転生したら第八王子だったので、早めに呪術を極めます   作:三世

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「女王に捕まってたァ!?」

 

「はい……そのせいで予定していた時間よりも遅くなってしまって……すみません」

 

 黒髪に赤い作業着を着た、筋肉の良くついた青年──第四王子、ディアンが、驚愕した様子で目を見開く。

 

「謝る必要なんかねえよ、それにしてもあの『氷の女王』か……大変だったな」

 

 アルベルト兄さん曰く、ディアン兄さんは鍛治技術を学ぶためにパートラムまで留学に来ているらしい。

 パートラムに最初に来たのは10歳のころだと聞く。その歳で国のために留学するとは……立派だな。

 

「その、すみません、荷物持って頂いちゃって」

 

「ん?いいってことよ!こんなもん鉄塊に比べたら軽いもんだからな」

 

 そう言うディアン兄さんの両手には、俺とイクシオンさんの荷物が下がっている。俺もイクシオンさんも最初は自分で持つと言っていたのだが……気付けばいつの間にかすべての荷物をディアン兄さんに受け持たせてしまっていた。

 

 ……それにしても、成程。鍛冶師なだけあって相当に筋肉がついている。東堂や秤だとかのゴリマッチョ共とはまた違った、実用的な強さを感じる筋肉だ。

 ──東堂なぁ……あいつほんと、俺の予想通り……いや予想以上に虎杖のこと気に入ってたよな……ブラザー?とか呼んでたし……

 

「それにしても、あのフルーフが留学か……」

 

「?」

 

 ディアン兄さんは、感極まったように言葉を口にしてから、上を向いた。

 

「……ッいけねえ、つい嬉しくなっちまった。フルーフ!イクシオン!お前たちどこか行きたいとこあるか!俺が連れてってやる!」

「疲れたんで寝たいです」

「あ、そう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 そして翌日、女王様の言っていた教師が、俺たちの借りている部屋へと尋ねてきた。

 

「錬金術師のイドと申します。今日から、フルーフ様の錬金術の教師を務めさせて頂きます」

 

 ……昨日俺をガン見してた子じゃん。

 

 ──いや、てかそんなことより……この人

 

「……どうかしましたか?そんなに人の事をジッと見て」

 

 ──魂の形状が、ロイド兄さんとそっくりだ。

 

 俺がこっちの世界に転生してきてから解析し終わった術式、『無為転変』。

 あの糞呪霊の使っていた術式だが、これを解析するにあたって、俺は他人の魂の形が見えるようになった。

 

 ……通常、ここまで魂の形状が似ることはまず無い。それこそ、()()でもない限り。

 

「その……顔、ちか……」

 

 ──隠し子?

 ……いや、父上に限ってそれはないか。ロイド兄さんが双子だったなんて話も聞いたことが無いし。

 と言うか、双子というよりも同一人物って言った方がしっくり来るな。

 

 第一このクソ多い魔力量だ。流石にロイド兄さんよりかは少ないが……これだけ魔術の才を持っている子を、あの兄さん(魔術バカ)が放っておくわけがない。

 

「……うう……たすけて、マロン……コロン……」

 

 ……他人の空似……まあ無い話じゃないか、世界には自分と同じ顔の人間が三人はいるっていうし。魂が似てる人がいてもおかしく無い。

 

「うう……やっぱり無理だったんだ、僕が教師なんか……」

 

 直接聞くわけにもいかないし……次帰ったらロイド兄さんに聞いてみるか、何か分かるかも「あの」

「はい?」

 

 いかん、思考に吞まれてた。……いまのって、イクシオンさんの声か?

 

「……イド様が、何か言いたそうにしてますが」

 

 なぜかむくれた様子のイクシオンさんが頬を膨らませて、イドを指さしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「……すいません、つい」

 

「……いえ、とんでもない」

 

 しまったな、ついジロジロと見てしまった。魂の観測自体結構近くじゃないとできないからな。初対面で超ガン飛ばしてくる痛いやつになってしまった。

 

「……その、魔力の変換機って、もう構想は出来てるんですか?」

 

「へ?……ああ、設計図くらいなら」

 

 一応サルーム城にいた時もちょくちょく試作品は作ってたんだよな、材料不足でそうたくさん作ることは出来なかったが。

 

「見せてもらってもいいですか?改善点が分かるかもしれないので」

 

「わかりました」

 

 設計図を渡すと、イドは流れるように目を通し、設計図を机へと置いた。

 

「……これって、熱力を魔力に変換してるんですよね?」

 

「……はい、そうですけど」

 

 見ただけで分かるのか、やっぱり本場の錬金術師は違うな。

 

「……こことここ、回路に繋げば魔力への変換効率が高くなります」

 

「……?…………うわマジだ!!」

 

 まじか、数秒見ただけなのにもう改善点見つけやがった。

 

「……それとこれ、外殻の素材をもっと熱伝導率の高いものにしたほうがいいですね、想定されている出力で使うと、すぐにオーバーヒートを起こしちゃいます」

 

「……たしかに」

 

 ──すごいな、見た感じ俺と同じくらいの歳なのに……こんなさらりと……

 

「じゃ、じゃあここは……」

 

「それならこう……」

 

「ここを……」

 

「これは……」

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「完成しちまった……」

 

「……だね」

 

 あれから三日間、白熱したまま寝ずにぶっ続けで作業を進め、いつの間にか拳ほどのサイズの、魔力の変換器が完成していた。

 俺もイドも、どちらも寝ていない為いつの間にかお互いに敬語が剥がれている。まあ、年が近いって言うのも関係しているかもだが。

 

「……とりあえず、試してみよっか」

 

「……だな」

 

 実際に使ってみたら機能しなかった、とかもあり得るしな

 

 近くの暖炉に装置を近づける。

 

 すると、取り付けられているメーターが振れ、排出口から魔力が流れ出た。

 

「……これ、ほぼロス無しじゃ無い?」

 

「強いて言うなら術式を通る上で多少魔力が空中へ霧散してるけど……まあ、許容範囲内だな」 

 

 ──つまり、これは

 

「……完成だ」

 

「……女王様が言ってた期限って、半年だよね?」

 

「ああ、多分イドがいなかったら余裕でそのくらいは掛かってただろうな、元の回路だと変換効率がコレの百分の一ぐらいだし」

 

 ……いや、まさかこんなにすぐに出来てしまうとは

 元の設計図製作するのなんて三年も掛かったんだぞ?

 

「どうするの?女王様に報告する?」

 

「……いや、まだやめておこう」

 

 こんなすぐに出来たって報告したら、また別のものの製作させられそうだし。

 それに今は、それよりも作りたいものがあるしな。

 

「何か他に作りたいものでもあるの?」

 

「ちょっと、大型のゴーレムをな」

 

 呪術によるゴーレムの運用……

 正直、術式のスペック的に難しいと思っていたが、コレがあれば現実味を帯びてくる。

 本当にやりたい事からは、まあ少しズレるけど

 

 ──作るか、()()()()

 

 

 

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