紹介してしまうかもしれなくて……とても推しなので……好きゆえに……
ps:脅しじゃないです』
「真正面から脅してきたこの人!!!」
……ははっ、どうしてだろう。
ここまで言ってくれる優しい人は、きっと私が行かなかったとしても脅し通りのことはしないって直感的に理解できる。
このバケモノじみた行動力は、人を傷つけることに行使しないって少しでも考えれば分かるから。
……うん、良かった。
莉子の知り合いだったんだ。だから莉子が協力したのかな。
しかもこんな脅しをするってことは、莉子の協力を仰ぐ際に私の正体について一切言っていない、って読み取ることもできる。
まだ怖いけど……それでも……。
「もう、逃げない」
私はこの逃げ癖に、立ち向かうことを決めた。
手紙の内容がホラーだよ花依。
次回の更新は8/12日辺りを予定しています。
早まることはあっても遅くなることはないです。
ps:執筆を継続させるために息抜き小説を書いたのでよろしければどうぞ!
https://syosetu.org/novel/421061/
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