自分の好きなFFⅫの作品が少なかったので、書いてみました。
初作品なので、読みづらいところもあると思いますが、どうぞよろしくお願いします。
前バレンティア歴703年。
一組の母子が港町バーフォンハイムから旅立った。
その親子は、五年前に帝都アルケイディスから移住してきた。母親が病に侵され、その療養のために海辺のこの町に越してきたのである。
彼らには、一つのうわさがあった。それは、母親は貴族の愛人で息子はその貴族との子、いわゆる庶子であるというものである。妻が病気になっているのに見舞いに来ない旦那、越してきてから一度も働きに出ずに母親の看病につきっきりの息子の様子からそう推測された。
そして、その噂はほぼ間違っていなかった。相違点はただ一つ。彼女は、貴族どころか皇帝の愛人だったことである。
彼女は帝都のとある店で人気の踊り子であった。そしてそこを訪れた皇帝に気に入られ愛人となり、一人の息子―シオンという―を産んだ。彼は生まれた順番的には第三皇子だが、母親が正式な妃ではなかったため、シオンに皇位継承権は与えられず、庶子という扱いになった。
しかし、一つ下に第三皇子ヴェインが生まれたことで、母親は乳母として、シオンは遊び相手としてたびたび皇室に呼ばれるようになり、さらには正式な妃が第四皇子ラーサーを産んだ直後に亡くなったため、彼の乳母も務めることになり、皇室との交流は彼女が病気になるまで続いた。
彼女たちが越してきてから五年がたっても、彼女には一向に回復の兆しが見られなかった。そこで彼女は、最期は自分の故郷で過ごしたいとシオンに伝え、彼らはダルマスカ王国王都ラバナスタに向かうことにしたのである。
普段ならば飛空艇で向かうところだが、現在アルケイディア帝国とダルマスカ王国は敵対関係にあるため、飛空艇は運行停止中。チョコボを使って陸路で行くことになった。
道中は困難を極めた。バレンティア大陸を進んでいる間は平気だったが、フォーン海岸を抜け、サリカ樹林に入ったところで様子が一変する。温暖で湿潤な気候から、ジメジメとした熱帯気候に。そしてモスフォーラ山地からダルマスカ砂漠へ。高山気候でかつ酸素も薄くなる高所を通り、すぐに乾燥した砂漠地帯に入る。この、目まぐるしく変わる気候が、病気の母親に牙をむいた。サリカに入る前にフォーン海岸のハンターズキャンプで、サリカに入ってすぐにナブラディア王国王都ナブディスで、山地を越えてすぐに城塞都市ナルビナで長期間の休憩を入れた。通常は2か月ほどの距離を、半年かけたのである。それでも彼女にはきつかった。
結局、彼女はこの無理が祟ったのか、ラバナスタについてから長くはもたなかった。年が明けた前バレンティア歴704年、ダルマスカ王国アーシェ王女とナブラディア王国ラスラ王子の結婚から1週間ほど経った日に、彼女は死んだのである。
そして孤独となったシオンに追い打ちをかけるように、悲劇が起こる。ナブディスの消滅。アルケイディア軍のダルマスカ侵攻。ラスラ王子の戦死。ダルマスカ国王の暗殺とそれによるアーシェ王女の自殺。ダルマスカ王国の消滅。半年もしないうちの出来事であった。
ショックに打ちひしがれていたシオンは、一人の青年と出会った。これが、彼を数奇な運命に巻き込むことになる。
読んでいただき、ありがとうございました!
早速独自設定が出ています。ソリドール家の母親って描写が全くないんですよね。なので、後々ラーサーと絡ませられるように死んでいただきました。
また、バーフォンハイムからラバナスタまでの移動時間は適当です。バレンティア大陸をほぼ横断しているので、このくらいはかかるのではと…もしかしたらもっとかかるのかもしれませんが。