TS転生した私が所属するVTuber事務所のライバー全員を堕としにいく話   作:恋狸

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推しの笑顔を見るためだったらどんなホラー展開になることも辞さない花依


笑顔が一番素敵だから

 やれることは全てやった……と思う。

 私の全知識と経験を総動員して書き上げた手紙は、あとで自分で読み返してみたら割とホラーだった。

 

 一応最初に莉子ちゃんと友達ですとは書いたけど、多分後半の内容が衝撃的すぎて全部飛んじゃうんじゃないかなぁと予測をしてみたりする。

 

「手繰り寄せた偶然を絶対に無駄にできなかった」

 

 もしもこの件で私が嫌われてもそれで良い。

 どんな想いを抱いていたとしても、手紙に書いた通りに来てくれればそれで良いと私は心の底から思ってる。

 

 推しが暗闇に沈み込むくらいなら、幾らでも私が真正面から体を張って止めに行くよ。そんな覚悟はとうにできてる。

 

 まあ、別に嫌われたからそこで終わりってわけじゃないしね。

 むしろ堕とす難易度が上がってやる気が出るってもんだ。

 

☆☆☆

 

「……ねえ、宇宙さん」

「なんですか」

 

 ──学力王決定戦、前日。

 指定した部屋に並んで座っていた宇宙さんに話しかけると、彼女は微かに緊張したような表情で反応を示した。

 宇宙さんが緊張なんて珍しい……って思ったけど、ただの画面越しの推しに過ぎない私と違って、宇宙さんは大切な大切な同期だ。

 

 ろくに話したことがなくても、宇宙さんはプロミネンスさんのことが大好きな同期だ。

 

「成功すると、思う?」

「……アナタらしくないですね。こういう時は自信満々に胸を張って成功を確信していると思っていましたが」

「そこまで傲慢にはなれないかなぁ。失敗を予感してネガティブになることは無いけど、何でもかんでも成功すると確信するには色々と足りないものが多いし……それが良いことである保証も無いから」

 

 苦笑して言うと、宇宙さんはフッと笑った。

 アナタらしいと言われているようでもあった。

 

 ぬぅ、なんでこんな時に試すようなこと言うかなぁ。

 覚悟の是非を問いたいんだろうけど、ここまでやった人に言うことじゃ────あ、そっか、プロミネンスさんを呼び寄せた方法については宇宙さんに共有してないのか。

 

 流石にあのホラー手紙はドン引きされる気がするケド。

 

「……来ませんね」

「そだねぇ」

 

 いつ来ても良いように朝から待っていた私たちだったが、すでに部屋は夕焼けに包まれていた。

 ホワイト企業の肥溜めゆえに、一部のマネージャー以外の社員はすでに退勤していて、部屋の周りは静けさに満ちている。

 

 そんな中、コツンコツンと一つの足音が耳朶を打った。

 

「「……っ!」」

 

 私と宇宙さんは顔を見合わせた。

 足音はどんどんこの部屋に近づいてきて──扉の前に人の気配を感じると同時に、足音は止まった。

 

 少しの逡巡があったのか、時間をかけてゆっくり開かれた扉の前に立っていたのは────茶髪ボブの少女だった。

 鼻周りにあるそばかすと、少しあどけない顔立ちが特徴的な純朴な少女といった印象を受ける。

 

 私と歳近いかな……?

 童顔っぽいから少し分からないけど。

 

「……………………い」

 

 少女は微かに口を開いては閉じる。

 やがて何かを決心したようにギュッと目を瞑ると、おずおずと私の方を見て言った。

 

 

「……い、妹とどういう関係なの……?」

「最初に聞くことがそれなんですね!!」

 

 察してたけどやっぱりプロミネンスさんだった。

 うんまあ、予想通り手紙の序盤に書いてあった情報は綺麗さっぱり忘れてるみたいだね。初頭効果を掻き消すほどのインパクトをぶち込んでしまったのは申し訳ないと思うよ。

 

「莉子ちゃんは小学生の時の同級生なんです。色々諸々あってお姉さんがプロミネンスさんなんじゃないかって、思って今に至ります」

「……色々諸々」

 

 まったく納得がいってない表情だった。

 ここら辺の事情を話すには莉子ちゃんがプロミネンスさんに対する愚痴を言っていたことを明かさないといけないので、私は閉口してニコリと笑った。

 

 少し場が落ち着くと、プロミネンスさんは続いて宇宙さんを見てギョッとしたように目をまん丸にして驚いた。

 

「宇宙、さん……」 

「久しぶりですね。会うのは本当にデビュー後少し以来でしょうか?」

「どうして……ここに」

 

 プロミネンスさんはバツの悪い顔をしていた。

 その表情はどこか気まずさで満ちていて、嫌悪や憎悪の類では無かった。それは本当に良かった。

 

「ワタシは……お手伝いのようなものです」 

「そっ……か……」

 

 流れる沈黙。満ちる気まずさ。

 うーーん、非常に見ててやきもきする!!

 

 どうにかしてあげたいところだけど、一先ずは計画通りに動くことが先決だね。

 

 私は立ったままのプロミネンスさんを()()()()()()()の見える位置の席に誘導して座らせた。

 もうここから私たちの作戦は始まっているのだから。

 

 

 

「──はい。というわけで、視聴し終えるまで出れない部屋です。対戦よろしくお願いします」

 

「!?!?」 

 




気まずさに耐えられない女、花依琥珀。

次の更新は8/21〜8/24日を予定しています。
抱えてる原稿の終了次第で早くなると思います。

コミカライズカッテ……!! オネガイシマス! オモシロイヨ!

誰推し?

  • 花依琥珀
  • 全智
  • ツナマヨ
  • クラシー
  • 川内絵里子
  • 佐々木(男なので投票しないでください)
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