一夏と白の騎士の物語   作:上腕二十二頭筋

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どもっす。

なんだかんだこっちばかりを更新してしまう。
すごい書きやすいんだよなー、こっちは



ちょっと最近あった話を

学校で将来の仕事(進路的な)を考える時に、ノリで「俺、作家になるわー」って言ったら「お前は理系やろが」と言われました。ちゃんちゃん

こんな理系人の書く文章ですみません


ISが起こす奇跡

時は経ち、代表決定戦の日

 

 

「なぁ、春香」

「何?お兄ちゃん」

 

「この一週間、俺もお前もISに乗らなくて大丈夫なのか?」

 

 

『乗る』という表現はまずかったか……っと後から思ったが、幸い怒らずに質問に答えた

 

 

「大丈夫大丈夫。負けないから」

 

おそらく春香は、ISをパートナーとして見ているのだろう。

 

馬に乗るとは言っても、馬を使うとは言わない。動かすという表現も適切とは言えない。

 

 

それより、春香の自信はどこから来るのか聞きたい。

 

 

 

「お、織斑君〜〜。イタッ!!」

 

慌てすぎた山田先生が、むぎゅぅという音を出して転んだ。

 

 

「お、落ち着いて下さい。山田先生」

 

「き、来ましたよ。織斑君の専用IS!!」

 

 

そう言って運び込まれたのは、一機のIS

 

 

「これが織斑君の専用機、『白式(びゃくしき)』です。」

 

 

『白式』と呼ばれるその機体に春香が近づき、優しく触れた。

 

この一週間良く見せた、昔を懐かしむような表情。

しかしこのISにはこれまでとは少し違う、複雑な表情を見せていた。

 

 

「春香……?」

「あぁ、ゴメンね。この機体イイなって思っただけだから」

 

 

その言葉の裏にはさまざまな意味が含まれているように思えたが、その言葉の真意まではわからない。

 

 

「時間がない、織斑兄。さっさと最適化を済ませろ」

「千冬お姉ちゃん。ここは私が先に試合やろっか?」

 

 

山田先生に促されながら、最適化を始めていた俺は目の前に表示された『最適化終了まで:約10分』という文字を見ていた。

 

おそらくこの状態で戦っても、あまり本来の性能を発揮できないのだろう。

 

 

「織斑兄。最適化が終わるまでどれくらいかかる」

「10分程度だと思います」

 

 

「それまでに決着がつけられるか?アリーナの使用時間には限りがあるからな……」

 

 

 

次の瞬間、一瞬で空気が凍りついた。

「やだなぁ、5分もあれば勝てるよ」

 

 

 

まるで一週間前にオルコットに対して怒った時のような雰囲気。

 

剣を握った千冬姉と同様、またはそれ以上の気迫を感じた。

おそらく春香は既にやる気満々だ。

 

 

 

「……よし!行ってこい、春香」

 

 

春香の自由さが移ったのか、ここに来て千冬姉が学校の中なのに春香と呼んだ。

 

 

「よく見ててね、お兄ちゃん。ISとの戦い方を」

 

ISとの戦い方と言うことはオルコットは頭数に入れて無い気がする

 

 

「打鉄さん!行くよ!!」

 

この一週間、毎日放課後に整備室に行っては展開し、会話をしていた春香の相棒は、毎日の整備によって太陽の光を反射するほど輝いていた。

 

 

 

「あらあら、先に妹さんと勝負するということでよろしいのかしら?」

「そうだよ。お兄ちゃんの最適化までの時間稼ぎ」

 

「でしたらハンデの一つでもつけましょうか?」

「そうだね……じゃあそうしようかな」

 

 

まさかあれだけの啖呵を切っておいて、今さらハンデをもらうのかよ!!っと思い、ギョッとした。

 

 

 

春香は高度を落とし、着地して言った。

 

 

「今から3分間、私は飛ばないからせいぜい頑張ってね〜」

 

 

ハンデというのはオルコットに対する物だった。

確かにどちらに付けるかは言っていなかったけど……

 

 

「あなた!?私を侮辱してまして?」

 

「私に勝てたらいくらでも撤回してあげるよ。

まあ、今のオルコットさんには(・・・・・・・・・・・)ムリだろうけど」

 

「くっ!イイですわ。そこまで言うのでしたら私の操る『ブルー・ティアーズ」に踊りなさい!!」

 

 

 

ブザーが鳴ると同時に、オルコットが銃を構え、発射した。

 

春香は飛ばないと言っていた。すなわち遠距離攻撃で対決するつもりだと言うことだろう。

 

 

 

しかし、春香の手には近接ブレードが一本握られているだけ

 

何かのテレビで『打鉄』は防御能力が高く、換装装備(パッケージ)が多いというのは見た(ことがある気がする)。

 

 

にも関わらず射撃系武器を装備するつもりも無いらしい。

 

 

「せいっ!!」

 

 

下段に構えた剣を斜めに振り上げ、命中するはずの光の塊を四散させた。

 

 

「ほらほら、あと2分30秒だよ?」

 

「余裕綽々としていられるのも今のうちですわ」

 

 

 

オルコットの装備の一部が本体から離れ、白式の視界にディスプレイが表示される。

 

 

 

『イギリス製BT兵器、《ブルー・ティアーズ》』

その名前と共に小難しい機能や性能比が書かれていたが、いろんな情報をたくさん並べられても理解できるのは名前とBIT(ビット)の兵器だということくらいだ。

 

 

 

4機のビットが、複雑な軌道を描きながら移動し、レーザー攻撃を開始する。

 

 

「さあ、踊りなさい。セシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる円舞曲(ワルツ)で!!」

 

 

春香は8時の方向から飛んでくる光線を躱すが、オルコットの空間を上手く利用した上からの急角度の攻撃までは避けれないと判断したのか、片手長剣で斬る。

 

 

一方からの面としての攻撃なら防げそうな気もするが、二次元ではなく下から以外の空間全てに意識を割かなくてはならない。

人体の仕組みにも精通しているのかは知らないが、関節が曲がらない場所、そして意識から消える場所を正確に狙える技術は、本人の性格はともかく技術は大したものだ。

 

 

白式のおかげでそのことがわかるのだが、おそらくあの中に放り込まれても春香のような滑らかな回避は出来ない。

 

 

 

「織斑さんの動きはいつ見てもスゴイですね〜」

 

モニターを見ていた山田先生が感嘆していた。

 

 

「山田先生は春香の入学試験を見たんですか?」

 

すると今度は頭をポリポリと書きながら答えた

 

「ええと……、私が織斑さん……春香ちゃんの試験官です。

その時も開始してから3分飛ばないルールを提示してきたんですよ」

 

「それで……?」

 

「3分で5、6弾しか当たらなかったうえに片手剣の『葵』の一撃で負けちゃいました。

打鉄にそれほどの攻撃力はないはずなんですが……、もう一度やるのはちょっと……。

技術もかなり優秀だったので再試験の必要がないと判断されたそうです」

 

山田先生の声のトーンが落ちていることから、相当なトラウマになっていると思われる。

 

 

 

「試験が終わったあとも織斑先生がそのことについて熱く語ってたんですよ」

 

 

視線をふと千冬姉の方に向けると、気のせいか黒いオーラが出ている気がした。

 

「織斑先生が妹の自慢をしているのを見ているとやっぱり姉妹なんだなーと実感しますね」

 

「山田先生、ちょっとこちらで機器の調整を手伝ってもらえませんか。」

 

 

ついに千冬姉が動いた。

 

 

「え、でもそっちはろうか……「来てください。」……ハイ」

 

カリスマスキルA+は山田先生に話をさせない。

そして山田先生と部屋を出る。

 

 

………

 

 

………

 

戻ってきたのは千冬姉、ただ一人だった。

 

 

「千冬姉……山田先生は?」

「織斑先生だ、馬鹿者。

山田先生なら………仕事が入ったそうだ。」

 

これ以上の詮索はしない方がいい。そう感じた。

 

 

 

俺が再び視線をモニターに戻すと、戦況に大きな変化が訪れていた。

 

戦況の変化、それは春香の動きが一気に小さくなったことだ。

 

先ほどまでは被弾までに大きな余裕があった。だが今度は出来るだけ動かない最小限の動きで、上体を逸らして剣を当てるなど危なっかしい対処も数多くあった。

 

それでも間に合わずに何発かは着弾するが、硬直せずに動き続ける。

 

 

状況が悪化した理由、それは単純に一弾一弾の間隔が狭くなったことにある。

 

もちろん頻度があがった分 命中度は下がり、ビットの移動に充分な時間が取れない上に、エネルギーチャージもすぐに必要になる。

 

 

だが、その分春香に何発も与えることができるというメリットがある。

 

 

ビットにエネルギーを入れるために一度銃撃が止むと、春香が口を開いた。

 

「あと30秒。う〜ん……3分って長いねー。ちょっと調子に乗り過ぎたかも……」

 

「あら?今更泣いて謝っても許しませんわよ?」

 

「勘違いしてない?そのブルーティアーズさんがいなかったらこんなに接戦にならなかったんだよ。

オルコットさんの力だなんて思わないでね?」

 

「なっ!?」

 

 

試合前に感じた印象は間違いでは無かったようだ。

 

「私が……いや、私たちが戦っているのは貴女(あなた)じゃない。ブルーティアーズさんと戦っているんだよ。

オルコットさんはブルーティアーズさんの力を自分のものと錯覚している。そんな人に、私は負けない」

 

 

春香の決意に呼応するように、白式がわずかに白く発光した気がしたが、それに気づく間もなく 光は空気へと溶けていった。

 

 

 

再びオルコットのビットが機体から離れ、春香を取り囲むようにビットが位置づける。

 

再びマシンガンのような頻度で、ただし四方から飛んでくるレーザーを防ぎ、躱すと言った工程の繰り返しが始まった。

 

 

何度目かの攻防、今度は春香もリスクを背負った。

 

剣を手に握ってはいるものの、連続で飛び交うレーザーをすべて(・・・)回避する。

 

 

何弾かを剣で防ぐのではなく、回避のみに集中する。

先読みして飛んできた回避不可能の光の弾は、無理やり体を捻り、片手長剣で防御する。

あと10秒。

 

 

そう思った瞬間、目の前にウィンドウが表示された。

 

【最適化が完了しました。これより一次移行を開始します。】

 

 

体全体が暖かい何かに包まれるような感覚と共に、視界が白い光に覆われた。

 

 

十数秒が過ぎると、光が収まって視界も元に戻る。

 

【一次移行:完了。白式、再起動します】

 

 

今度は装甲のみーーー顔と腹部を残して、再び光を放った。

 

 

「なんなんですの!?あなたの機体は!!」

 

 

まださっきの光で視界が霞むが白式のモニターでアリーナの様子を観ると、こちらも白い光がアリーナの中央に鎮座していた。

オルコットのレーザー攻撃は白い光に吸い込まれるように入って行くが、命中した時の爆発音は聞こえない。

 

 

「まさか……一次移行?そんなことが……」

「ちょっと違うかな、う〜ん……相互移行(ツイン・シフト)って呼ぼうかな」

 

 

相互移行、おそらく今俺が行っている一次移行のようなものであると考えられる。

 

現在も春香の機体は白く光っており、顔はみえない。

だが、声から察するに笑っているような気がする。

 

 

「レーザーでダメならば、これでどうですか?」

 

 

オルコットの機体から2機のミサイル、前のビットと似た軌道を通って飛んでくることから、あれらもBT兵器なのだろう。

 

 

飛んできたミサイルは完全に命中する距離まで来ていた。

だが、光の刃とも言える斬撃がミサイルを斬り裂き、同時に春香を覆っていた光も消え始める。

 

 

「本当にブルーティアーズさんが可哀想だね。まったく」

 

 

春香は一つため息をついて続けた。

 

「ブルーティアーズさんには悪いけど、この程度のミサイルならあと2339本あっても足りないんだよね」

 

 

光が完全に収まった瞬間、おそらくこの試合を見ていた全員が目を見開いた。

 

 

打鉄のフォルムが華奢になり、

まるでそこだけ空間を切り取ったような純粋な白に青のラインが入ったカラーリング。

 

そして片手長剣だったはずの刀の峰にもう一本、非実体の

プラズマブレードをくっ付けたような大型両手剣。

 

 

その姿は……まるで………

 

 

「白……騎士……」

 

呟いたのは千冬姉かオルコットか観戦している誰かなのか、

または俺自身なのか、今は亡き山田先生なのかは俺にはわからなかったが、確かに聞こえた。

 

 

しかし、その姿は教科書の資料で見たような完全な白騎士ではないような気がした。

 

白騎士の装甲は顔まで隠していたし、大型両手剣も完全なプラズマブレードで、片刃ごとに違う刃を持っているということはなかった。

 

「見せてあげるよ、ISの真の力を」

 

 

俺にとっては今の言葉の中のISが、特訓初日に言っていたイマジネーションとシンクロであるように思えた。

 

だが、その真偽を知るのは春香しかいない。

 

 

 

相互移行(ツイン・シフト)

私が持つ白騎士のコアと打鉄さんのコアを同調させ、白騎士の記憶を蘇らせる、ISが起こす奇跡。

 

 

でも私が持つコアは半分、よって完全な再現は出来ないらしい

 

 

でも、白騎士(わたし)の愛剣、『白雪(しらゆき)』を握った時には10年前との違和感は全くなかった。

 

どうやら、『白雪』も半分しか呼び出せなかったようだが、もう半分を打鉄さんの『葵』のパーツで補ってくれた。

 

 

この姿はもはや白騎士の物ではない。

 

打鉄(うちがね)さんの助けがなければ私の力も出せなかった。

 

 

私、白騎士の力と打鉄さんの力。

この姿はさしずめ『白鉄(しろがね)』。

 

銀色を表すその名前、我ながら気に入った。

 

 

打鉄……いや、白鉄さんも気に入ってくれているといいな

 

 

ちょっとオルコットさんにはお仕置きと言うか、今までISを物扱いした借りを返さないとね。

 

 

「見せてあげるよ、ISの真の力を」

 

ISの真の力。それは信じる力を発現させることができることだ。

 

信じる力は不可能を可能にする。

例えば、人と同じような手と足があれば……と願うことで人の姿を得たり、狭い研究所の中から自由になりたいと願うことでとある家の庭にたどり着いたり。

 

 

それも生半可な願いではなく、強く願うことが必要。

 

 

 

だが、ISの学習能力なのかは知らないが、私はもう慣れた。

わかりやすく言うと、私はコツを掴んだ。

 

 

つまり、やろうと思えばISのコアに戻って再びこの姿になることもできるだろう。

(戻れる確証がないからやらないけど)

 

 

そして、研究所から出た時に起きたテレポート現象、名付けて瞬時移動(イグニッション・ムーブ)

 

体に負担がかかるため、二度以上の使用は出来ないが、一時的にではあるが常識を覆すことができる。

 

 

それを発動させるべく、私は息を深く吐いた。

 

 

 

 

春香が自分で自分の姿を見ていると、ようやく立て直ったオルコットがビットを動かし出す。

 

 

「そのような姿になっても、この攻撃を躱すのは不可能ですわ‼︎」

 

 

ビットによる4方向からの同時……いや、微妙にタイミングが異なる銃撃。

 

 

確かに全てを躱すことは不可能。

ただし、防ぐことならできる。今までと同じように剣でガードすればいいだけだ。

 

それでもシールドエネルギーは少し減るし、剣が大型になったことで剣の振りがさきほどのコンパクトな動きは不可能。

 

 

だが

 

 

春香の姿が一瞬で消え、オルコットの砲撃は空を切る。

当たるはずの弾丸は回避不可能なように発射されているため全弾命中はもとよりムリなのだが、一発は春香がいた部位を射抜く。

 

しかしそれは残像。まっすぐ虚空の空へと消えていく蒼き光。

 

そして白き輝きがオルコットの後ろから放たれる。それは春香の機体だった。

 

 

たとえISの力だとしてもその力は相手もISである以上、圧倒的な試合ではないはずだ。そう、今までは。

 

しかしオルコットのレーザーの弾道すら見えるセンサーが春香の姿を視認出来なかったと言うことは、レーザーより速いか、それこそテレポート的現象を引き起こさない限り不可能。

 

 

そしてプラズマブレードの非実体部分を下にした状態で上段に構え、肩の装甲めがけて振り下ろした。

 

 

無音の斬撃。その凄まじい剣速とは裏腹にオルコットには傷どころか衝撃のようなものも受けていないらしい。

 

 

だが、次の瞬間にブザーが鳴り響いた。

《試合終了。勝者、織斑 春香》

 

 

一撃しか食らっていない機体と、相互移行により変形した機体。

 

 

お互い表面に傷を残さぬまま、試合は終結した。

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。

次の更新はいつになることやら(汗)


じゃあねー、バイバイ
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