伝説のスイーパーの弟子がリコリコの世界に行く話 作:Mr.不器用
誤字報告や感想ありがとうございます。感想は返信あまりできてませんが楽しく見させてもらっているのでよければこれからも書いていただけると嬉しいです!
優がリコリコを出てから数分がたったころ、店の扉が開き、緑色の軍服に包んだ大男が来店した。
「いらっしゃいま・・・・せ」
扉が開いたと同時に客を案内しようとした千束だがあまりに迫力のある姿に圧倒された。
「な、何名様でしょうか?」
「一人だ」
「か、カウンター席にどうぞー」
カウンターの席にその男を案内し、メニューを手渡す。
「こちらメニューです」
「ああ」
それだけ言って大男はメニューを受け取った。
メニューを渡した千束は奥の方にいるたきなのもとまで行った。
「たきな、たきなあの人凄いよ!迫力がすごくてさ!ハリウッドスター何かなのかな!」
それほどまでに大きい体はまるで海外の俳優と言われても違和感がないほどだった。
「千束、本気で言ってるんですか?あの人銃持ってますよ」
「知ってる。服の胸のところ膨らんでた。膨らみからして銃だね。あれは」
「何が狙いでしょうか?私たちリコリスか。クルミか。危険な芽は早く摘み取るべきです。それにあの感じただものじゃないです」
たきなは銃を抜こうとするが千束はそれを止める。
「待って、待って!何もしてないのに撃てるわけないでしょ!」
千束とたきながそんなやり取りをしているとカウンターに座っていた大男が振り向きこちらを見ている。
今の話を聞かれた、と思い千束もいつでも銃を抜ける用意はしている。
「注文、いいだろうか」
「あ、はい」
なにか起こるのではと構えていたのにただ、店員を呼ぶためだった。無駄に構えていた二人は、あっけにとられた。
注文はたきなが取りに行くことになり、警戒しながらも注文を取る。
「ご注文は」
「コーヒーを一つ」
「かしこまりました。少々お待ちください」
ミカに注文を伝えたたきなは再び千束のもとに戻ってきた。
「たきなどうだった?」
「これと言って怪しいところは」
「やっぱ普通にコーヒー飲みに来ただけだって。警戒しすぎたのかもね」
「そうかもしれませんね」
これまで怪しい行動はなく、たまたま入った喫茶店がここだったのかもしれないと二人は考えた。
「ご注文のコーヒーだ」
コーヒーを運んできたのはクルミでそのままテーブルに置いた。
大男はそのまま一口コーヒーを飲んだ。
「おい」
そのたった一言。それだけでクルミは動けなくなってしまった。自身の背後から感じるプレッシャーに。
「千束、やっぱりウォールナット、クルミを狙いに来たのでは!」
「落ち着いて、もう少し様子見よ」
千束とたきなは再び警戒して大男の行動を見る。
「ど、どうかしたのか」
「店主を呼んできてくれないか」
「わ、わかった」
そう言われたクルミは裏にいるミカを呼びに行った。
「狙いはミカさんなのでしょうか」
「かもね」
あまりのプレッシャーにもはや2人は警戒を緩めることはなかった。警戒しているのは千束とたきなだけでなくミズキさえも警戒を怠っていない。
「私が店主だが、何か」
「ああ、少し聞きたいことがあってな。実は俺も同業者なんだ」
そう言いながら大男は胸元に手を入れた。
それを見た瞬間千束とたきなは銃に手をかけた。同業者、そいつは間違いなくそう言った。どこで知ったかは知らないがここはリコリスの部署の一つ、潰しに来たのだろう。大男が銃を抜いた瞬間制圧できるように準備をする。
ミカも同業者と聞いた瞬間警戒を強め、すぐに射線からは逃れられるようにする。
「ここのコーヒー豆はどこのやつを使っているんだ?」
『は?』
この店にいる誰もがそう口にした。そして大男が取り出したのは銃ではなくメモ帳とボールペンだった。
「む?」
この店全員が変な声を上げたので大男が疑問に思っている。
「実は俺も喫茶店を営んでいてな」
『え?』
「む?」
その見た目では到底考えられないがこの大男は喫茶店を営んでいるようだ。それならさっきの同業者という言葉も納得がいく。
変な空気になってしまったがそれを破りに行くのはもちろん千束だった。
「え~お客さんも喫茶店営んでるんですか」
「あ、ああ」
千束に話しかけられたが大男は千束と顔を合わせることはなかった。
「なんかおしゃれなボールペンとメモ帳ですね」
「分かるか!」
さっきまで千束と話すことに緊張しているようだったのにボールペンとメモ帳を褒められた瞬間千束の両肩をつかんだ。
「これは俺の弟子が選んでくれた大切なものなんだ」
「そうなんですね。いいお弟子さんじゃないですか」
「あいつは本当にいいやつでな。なんといっても」
「あ、あのコーヒー豆について聞きたいんですよね」
話が長くなるだろうと思った千束はコーヒー豆の話に話題をそらした。
「そうだった。それで店主、差し支えなければ何のコーヒー豆を使っているか教えていただきたい。これほどまでに上手いコーヒーはいまだであったことがなくてな。豆だけではなく淹れ方もいい。香りが引き立ついい淹れ方だ。長年の経験といったところか」
「ここまで言っていただけるとは嬉しいですな。このコーヒーはうちのオリジナルブレンドなんですよ。よければお教えしますよ」
「いいのか?仮にも同業者なのに」
「ええ、あそこまで言ってもらえたのは2回目なので。1回目は今はいないですがうちの従業員で、初めてこの店に来た時にそう言ってもらったんですよ。その時師匠のいれたコーヒーといい勝負と言っていていつかその人のコーヒーも飲んでみたいものなんです。おっと、余談が過ぎました。よければお教えする代わりにあなたのいれるコーヒーを頂いても?」
「もちろん、かまわない」
「それでは裏に来てください」
そう言って大男は店の裏に移動した。
「まさか喫茶店の店主だったとは」
「あれには私も驚いたよ。あんな格好してるしサバゲ―やった帰りなのかもね」
「それはあり得ますね」
千束とたきなはお互い苦笑しながら話し合う。大男が裏に入るとの同時にまた新たな客が訪れた。
「むむ、この店に僕ちゃんのもっこりレーダーが反応している!さぁてもっこり美女は!いた!」
店に入ってきたその男は案内する前に店の中に入ってきて向かったのはミズキのもとだった。
「ねぇねぇお姉さん、よかったら僕とお茶しようよ!」
その男はあまりに自然にミズキをナンパし始めた。
「顔もよくて、たくましい体つき。はぁ、これでチャラくなかったらな」
「んん、こっちの方が好みかなお嬢さん」
さっきまでのふざけた口調とは異なり、真剣な顔つきと口調になった。
「僕の名前は冴羽獠。シティーハンターです」
「今、なんて言いました」
たきなの雰囲気がいつもと異なっていた。まるで親の仇を見るような目つきをしていた。
「お嬢ちゃん、君にはまだ早い話だから向こうに行っていなさい」
「今、なんて言ったかを聞いたんです」
「え?」
「なんて言いましたか?」
「僕の名前は「その後です!」シティーハンター」
「ふざけないで下さい!あなたみたいなヘラヘラした人がシティーハンターを名乗らないでください!」
シティーハンター、冴羽優のファンでもあるたきなは、目の前に現れたチャラい男がシティーハンターを名乗ることを許せなかった。
「えぇーそんなこと言われても」
「今すぐ撤回してください!」
「何の騒ぎだ」
たきなが声を荒げていることに気が付いたミカが先ほどの大男と現れる。
その大男はシティーハンターを名乗る男を見るなりまた何かしたのかという表情で見ている。
「今度は何をしたんだ。獠」
「なんもしてねーよ。海坊主」
どうやら2人は知り合いのようだ。そしてここにきて初めて大男の名前が分かったが海坊主、本名ではなくニックネームの類なのだろうか。
「なんかシティーハンターって名乗ったらいきなりこれだよ」
そして再び入口の扉が開いた。
「ミルク買ってきましたよーってこれどういう状況?」
女性二人を連れて帰ってきた優はたきなが自分の師匠をにらみつけ、もう一人の師匠が店員側のカウンターにエプロン姿で立っているのに困惑を隠せなかった。