なので一夏目線が多めになっております。
一週間前、俺たちに新しい家族が増えた。
名前を織斑 春香という。……まあ俺が名前を付けたんだけど
始めの方は少し警戒していた千冬姉も今となっては春香を妹のように接している。
現在、春香はIS学園の入学試験を千冬姉の推薦とともに受けている。
学力試験と実技試験があるのだが……春香の知識には大きな偏りがあるから……。
「ただいま〜。一夏お兄ちゃん」
「おかえり〜」
春香が帰って来たらしい。
初めの頃は俺のことをいっくん、千冬姉のことをちーちゃんと呼んでいたが、それはちょっと……ということでこのような呼び方になってしまっている。
「一夏お兄ちゃ〜ん。ぎゅっ てして〜。ぎゅぅ〜〜、て」
「またかよー」
そう、春香はなぜか俺とのスキンシップを取りたがる。他の男や千冬姉と接するのも嫌いではないようだが……一夏にぃのは特別♡とか言って、このようにねだっている。
最初は頭を撫でるだけだった。だが、数日が経った今は抱きしめるところまで来てしまった。
「一夏お兄ちゃん。もっとぎゅぅ〜ってしてよ〜」
妹よ。これ以上は色々とまずいんだ。
春香のスタイルはかなりを付けてもいいほど良い。
肩の少し下まで伸びた透き通るような純白の髪。引っ込むところは引っ込み、出るところは出ている体。
再確認だが、わずか数日で撫でる→抱きしめるに変化してしまっている。もしもこのペースで要求が過激になったら……ヤバイ。
俺たちはまだ15歳だということを再認識させておく必要がある。
気にしたら負けだな……うん。
「ハイハイ、……これでいいか?」
「エヘヘ、ありがと。」
満足した春香は俺から離れた。
「そういえば試験はどうだった?特に社会」
「がんばったんだよ、お兄ちゃん。社会なんか『篠ノ之束』と『白騎士事件』まで書けたんだよ〜」
春香は社会が苦手だ。それも尋常ではなく。
社会だけは見てやったが……一桁すら取れない0点というものを初めて見た。
記憶を失っているから当然なのだが、その他の教科は俺を圧倒する……らしい
社会科が苦手なことと関係があるかはわからないが、(どちらかと言うと道徳?)春香が家に来た初日の夜、春香が風呂から裸で走って出て来たため、俺はめちゃくちゃ焦った。
幸いその日は家にいた千冬姉が、チョップで鎮圧したから良かった。
……俺もスリッパで叩かれたけど。別に見てないのに……
「ほら、春香。今日は『五反田食堂』に行く予定だっただろ。用意は出来たか?」
「うん。早く行こっ♪」
春香は俺の手を引いて歩き始めた。
「おい、春香。五反田食堂はこっちだぞ」
「えぇ!?どっち?」
◇
今、俺たちは五反田食堂の前にいる。
春香が超難関と呼ばれるIS学園に合格する確率は極めて低い。
もしもIS学園に落ちた時に五反田家で預かってもらうことになっているので、顔合わせくらいはしておこう……ということで春香と五反田食堂に来たわけだ
「いいな、春香。くれぐれも落ち着いて行動しろよ」
「え〜〜〜。………わかった。」
春香にきちんと釘を打ってから店内に入った。
「こんにちわー。お、弾も蘭もいる」
「あれ⁉︎一夏じゃん」
「えぇ!?一夏さん!?」
やはり夕方の混み始める時間帯のためか、二人ともエプロン姿で料理を運んでいた。
そして少し遅れて春香も入ってきた。
「おじゃましまーす」
「ええっと……この子は?」
弾も蘭も、もちろん初対面だ。
「初めまして。一夏お兄ちゃんの彼女の春香です」
やりやがった……
「一夏!!お前ついに彼女を……」
「い、一夏さん……。おおおめでとう……、ございます………ふぐっ……」
おいおい、蘭。泣いてまで祝福されると本当のことが言いにくいじゃないか。
「いやいや、そういうわけじゃなくてな。
この前言ってた俺の妹の織斑 春香がこの子。まぁ妹って言っても血は繋がってないけどな」
「だから結婚もできますよ?」
うむ、男として嫌な気分にはならないが公衆の面前ではやはり照れる。
こんなに可愛い妹が彼氏を連れて来たらどうしてやろうかと最近思う。仮にだが弾を連れて来た場合、五体満足で帰すつもりはない。
「一夏。お前この前『妹が俺に甘えて来て……』とか『風呂から裸で出て来て……』とか言ってなかったか?」
「………」
「おいコラ、目を逸らすな」
弾が出した二つの例に関しては俺に非はないがな
「なんかズルイぞ、一夏。ウチなんか
「そんなことありませんよね?お、に、い?」
「あ、あぁ。よく考えてみればそうかもしれないな……」
蘭の後ろに見えるどす黒いオーラは気のせいのはずだ。
「一応、今日は春香を紹介しようと思って来たんだけど……そろそろ店も忙しくなるだろ?俺たちはこの辺で帰るよ。」
「い、一夏さん!よろしければウチでご飯を食べて行きませんか?」
「いや、なんか悪いからイイや」
「そんなこと言うなよ、一夏。お前が食えばその分ウチも儲かるんだぞ」
「そうですよ、一夏さん!是非食べていって下さい」
「そうだよ、一夏お兄ちゃん。こういうのデートみたいで楽しいじゃん」
最後のはなんか違う気がする……
「わかったよ。じゃあここで食べていこうかなぁ」
「やったあ、お兄ちゃんだーいすき」
抱きつくのはやめてほしい。
そう言うことも出来ずに妹の頭を撫でていた。
◇
場所は変わってIS学園。
そこの職員室に一人のスーツを着た女性が今日行われた臨時の試験の結果をまとめていた。
IS学園の入学試験の難易度はかなり高い。
と言っても全問題が難しいと、解けない問題が多すぎて試験にならない。
なので各教科50点満点のテストの内、10点が簡単。20点が中の上。残り20点は高校レベルの内容。という割合で出題されている。
なので合格者でも平均は250点満点中、180点くらいしか取れない。今期で200点以上を取る生徒は今日まで一人しかいなかった。
そう、今日までは……
受験番号*****
名前:
○学力試験・結果
社会科:2/50
国語:50/50
数学:50/50
理科:50/50
英語:50/50
____________
計:202/250
はっきり言って異常な試験結果だった。
初めは試験内容が漏洩しているのではないかという声も上がっていた。
だがそれも、実技試験の結果を見てもなお反論を言うものはいなくなった。
○実技試験・結果
IS適正値・S
模擬試験結果
試合時間3分26秒:勝利
ISの適正値がSというのも、本来『ブリュンヒルデ』や『ヴァルキリー』くらいしか存在しない。
しかしそれを入れても模擬試験の結果は圧倒的だった。
春香は訓練機である『打鉄』を使用しての圧勝。
そのことはIS学園に大きな衝撃を与えた。
だがこのスーツの女性には微妙な違和感が拭えない。
始めて会ったのは約一週間前。その時から何処かで少女と会ったことがあるような気がした。そしてなぜか大した警戒もせずに引き取ることを即決していた。
しかし、問題はどこで会ったことがあるのかわからないということだ。
親友である篠ノ之 束を知っていたようなので、彼女に写真を添えて尋ねて見た。すると、なんとかという機関(大抵 無許可)で調べても身元がわからなかったそうだ。
まぁわからないものは仕方ない。
あのような純粋な表情の出来る少女を疑いたくないのも事実だ。
少女が我々を裏切らなければ私たちは家族だ。
スーツ姿の女性は写真立てに飾ってある弟と新しい妹の3人で撮った写真を見て微笑んでいた。
◇
「「ごちそうさまでした」」
五反田食堂にいる俺たちは、夕食をご馳走になった。きちんと代金は払うがね
俺はカレイの煮付け定食を、春香は五反田食堂の鉄板メニューである業火野菜炒め定食にご飯を二杯お代わりして食べた。春香の食べっぷりにはよく驚かされる。
「じゃあそろそろ本当にお暇しようかな。じゃあ春香が落ちたら頼むぞ」
「ぜーーったい落ちないから大丈夫だよ」
「その自信はどこからくるんだ……」
「受かるったら受かるの。一夏お兄ちゃんと離れるのなんて……イヤ」
なに?この生き物。可愛い
「IS学園はそんなにポンポン受かるもんでもないんだぞ」
「なら受かったらパフェ奢ってね。@クルーズの」
ぐう、@クルーズのパフェは基本高い。
安いものでも1000円を超え、期間限定の果物やクリームがたくさん入ったものは、一つ2500円もする。
「わかったよ。受かったらお祝いに食べに行こうな」
「やったあ、お兄ちゃん やっさしー」
数日後、織斑家に春香の合格通知が届いた。
そしてその日のうちに@クルーズに出かけて春香はパフェを堪能した。
一夏は春香が美味しくパフェを食べているのを見ながらコーヒーを飲んでいた。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
いや〜、こんな春香が書きたかった!!
次回からIS学園、始まります