一夏と白の騎士の物語   作:上腕二十二頭筋

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久しぶりでっす。

いや〜、なかなか書き進まなくてこんなに投稿遅れました。
やはり学業と執筆?の両立は難しいらしいので、しばらく書き溜め期間にしようと思います。再開は未定です。どうかご了承ください。


これが上腕二十二頭筋クオリティ


一閃

「織斑妹、聞きたいことは山ほどあるが、まずはその機体について教えてもらおう」

 

 

帰ってきた春香を迎えたのは鬼の一声だった。

 

その機体……と言うのは途中で変化した打鉄のことを言っているのだろう。

 

「白鉄さんのこと?この子は白鉄さん。

ISの自己進化能力により産まれた奇跡の機体………って書いてあったよ?」

 

 

確かにISに自己進化能力があるのは聞いた(春香から)

そして奇跡という割には、春香は試合中も落ち着いていた気がする。

他の人、あの千冬姉ですら驚いて見せたにも関わらずだ。

 

さらに、春香はまるであらかじめ相互移行(ツイン・シフト)が起きることを予想していたかのようだった。

 

 

 

「……私の思い違いか?てっきりあの(・・)コアは……」

 

千冬姉は、そう言って俺の方をチラリと見た。

 

その声は独り言のようで 普通なら誰も聞こえないが、流石はISと言うべきか、わずか2、3メートルの距離の俺には聞こえた。

千冬姉がそんなことに気づかなかった所もらしくない。

 

 

『あのコア』

コアというのはやはりISのものだろう。

だがわからないのは『あの』が指す意味と、俺の方を見た意味だ。

 

 

いつの間にか一次移行が終わっており、白式は白鉄なるISとよく似た色質の機体に変化していた。

 

唯一の男性操縦者のための特別なコアがなんらかの手違いで白鉄に組み込まれてしまったのだろうか。だとしたらどうして学園の予備機に組み込まれたのか。

 

春香の機体の現象が普通ではないのはわかる。しかし俺との繋がりが見当もつかない。

 

 

 

どうやら考え込んでしまったようで、いつもの口調が戻った千冬姉が話しかけるまで考えに集中してしまった。

 

「織斑兄。まだ次の試合までは時間がある。一度ISを解除したらどうだ?」

 

 

オルコットの機体のエネルギー注入と調整のための時間なのだろう。まあ元々は俺の一次移行のための時間でもあるのだが、こちらは予想より5分も早く終わってしまった。

 

PCとかでデータをダウンロードする時に予定時間より早く終わる場合もあるからそんなもんかと思うと同時に、ISほどの精密で高性能な機器が予定時間の半分で終わるなんてことがあるのかなぁ、と違和感も感じた。

 

 

とりあえずISを解除する。

一瞬の浮遊感と共にISが消え、俺は降り立った。

 

あれっ?気がつくと春香がいなi…「お兄ちゃーーん」……なぬ

 

 

とっくに白鉄の解除を済ませた春香が後ろから抱きついてくる。さっきの試合といい、春香は後ろから攻めるのが好きらしい(別に他意はない)

 

 

問題は現在の体勢と格好だ。

体勢は言うまでもないだろう。さらに俺らの格好はISスーツと呼ばれるもの。

ISスーツがマニアの間で大人気の代物である理由は、わずかしか流通していない旧式スク水によく似ているからだ。

 

 

そのことがどうして俺にとって良くないかって?この状況になればわかる。

まずい、色々まずい。押し付けられた二つの丘が俺を惑わせる。何も考えられない 助けて、ねえ助けてよ。

 

 

 

「お兄ちゃん」

 

いきなり耳元で囁く春香。吐息が耳にあたる

 

「願って、あなたが望むものを。

その望みにきっと白式は応えるから」

 

 

その声を聞くと、自然と思考が停止する。

なぜ春香がそんなことを言うのかとか、白式のことは呼び捨てで読んでいることとか。

それらの謎が頭の中で縮むように消滅していくように感じた。

 

 

「新婚のバカップルか、お前らは」

 

何だと!?千冬姉からそんな言葉が出るとは

いつまでたっても結婚しようともしないくせに……

 

そこまで考えた所で出席簿が喉元に突きつけられる。

ハイ、すいません………。

 

 

「ん?つまりお姉ちゃんがお義姉ちゃんになるってことで?んん?」

 

それでも春香の天然には勝てない。

 

 

 

「これでお兄ちゃんが負けたらデザート3つね?」

 

「じゃあ俺が勝てばいいんだな?」

 

「え〜〜。そしたら祝勝会しようよ〜〜」

可愛い妹の頼みだ。仕方ない

 

 

 

「織斑兄、出番だ」

 

おそらくオルコットの準備が終わったのであろう。

春香風に言えば、俺がISと共に戦う初戦(ファーストマッチ)だ。

 

 

「あれっ?そう言えば白式はどこだ?」

 

よく考えたら、白式を解除してしまった。

さっきまではいい感じに盛り上がっていたのに、キョロキョロと白式を探す姿は滑稽であると我ながら思う。

 

 

「馬鹿か、お前は。解除したISは待機状態になると学んだろうが」

 

 

そう言われてみればそんな気がした。

第一、春香に『見て見てー』と髪飾りを見せられた覚えもある。

 

 

右手に見慣れぬガントレットらしきものが付いていることから、これが白式の待機状態なのであろう。

 

 

望む。あいつに勝つための力を。

 

望む。誰かを守るための力を。

 

望む。俺が俺であるための力を。

 

 

そして一言、呟くように声に出した。

「来い。白式!!」

 

 

 

「あらっ?逃げ出したのかと思いましたわ」

「ここで逃げたら男が廃るってもんだろ?」

 

 

虚勢だ。勝てる気なんて全くしない。

 

 

 

でも

 

よく知った誰かが俺の背中を押してくれるような感覚。それだけで俺は戦える。

これが白式と共に戦うと言う感覚なのだろう。

 

 

ブザーが鳴ったが、お互い動かぬまま。

 

「ISに乗ったこともこれが始めてなのでしょう?そんな相手に私が「黙れ!!」

 

 

「ISで戦うんじゃない。ISと共に戦うんだ」

 

自分でもなんでこんな言葉が出たのかわからない。春香の思考が移ったのか、白式の意思が移ったのか、あるいはその両方かもしれない。

 

 

「始めよう、これ以上は話すだけ無駄だ」

「くっ、なら貴方の言うとおり始めましょうか! !」

 

 

オルコットは前の試合と同様、始めに狙撃銃(スナイパーライフル)で、俺に向って放った。

すると体が自然に反応し、剣を呼び出して防いだ。

 

 

(速い!!)

 

春香が軽々と避け続けたこともあって楽観視していた。

そう、あいつもあれでイギリスを代表する生徒なのである。

 

 

「展開速度はなかなか、反射神経も良い。

なるほど、一週間の猶予でさぞかし頑張ったことでしょう。

貴方が初撃を防いだことに免じて、全力でお相手しますわ!!」

 

 

今の俺には射出されたビットを全弾回避など夢物語だ。

だったら最初にやることは一つしかない。

 

俺は最も近いビットめがけて飛行し始めた。

 

 

 

「一夏………」

 

始めて乗るはずのIS。それを見事に使いこなす弟。既に相手のビットを2機破壊している

私の弟なのだから無様な負けは許さないが、ここまで奮闘しているのは予想外だ。

 

 

遺伝子的にISに向いているのか?それとも親友でもあるアイツの仕業か?

あるいは弟の指導をした彼女の手腕のためか

 

幸い……というべきか、ここには私と彼女の二人のみだ。

 

 

「春香。お前は一週間の間に一夏(アイツ)に何を教えた」

 

すると頬を赤らめ、その頬を両手で包んで口を開いた。

 

 

「そこから先は禁断のあi「さっさと本当のことを言え」……ちぇ」

 

彼女はコホンと口調を整え、真剣な眼でモニターを眺めて再び口を開いた。

 

 

「って言っても私が教えたことはあまり無いんだけどね」

 

「嘘だ。他人の教えも無くあの愚弟(バカ)があれほど競った試合ができるはずが無い」

「愚弟って……」

 

 

彼女は少し微笑したが、再び口調を戻した。

 

「私が教えたのは勝つための練習方法。それを自発的かはともかく一週間やらせたんだよ」

「その練習とは……?」

 

 

 

「私が必要だと思ったのは、イメージの強化。例えば……ほら」

 

 

すると、話にあった弟が急停止、急発進をして銃弾をかわす。

 

「これは彼の考えるトンボの動きの再現」

 

 

鷹や雀などの動物からなる複雑な動き。

渦や矢の動きのような曲線運動、直線運動もこなしていた。

 

 

そしてそれを予知しているように何の動きなのか解説する妹。謎は減るどころか増える一方だ。

 

 

「あ〜……それと、お姉ちゃん」

 

 

収納する余地の無いISスーツを着ているにも関わらず、どこからかシャーペンを取り出し

 

「お姉ちゃんでもお兄ちゃんを馬鹿にしたら許さないよ」

 

 

私は動かなかった。動けないのでは無く動かなかった。

声は真剣そのものだが、殺気がない。故に動く必要はなかった。

 

 

「フン、冗談の一つも通じるようにしなくては嫌われるぞ」

「お姉ちゃんこそもっとそれらしい顔をしないと嫌われるよ」

 

 

ピットの中はどす黒い空気に包まれた。

 

 

 

 

(さぶっ!!)

 

3つ目のビットを破壊した時、とても良くない悪寒が背筋を撫でた。

 

実際には何も起きなかったが、なんというか……修羅場という言葉が脳裏によぎった。

 

 

(うん、ここからが修羅場だな。うん)

 

そう無理やり納得させるが、どちらかというとオルコットの逆、俺のピットの方から感じる気がする。

 

 

だがここからが修羅場なのは事実だ。

もう一機のビットを壊して、オルコット(あいつ)に突っ込まなくては意味がない。

 

 

そして途轍もないほどシールドエネルギーが減っている。

ちょっと目を離すと全体の2割くらい減ってる。そんなにダメージ大きそうじゃないのにな。

 

残量は3割、いや2割半って所か

こうなったら………

 

「一か八かだぁぁああ!!」

 

 

もう一機のビットはそのままに、俺はオルコットに向かって突撃する。

 

おそらく自分の動きとビットの動きの分別が難しいのだろう。ビットを動かしていたオルコットが完全に停止する。

 

しかし、オルコットはすかさずビットをホバリング状態で停止させ、狙撃銃をこちらに向けた。

鳴り響く警報。それをガン無視して突っ込む。

 

だが、距離が足りない。まだオルコットまで5メートル近くある。ここで銃撃を受ければ態勢の崩れた所に2、3発叩き込まれて負けだろう。

 

 

オルコットが引き金を引く。その瞬間に俺は剣をオルコットの方へと突き出した。

 

正直言って何も考えてなどいなかった。ただオルコット本体に偶然でも一撃を与えて一矢報いたかっただけの攻撃。

 

 

そして

 

オルコットの銃弾(レーザー)

 

 

あろうことか俺の剣先に当たって四散した。

 

 

何が起きたのかわからなかった。そして理由は一瞬後に判明した。

 

 

オルコットの狙撃銃は1メートルはある大型のものだ。そして俺は剣を突き出した状態。

 

俺の腕の長さに雪片弐型の長さを足せば二メートル弱。

 

 

つまり砲身から俺の剣先までさほど距離はなかったのだ。

 

俺の方へ向けられた弾は雪片の刃に覆われ、四散したというわけだ。

 

 

そこまで考えている間にも、スピードを乗せた突き技がオルコットの肩をかすめていた。

 

数秒前の思考とは反対に、オルコットが態勢を崩した。

その腹部の装甲を狙うために振りかぶった剣に、俺のイメージ(・・・・)を込める。

 

 

イメージする。

 

 

春香が試合で見せた空気を切り裂くような一閃を。

 

 

 

俺の渾身のイメージを込めた一撃はオルコットの装甲に吸い込まれるように命中し、

 

 

 

 

《試合終了。勝者、織斑 一夏》

俺の勝利で試合は終わった。




最後まで読んでいただきありがとうございます。


ま、あらすじにもあった通り、しばらく休止します。
時間がないので失礼!!バーイ
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