伝説のスイーパーの弟子がリコリコの世界に行く話 作:Mr.不器用
今回は初回なので前半はリコリコの話ですが、後半はシティーハンターの話です。
俺には行きつけの喫茶店がある。喫茶リコリコ、チェーン店ではなく個人が営んでいる喫茶店。落ち着いた雰囲気でコーヒーもおいしい。このお店はパフェとかもあるが和菓子が中心としてある。その割にはコーヒーが売りというなんとも珍しい喫茶店だ。だが、そんな不思議な喫茶店だが気がついたら俺も常連になっていた。
「優、はいよ。いつものコーヒー」
「ありがとうございます」
そう言って俺にコーヒーを渡してくれたのはダンディーな渋い男性。店長のミカさんだ。外国人だが日本語はすごくうまい。正直、喫茶店よりもバーとかにいそうな雰囲気ではある。だが、入れるコーヒーはすごくうまいのだ。この店はそんな人通りの多い場所にあるわけではないので、この店に来るのはここのコーヒーを気に入った常連が多い。
「ミカさん、次の仕事ですけど」
「次の依頼が来たのか。まったく忙しいな。この町のシティーハンターは」
「それだけここが物騒ってことですよ」
「あんたもよく働くわねーもう、私の代わりに働いてくれないかしら」
あそこでヒステリック起こしてるのはミズキさん。27歳独身。だからなのかかなり婚活に力を入れている。
「ミズキさん今度はどうしたんですか?」
おそらく本人に聞くと余計刺激しそうなので事情を知ってそうなミカさんに聞く。
「きっと若く生き生きしてる冴羽君を見てムキになったんだろうな。それとこの前の婚活パーティーが中止になったからだろう」
「まぁミズキさん美人なんでいい人見つかりますよ」
「あんた、よくそんなこと普通に言えるわね」
「あ、でも酒癖は直したほうがいいと思いますよ」
「余計なお世話よ!」
いや、実のところ普通にミズキさんは美人なのだ。性格は―少しめんどくさいところがあるがそれを差し引いても普通に優良物件だと思う。
「そういえば、あんたは彼女とかいるわけ?」
「こんな仕事をしてる都合上、おいそれと彼女なんて作れませんよ。もしかしたら巻き込んでしまうかと思うとなおさら」
「でも、その気になれば作れるって言ってるみたいで腹立つわね」
「でも、普通にミズキさんに相手が見つからない方が不思議ですよ」
「なに、あんた喧嘩売ってるわけ?それとも優が私と結婚してくれるの?」
「まぁあと2年くらいして俺とミズキさんに相手がいなかったら全然いいですよ」
「・・・・言質とったから」
さっきまでは机に突っ伏してとても店員とは思えない態度だったが、さっきの会話ですっかり元気になり洗い物をしに行った。
「あんなこと言ってよかったのか?ミズキのやつ本気にするぞ」
「まぁ、ミズキさんが美人だと思ってるのは本当なんで。俺に相手がいなかったら結婚してもいいかなって。それに俺の仕事も知ってますしね」
そんなことをミカさんと話していると入口の扉が勢いよく開いた。
「グッモニ―ン!!千束が来たよー!!」
お、ついにこの店の看板娘が元気よく来たみたいだ。
「えっ!優君!仕事でしばらく帰ってこないって」
「いや、思いのほか早く終わってさ。引き渡しとかもかなりスムーズにできたから早く帰ってこれた」
「ちょっとタイム!」
そう言うと千束は来たところを回れ右してまた外に行ってしまった。そして3分くらいで戻ってきた。
「もー早く終わったなら連絡してよね」
「いや、別にここに来るからいいかなーって」
「ダメだよ。いろいろ準備とかあるんだから」
男にはわからないが女の子には色々と準備があるみたいだ。これから気をつけよ。師匠からもレディーの扱いについては気をつけろって言われてたんだった。
「そうだ!今日、私の家で映画観賞会しない?」
「特に予定もないし、別にいいけど」
「よし、決まりだね。私今日、6時で終わりだから」
「わかった。その時間帯にまた来るよ」
いつも元気な千束、だいたい酒を飲んでるミズキさん、いつも落ち着いて余裕のあるミカさん。俺がリコリコの常連になったのはただ単にコーヒーが好きだからという理由だけじゃない。この温かい雰囲気にひかれたんだ。
「おやおやーそんなしんみりした顔しちゃって。もしかして千束ちゃんと夜通し映画観賞会に期待しちゃった?もう、襲わないでよー」
「いや、ちょっとな。昔のことを思い出してさ」
♢♢♢♢
なんだ、頭がクラクラする。何があったのか思い出せない。
「ふむ。ようやく目が覚めたみたいじゃの」
「・・・・あなたはいったい?」
「そうじゃの。神様というのがおぬしの中で一番わかりやすいかのう」
神様、なんて急に言われても信じられない。これは夢か?
「夢ではないぞ。おぬしは死んでおる。ゆえに心の声はもれるから思ったことは口に出すことじゃ」
「そういうのは早くいってください。その前に聞きたいんですが死んだってどういうことですか?」
「文字通りじゃよ。どうやらお主は死んだときの記憶をなくしてるらしい。わしなら戻すことはできるがどうする?」
「お願いします。自分がどうやって死んだのか、せめてそのくらいは知っておきたいです」
「分かった。こっちに来なさい」
言われたままに神様のもとに向かう。そして神様の手が頭に触れられると激しい頭痛が起こった。
「うぅ・・・・」
痛みはすさまじく声も出せない。だがそれと同時に記憶がよみがえっていく。自分の名前、趣味、人間関係、そして自分の死因。
「はぁはぁはぁ、すべて思い出しました」
俺がどうやって死んだのか。俺はトラックにひかれた。ひかれそうな女の子を庇って。
「神様、一つ聞いていいですか」
「なんじゃね」
「俺が庇った女の子は無事なんですか?」
「無事じゃよ。おぬしが庇ったおかげでな。そんな勇敢な若者であるお主に頼みごとがある」
「なんですか?」
「転生してみる気はないかのう?」
「転生ですか?あの漫画やアニメでよくある」
「その通りじゃ。おぬしがいた地球とは別世界の地球、要は並行世界じゃのう。そこでは犯罪が公になっていないだけで多くある。おぬしにはそれを減らしてほしいんじゃ」
「転生ですか。俺も憧れたことはありますが、俺はただの一般人ですよ。犯罪を止めるなんてとてもじゃないですけどできる気がしません」
「そんなお主に朗報じゃ。もれなく特典が1つつくぞい!」
「・・・・なんでもいいんですか?」
「もちろん。と、言いたいところなのじゃがファンタジー系の能力は無理じゃ。例えば、時を止めるなどというやつは」
なんだよ!だったらほとんど無理じゃん。使えないな!って思ったんだがそういえば心の声漏れてるんだった。
「うぅ・・・・仕方ないじゃん。地球だし。そんな能力持って行かせたら他の神に怒られるし」
などとかなり効いてる様子だった。
「その世界について詳しく教えてもらっていいですか?」
「う。うむ。そうじゃの。この世界では犯罪やテロが多いがそれは未然に防がれているからだ。リコリスという少女たちによって」
「リコリス?何かの組織ですか?」
「そうじゃ。簡単に言えば武装した女子高生といえばいいかのう。ちなみに男版もあるぞい」
「なるほど。普通に銃で戦う世界という認識でいいですか?」
「うむ、その認識で正しい」
なるほど、銃で戦う世界か。ならば俺の望む特典なんてただ一つ。
「神様、特典についてですが決めました」
「うむ、言ってみるがいい」
「シティーハンターって言う漫画に出てくる冴羽獠に彼と同じかそれ以上になるように訓練してもらいたいです」
「なるほどのう。そのくらいだったら問題ないぞい」
そう言って神様は持っていた杖を振る。そうすると煙が出てきて煙が消えたと思ったらそこには冴羽獠がいた。
「俺を呼んだのは君か?」
ま、まじかよ。漫画の憧れのキャラクターに会えるなんて!
「あれーかわいいもっこりちゃんががいないぞー」
「残念ながら女の子はいないぞ。依頼人はわしじゃ」
「なるほどな。残念ながら俺は女性の依頼しか受けないんだ。他をあたりな」
「まぁそういうな。これを見るのじゃ」
「こ、これはー⁉」
「わしのコレクションじゃ。おぬしがこの依頼を受けるなら依頼期間中1週間に1本貸してやるぞ」
「よし、この依頼受けた。そして依頼内容は」
「そこにいる子をおぬし以上に鍛え上げて欲しい」
「分かった。やれるところまではやってみよう」
そしてついに冴羽獠が俺のもとに来た。
「名前は?」
「優です」
「苗字は」
「正直、死んだ身なので昔の名字を名乗る気はないです」
「そうか、わかった。まず、優お前に最初の試験として聞きたいことがある」
なんだろうか。さすがに緊張する。
「こっちの作品とこっちの作品どっちがいいと思う?」
そう言って見せてきたのは神様のコレクションのAVだ。あの短時間で選ぶとはさすがとしか言いようがない。
「・・・・しいて言うならこっちのナースの方で」
「なるほど。どうやら俺と同じ意見だ。宣言しよう君は俺みたいになれるぞ。これからは師匠と呼ぶように」
「どこで判断してるんじゃこのボケー!!」
鋭いツッコミと共に冴羽獠、いや師匠の頭に100tハンマーが炸裂した。
「い、痛いじゃない香ちゃん」
「神様から聞いたわよ。私たちに任せて頂戴。獠はこんなんだけど腕は立つから。(・・・・それに依頼料も出るし断る理由はないわ)」
「よし、話はまとまったみたいじゃの。あとは任せたぞー」
神様がそう言った次の瞬間には風景がガラッと変わり今、目の前には師匠たちが住んでいるマンションがある。
「ここが今日から優君が住むところよ。自分の家だと思ってくつろいでいいから」
「はい。ありがとうございます」
「じゃあ獠、私、買い物に行ってくるから後は頼んだわよ」
そう言い残し香さんは去ってしまった。
「よし、早速だが始めよう」
なんだろう。まずは基本的な体作りのために筋トレだろうか?
「さっき借りてきたDVD見るぞー」
「・・・・はい」
こうして俺のここに来て最初の取り組みはナースAVの鑑賞になった。
♢♢♢♢
周りの音に今は集中している、風の音、風で草が揺れる音、足音、それらをすべて聞いたうえで相手がどこにいるのかを考えながら動く。今は夜で周りが見えないので聴覚だけが頼りだ。
そして森を駆け抜けているとついに敵と遭遇する。
敵の姿ははっきりとは見えないが、なんとなくはわかる。そしてやることは単純、相手よりも早く銃を撃つただそれだけ。狙いは相手の銃口。見事命中し、その銃が使えなくなったことに一瞬でもためらいが見えたので容赦なく心臓に撃つ。
「俺の、勝ちですね。師匠」
「ああ、見事にやられたよ」
木の影から、師匠が出てきて月明りでその表情が見える。その表情は笑みを浮かべていた。
「さ、香のところに戻ろう」
「そうですね」
俺と師匠は香さんがいるところまで戻った。
「あ、獠に優君戻ってきたのね。それで獠の格好を見るに卒業試験は終わったそうね」
卒業試験、それはシティーハンターである冴羽獠に勝つことだった。もちろん銃はペイント弾だが。最初は無理だと思ってあきらめていたが、ついに今日やり遂げたんだ。
「さ、これから海坊主さんのお店で卒業記念パーティーよ!さ、行くわよ」
そこからはカフェ、キャッツアイにて俺の卒業記念パーティーが開かれた。メンバーは俺、師匠、香さん、海坊主師匠、美樹さん、冴子さんやここ数年で知り合った新宿の人たちで盛大に行われた。
料理は香さん、海坊主師匠、美樹さんが作ってくれた。みんなで夜通し騒いで朝方に解散となった。
そしてあれから数日がたちついにお別れの日を迎えた。
「ついに行くのね」
「ええ、やらなくっちゃいけないことがあるので」
「お前ならやれる。なんせこの俺に勝ったんだからな」
「寂しくなるわね。優君、結構うちに顔出してくれていたから」
「ふん!うるさいのがいなくなってせいぜいする」
「ちょっと、ファルコン!ごめんね、優君。ファルコンこんなこと言ってるけど昨晩、ゆうたーって言いながら一人で寂しがっていたから」
「み、美樹なんでそのことを知って!お、お前らも見るなー」
そんな様子を見ながらみんなで噴出して笑ってしまった。
「優。これは俺からの贈り物だ」
そう言って師匠から、箱が手渡された。
「開けてみていいですか?」
「ああ、いいぞ」
許可も得られたし袋を丁寧に開けていき箱を開ける。
「し、師匠!これは。もらえませんよこんなもの。だってこれは師匠の」
「気にするな。かわいい弟子のためだ」
「え、なになに獠何を渡したのよ?」
「あ、香ちゃんは見ないほうが・・・・もう遅かったか」
「えーとなになに。ぼくちゃんおすすめのAVランキング。獠~弟子の卒業プレゼントになんちゅうもん渡しとんじゃ己は!」
そして師匠の頭にいつも通り100tハンマーが炸裂した。
「こ、これはほんのジョークだから。おほん!本命はその下だ」
ただの本にしては重いと思っていたのでその本を持ち上げ下の中身を見てみる。
「これは・・・・」
「パイソン357マグナム。俺が使ってるのと同じやつだ。持って行け」
「師匠!ありがとうございます!」
「ああ」
「冴羽さんは弟子のためにプレゼントを渡したけどファルコンは渡さないの?」
「う、うむ。優これを」
「ありがとうございます。開けてもいいですか?」
海坊主師匠がうなずいたのでその場で先ほど同様に丁寧に開封する。
「これは、ハンカチ?」
「やっぱり変だったんだ!俺がこんなかわいいもの送るなんて」
「変じゃないですよ。とてもうれしいです。ありがとうございます。海坊主師匠」
「ふ、ふん。気に入ってくれたならよかった」
「よかったわねファルコン。優太君ちなみにこれファルコンが私と買い物に行ったときに買ったんだけどあまりの形相でハンカチを睨んでるからお店にいた人全員怖がっちゃって」
「み、美樹俺はそんなに睨んでたのか?」
「それはもう」
またしても海坊主師匠がタコみたいに赤くなり恥ずかしがってるのが分かる。
そしてついに何もない空間から神様がひょこっと出てきた。
「別れは済んだかのう」
「はい。大丈夫です」
「それじゃあ行くぞい。おっとその前にこれをいま渡しておこうか」
「これは、携帯ですか?」
「そうじゃ、あの世界は以前よりも増して犯罪が増えとる。そこで特例としてここにいる人はおぬしがこれから行く世界におぬしが呼べば行けることになった。その通信システムがこの携帯というわけじゃ」
「・・・・つまり、また会えるってことですか?」
「そういうことになるのう」
もう2度と会えないかと思っていた。世界が違ければ会うことなんてない。そう思っていたけどこれからも会うことはできるんだ。でも、それは向こうの世界はかなり物騒だということを示している。鍛えられたが俺も簡単に命を落とすのかもしれない。そう思ってると海坊主師匠がこちらに向かってきた。
「神様とやら、優がこれから行くところは危険なのか?」
「そうじゃのう。武器の取引が平然と日本で行われるくらいには危険じゃ」
「そうか。優、連絡が取れると分かったんだ。生存確認のため毎晩電話を掛けろ」
「そんなこと言って、ほんとはファルコンが寂しいだけでしょ!それに毎晩だと優君が可哀想よ」
「大丈夫ですよ海坊主師匠、さすがに毎晩とはいきませんが1週間に1回くらいは電話するのでそれで許してください」
「忘れるなよ」
「優君、こっちの方にも連絡してよね」
「もちろんです」
「優、そういえばお前苗字なかったよな。俺らは家族みたいなものだ。よかったらこれからは冴羽と名乗れ。それといつでもお前のXYZの3文字で駆けつける。だから死ぬなよ」
「ありがとうございます。お言葉に甘えて、これからは冴羽 優と名乗りますね。それと誰に行ってるんですか。最高の2人の師匠から訓練を受けたんです。そう簡単には死にませんよ。では、そろそろ行きます。短い間でしたがお世話になりました。また、会いましょう!」
「ああ、またな」
「ええ、またね」
「ふん」
「また、会いましょ」
全員と別れを告げ神様と共にこの場を去る。
「さて、お主はこれから転生する。両親は元からいないようにしてある。そして次に気づくころには4歳くらいの姿になっておる。そして最初の任務じゃ。まずはそこから数年後に起こる電波塔で起きる事件それの被害をできるだけ出さず、犯人を殺すもしくは捕縛するのじゃ。詳しい日程はさっき渡したスマホに送るからのう」
「わかりました。出来る限りやりましょう」
こうして俺は新たな世界に転生するのであった。
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