ホラーと両方が2、日常とダメですが1で、非常に迷った結果混ぜ合わせたものを頑張ってすぐにお出しするという形にしました。
途中からホラーがそっちのけになってる気もします。
次はちゃんと通常テンションで本題に沿った話出すので…
特殊タグを頑張って勉強して使ったのでどうか許してください…
それではどうぞ。
「あつい……」
そんな声が漏れた。
今日は真夏日も真夏日。確か、予報では35度の異常気象と言われていたか。
陽炎も揺らめいているような庭を眺めながら、クーラーをガンガンに効かしてソファに寝っ転がってアイスを齧った。
やる気も出ぬまま、とりあえず動画サイトでも開こうかとスマホに手を伸ばすと、モモトークの着信音が響いた。
リンドウちゃんからの新規会話の通知が見えたので、タップしてモモトークを開く。
『今日の夜9時から、百鬼神社で肝試し大会やるよ!』
え〜……。誘ってくれてるのだろうか?いや、わざわざ今日行くの…?まあ彼女のことだし、「暑いからこそ肝試しして冷やそう!」って言うんだろう。精神的に冷えたところでこの暑さは変わらないというのに…
『お、見たね?集合場所は百鬼神社の麓、階段の入口の鳥居前!9時から行く順番決めてくから、その時までには来てね!』
えぇ…。見たら参加決定ってちょっと強引すぎない?前の時に夢に出てきたあの赤い覆面男*1と同類じゃん…友人があの変なのと一緒ってなんかやだな…
『だってそうでもしないと暑がって来なさそうだもん』
『そうでしょうそうでしょう、ハッハッハ!』
『いや?』
『お、友達が嫌われないか心配?心配なの?』
『えー!!?』
クス、と笑みが零れる。
うーん、やっぱよく鳴る玩具だね。叩けば叩いた分だけ面白いのが帰ってくる。
数少ない友人をこんな感じに遊んでるって中々に馬鹿か?そもそもこんな性格だから友人が少ないのか。
何かお菓子でも持って行こうか、と思いつつ動画を再生しだした。
○○○
カラン、コロン、と下駄を鳴らしながら人のほとんどいない夜の街道を歩く。
持ち物はスマホと懐中電灯、ハンカチティッシュにお菓子、扇子、あと和室に飾られていた真剣だ。この装備で大丈夫だ、多分問題ない。
ただ、普段とは装いを変え、巫女服である。
あと、顔は少しベタだが狐のお面で隠し、ついでに狐耳カチューシャをつけてみた。
傍から見たらかなり異質な印象を受けるだろう衣装だが、肝試しをするというのだ。今の私を見てもきっと驚かないだろう?(暗黒微笑)
というより、ネットで調べて見てみたのだが、思った以上に…雰囲気、があるのだ。
神社は標高800mくらいの山の上にあるのだが、着くまでも着いた後もかなり長い。
200段ほどの階段に5回くらいある折り返し点、その後の鳥居と灯篭が交互にある長い参道。そして境内に入っても、本殿までもまたある程度距離がある。
そしてその間、灯りは無いらしい。
もう一度言おう。本殿までと仮定して、大体1.5kmあるらしいルートのその間に、灯りとなるものは!一切!無い!!
しかも鬼が出るとか亡霊が出るとかの曰く付き。
調べれば調べるほど、「ホントにここでやるの?」という気持ちが強まる内容ばかりだった。
まあとどのつまりは、これでビビるのならヤバいから止めた方がいい、ということである。
決して私がビビったから肝試し大会を無くせれば、などと考えた訳ではない。断じて。
そろそろ集合場所に着く。今は8時55分。9時開始なのを考えるとそんな時間に到着するのは非常識かもしれないが、驚かせるためだ。極力、人が集まってそうな時間に行った方が効果的なのだから仕方ない。
少し見づらいのでお面をずらし集合場所を目を凝らしてみると…いた。大体10人くらいかな?和気あいあいと話しているのが見えた。
…それじゃあ、行くか。
《狐坂リンドウ side》
そろそろ、待ちに待った肝試し大会!
さすがに初等部の時はダメって言われちゃったけど、今年は許された!いや〜、やっぱやってみたいよね〜。そういう、なんか、青春!って感じのやつ!
声掛けたコはほぼ全員来てくれた。
…まあうん、ほぼ。
私は12人に声を掛け、現在私を抜いて11人来てくれた。そ、足りないのだ。
来てくれていないのはシキちゃんだ。
シキちゃん、「私行かなくても」みたいなこと言ってたけど、アレ本気だったのかな…
カラン…コロン…
こういうのは一切やったことない、って言ってたから、折角ならやってもらおう!って考えて企画したんだけどなぁ…
カラン…コロン…
あわよくば悲鳴が聞こえるかな、ってのはあったけど…悲しいな
「ねえ、アレ何…?」
「え?」
一人が何かに怯えた声をあげたのが聞こえて、その指さされている方を見る。
そこには…一人の、巫女さんがいた。狐のお面で顔を隠し、下駄を鳴らしてさも大和撫子のような雰囲気をまといゆっくりこちらへ歩いてくる様は、なぜか点滅する街灯の明かりと合わせて人外が人の姿形をして近ずいてくるような感じだ。
はっきり言って、怖い。
あのゆっくりな歩幅も、腰にかかっている刀も、作り物めいた耳なども、その手のスマホも、常にソレを照らし続ける明かりも、不気味な雰囲気を醸し出した街も。
…………うん?
ゆっくりな歩幅、腰にかかった刀、作り物めいた耳、手のスマホ、照り続ける明かり、不気味な街。
………………………スマホ?
刀とか明かりとか街とか色々説明出来ない部分もあるが、その異質なものが持つスマホ。そして、集合時間ギリギリになっても現れない彼女。
……………………………………………ふーん。
そんなことしちゃうんだ、ふぅーーーん!?
いいもんね!それならこっちにも考えがあるもんね!
周りにソッと目配せする。気づいてくれたのは多分4人かな?
まあ伝わったかどうかは分からないけど。
それじゃ、とりあえずは伝えたわけだし。
いくよー!せーのっ!!
「「「「「うわーー!!?」」」」」
「っ!?」
よし。彼女は怯んだ。それと同時に、周りのビックリしちゃってるコを引き連れ、階段目掛けて走り出す。
火事場の馬鹿力と言うべきか、それとも豪運なのか、誰のコケた声も音も聞こえず、頂上まであの場にいた12人と一緒に行くことができた。
これであの場には彼女しかいない。
こんなドッキリをした罰だ。精々、貴方の大嫌いだそうな孤独を味わいなさい!
《音羽シキ side》
さて、どうしようか。
ビックリするだろうということは何となく予想していた。が、恐らく気づかれたであろう上に、階段の方に逃げ出されるとは思いもしなかった。
家に一人で泥棒退治するあの映画よろしく不審者()を前に全力で叫ばれて怯んでしまった上、転んでしまうリスクなどを考慮して階段の方には逃げないだろうと思って予定を組んでいたため、完全に出鼻を挫かれてしまった。
とりあえずモモトーク送っといて、私も山に登るしかないのか……
…にしても、なぜバレたのだろうか?
全員が街と胸元を見ていたけれど…
胸元には何もつけてないし、腕は伸ばして両手重ねてたし、街は見えてなかったから分からないけど今は特に何も変わってないけど……
そんなにしきりに見ることでもあったのかね?
とりあえずこの自業自得とも言うべき状況を何とかするため、山を駆け上った13人を追って階段の入口の鳥居をくぐった。
○○○
慣れない下駄と服装での階段登りを終え、ようやく参道に着くことができた。
体力はある方だと思っていたが、歩きづらさのせいか単純に体力はなかったのかバテてしまった。こんなことになるなら飲み物も持ってくるべきだった…
軽く息を整えながら、辺りを懐中電灯で照らしつつ見回してみる。が、どこにも彼女達はいない。
まだ機嫌を損ねてしまっているのだろうか、そう考えていた時、境内の方に一つの人影が見えた。
この期に及んでまだ仕返しがしたいのだろうか、もう許して欲しいのだけど、と思いつつ歩いている時、ふと違和感を感じた。
初めは小さな、何かも分からない勘にも近いものだった。しかし、一度気がつくとそういうのは膨れ上がって行くものだ。
あんな服装で来ていた人は麓の時のメンバーに居たか?なぜ参道の中央に棒立ちしている?こんなに離れているのになぜ「泣いている」というのが分かる?あの瞬きの後に突然増えた二つの人影は何なんだ?
ゾワリ
後ろから殺気とも何とも取れない何かを感じ、踏み込み足で前へ進んで距離を取り、刀の柄に手をかけ振り返る。
そこには、多種多様な鬼達が居た。
人とはかけ離れた体格、色合い、顔、そんな奴らがまるで絵巻物で見た百鬼夜行のように並んで行進していた。
ネットにはこのような情報は一切なかったはずだ。それ即ち、「今までこんなことは起こらなかった」、もしくは「目撃者は全て殺された」かのどちらかであるということなのだろう。
来るならいつでも、と腰を落とし居合切りの構えを取る。
…………
だが、その時はいつまで待っても来なかった。
まるで、私には興味が無い、それどころか私を認識していないかのように揃って神社の方だけを見て参道を歩いて行くのだ。
警戒は怠らず、身動きも取らず、過ぎ去るのを待った。鬼達が一歩一歩を伸ばすその時間が、永遠にも感じられるようだった。
最後と思しき一回り大きい鬼が完全に境内に入り切るのを見て、警戒を少し下げ腰を上げた時に、初めて周りの変化に気づいた。
境内とこちら側で、空が違うのだ。
こちら側は変わらず真っ暗闇。対して、
境内には橙色の陽光が差し込んでいるのだ。例えるならば、黄昏時、といったような状態になっている。
何が起きているのか分からない。
疑問が尽きない。何をするのが正解なのか?
不安が尽きない。どうすればここから逃げられる?
そんな時に、頭に男性と女性の
『その四肢 双眸 髪 全て贄せよ』
という宣告が響いた。
贄、鬼、百鬼神社…何となく予想はついた。
さしづめ、神へ贄を献上して鬼達を鎮めてもらおう、ということだったのだろう。もしくはここの神が鬼なのかもしれない。
そして、この現代に贄なんて文化は一切ない。つまり、これは幻覚、或いは……荒唐無稽だが、過去に起きた事を何らかの理由で私が見ている、と言ったところか。
だが、なぜ私がこれを見ることになったのだろうか?
私が見たところで、何も変わりようが…
『ほらまた目を背けて』
…は?
まさか、これは私に向けられた言葉とでもいうのだろうか?
尚更意味が分からない。あの鬼の集団の中に突っ込んで贄を救えと?自殺志願者でもないんだ。ただの無謀だろう。
死ぬ気で挑めば数十体は道連れにできるのかもしれないが、最後の鬼には勝てる道筋が見えない。そのまま殺され、結局あの鬼達に喰われて腹の足しにもならずに終わるのが目に見える。そんなところに突っ込むのは…
…そうだ。私が死ねど、アイツらの内のたった数体の、腹の足しにしかならない。あの贄の人を含めたとしても。そしてあそこには贄を待つ鬼が何体いる?
…マズイ。
この空間から出る条件は分からない。だが私の推理が正しいとするならば、本来の百鬼神社の方に、やって来た贄を欲する鬼がいる可能性が高い。
彼女達の戦闘能力は知らない。だが、この鬼達は結構強い。
鳥居?服装?人数?何が引っかかったのかは不明だが、原因を突き止めないと…
そう、目を瞑り思案していた。だが次に目を開いた時には、空は全てが暗くなっており、銃撃と石を叩く衝撃音が境内から響いていた。
瞬間、半分無意識に境内へ全力疾走した。邪魔なお面とカチューシャを外して落とし、髪が乱れているのも気にせず左手を腰につけた鞘にかけ、鍔を軽く押し出す。
境内に入り視界が開け、一気に情報が入り込んでくる。
右に4人・2体、前に6人・4体、左に2人・1体、行動不能0、重症3、軽傷9、撃破1。走りながらその全てを少しずつ噛み砕いて理解し、効率的なルートを組み立てる。
まずは右。重症者へ振り下ろされる鬼の腕目掛けて足から飛びかかり、その腕を踏み台にして居合切りし、首を落とす。
そのまま落下して着地、と同時に前方へ跳躍し鬼の喉を掻っ捌いた。
前は優勢のため後回しにし、左に向けて翔ける。
私を脅威と見なしたかこちらへ注意を向けるが、その隙に盾持ちの人がシールドバッシュし体勢を崩したところにサブマシンガンとピストルの追撃。そこにトドメに喉元へ刀を突き刺し、引っこ抜いて宙返り。しっかり着地し、バックステップして振り返りまた翔ける。
一度刀を鞘へ戻し、体勢を低くして勢いのままに突っ込む。
どうやら私が一番の脅威になったらしい。残りの4体全員が形振り構わずこちらへ目掛けてやってくる。
先頭が飛ばしてきた拳を最小限の跳躍で避け、伸びている腕を足場に駆け上がり首を居合切る。
肩を踏み台にして二体目の拳を跳躍して避け、空中で三体目の拳を体を捻じらせて避け、その拳を蹴って四体目へ飛びかかり首を斬り、そのまま落ちて四体目を足蹴に着地。二体目が後退ったのを見るや否や、すかさず跳躍して首へ突き刺して切り開き、その勢いで三体目の首も斬り、回転して勢いを殺して着地。
刀を鞘に戻す音と共に最後の二体が倒れ込む。
そして、心配そうに走ってくる人達を尻目に、"戻った"私は意識を手放した。
《狐坂リンドウ side》
最初はジリ貧で攻められ続けてたのに、シキちゃんが全部蹴散らしちゃった!つっよ!スゴいじゃん!なんて思ってたら、急に倒れ込んじゃった。しかも、プッツリ切れちゃったっていうか、棒倒しの棒みたいに、パタン、って。
怖かった。
だってシキちゃん、普段よりもずっとずっと速くって、強かったもん。それこそ、何か代償を払った、とか、そのくらいだった。
だから、うつ伏せに倒れるシキちゃんがめっちゃ心配で、急いで病院まで運んだの。そしたら、多少の怪我はあるものの正常で、今は寝てるだけです、って!!私たちめっちゃ心配したんだよ!?死んじゃったらどうしよう、とか色々考えたのにさぁ…
ねぇ聞いてる!!?
《音羽シキ side》
拝啓、名も知らぬ母上。
私は今、友達にめっちゃ怒られて頬肉を伸ばされています。よく頬はこねくり回されていますが、伸ばされるとまあまあ痛いのですね。怒っている友達の機嫌はどうやって取ればいいのか分かりませんが、私は元気です。そちらはいかがお過ごしでしょうか。敬具。
「コーラー!無視するなー!」
ふざけてたが、実際どうすれば機嫌を直してくれるのだろうか。皆が無事なら別にそれで私はいいのに。」
「え!?そんなの考えてたの!!?ダメダメ、そんな考えは禁止ー!!」
声が漏れてしまっていたらしい。更に怒られてしまった。さて、どうしたものか……
○○○
目覚めたものの、夜も遅いため大事を取って一日は入院することになってしまった。記憶がある限りは初めての、あの自宅以外での夜を経験している。
にしても、あの神社と山は一体何なのだろうか。
山側と街側で変わる視界。聞いた話では皆の方に歩いている時、スマホを片手に持っていたという。だがそんなことはしていないし、動画や写真も確認したが残っていなかった。
あの贄と鬼達。実は目覚めた後、また曲が頭の中に浮かんだ。一応メモもしたし多分忘れることはないだろうが、この浮かぶ曲たちは一体何なのだろうか。
一回目は恐らく「伝えたい思い」ができた事、二回目は「列車の人身事故と人の悪意」を見た事、そして三個目は「鬼達への贄の献上」という過去に起きたのであろうことを見た事。共通点と言えば、私が体験したという事くらいだ。あまりにも謎が多いが、これはしばらく置いておくとする。
そして、あの刀を握った時の動き。あれも奇妙だ。なにせ、自分の体なのに自分以外に操作されているかのような、それでいて自分も知っているような、そんな感覚だったのだ。あの石のベッドに眠る前は剣豪だったりしたのだろうか?それなら、母上があの場に用意した武器が光線銃であったことがおかしくなってしまう。
駄目だ。全てが現状は堂々巡りである。
追々調べて行くとして、とりあえず今は体を休ませようか。それじゃ、おやすみ──
どうも、nineです。
深夜テンションって怖いですね。
ドッキリのくだりまでは通常テンションで書いてたのですが、その後の部分は深夜テンションになってから勢いで全部書き切ったみたいなんですよね。なんかめっちゃ戦闘してない?ホラーは?
あと、メモとして「狐○崎甘色」って書いてありました。多分違くない?過去の自分よ…
でもなんかいい感じに主人公ちゃんの根幹とかに触れてたんですよね。なので消しづらくって…
次は頑張ります。
なんかいい感じに区切れてしまっていたので、今回の曲は次の話の冒頭で出した後に本編に入って行くことになると思います。
今回初めて特殊タグを使ったので、読みづらい等あれば教えてください。よろしくお願いします。