Pokémon LEGENDS “雷” 作:Cr.M=かにかま
宇宙。
存在そのものは少し前から確認されているが、人類がまだ到達しない領域。
しかし、ポケモンが確認されており、この星にも何種類かのポケモンが生息している。
「……とはいったものの、うーん」
高名なポケモン博士といえど、宇宙に関しては専門外もいいところである。
あの後、ブロロロームに乗りそのまま牧場兼研究所へと戻った二人はあれやこれやとしていた。
「記憶が戻ったのは、ソラノちゃんの故郷が宇宙にあるということのみ、か」
「……間違いない、と思う。ここの空の色、思えば違和感あった」
「でも、それ以外がてんでさっぱりってわけね。血液検査とかもしてみたいけど、私人間、というか宇宙人に関してはまじで専門外なんだよねぇ、免許とか知識もないし…」
宇宙研究が進んでるといえば、ホウエン地方のトクサネシティだが、いかんせん遠すぎる。
マリブ地方本土にも宇宙研究所はあるにはあるが、奇特な老婆と頭のおかしい助手達が牛耳ってるため、とても紹介できたものじゃない。
「他にも、君と同じ境遇の人間がいればいいんだけどなぁ、ご家族とか友人とか」
「……いたとしても、研究対象には、なりたくない、と思います」
「だよねぇ」
ここで話を続けてはいるものの、進展する様子は見られない。
「博士、そういえば、あのシビルドンは?」
「
ボールから出した瞬間にでんじほうを撃ってきたときは恐怖以外の何物でもなかった。
イナホのキングラーが10まんばりきで沈めてくれなかったら、どうなっていたことか。
「そうそう、それでソラノちゃんは記憶を戻した言ってたけど、行く宛はないんだよね」
「ない」
「なら、お使いついでに、アチャモと一緒にヒノ諸島を巡ってみるのはどうかな?」
「アチャモと……?」
「ヒノ諸島名物イナズマ巡業、本来はでんきタイプトレーナーが修行をするためのものなんだけど、ソラノちゃんみたいな初心者がやることもあるから大丈夫さ」
でんきタイプのポケモンが多く生息するヒノ諸島。
界隈では聖地とも魔境とも呼ばれている、でんきタイプを専門とした各地方のジムリーダー候補達もイナズマ巡業をするためにヒノ諸島へ訪れるのも珍しいことではない。
「ジムリーダー……?」
「ヒノ諸島にジム文化はないから省略するけど、地方のポケモントレーナーから厳選された八人の強者達だよ」
「ちなみに、選んでる組織がポケモンリーグ。そこで強い四人のポケモントレーナーが四天王、地方最強のポケモントレーナーがいわゆるチャンピオンと呼ばれる存在さね」
「──ちょっとイナホさん!?自分が元四天王だからって、私の説明を取らなくてもよくない!?お茶ありがとうね!!?」
「わわ」
いつの間にかやって来たイナホは笑いながらソラノの頭を撫でる。
「いいんじゃないか、イナズマ巡業。達成したら、バトルの腕だけじゃなくって、人間的にも成長できるさ」
「イナホさん……」
「ソラノちゃんが宇宙からやって来ようが何だろうが、モンスターボール持ってポケモンと旅立ちを決めた時点でポケモントレーナー!その背中を支えてやるのがポケモン博士だろ、あんた?」
「あれ、おかしいな、うちの妻がカッコいいこと言ってるんだけど、九割九分くらい私が昔言ってたことだぞ??」
「キサゲのやつもそうだ、いつまであんたの手伝いさせてるつもりだい?」
「私はもう手伝わせてないよ、あいつが自主的に手伝いに来てるんだよ。助手だって、勝手に名乗ってるのもあいつの意思だし」
やれやれ、と両手を上げてお手上げジェスチャーのイナビカリ博士に対して、頭を抱えるイナホ。
「そういえば、まだ帰ってこないのかい?」
「おかしいな、ウルタウンはそんなに遠くないから、時間掛からないはずなのに……」
※
(──いや、入りづらいわ!!)
当のキサゲは既に帰ってきていた。
というか、両親揃って自分の将来のこと嘆いてるし、前のフィールドワークで空から降ってきた女の子が実は宇宙人でしたとかいうトンデモ話をたまたま聞いてしまって、部屋に入るに入れない。
というか、初端から登場して今の今まで出番なかったこともあり、気まずさがオーバーヒートしている。
傍らのエレキッドが入らないの?と言いたげにズボンの裾を引っ張ってくる。
この後、ナンジャモの生配信があるから、楽しみで急いで用事を済ませてきたオチがこれである。
あぁ、早く生配信を観る準備をしたい。
「キサゲ?何してるんだい、そんなとこで」
ひょこっと顔を覗かせる
「ていうか、帰ってきてるんなら入ればいいじゃないか」
「入りつらかったんだよ!オイラのいないとこでオイラの話してるし、真面目な雰囲気だったし!」
「まったく」
まさしく、やれやれと言った様子である。
いつの間にかエレキッドはソラノとイナビカリ博士の元までトテトテと走っていってしまってる。
「おかえりエレキッド、キサゲも。ピカールは元気してた?」
「この子、エレキッドって言う、のね」
▽エレキッド
▽でんきポケモン タイプ でんき
▽腕を ぐるぐる回して でんきを発生させるが すぐ疲れるので 少ししかでんきが ためられない
▽ジョウト図鑑より 参照
「オイラの相棒だよ」
ソラノに頭をなでられるエレキッドはくすぐったそうに目を細める。
「オイラはキサゲ、よろしく」
「ボクはソラノ」
「あれ、二人って初対面だったっけ?」
「博士がオイラに書類整理頼んでなかったら会えてたはずっすよ!?」
「あ、そっか」
ソラノのトレーナーIDの申請やら、ヒゴサ地帯でのフィールドワーク結果等々まとめていたため、それ以外はキサゲに丸投げしていたのだった。
同じ建物に数日いて、顔を合わせていなかったというのも不思議な話である。
「そうだ、キサゲ!あんたソラノちゃんと一緒にイナズマ巡業してきな」
「はいっ!?」
「私のことはいいから、世界に目を向けるのもいいと思うよ」
「ちょ、オイラ今の生活守りたいんすけど!?父ちゃんの手伝いしてたら、基本在宅だしフィールドワークするにしても一日で帰れる距離だしナンジャモの配信とかエレブーズの試合とか空調効いた部屋で見続けれる今の、ライフスタイルが!!」
「よし、ソラノちゃん。キサゲのことよろしくね」
「マイファザー!?」
無慈悲なる追放宣言、いちげきひっさつ。
引きこもり気質の青年にはよく効く。
「真面目な話、お前も十七でいい歳なんだ。旅でもして自分探しも大切だ。それに、目的だってあるんだろ?」
「それはそうっすけど、だから、そのために父ちゃんの仕事手伝って手掛かり探してたんじゃないっすか!」
「現地現物フィールドワークの延長線だと思えばいいよ、達者でね」
「あれ、オイラ旅立つ前提になってる?」
やいのやいの、あれやこれやと話は進んでいく。
「えと、ボク一人でも行けるよ?」
「ソラノちゃん土地勘ないでしょ、現地人いたら便利だよ色々」
「なるほど」
「気づいてソラノさん、罠っすよ罠!オイラを旅立つ口実を巧妙に成り立たせてるだけっす!」
イナビカリ博士が言うには、ヒノ諸島の地形は少しややこしくなってるらしい。
ここ
「そっか、だから、あのシビルドン、強かった」
「本来
四つの区画の住み分けは自然的な分割であった。
ヒノ電磁波が生態系にも大きな影響を及ぼしているヒノ諸島ならではの環境である。
十四ある島々を四分割しており、
「だーもうじれったいね!」
「オイラは行きたくないって言ってるだけっす!」
「ボクは、別に一人でも大丈夫」
「意見が対立したときはポケモンバトルが一番だ、お互いにトレーナーなんだし丁度いい!」
「「なんでそうなるの??」」
無茶苦茶である。
しかも意見対立してないし、穏便に済むまである。
「それに、いくらオイラでも昨日今日トレーナーデビューしたソラノさんに負けるわけねぇっすよ?」
「……舐めてる?」
「事実っす」
やる前から結果を決められる。
そのことに対して、ソラノの勘に触れることになる。
「なら、すぐに、やろう」
アチャモもやる気満々である。
※
「──それじゃ、これからキサゲとソラノのポケモンバトルを始めます。審判は私イナビカリが務めるよ」
イナビカリ宅の裏手にある小さなバトルコート。
乾燥した地に蝋石で申し訳程度に区切りを仕切られている。
「使用ポケモンはお互いに一体、どちらかのポケモンが戦闘不能になった時点で試合を終了とします」
一対一の対決。
フルバトルになれば六対六の長丁場になることもある、今回はソラノとキサゲ共に手持ちポケモンが一体のためのルールとなっている。
「いくよ、アチャモ!」
「やるっすよ、エレキッド!」
▽ポケモントレーナー の キサゲが しょうぶを しかけてきた!
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