Pokémon LEGENDS “雷”   作:Cr.M=かにかま

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短めです


5. VSエレキッド

 

 「──でんこうせっか!」

 

 ポケモンバトルとは、トレーナーとポケモンの信頼関係が大きな鍵となってくる。

 

 例えば、司令塔であるトレーナーの指示を無視するポケモンでは当然バトルは成り立たない。

 だからといって、ポケモンが指示待ち状態でトレーナーにおんぶにだっこ状態では、実際にぶつかり合わないトレーナーの予測不能な事態にポケモンが対応できない。

 

 相互理解。

 バディとして、背中を預け合うことで初めて連携が生まれるのだ。

 

 ソラノの指示とほぼ同時にアチャモも動いた。

 まさに、自分自身もそうやろうとしていたのだとばかりに。

 

 「疾っ、エレキッド!」

 

 だが、それはキサゲとエレキッドも同じことである。

 

 ──エレキッドの かみなりパンチ!

 

 技の指示を直接するでなく、キサゲであればこうすると判断したエレキッドが名前を呼び掛けられただけで判断をする。

 

 「そのまま!突っ込んで、でんげきくちばし!」

 

 特性ひらいしんのアチャモにでんきタイプの技は怖くない。

 エレキッドの電撃をアチャモが纏い、稲光となって嘴に電撃が集中する。

 

 雷撃の矢と化したアチャモにエレキッドは避ける術もなかった。

 効果はいまひとつのようだ、でんきタイプのポケモンに同じでんきタイプでの技の効き目は薄い。

 

 「けたぐりっす!」

 

 先程の現象からアチャモの特性がひらいしんであると推測したキサゲはかくとうタイプの技を指示する。

 伊達にポケモン博士の助手はやっていない。

 

 「ジャンプ!」

 

 攻防は続く。

 

 

 ※

 

 「……やるねぇ、ソラノちゃん」

 「あぁ、あの時もそうだった、まるで──」

 

 ポケモンバトルを楽しんでるよう。

 アチャモとの信頼関係はもちろんのこと、ポケモンへの指示は一朝一夕で的確に行えるものではない。

 初心者トレーナーにありがちなのは、ひたすら技の指示だけを行い、後の判断はポケモンに任せるというもの。

 

 しかし、それでは勝てない。

 彼らの死角において、トレーナーが第三の目として機能しなければ、隙を少しでも減らさなければポケモンに対しての負担を減らし、勝利を掴み取る。

 

 「記憶を失う前のソラノちゃんは、実力あるポケモントレーナーだったのかな」

 「だろうよ、経験者じゃなきゃあんな指示は出せないよ」

 「それに応えるアチャモも、すごいよ」

 

 「──だけど、ちょっとやそっとのセンスだけじゃ、キサゲには勝てないよ」

 

 戦況が動いた。

 アチャモのひらいしんによって優勢かと思われていたが、エレキッドが徐々に押し始めている。

 けたぐりとかみなりパンチのごり押しが走り回るアチャモの体力を奪い続ける。

 

 「たしかに、ひらいしんはでんきタイプにとって天敵さ。でも、それはあくまでもでんき技のみ」

 

 けたぐりはヒットすればもちろんダメージとして通る。

 かみなりパンチもでんきタイプであるが、拳による物理的ダメージはひらいしんで無効にできない。

 加えて、近づくことを主としたアチャモの戦法はエレキッドを追いかけることによって成り立つ。

 

 「なるほど、だからキサゲの奴はカウンターパンチをメインにしてるってわけさね」

 「どっちにしろ、この勝負はもうすぐ決着だよ」

 

 実力に差がある勝負は長引かない。

 膠着状態になるのは、実力が拮抗してる時である。

 

 

 ※

 

 「でんげきくちばし!」

 「──迎え撃つっす!」

 

 ──アチャモの でんげきくちばし!

 

 ──エレキッドの かわらわり!

 

 大振りの腕刀がアチャモの身体を叩きつける。

 でんげきくちばしは電気エネルギーを嘴に蓄えて突進する技である、だからこそ隙が生まれやすい。

 物理主体のエレキッドだからこそ、近接戦闘において大きなアドバンテージを生んだ。

 

 「アチャモ!?」

 

 でんきタイプに対して、でんきタイプの技は有効打は少ない。

 技のバリエーションによる差も大きかったと言える。

 

 「──勝負あり!アチャモ、戦闘不能!エレキッドの勝ち、よって勝者キサゲ!」

 

 イナビカリの声が大きく、響いた。

 勝者はキサゲとエレキッドである。

 

 「ナイスファイ、エレキッド!」

 

 相棒に駆け寄る両者。

 同じアクションではあるものの、中身は相対的である。

 

 「よっしゃ、とりまこれからナンジャモの配信を──」

 「まて」

 「……え?」

 

 「ボクは、とても悔しい」

 

 キサゲが振り返ると、そこには泣きそうになってる修羅と化したソラノがいた。

 ゴゴゴゴゴゴゴ、という効果音がお似合いで、頬を膨らませた少女はアチャモを抱えながら、キサゲを睨み付ける。

 今にもキサゲに飛び付きそうな、なんとも矛盾した感情を剥き出しにしている。

 

 「だから、強くなる。強くなったら、再戦、絶対」

 「は、はい」

 

 気圧されたキサゲは頷くしかできなかった。

 

 「あれじゃ、どっちが勝ったのかわからないねぇ」

 「まぁ、お互いにとっていい経験になったからいいと思うよ」

 

 この日、みんなで食べたバーベキューはとても美味しかった。




ヒノ諸島メモ①
バトルの後はバーベキュー!
ポケモン達との絆はもちろん、ライバルとの親睦を深めることも大切なこと!
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