白銀の復讐者   作:炎狼

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お久しぶりでございます。


第三十二話

 危険種。

 

 獰猛かつ凶暴な生物である彼らは、それぞれが独自の進化を遂げ、生態や大きさも千差万別である。殆どが肉食の彼らは時に村を丸ごと食い尽くすこともある。

 

 かつて帝具開発のため素材となった危険種も存在し、彼らは一個体で一つの国の軍隊と同等の力を有する。まさしくこの世界を生きる人々の脅威といえるだろう。

 

 しかし、獰猛かつ凶暴をそのままイコールで繋げられるかと問われればそうでもない。危険種の中には幼体の頃から世話をしてやれば、人に懐き、共生する個体も存在する。

 

 多くは三級から二級、もしくは一級であるが、特級という超級には届かないとはいえ、驚異的な力を持つ危険種も時に人との信頼関係を築き、絆を深めることが出来る。

 

 その最たる例として挙げられるのが、革命軍が所有し、マーグ高地へのナイトレイドの輸送を行ったエアマンタである。特級の中では比較的大人しく、大人数を輸送したり、地上からの物資供給が難しい場所への運搬任務などで重宝されていた。

 

 ボリック暗殺任務の際も、ナイトレイドをフォローしたものの、エスデス率いるイェーガーズの一人、ランによる戦闘ダメージで撃墜。そのまま命を落とした。

 

 しかし、革命軍にはまだ空を翔ける翼がある。エアマンタほど多くのものを運ぶことは出来ないが、速度はエアマンタを軽く凌駕し、自然の個体は雷鳴轟く高山に生息する特級危険種である。

 

 龍のような頭の下には蛇のようにしなやかな体が伸び、鱗は剣のように鋭い。腕が発達したであろう二対の強靭な翼を有するそれは、風を斬りながら夜の空を高速で翔ける。

 

「そろそろ目標地点だ!! 残念ながらコイツは急に止まることは出来ねぇ! 跳ぶタイミングは自分で計ってくれ!!」

 

 ゴウゴウという風を斬る音に負けないように、危険種の背に乗った男性は、背後の同乗者に叫ぶ。

 

「わかりました。無理を言ってすみません」

 

 同乗者の声は大きなものではなかったが、凛とした張りのある声で風の中でも良く響いた。

 

「気にしなさんな! ピンチの仲間を助けるのに無理もなにもあるかよ!!」

 

 ニヤッと笑った男性は、前を見据える。すると、峠の上を越えたところで遠くに街の明りが見えた。

 

「見えたぞ、キョロクだ!!」

 

 男性の声に、同乗者はハッと顔を上げて街明りを見やる。そして頭から被っていた外套を脱ぎ捨て、背負った得物の柄をなぞり、視界をより明瞭にするために眼鏡をクイッと持ち上げる。

 

「……今行きます、皆……!」

 

 

 

 

 

 大聖堂ではエスデスとナイトレイドの面々が睨みあった状態で硬直していた。

 

 既にボリックの殺害はチェルシーによって果たされた。ゆえに任務自体は成功と言って良いだろう。しかし、未だにエスデスは健在だ。

 

 リヒトの帝具と自分自身の力によって消耗しているとはいえ、ナイトレイド側の戦力は殆どが満身創痍と言って良い。ここで彼女まで倒すのは不可能だろう。

 

 ……どうする。この場から全員生きて脱出するには、何が最善だ!?

 

 頭から出血しているリヒトは、眼に入ってきた血を肩で拭いながら思考を走らせる。目の前で冷徹な視線を向けてくるエスデスは、こちらを攻撃しようとはしていない。

 

 待っているのだ。こちらが動くのを。

 

 恐らく彼女は、こちらが動かなければ決して動かない。だが、こちらが少しでも逃亡の素振りを見せた瞬間に、最大の攻撃をもってそれを妨害してくるだろう。

 

「クソ……ッ!」

 

 何度も思考を回転させるものの、どの手でも最低一人が犠牲となる確率が高いことにリヒトは小さく毒づく。

 

「リヒト、やはりここは俺が……」

 

「黙ってろ、スサノオ。それ以上言うな」

 

 怒気を孕んだ声でスサノオの言葉を途中で止める。大方彼は自分が囮となってエスデスをひきつけるからその間にナジェンダを連れて逃げろとでも言いたいのだろう。

 

 それではだめだ。約束したのだ、全員で生きて帰ると。

 

 けれど逃亡する算段を立てているリヒトの視界は、エスデスとの戦闘で負った傷からの流血のせいでぼんやりとかすみ始める。

 

 ……やべぇな、クロメの時ほどじゃないが血ィ流しすぎた。

 

 まだ軽度の症状で済んでいるものの、このまま止血がなされなければ意識を失うのも時間の問題だろう。そればかりかエネルギー体のヨルムンガンドを維持するのも難しい。

 

「策謀を張り巡らせているようだな」

 

 冷淡な声が静寂が蔓延る大聖堂に響く。

 

 見ると、エスデスが台座の上からリヒト達を見下ろしている。彼女の周囲には冷気がゆらめき、いつでも大技が出せる状態のようだ。

 

 彼女の背後のクロメもまた、八房に手をかけナタラも戦闘態勢を取っている。

 

「この状況を、どうやって切り抜けるつもりだ?」

 

 首をコテンをかしげる仕草をしながら薄く笑みを浮かべるエスデス。その表情にナイトレイドメンバーは総毛立つのを感じた。

 

 リヒトの帝具によって奥の手を途中で破られたというのにも関わらず、彼女にはまだ余裕があるという事実を再認識してしまった影響だろう。

 

「煙幕でも使うか、それとも帝具人間が囮にでもなるか……まぁどんなことを考えていようが、動いた瞬間狩ってやる」

 

「ハッ、んなこと言ってる割には顔色が優れないぜ? 奥の手の消耗が利いてるみたいじゃねぇか」

 

 血を拭いながら煽ってみるリヒトであるが、薄い笑みを崩さずエスデスが指の腹を上に向けた状態で嗜めるような声を発する。

 

「吼えるな、リヒト。確かに私もかなり消耗したが、貴様等を相手取るにはちょうどいいハンデだ。それに、消耗しているのはお前も同じではないか?」

 

 どこか美しさのあった笑みから、口角のつりあがった凶悪な笑みに変貌したエスデスの言葉に、リヒトは額から血が混ざった赤い汗を垂らす。

 

 彼女の言葉に間違いはなく、リヒトもかなり消耗している。そもそもエネルギー体のヨルムンガンドの維持には、リヒト自身の集中力と精神力を消費する。それを彼はこの闘いが始まった当初からずっと発動し続け、短時間ではあったがエスデスと一対一の闘いを繰り広げていた。

 

 一瞬でも気を抜くことが許されない闘いで、精神力の消費は体力消費よりも激しかったことだろう。それに加え、頭部や体からの出血だ。消耗するなと言う方が無理な話だ。

 

「気付いていないとでも思ったか? 私とお前を繋いでいるこの鎖、戦闘開始時と比べ随分と色素が薄くなっている。時折濃さを取り戻しはするが、最初ほど濃くなることはない。これはお前の限界を現していると言ってもいいのだろう?」

 

「……どうだかな」

 

 僅かな沈黙の後に返した言葉は精一杯の強がりであった。なにせ彼女が推察したことは、決して間違っていないからだ。

 

 けれどもリヒトの双眸にはいまだ闘志の光が宿っており、絶望しているわけではないことが見て取れる。

 

「ほう。まだそんな眼ができるか。……お前も同じか、ナジェンダ」

 

 エスデスが視線をリヒトから外し、彼の背後にいるナジェンダを見やった。

 

 ナジェンダもまた決して諦めたような表情をしておらず、『生き残る』という確固たる意思を持った光を瞳に宿らせている。

 

「当然だ。ボリックの殺害は成した。そして私達は全員でこの場から脱出してみせる」

 

「どうやってだ? 一人も切り捨てられん甘い貴様らが、この状況からどうやって脱出する。私がその気になれば、帝具人間を処理して貴様等を物言わぬ肉塊に変えることなど造作もないぞ」

 

「甘い、か……。確かにお前から見れば私達は甘いだろう。しかし、その甘さこそが強さだ。仲間を信じて見捨てないということがな」

 

 リヒトの肩に手を置きながらいうナジェンダの言葉に、その場に固まっていたナイトレイドメンバーが頷いた。

 

「ナジェンダの言う通りだ。オレたちは決して諦めはしない」

 

 スサノオはヒト達を守るように半歩前に出る。だが、守って死のうとしているわけではない。

 

 その様子に、エスデスは笑みを消して大きく息をつくと「くだらん」と呟いた後、上に向けて腕を伸ばす。

 

「お前たちの言うそれは他者と協力しなければ生きて行けない弱者の理論だ。実につまらん。だから――」

 

 ビキ、ビキッ! という軋むような音を立てながらエスデスの頭上に、剣のように鋭い氷が生成されていく。それは大きさを増し、リヒト達を一瞬で亡き者に出来るほどに巨大なものとなった。

 

 やがて生成を終えた氷を一瞥したエスデスは、絶対零度の眼差しを向けて短く告げる。

 

「――死ぬがいい」

 

 彼女が言い切ると同時に、巨大な氷の剣が撃ちだされる。

 

 スサノオは背後に立つリヒトやタツミ達を守るため、両手首を合わせた状態で吼える。

 

「八咫鏡!!」

 

 瞬間、彼らの前に巨大な円形の鏡が現れる。

 

 八咫鏡は、奥の手を発動した状態のスサノオが使う武装の一つであり、撃ち出されたものをそのまま相手に反射させる力を持つ。

 

 巨大な氷の剣をそのままエスデスに反射させるつもりだろう。しかし、剣が迫る中でリヒトが弾かれるように天井近くにあるステンドグラスに視線を向け、ニッと笑みを浮かべる。

 

「鏡を引っ込めろ、スサノオ!!」

 

 リヒトに言われ、弾かれるようにスサノオは八咫鏡をかき消す。同時に、ステンドグラスが割れ、二人の人物が大聖堂内に飛び込んできた。

 

 それは、別動隊として動いていたアカメとマインであった。

 

「このタイミングで新手か!」

 

 エスデスも予期していなかったようで、僅かに眉間に皺を寄せる。すぐに別の氷を生成してそちらに向けるが、ヨルムンガンドによって削られた精神力の影響か生成に時間がかかっている。

 

 その間に飛び込んできた二人は着地し、マインはすぐさまリヒト達に迫る氷の剣の前に躍り出ると、力強く叫んだ。

 

「パンプキンッ!!」

 

 咆哮と同時に放たれたのは、氷の剣と同等かそれ以上の太さがあるビームだ。パンプキンは使用者にピンチが訪れるほどその破壊力を増す帝具だ。ゆえに、彼女は大聖堂に飛び込んできた瞬間に全てを悟り、リヒト達の前に出ることであえてピンチを作り出してパンプキンを放った。

 

 ビームは一直線に氷に進み、着弾と同時に氷を砕きながら進んでいく。やがて氷を全て砕いたビームは大聖堂の天井を貫通して夜空へと消える。

 

 放射を終えたパンプキンから排熱しつつ、マインはリヒト達に視線を向ける。

 

「まだ生きてるわね。アンタ達!」

 

「どうにかな」

 

 リヒトは大きく息をつきながら言うものの、表情は酷く苦しげだ。そろそろ本当に限界が近いのだろう。

 

「もうちょっと早く来てよー! 本当にやばかったんだから!」

 

「仕方ないでしょ。こっちだってインクルシオみたいなヤツに足止めされてたんだから!!」

 

 マインはエスデスと交戦を始めたアカメを援護しながら、文句を言うチェルシーに言って返す。

 

 先ほどまでの重い空気は二人が現れてくれたことで幾分か柔らかくなった。リヒトもスサノオとナジェンダに視線を向ける。

 

 二人も小さく笑みを浮かべ、どこか和やかとも取れる空気が漂う。しかし、まだ敵地であることに変わりはない。

 

 リヒトはまだ動けるであろうタツミに一瞬目配せをすると、彼もその意図を理解したのか、エスデスと戦うアカメの加勢に向かう。

 

「ボス、何か策とか考えてあるか?」

 

 リヒトの問いかけにナジェンダは小さく頷く。

 

「ある。先ほどまでの状況ならば難しかったが、アカメとマインが来てくれたおかげで成功率はグンと上がった。リヒト、煙幕はあるか?」

 

「ああ。ちなみに俺が考えてた作戦もマインが来てくれたおかげで大分成功率が上がったぜ。聞くかい?」

 

「いいや、恐らく私達が考えていることは同じだろう。エスデスが放った大技をパンプキンの砲撃で破壊しつつ、エスデスの視線をそらしつつ、隙を狙ってスサノオの八尺瓊勾玉の速力で一気に脱出だ」

 

「オーライ、やっぱ俺と同じこと考えてたな。……マイン!」

 

 笑ったリヒトは、アカメとタツミの援護をしながらやや怒ったような声を上げる。

 

「聞こえてたわよ! まったくアンタ達揃いも揃ってアタシのことこき使ってくれちゃって。ボス、帰ったらなにかボーナス的なものちょうだいよね!」

 

「善処しよう。だが、本当に来てくれて助かったよ」

 

 スサノオに背負われながら感謝するナジェンダに対し、マインは満更でもなさそうな笑みを浮かべると、「しっかり役目は果たすわ」と真剣な表情に戻りながら頷く。

 

 そんな彼女の様子を見つつ、リヒトは倒れているレオーネを背負う。すぐにチェルシーが彼をサポートするようにロープを取り出して、レオーネとリヒトの体をきつく固定した。

 

「さんきゅーな。リヒト、チェルシー」

 

 意識が回復したのか、レオーネが二人に礼を言う。けれどもリヒトとチェルシーはそれに首を振って答える。

 

「気にすんな。それよりもお前の斬られた腕とか指は?」

 

「それなら私が持ってるよ。腕もしっかりとね」

 

「上等」

 

 二人はそれぞれスサノオの横に回ると、眼前で行われている戦闘を見やる。

 

 現在エスデスはアカメとタツミが抑え、エスデスに加勢しようと動くクロメをマインが牽制している。

 

 一見すると押しているようにも見えるが、エスデス自身にはまだかなりの余力が残っている。現に、アカメとタツミの同時攻撃を受けても彼女は傷一つ負っていない。

 

 というかそもそも彼女はこの大聖堂の闘いが始まってから傷を負っていない。リヒトが出来たのは奥の手の強制解除のみだ。

 

 いまなお余裕のある闘いを見せるエスデスに、リヒトはギリッと音がするほど歯を噛み締める。

 

 ……情けねぇな。でかいこと言ってた割りに大したことできちゃいねぇ。

 

 傷の一つも与えられなかった悔しさと情けなさを感じつつも、その感情を一度押し殺し、リヒトはナジェンダを見やる。

 

 彼女もその意図を理解したのか、眼前で戦う二人に命令を下す。

 

「二人ともそのまま戦線を保て! エスデスをそれ以上近づけるな!」

 

 ナジェンダの声にアカメとタツミはそれぞれ頷き、エスデスに対して更なる猛攻を仕掛ける。

 

 その際、リヒトはアカメに眼で合図を行う。彼女もそれを理解したようで、エスデスをただ攻撃するのではなく、マインの射線上に来るように誘導を始める。

 

「私を近づけるなと来たか! だが、ナジェンダ。それはこのアカメか、そこにいるリヒト、もしくは帝具人間と同等の実力者がもう一人いて成り立つことだ。このインクルシオでは――」

 

 アカメの攻撃を弾きながら言うエスデスの背後から、拳を構えたタツミが迫る。しかし……。

 

「――私の相手にはならん」

 

 言葉と同時に、タツミの拳が放たれるが、それを身を屈めることで回避し、彼女はそのまま軸足を回転させて強烈なアッパーカットを叩き込む。

 

 正確にタツミの顎先を狙った拳は、一撃で彼の意識を刈り取るだろう。エスデスもそれを確信していた。が……。

 

 エスデスの手に返ってきたのは、顎を殴りぬけた感触ではなく、放った拳を掴まれる感触だった。

 

 見ると、エスデスの拳をタツミが両掌で受け止めている。

 

「反応しただと!?」

 

 これには彼女も驚いたようで、珍しく驚愕の表情をあらわにした。とはいえ攻撃をとめられたからと言っていつまでも呆けている彼女ではなく、すぐさま拳を引き、鋭利な氷柱を生成するとそのままタツミへ向けて放たれる。

 

 空中で無防備な状態のタツミを氷柱が襲う。しかし、氷柱が刺さるよりも早く、後方のマインによる援護で殆どの氷は撃墜された。

 

「サンキュー、マイン!」

 

「ボサッとしない!! さっさと動く!!」

 

 タツミは着地しつつ感謝するものの、マインは砲撃でエスデスを牽制しながら叱咤交じりの指示を出す。

 

 繰り広げられる戦況を確認しながらリヒトは、エスデスに巻きつけているヨルムンガンドに精神を再度集中させる。

 

 ……気張れよ、俺。一分一秒でも長くエスデスの力を削ることだけを考えろ。

 

 エネルギー体のヨルムンガンドが掻き消えれば、これ以上エスデスの力を削ることが出来なくなってしまう。

 

 エスデスも自分の力がそれなりに削られていることは理解しているようで、先ほどの一撃以降、大きな技を連発していない。来るとすれば、やはりこちらを纏めて潰す時だろう。

 

 けれども、彼女の放つ大技をこちらは狙っている。それを破壊した瞬間こそ、確実な隙になるからだ。

 

「ナジェンダ、まだか……!?」

 

 目の前で戦う三人のことを案じてなのか、スサノオがやや苛立たしげな声でナジェンダに問う。彼もまだ戦力として戦えるため、三人ばかりに重荷を背負わせているような気分でいるのだろう。

 

「まだだ。もう少し、もう少しで……!」

 

 ナジェンダとてそれは同じことだ。スサノオに背負われているだけで、戦闘に参加できないこの状況は彼女のプライドを酷く傷つけているはずだ。ナジェンダやスサノオだけではない。負傷や出血で戦線に復帰できないリヒト、レオーネ。元来が白兵戦向きではないチェルシーも、この状況は悔しくてたまらないはずだ。

 

 だが、いまは耐えるしかない。ここで下手な動きを見せれば、隙を疲れて拘束されるか、最悪殺されるだろう。ゆえにまだ耐える。目の前で戦う三人を信じて。

 

 そして一際強い剣戟の音が大聖堂内に響き渡る。見ると、エスデスは軍刀で村雨を止め、横凪ぎに打ち付けるように放たれたノインテーターを氷の防壁で防御している。

 

「フッ!」

 

 短く強い呼吸が聞こえたかと思うと、エスデスがアカメを弾き飛ばし、タツミの鳩尾に向けて氷塊を叩き込んだ。

 

 二人はそのまま大きく後退させられ、マインがいる辺りに着地した。アカメの頬や腕には傷があり、僅かに血も流れ始め、タツミも鳩尾にくらった氷塊の影響で何度か咳ごんでいる。

 

 この隙を逃すエスデスではない。パチンと指を鳴らすと、彼女がいる地点から真っ直ぐに二筋の氷壁が大聖堂の床を這う様に生成され、リヒト達の背後にも退路を断つかのように巨大で分厚い氷壁が生み出された。

 

「いい加減ちょろちょろと逃げ回られるのは面倒なのでな。これで終わりにさせる。なぁに安心しろ、生き残ったらそのまま拷問室へ招待してやる」

 

 悪魔のような笑みを浮かべたエスデスが片腕を前に突き出すと、バキバキと一際大きな金属が軋むような音をたてながら、一対の巨大な氷柱が彼女の頭上に現れ、そのまま驚くべき速さで射出された。

 

 普通なら絶望的な状況だ。退路は断たれ、殆どのメンバーは満身創痍。どう足掻いても覆せないであろう状況と言える。

 

 しかし、この圧倒的に危機的な状況こそ、リヒトやナジェンダ、そしてマインが待ち望んでいたものだ。

 

「マインッ!!」

 

「ぶちかませッ!!」

 

 ナジェンダの声に続いてリヒトが言うと、最前に立つマインがフッと口元に笑みを浮かべ、落ち着き払った様子で低い姿勢でパンプキンを構える。

 

「言われなくても、ぶち込んでやるわよッ!!」

 

 声と同時にトリガーを引き絞ると、パンプキンの銃口から大聖堂に突入した時、最初に放ったビームを遙かに凌駕する極太のビームが撃ち出された。

 

 ゴウッ! っという凄まじい衝撃音を響かせながら放たれたそれは、エスデスの撃ち放った氷柱を先端から蒸発させ、そのままエスデスを呑み込もう迫る。殆どのメンバーがこれで大きな隙が生まれると確信していた。だが、リヒトとアカメは見てしまった。ビーム飲み込まれる直前にエスデスが不敵な笑みを見せたことを。

 

 まずい。と直感的に判断した二人は同時に声を上げようとしたが、それすらも許さないというように、冷淡な声が頭上から響いた。

 

「やはりその帝具、自らの危機に応じて威力を変動させるものだったようだな」

 

 見ると、リヒト達の頭上よりもやや斜め前に、エスデスが軍帽のつばを押さえながら薄い笑みを浮かべている。

 

「せっかくお膳立てしてやったんだ。そら、もっと足掻いてみせろ」

 

 その言葉にナジェンダを含む全員が愕然とした。彼女はこの状況をリヒト達が望んでいると踏んであえて作り出したのだ。つまり、リヒト達は……。

 

「まんまと嵌められたってことかよ……!!」

 

「そう悲観することはないぞ。私とてその帝具の能力は半信半疑だった。だから試したまでだ。まぁ案の定だったようだが」

 

 彼女は再び指を鳴らす。瞬時に生み出されたのは鋭利な氷柱ではなく、リヒト達を圧殺するには十分すぎる大きさの氷塊だった。

 

 圧倒的質量による圧殺。退路は完全に断たれ、頼みの綱であるパンプキンの砲撃も間に合わない。誰もが万事休すかと思ったその瞬間、いまだ放射を続けているマインが叫んだ。

 

「さっきからごちゃごちゃと! パンプキンを……!! なめんじゃないわよおおぉぉぉッ!!!!」

 

 雄叫びをあげながらマインは放射を続けるパンプキンを動かし、更に気合いを入れた咆哮を轟かせる。

 

「撃ちッ……抜けええええぇぇぇぇぇぇッ!!!!」

 

 瞬間、先ほどまで僅かにしか動かなかったパンプキンを、マインが一気に振り抜き、エスデスが生成した氷塊を切り裂くようにしてビームを薙ぎ払った。

 

「なにっ!?」

 

 パンプキンが危機的状況になると威力を増す帝具だと予想していたエスデスであるが、さすがにこのビーム薙ぎ払いには面食らったようで、氷塊を蹴って地上に退避する。

 

 同時に、パンプキンの放射が終わり、氷塊はリヒト達の横に展開していた氷壁を押し潰しながら落下していった。

 

 砂埃が舞い、一種の煙幕が発生すると同時にナジェンダが叫ぶ。

 

「今だ、スサノオッ!!」

 

「応ッ!!」

 

 答えたスサノオは、奥の手を『勾玉顕現』を発動した状態での高速移動術である『八尺瓊勾玉』を発動させる。同時にリヒトも実体のあるヨルムンガンドを周囲を取り巻くように展開させる。

 

 スサノオに縛り付けることで全員での脱出を図ろうとしているのだ。エスデスも先ほどのパンプキンによる薙ぎ払いで大きく後退させられ、クロメも砂埃の影響で不用意には動けない今こそが好機なのだ。

 

 ……間に合え!!

 

 やや前方にいたマインを巻き込むようにヨルムンガンドを伸ばし、何とかスサノオまで一気に引き寄せられる配置に持っていく。

 

 しかし、ここで再三にわたる冷酷なる悪魔の声が響く。

 

「あの土壇場で放射攻撃を薙ぎ払うとは、なかなかいい逸材だな」

 

 声と同時に、凄まじい勢いで砂埃を突き抜けたエスデスが軍刀を構えてマインに迫る。砂埃の隙間から見ると、先ほどまで彼女がいた辺りには前方に突き出した氷がある。そこでリヒトは理解した。彼女は薙ぎ払いを避けて着地すると同時に、自分の足裏を押すように氷を精製し、カタパルトのようにして自らを撃ち出したのだ。

 

 それゆえにいまの彼女の速度は人間のそれではない。マインに軍刀を突き立てるまで数秒もかからないだろう。

 

 ……もう四の五の言ってられねぇ!!

 

 リヒトはエネルギー体のヨルムンガンドを瞬時に掻き消すと、持てる精神力を注ぎ込んで実体をつかめるだけの鎖として撃ち出す。

 

 マインは先ほどの薙ぎ払いでエスデスの攻撃を避けることができない。今彼女を失うことだけはなんとしても避けなければならない。

 

「……届け……!!」

 

 祈るような声を絞り出すものの、現実はそこまで上手くいくものではない。マインの服を掴むようにして撃ち出されたヨルムンガンドよりも、エスデスの方が僅かに速い。

 

 ここまでかとリヒトは歯噛みするが、その眼前をインクルシオをまとったタツミが駆けた。

 

「マインッ!! 手ェ伸ばせ!!」

 

 彼の声にマインが反応し、タツミの手を取ろうと手を伸ばす。だがやはりエスデスの方が速い。

 

 そしてマインに軍刀が到達し、仲間達の目の前で彼女が命を散すことになる……瞬間、大聖堂の上空で天を裂く雷鳴のような轟音が響く。

 

 と、同時にこの戦闘でぽっかりと穴が空いた大聖堂の天蓋から、何かが飛来し。ドゴンッ!! という重苦しい音を立てる。

 

 見ると、飛来したものの下にはエスデスの軍刀が折れた状態で転がっており、エスデスは台座の上まで後退している。恐らく軍刀が折られたのと同時に警戒して後退したのだろう。

 

 しかし、リヒト達はそんなことよりも飛来した物体に眼を奪われていた。

 

 そこにあったのは、鋏だった。

 

 とはいってもただの鋏ではない。大柄な男一人分はあるかというほどに巨大な鋏だ。人一人であれば簡単に両断できてしまいそうなその鋏を、リヒト達は知っている。

 

「エクスタス……」

 

 声を挙げたのはタツミに抱えられたマインだった。

 

 そう、飛来した鋏の正体はリヒト達の持つ帝具と同じ、始皇帝が作らせた帝具の一つ『万物両断・エクスタス』だったのだ。

 

 夜だというのに反射して輝きを放つ刃は一切の曇りすら見えない。妖しく光るエクスタスに皆が眼を奪われていると、天蓋から人影が降りたち、床に突き刺さったエクスタスを引き抜く。

 

 引き抜いたのは眼鏡をかけた女性だった。足に深くスリットの入った薄紫色の服を身に纏い、服よりも濃い色をした紫色の髪を以前よりも動き易いようにポニーテールに纏めた彼女は、非常に整った顔立ちをしている。しかし、片方の腕はナジェンダよりもやや華奢なデザインの義手となっていた。

 

 リヒト達は知っている。あの鋏を使い、片腕を失いつつも「必ず戻ってくる」と約束した仲間のことを。そして、待ちに待った仲間の到着を喜び、目尻に涙を浮かべたマインがかけがえのない親友の名前を叫んだ。

 

「シェーレ!!」

 

 マインに呼ばれ、彼女はチラリと振り向くと、口角を挙げて微笑を浮かべた。

 

「ただいま戻りました。マイン、そしてみんな」

 

 片腕の治療のため、革命軍本部に戻り、一時的にナイトレイドを離れていたシェーレの登場に、メンバー達は驚きと喜びの表情を浮かべる。

 

 だが、シェーレの前ではすぐさま戦闘態勢に戻ったエスデスが鋭利な氷柱を精製して射出する。

 

「まさか、この土壇場で援軍とはなッ!」

 

「避けろ、シェーレ!!」

 

 リヒトは彼女に向かって回避を促すが、シェーレは酷く優しげな顔で「大丈夫です」と答え、エクスタスの柄を支点にして回転させる。

 

 同時に彼女を狙っていた氷柱が回転しているエクスタスに弾き落とされる。氷柱を回転させて氷柱を防ぎながらシェーレはリヒトを一瞥すると、視線を僅かに上に向ける。

 

 それに気がついたリヒトは、大聖堂の天蓋にぽっかりと空いた大穴を見やる。一見するとただの大穴のようにも見えるが、小さな光が天蓋の辺りで明滅しているのが見える。

 

 ……炎? いや、あの発光の仕方と不規則な動きは……!!

 

「そうか、だからあの時……!」

 

「どうした、リヒト?」

 

 何かに気がついた様子のリヒトにナジェンダが問うと、彼はニヤリと笑うとナジェンダに耳打ちする。

 

 それを聞いたナジェンダも視線を上に向けると、緊張が僅かに解れた表情をみせてスサノオに指示を出す。

 

「スサノオ、次に私が指示を出した時が勝負だ。その瞬間にもう一度、八尺瓊勾玉を発動させろ。私の体のことは気にするな、あと眼を瞑れ」

 

「承知した」

 

 スサノオの返答を聞いたナジェンダは、リヒトを見やる。彼もその意図を理解し、スサノオを中心にヨルムンガンドを円形に展開し、メンバーの体を彼の腕と足に干渉しない程度に縛り付ける。

 

「ちょっと、リヒトなんでシェーレを……!」

 

 シェーレが含まれていないことに文句をいうマインだが、彼はそれを無視して目の前でエスデスの攻撃を防いでいるシェーレを見やる。

 

 彼女は氷を防ぎながら、皆がいつでも脱出できる体勢に入っていることを確認すると、エクスタスの回転を止め、氷柱の合間を抜けるようにしてエスデスに向けて駆け出す。

 

「ほう、一騎打ちをご所望か! 受けて立ってやろう!!」

 

 エスデスはシェーレの行動が気に入ったのか、どこかうれしげな表情を浮かべていたが、シェーレはそれに答えず、エクスタスを大きく開いて彼女に迫る。

 

 そしてエクスタスの刃がエスデスに届くか否かの瞬間、ナジェンダがそれを見極めて叫んだ。

 

「行け、スサノオッ!!」

 

 彼女の命令に、スサノオは答えずに八尺瓊勾玉を発動させる。と同時に、前方のシェーレも叫ぶ。

 

(エクスタス)ッ!!!!」

 

 瞬間、シェーレの持つエクスタスが眩い光を放った。

 

 エクスタスの奥の手は、閃光だ。帝具には失われた力で生成されたレアメタルが使用されているものがあり、エクスタスもまたその一つだ。ただし、エクスタスの場合は他の帝具と違い、使用されたレアメタルの量が段違いであり、レアメタル自体の発光が一種の閃光弾の役割を担うまでになっている。

 

 非常に強烈な光は、エクスタスの奥の手をリサーチしていなかったエスデスとクロメの視界を一瞬にして奪い、彼女らの視界を白に染め上げる。

 

「閃光だとっ!? どこだ、ナジェンダ!!」

 

 ほぼゼロ距離での発光を喰らったエスデスは、目頭を押さえながら吼えるがその時にはナジェンダ達の姿は既に天蓋の大穴近くにあった。

 

 あらかじめ眼を瞑り、視界を確保していたリヒトはエネルギー体のヨルムンガンドの強度を全開にしてシェーレ目掛けて伸ばす。彼女もそれをわかっていたようで、腕を伸ばしてヨルムンガンドを迎える。

 

 シェーレの腕にヨルムンガンドが巻きついたのを確認すると、そのまま鎖を一気に短くして彼女を回収するが、シェーレからやや離れていた位置にいたクロメが目眩ましから回復したようで控えさせていたナタラに命じる。

 

「ナタラ! その女だけでも!!」

 

 命じられたナタラがすぐさまシェーレ回収の妨害に出ようとするが、それを小さくはあるが的確な射撃が妨害する。

 

 微力ながら砲撃が出来る程度に放熱が完了したパンプキンによる射撃だ。

 

 射撃によって一瞬足が止まったことで、ナタラによる追撃は回避でき、シェーレはスサノオの背中に乗る様にして回収された。

 

 しかし、その瞬間下から冷気が上がってきたかと思うと、エスデスが氷の射出体勢に入っていた。

 

「上から逃げることもあるとは思ったが、やはり貴様達は甘い、今の射撃音で大体の場所は特定できた」

 

 まだ視界は回復していないのにも関わらず、彼女が放った氷は的確にスサノオを捉えていた。

 

「そう易々と喰らうものではない!! 八咫鏡!」

 

 撃ち出された氷が届く前にスサノオは、自身の前に八咫鏡を出現させる。同時に、氷塊が着弾するものの、鏡面に当たった氷塊は、勢いをそのままにエスデスに反射される。

 

「ナタラ、隊長を!!」

 

 声に反応したナタラは、エスデスに向けて駆け出し、反射された氷が着弾する前に彼女を助け出す。

 

 クロメによる援護で難を逃れたエスデスであるが、その隙にナジェンダ達は更に上へ逃れる。

 

 大聖堂の天蓋の上に出たスサノオは、一度屋根を蹴ってさらに跳躍してからナジェンダに問う。

 

「それでこの後どうするんだ」

 

「待っていろ。もうすぐか、リヒト」

 

「ああ。もうすぐ来るぞ。そうだろ、シェーレ」

 

「はい。すぐ来てくれます」

 

 スサノオの肩に捕まったシェーレが答えるものの、特に説明がなされていないほかのメンバーは「なんのこっちゃ」と言いたげな表情をしている。

 

「三人ともさっきからなにを……」

 

 タツミがそこまで言いかけたところで、彼の視界の端からなにか煌めくものがこちらに向かってきた。

 

 その光はどんどん大きくなり、雷鳴のような音を響かせながら接近してくる。タツミが「なんだ?」と言おうとした瞬間、ナジェンダが命令を下す。

 

「全員、スサノオの体に全力でしがみ付け!! やれるな、リヒト!」

 

「おう! お前等まだ気ィ抜くなよ!!」

 

 リヒトが言い終えると同時に、接近していた光がその正体を現す。

 

 全長はエアマンタを凌ぐそれは、例えるなら一対の巨大な翼を持った蛇だった。しかし、顔つきは蛇よりも龍に近い。時折バチバチと雷電鳴らしながら飛ぶその姿から、人々はこの生物をこう呼ぶ。

 

「特級危険種、ブリッツワイアーム……」

 

 メンバーの誰かが眼前を飛ぶ生物の名を呼んだものの、その声はすぐさま別の声に掻き消える。何故ならば……。

 

「かなり揺れるけど絶対に手ェ離すなよ! ちょっとばかり危険な空の旅だ!!」

 

 言うが早いか、リヒトはシェーレを回収した際に用いたエネルギー体のヨルムンガンドを伸ばしてブリッツワイアームの尻尾に巻きつける。

 

「ちょ、まさかッ!!?」

 

「嘘でしょッ!!」

 

 チェルシーとマインが顔面を蒼白に染めるがもう遅い。次の瞬間、彼らは猛烈なスピードで引っ張られ、そして上へ下へと激しく揺られながら夜空を駆ける事となった。

 

「ギャアアアアアアアアアアッ!!!?? おーちーるぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」

 

 悲鳴を木霊させながらナイトレイド一行はキョロクの空を駆けて行く。ボリック暗殺成功、全員生存、尚且つ一名復帰という戦果をあげて。

 

 

 

 

 

 遠くから聞こえる悲鳴を聞いたエスデスは、既に奪われた視界を取り戻し、眉間に皺を寄せていた。

 

「何人かを痛めつけはしたが、任務を失敗しては元も子もないか」

 

「すみませんでした、隊長。私とナタラがもっと動ければ……」

 

 クロメが謝罪するものの、エスデスは首を横に振ってそれを否定する。

 

「謝るな。今回はナジェンダ達が上手くやり、私達がまんまとしてやられただけのことだ。終わったことを気にしてもどうにもならん。ウェイブとランが戻り次第、帝都に帰還するぞ」

 

 それだけ言うとエスデスは歩きながら適当に拾い上げた床の欠片を握り砕く。

 

 ……負けたわけではないが、こちらの被害を考えれば十分な負け戦だな。私も久々にかなり消耗した。やはりあの帝具、ヨルムンガンドはかなりの脅威となりえる。

 

 戦闘を分析しながら彼女は拠点へと戻っていく。そして大聖堂を出たところで、夜空に消えていったナイトレイドとその中の一人の人物のことを思い出す。

 

 ……あの時聞こえたインクルシオの声……。

 

「中身はまさか……な」

 

 一瞬脳裏によぎった少年の姿を掻き消し、エスデスは夜の闇へと消えていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キョロク内にある小さな森では……。

 

「リトネ君、多分さっきの光がそうだよ!」

 

「ああ。行こう、パイス」

 

 先ほど空を駆け抜けていった光を追いながら大柄の青年と可愛げのある少女が森の中を駆けていた。いや、実際にはあと一人いる、それはリトネと呼ばれた筋肉隆々な青年の背中におぶられた少年、ラバックである。

 

「……なんか俺だけ全然目立ってねぇ気がするんだけど……!」

 

 ただ一人キョロクに置いてけぼりを食らったラバックは、生き残りつつもどうにも釈然としないこの状況に、嬉しいやら悲しいやら、よくわからない感情を胸に抱くのだった。




はい、お疲れさまでございました。
そして二年以上放置してしまい、大変申し訳ないです。

いや、本当にですね、自分が嫌になりますよ。書くだけ書いてエタるなんてゴミです。殺してください。出来れば村雨あたりで。
リアルが忙しかったとか、やることが他にあったとかは言いません、いいわけしても結局は自分が悪いのですから。

そして約二年ぶりの新話投稿いかがでしたでしょうか。
正直、書くスピードも表現もガクッと下がりましたよねwww本当にこういうのは書かなければ劣化していく一方ですね。
せっかくシェーレを生き残らせたのに、このままでは最終決戦まで登場しないのではとプロットを読み直して再構成したらこんな感じになりました。とはいえ、かなり無理くりねじ込んでいるのもまた事実。義手つけてまだ半年も経ってないんじゃなかろうか……。
まぁその辺りはシェーレの頑張りということで。

さてこれでキョロクは終わったわけですが、ついに出てくるわけですワイルドハント&シュラ。原作では色々やってくれちゃった彼らですが、こっちだとどんなことをしたり、されたりするのやらw

なるべく早くの投稿を目指します。
そして完結までがんばりたいと思いますので、今一度応援の程よろしくお願い致します。

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