転生したら第八王子だったので、早めに呪術を極めます   作:三世

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第一章 
#1


 

 

 

 

 

 湖の上、凄まじい速度で飛ぶ黒い()()のようなソレは、ただ一点を目掛けてひたすらに攻撃を繰り出していた。

 

『何故だ!何故届かない!!!』

 

「……成程な、魔力の()()()、それを超速で飛ばして攻撃してるわけだ」

 

 ギザルムという名のその魔族が周囲から無数に攻撃を仕掛ける中、白髪で青い目をした少年はブツブツと呟きながらその中心であぐらをかいていた。

 

「呪力でも再現出来るのか?いや、呪力と魔力じゃ性質が違う……試しに密度を上げてみるか」

 

『理解出来ん!アレはなんだ!?空間系統の魔術か!?』

 

 ギザルムが放った攻撃はまるで壁に阻まれたかのように少年の周囲で止まっており、少年は一切傷を負っていない。

 

「あっ」

 

『ガァッ!?』

 

 瞬間、闇夜を切り裂き、少年の指先に溜まった光がレーザーとなってギザルムを貫いた。

 

「ダメだな、これじゃただの呪力放出だ。もっとこう、布みたいにか?呪力性質を変えてみるとしよう」

 

『ッ糞餓鬼がァッッッ!!』

 

 痺れを切らし直接攻撃を仕掛けようとするが、やはりギザルムの攻撃は空中で静止して届かない。だが

 

『“死ね”ッ!!!』

 

「む、呪言か?」

 

 耳に聞こえたよりも遅れて、魔力の塊が少年に飛んでくる。

 

「……うーん、気になるけど、多分呪術と特に変わらないよなぁ……あ、そうだ」

 

『散々邪魔をしやがって……そのまま死に晒せ!糞餓鬼!!』

 

 少年がおもむろに口の前に手をかざすと、少年の口の周りに蛇の口のような文様が走る。

 

「“死ね”」

 

 その一言のみで、魔力の塊は少年に衝突する寸前に消滅し、霧散する。

 

『……はァ!!?』

 

「なんだ消えるのか、出力上げたら何とかなるのか?……まあ、ものは試しか。“墜ちろ”

 

『なッ!!』

 

 ギザルムに声が届いた瞬間、その体は湖の中へと勢いよく墜ちる。

 

「……なあ、もう一回打ってくれないと困るんだが」

 

『舐めるなよ糞餓鬼ィ!!!』

 

 水中から魔力のこよりが大量に少年を狙い撃つが、今度はそれによく似たこよりによって弾き落とされる。

 

「お、出来た、やっぱ呪力性質の変化が重要っぽいな」

 

━━━━魔槍も呪言も通じない……!業腹だが“()()()”を使うしか無い!!!

 

 全てを亜空間に飛ばし消し崩す魔法、魔族にとっての極意、プライドの高いギザルムが、()()()()()にそれを使うほどまでに追い詰められているのだ。

 

━━━━いや、まて

 

 だがふと、気がつく。

 

━━━━先程までのアレが魔術ならば、なぜ俺はダメージを

 

「考え事か?俺も人のこと言えないが」

 

『ッッッ!!!』

 

 一瞬だ、1秒にも満たない瞬きの間に、少年はギザルムの背後へと回っていた。

 

()()、空間系統の魔術か、まあ確かにそれなら俺にも効くか」

 

『死ねッ虫が!!!』

 

 即座に黒死玉を放ち、今度は避ける隙も無いだろうと勝利を確信したその瞬間

 

「奇遇だな、俺も似たような技持ってんだよ」

 

 今度は、対応する隙もなく

 

「■」

 

 

 

 

 

 

━━━虚式“”━━━

 

 

 

 

 

 

 

 どうやって黒死玉を避けたのか、どうやって背後へ回っていたのか、なぜ攻撃が通じなかったのか。そのどれをも知らぬまま、ギザルムは意識を失った。

 

「……魔()だとか大層な名前してんだから五条先生とまではいかずとも御三家位には期待してたんだけどな、こんなもんか……ゔあー喉痛え」

 

 ギザルムが消えたことを確認すると、少年は何かを呟いてその場から消えた。

 

「彼は……一体……」

 

 残ったのは、その湖の畔に佇む城からその一部始終を見ていた人間、そして

 

「なんだアレは……!!魔術なのか!?まさか()()()()にあんなことが出来るなんて……!!」

 

 少女のように整った顔に歓喜の表情を浮かべた一匹の()()、その二人だけであった。

 

 

 

 

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