一夏と白の騎士の物語   作:上腕二十二頭筋

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ども、久しぶりです。

先ほどはすみませんでした。m(_ _)m


白の騎士は明日更新しようと思ってたんですが……
まぁ投稿しときました。




白い騎士の剣技

時間は放課後。場所は剣道場。

 

 

目の前には充分に美女と言える幼馴染と妹がお互いに竹刀を構えている。

 

 

 

俺がこんなところにいる理由を説明するには数十分ほど遡(さかのぼ)る必要がある。

 

 

◆

 

 

「一夏!私がお前を鍛えてやる」

 

 

俺の幼馴染の箒がクラス代表決定戦のための特訓をしてくれるらしいのだが……

 

 

「すまん、箒。俺は春香に特訓してもらうよ」

「なっ……」

 

 

今、ちょうど打鉄をもらいに行っている春香に聞いた方が気楽な気がする。ISの操縦も上手いらしいし。

 

 

「何を言う!!私は篠ノ之束の妹だぞ!」

「バカ、声がでかいって」

 

 

 

俺らをみてヒソヒソ話している女子達

 

 

「ほらっ、ただでさえ珍しい名字なんだからさ」

「くっ、ともかく行くぞ!」

「おい、箒!!」

 

 

半ばひきづられながら箒が教室を開ける。

 

 

 

「お兄ちゃ〜ん?これはどういうことかなぁ?」

 

廊下には春香が腕を組んで立っていた。

 

 

なぜか二人の後ろから妖しいオーラが出ている気がする。

 

 

「今から一夏は私(・)と特訓するんだ。邪魔者は去れ」

「一夏お兄ちゃんは私(・)と特訓するんだよ?そっちこそどっか行ってなよ」

 

「俺も春香に特訓してもらいたいんだが……」

「なっ……」

 

やっぱりISに詳しい人に教えてもらいたいし……。春香は親しみやすい所もあるからな。

 

 

「いいだろう。そこまで言うなら私と勝負だ!!」

「いいよー、何で戦おうか。勉強?それともIS?」

 

 

そう言ってニコッと笑った春香に悪寒を感じた。

完全に勝つ気満々だ。

 

 

「いいや、剣道でどうだ!!」

 

箒も勝ちたいからか、勝てる競技を選んできた。

箒は剣道の大会で全国一位の実績をあげている(新聞で見た)。

 

「剣道?何それ?」

「竹刀って言う竹で出来た剣を使って戦うスポーツだよ」

「ちょっとくらいハンデも無いとつまらないか。

じゃあそれで勝負しよう」

 

 

もうすでに勝負は始まっている。という状況を初めて見た気がする。

 

 

 

◇

 

そんなこんなで剣道場です。

 

春香は剣道のルールがわからないので、細かい決まりを無くし、

先に面、胴、小手のいずれかに有効打を与えた方が勝ちという特別試合になっている。

 

しかしどう考えても初心者の春香が熟練者の箒に勝てるとは思えない。

 

 

 

「春香……と言ったな。ふざけているのか?」

「え?何が?」

 

「そんな適当な構えで私を倒そうとしていることだ」

「適当じゃないよ。大マジ」

 

 

竹刀を構えている箒に対し、春香は腰を落として竹刀を右手でしなやかに前に出した。

 

 

左手は後ろに構えている。

その様子はイギリスの騎士(ナイト)が細剣(レイピア)を構えているかのようだった。

 

 

「いいから始めようよ〜」

「ふっ、いいだろう。引導を渡してやる」

 

 

 

なんだその悪役めいたセリフは。

と思ったが、審判を任されていたので開始の合図をする。

 

 

 

「それじゃ〜……始め!!」

 

 

「でりゃぁぁああ!!」

 

箒はいきなり踏み込んで面を決めようとする。

アイツが転校してから剣道はしていなかったが、動きのキレの良さは一味違う。

 

 

 

だが春香は竹刀を前に構えたまま、90度体を時計周りに回転させて一歩後ろに下がった。

その必要最低限の動きだけで面を狙った攻撃を躱す。

 

 

「なっ!?」

 

「ふぅーん。あんまり凄くないね」

「このっ!!」

 

箒もすぐさま振り返り、面を再び狙うため振りかぶる。

 

 

春香も先ほどと同じように躱すが、実力者を相手に同じ手は何度も通じない。

 

 

完全に面を狙ったと思われた攻撃は振り下ろす瞬間に軌道をずらし、竹刀を横に寝かせた胴への動きに変わる。

 

 

 

 

しかし、それから数秒の間に箒は竹刀を落とされ、喉元に竹刀の先を突きつけられていた。

 

 

 

確かに剣道であれば、胴を狙った見事な一閃で勝負は決まっていただろう。そう、本当の(・・・)剣道であれば(・・・・・・)。

 

これは剣道ではなく、竹刀を使った試合。ただ打突部位が剣道と一緒なだけ。

実際に春香の構えは自己流で、面への攻撃は普通受け止めるものだ。

 

 

 

だが、春香は攻撃を受け止めず躱したため、まだ竹刀を使える。

腹部にきた攻撃に対し、その根元、箒の手首に胸元で構えた竹刀の柄で思いきり打ち付ける。

 

防具があるため手に痛みはほとんどないはずだが、春香の滑らかな攻撃により握力が緩み、箒の手から竹刀が滑り落ちた。

 

 

そして少し前のめりになった箒に竹刀で一突き……だが実際に突いたわけではなく寸止めだ。

 

 

 

「あっ!しまった。面か胴か小手を狙うんだよね?」

 

 

完全に硬直していた箒に「め〜ん」と気の抜けた声で、パシンッと面を打ち、試合は終わった。

 

 

「こんな試合は無効だ!!剣道を侮辱している」

「じゃあ剣道のちゃんとした試合なら勝てたの?もしこの竹刀が本物の剣だったら、今ごろ遺言を残すお時間だったんだよ?」

 

 

春香の言うことは至極真っ当だ。

試合でも待ったは存在しない。剣も落とされた箒の負けである。

 

 

しかも剣を落とさせる際に、柄ではあるが小手も決めている。事実上の二本先取だった。

 

 

「まあ、ちょっと大人気なかったかな〜。じゃあもう一回やろっか?」

 

「くっ、いいだろう。こんなふざけた輩に負けるなどありえない!!」

 

 

 

箒はそう言っているが、春香の実力を知った今ではこの結果は当然だと思った。

 

 

 

すると箒は呼吸を整え出した。

おそらく篠ノ之流奥義の一つ、「零拍子」を使うつもりであろう。相手の静を崩壊させるほどの強い動で攻める、文字通り必殺技と言える。

 

 

 

一方春香は、今度は帯刀した状態。

その揺らぎの無い姿は、まさしく武士と見えた。

 

 

春香が息を吐ききり再び吸い始めた瞬間、箒が動いた。

俺が小さい時、いや これまでに見たどんな技より速く、鋭い攻撃だった。

(ただし千冬姉を除く)

 

 

 

その強襲に少し驚いたような反応を見せたが、即座に立て直した。

帯刀した状態で、前傾姿勢になり箒の左側へダッシュ。

 

 

 

「くっ!!」

 

 

箒はすぐさま振り向いて、竹刀を構える。

 

 

 

「なっ!?消え…」

「胴っ!!」

 

 

 

箒は何が起きたかわかっていなかったようだが、もちろん審判をしていた俺にはわかる。

 

 

自分の左に相手がダッシュしたら、当然反時計回りに敵を見つけようとする。

 

春香は箒の左にダッシュした後、即座に方向転換した。

 

 

箒が振り向くスピードに合わせて、相手の回転に合わせて再びダッシュ。

 

 

 

結果、箒の左後ろをキープしたまま移動し、箒に消えたと思わせてから、胴を決めた。

 

 

 

もしかしたら、春香は意表を突いたり、相手の裏を取ることに長けているのかもしれない。

 

 

家では甘えん坊の春香を敵に回すとヤバイということをしっかりと脳に焼き付けて、さっきは忘れていたが「一本!!」と言っておく。

 

 

 

「はい、おしまい」

 

「いや、こんなのは認めない!!」

 

 

 

もう既に春香は防具を外していた。

 

「ふーん、武士道が聞いて呆れるなー。まぁさっきの技以外に奥の手があるならやってもイイけど」

 

 

 

篠ノ之流に攻撃系の技はない。

 

零拍子でさえ攻撃系の技ではなく、ただ距離を詰めるだけなので移動系に分類される。

 

 

 

「一夏おにいちゃーん。じゃあ行こっか」

 

「おい、春香。箒は……」

 

 

 

そこまで言った所で春香が俺に近づいて囁きかけた。

 

 

「ここは一人にしてあげようよ。

私もついついムキになっちゃったし」

 

 

 

本気を出した、と言わないということは本気ではないのかもしれない。

 

 

 

「じゃ、部屋に戻ろっか」

 

「あぁ……そうだったな。今日から寮か……」

 

 

事前に千冬姉から聞いていたが……

 

 

 

おそらく唯一ゆっくり出来る空間に向けて歩き始めた。

 

 

 

◇

 

 

「あれっ?俺の部屋ってどこだろう」

 

「私も聞いてなーい」

 

 

 

合格が決まったばかりの春香が知らないのはともかく、俺まで知らないというのはおかしい。

 

 

とりあえず『魔王(ちふゆ)の部屋』へ行ってみた。

 

 

 

 

「うわっ!?汚っ!!」

 

 

ドアを開けるとその部屋にはゴミ、ゴミ、ゴミ。

 

 

……千冬姉が座れているのが奇跡的に思えた。

 

 

 

「おお、織斑兄妹、いい所に来たな」

 

 

「「ナ、ナンデショウカ」」

 

 

声が裏返ってしまうのは仕方がない。

 

 

「鍵を渡しに行く手間が省けた。ほら」

 

「おおっと」

 

 

飛んできたのは二つの鍵。

 

 

「ありがとうございます……

ってどっちが俺のですか?」

 

 

「馬鹿者、ちゃんと部屋番号を見ろ」

 

 

二つの鍵には両方1025という番号。

 

 

これは……もしかして………

 

 

 

「もしかして、お兄ちゃんと相部屋?!」

 

 

覗き込んでいた春香も同じ感想を抱いたらしく、尋ねた。

 

 

「あぁ、そうだ。

織斑兄はともかく、織斑妹と相部屋にして安全なルームメイトはなかなかいないだろうしな」

 

 

 

普通は逆なのでは……とは言わない。

 

実際に春香の天然についてこれる人はなかなかいないし、第一100%迷惑をかける。

 

 

「織斑兄、だからと言って妹に手を出すなよ?」

 

 

「そんなわけないでしょう!!」

 

 

 

逆ならありうるが……

 

 

「お兄ちゃーん。早く部屋行こうよー」

 

 

この時は部屋に戻ってから特訓を始めるなんて思ってもいなかった。




最後まで読んでいただきありがとうございます。


今から練習試合なので感想遅れます。
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