「セブンティーン」
そう、呟いた。刹那、私のヘイローが動きだした…そんな気がする。
頭に、直接音楽が流れているような感覚。
MVが作りだされていっているような感覚。
急いで着替え、銃を取りに行く。
この曲に則るのであれば…光線銃か。
充電がMAXなのを確認し、そしてAメロが始まるのを集中して待つ。
確証はない。けれど、私の願いが届いて、この曲がこの世界に来たというのであれば。
目の前に、電気で囲まれているような、長方形の青色の画面のようなものが出現する。───それと同時に、それへ向かって飛び込んだ。
このように、すぐに救いにいけるように、ゲートが現れるはずだから。
──────────────────
ゲートへ飛び込んですぐに、空気感が変わったのを感じた。
そして転移がほぼほぼ完了してクリアになった視界には。
今まさに、「先生」と思しき人に、白装束が、何かしようとしているところが映った。
そして、全員が私の方を向き、固まっていた
死んだと思っていた人が突然、超常現象じみた方法で戻ってきたんだ。無理も無いだろう。
これはチャンスだ。
「先生」に手をかざしている奴は後の方がいいかな。下手に攻撃したらむしろ変な行動を取りかねない。
なら、まずは後ろの白装束達に向かって威嚇射撃だ。
そう思い、弾を2、3発適当に撃ち込む。
そして白装束達の動揺が強くなったのを確認するのと同時に、シロコへ目配せ。
すると真意に気づいてくれたのか、「先生」の方へ駆け出し、そのまま抱えて転がりこんでいた。
ああ…かなり傷ついていた。動くのに支障は無さそうだったが、それでも心情的には心配するなというのは無理があるだろう。
それと同時に、怒りが膨張していくのを感じる。
─コイツらは、絶対に許さん。
曲がサビに入ろうとしているところで、一気に距離を詰めた。
つまり白装束達に近づいた。殴り飛ばしてやるため。殴ってやらないと私の気が済まなかった。でもそれは悪手だった。気づいていただろう。なんで、こうしてしまった。
「ならば、もうこの際貴様でも良い。貴様が、色彩の嚮導者となるのだ───!!」
かざされていた手が、私の方へ向く。最悪の展開を引き起こしてしまった。そして、【何か】が、私の頭に叩き込まれた。
─私の知っている知識、知らない知識。
私の知っている感覚、知らない間隔。
それらが私に流れて、押し寄せてくる。
これは何だ?先程奴は色彩と呼んでいた。色彩?何故に色が私を飲み込もうとする?
分からん。分からねば!■■の■■■■として!
…どのくらい経ったか分からない。1秒かもしれないし、何年、何十年と経っているのかもしれない。それほどの情報量だった。
それらを見る度に、何かが私から奪われてゆく。いや、塗り替えられていっている?
……何をしている。私は、私だ。勝手に塗り替えようとするな。色ごときが。
そちらがその気なら、私も、全力で取り込んでやる。私に引き寄せられたのが運の尽きだ、覚悟しろ─
「何故だ…何故!色彩を拒絶できる!そして、拒絶した!色彩は、崇高なる存在なのだぞ!それを、貴様は、貴様も──!?」
「理解できぬ」「理解できぬ」「理解できぬ」
「…ふーん。これが、色彩…世界の外の存在、か。でも、私が打ち勝って、取り込んじゃった。あなたたちの崇高って、その程度だったのね。」
嘘です。正直、飲まれた時点であ、もうダメだこりゃ、ってなった。
まず情報量が莫大。頭焼き切れるかと思った。
あと変なのがかなり混ざってた。不純物というか、なんというか……
まあ、それらを頑張って処理してたら、(結構堕とされそうになった時もあったけど)どうにかなった。さすが私。
で、何とか生還できたから、とりあえず煽った。ヘッ、ザマーミロ!あとはコイツらの返答見て、処理しちゃって、終わり、かなぁ。
「驕るな─!まあいい。種は十分に蒔いただろう。貴様らもじきに、崇高なる存在の真髄を、理解するだろう───」
そう言うと、突然現れた光に白装束たち全員は飲まれ、次の瞬間には揃って消えていた。
……は?ハ?HA?待て、逃げた…って、こと?しかもなんか、目的大体達成されてる?は?
……ハアアアァァァァ!?何なのアイツら!?信じられない!こんなにコケにされたのは(多分)初めてだよ!絶対に許さんぞ!!!
そう地団駄を踏んでいたら、突然シロコから話しかけられた。
「終わった……の?」
「フェイ!?え。…多分、終わったと、思う。」
「それなら、私はもう、破壊しなくてもいいの?」
「…うん。もう、シロコは、自由なの。そんな責務なんてもうないよ。」
「……ぅ…」
私がそう言うと、シロコは泣きじゃくってしまった。余程、辛かったのだろう。私はそっと抱きしめることにした。
こういう時は、存分に泣いてしまった方がいい。その方が、その後、前を向けるはずだから。
"…お話は一段落ついた、かな?"
そこで、「先生」に話しかけられた。そうだった。この人シロコが救出してからずっと放置しちゃってた。申し訳ない。
「はい。ええと…「先生」でしょうか?」
"うん、そうだよ。初めてまして。"
確認も取れた。この人が「先生」らしい。
それにしても…あれだね。この人の声、なんか、なんていうか…安心感があるね。無性に気を許したくなる感じ。そんな感じがする人だね。
"そして、私たちを助けてくれて、ありがとう。"
「いや…見知ったからには、放置できなかった。…それだけだから。」
"それでも、君のその行動で私たちが救われたのは、事実だからね。"
「…ん。」
ダメだこの人、話してたらどんどん心を許していってしまう…!落ち着いて、落ち着いて……
"シロコも、私のために頑張ってくれてありがとうね。"
「ミ゚」
顔が近い!あとなんかいい匂いした!まずい!堕ちるって!
〇〇〇
しばらく経ち、私もシロコも落ち着いた。シロコは…寝落ちちゃったみたい。
困ったので「先生」に預けたら、流れるように膝枕してた。え?そっちの方が寝やすいだろうから?それはまあ、そうだけど…
「先生」…恐ろしい人!
"ところで…体に不調とか、特にない?大丈夫?"
「え?まあ、はい。大丈夫ですけど…」
"そっか。辛くなったりしたら、遠慮なく言ってね。"
私の方が言いたいですが!?この人、入院してたはずでしょ?そんな動いて大丈夫なのかな。
…あ。もしかして、こんなこと聞いてきたのって。
「もしかして、私が嚮導者とやらにされかけたこと、気にしてたりします?」
"っ!うん、当然だよ。苦しそうにもしてたし。私が「受けていれば良かった、なんて言わないでください。」でも…!"
「結果論として、私は無事でした。それにそもそもは、私がアイツらを怒らせなければ良かった話なのです。怒らせなければ、あんな行動にも出てなかったかもしれません。つまりは私が、私の行動の尻拭いをしただけなのです。なので"大丈夫、とも言わせないよ。"…何故?」
"君の責任は、私の責任でもある。なぜなら、私は「先生」だからね。"
「…お人好しすぎます。いえ、もうもはや馬鹿の域です。あなたは馬鹿です。ばーかばーか。」
"そんなストレートに言わなくても…まあ、そんな訳だから。心配くらいは、させて欲しいな。"
「そうですか。そこまで言うなら…いつか、
"中々手厳しいね…でも、そこまで言うのなら、行ってみせるから。私は、諦めが悪いからね。"
「ん。先生は頑固。だから、私も手伝う。」
「いつの間に起きたの…まあ、待ってるから。約束ね?」
"うん。約束。"
「…それじゃそろそろ…お別れですかね。」
そう、私は白装束共からシロコを助けるため、並行世界からやってきたのだ!
まあつまり、曲に則っても本来の世界のルール的にも、あるべき場所に帰らなくてはいけないのである。
というか、もうとっくに曲は終わっているのに開きっぱなしでいてくれるゲートがとても温情に感じる。
「…ん。……ありがとう。助けに来てくれて。」
"私からも、改めてありがとね"
「大丈夫だよ。…さよならは、言わないので。それでは、また会いましょう。」
"うん。すぐに行ってみせるから。またね。"
「ん。またね。」
そして私は彼らに微笑み、ゲートへ飛び込んだ。
──────────────────
元の世界へ戻ってきた。
別れは悲しいけれど、この世界にいることに安堵している自分もいる。
振り返れば、ゲートが閉じていくのが見えた。名残惜しいが、今度は彼らが来てくれるそうだ。
こんな言い方はあれだが…彼らをあんな生きてる人が残ってるかも分からないディストピアに残して終わるってこともきっとないだろう。多分。
時間は……もう夜の6時だ。
とても長く感じる日だった。
世界の違う親友ができた。
こんな私のことを心配してくれる大人ができた。
急いで曲を形にして、投稿しないと。
あの出来事と、シロコと「先生」のことを忘れないように。
あれ?またなんか忘れてることがあるような……
どうも、nineです。
外伝、(とりあえず)完!
そして私も、17歳にお別れを告げ、18歳となりました。
この曲を最初に聞いた時、ビビッときまして、この曲関連のお話書きたい!って思ったんですよね。
「キヴォトスで紡ぐ音」を始めるきっかけでもありました。
なんで1年くらい前からプロットとか出したい曲とか纏めてたのに、なんでこんな急いで書くことになってたんでしょうか。
時間が去るのは早いですね。
あとテスト期間入ってしまったので、お休みさせて頂きます。7月中に2、3話くらい進めたいと思っています。
改善点等あれば、是非コメントしていってください!
お願いします!今後の糧にしますので!
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