まず初めに、この本を手に取ってくれた読者の皆様に感謝申し上げる。いくら本を書いたとしても、それを読んでくれる人がいなかったらただの独り言と同じになってしまう。それは些か寂しすぎる。
さて、この本は題名の通り、かつてのアルケイディア帝国皇帝、グラミス・ガンナ・ソリドールの庶子である、私シオンの一時期の活動を書いたものである。だが、冒険録というのは少し違うのではないかと今でも考えている。なぜなら、あの時我々はある一つの目標に向かって行動していたのだから。
イヴァリース全土を覆った戦乱の時代が終わってもう二十年たつ。つまりはあの、ダルマスカ砂漠で行われた解放軍とアルケイディア軍との大規模な戦いから二十年ということだ。
あの頃何があったのか、ざっくりと知っている人は多いだろう。まだあの頃生きていた多くの人がご存命だろうし、若者ならば学校の歴史で学んだのではなかろうか。解放軍側からの視点は、当時の空中都市ビュエルバの領主であり、解放軍を率いていたハルム・オンドール四世の著書『回顧録』に詳しい。しかしながら、いくつかの出来事については、何故それが起こり、そして如何してその結果になったのか分かっていない。だがそれも、この本によって解明されるはずだ。
別に、私はあの時の正しい歴史を広めたいといった高尚な気持ちでこの本を書いたわけではない。あの時の、私が体験した緊迫しつつも愉快だった旅の話を共有したかっただけである。ただ、その過程で世間に知られていない事実が発覚するのも事実である。
この場で言わせていただくが、正直この本には多方面に都合の悪い話が出てくる。それによって批判も巻き起こるだろう。故に、少々ためらっていた部分もあったのだが、当事者たちに背を押されてしまった。彼らの懐の広さには脱帽するほかない。
最後の方になってしまったが、この本を書くことを提案してくれた我が弟にして現アルケイディア皇帝のラーサー・ファルナス・ソリドールや、ダルマスカ王国のアーシェ・バナルガン・ダルマスカ女王、そしてあの時一緒に旅をして世界を救う戦いをした仲間たちに感謝の言葉を。彼らがいなければ、今日のイヴァリースは存在しなかったし、私も―この言い方は不謹慎かもしれないが―貴重な体験ができなかった。それに付随してこの本が出ることもなかっただろう。
最後に、今は亡き親愛なる弟、ヴェイン・カルダス・ソリドールに思いを馳せて、初めの挨拶とさせていただく。
前バレンティア歴726年 著者シオン・リングスタッド
いかがでしたか?これからも、章の終わりにこういうのを入れようかなーと考えています。原作におけるオンドール公の『回顧録』みたいな感じですね。長さもこれくらいになるんじゃないかなぁ。
本編は今しばらくお待ちくださいませ。