キヴォトスに朝日が昇る 作:sosprin
とある年の大晦日
東京 渋谷
普段なら人々も寝静まる深夜、しかし今日は大晦日。人々は新年を迎えるために街に出て、年の変わりを祝うため、またははしゃぐために街に出ていた。交差点には地面が見えないほどの人が集まっている。
「あともう少しで2024年だなあ!2023年も大変なことだらけだったし、来年こそはいい年になると良いな」
スクランブル交差点に集まった若者の2人が雑談をしている。
「ああ、それにしても時間が過ぎるのは早いね。ついこの間まで2022年だった気がするよ」
「おいおい、じいさんみたいなこと言うなって!」
「ははは!お前だってこの間腰痛で苦しんでいたじゃないか。お前のほうがよっぽどじいさんだっての!」
「おいその話はしないって言ったじゃないか〜…お、あと15秒だ」
他愛もない話をしていると、時間はより早く進め新年まであと15秒を切っていた。
「もうそんな時間か。カウントダウン、いくか!」
「ああ!」
人々はカウントダウンを始める、新しい年が良い年になることを願いながら。
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
「「「「新年、あけましておめで────────────」」」ピカァァァァァァァァァァァァァァァ
年越しの瞬間、突然空が光り輝いた。深夜にもかかわらず、空はもはや青色を超えて白い。地面から影は消えた。人々はその眩しさに耐えれず目を瞑る。
「なんだ!?」
「うっ…眩しい!なんなんだ?!これもイベントの催しか!?目が痛くて開けられない…」
「花火の事故か何かか──」ビー!ビー!ビー!地震ですビー!ビー!ビー!地震です
時を待たずして、その場にいる全員のスマートフォンから耳をつんざくような音が聞こえた。
「次から次へとなんなんだ!地震か!」
「震度6弱だってよ!とりあえず、伏せよう!」
ガタガタガタガタ!!
「強いな!外でもこんなに揺れるなんて!」
「家が心配だ…!」
地震大国といえど、その地方柄滅多に会うことのない強い揺れに人々は狼狽え、もはや歩くことはできない。
上から物も落ちてきて、負傷者もでていた。
その後揺れが収まり、人々は連絡や救急の為に携帯を取り出して情報を確認しようとする。
しかし、
「うーん繋がらない…」
「パンクしたのかな…」
「だめだ、どこも繋がらない。家族との連絡もつかない…」
回線がパンクし電話は繋がらず、チャットアプリに入力されたメッセージが相手に届くことはない。検索エンジンも機能不全を起こしその場の全情報が停滞した。
──────────────────────────────
突如として起こった地震について情報収集と対処を行うため普段は休んでいる深夜でも閣僚はせわしく働いている。地震は関東のみならず、日本列島全域で発生しているらしく特に中部地方の被害は甚大だった。
各地で同時多発的に地震が起こることは稀であり余震の警戒が続いている。また、各地で地震が起きたことで対処が追いつかないところも出ていた。
新年早々の大災害対応の為、省庁問わず全ての職員が各々の仕事を全うしている。内閣総理大臣小林雅治は今回の災害に関して、即座に情報の収集と救助活動の指示を出していた。しばらくして第一報が届く。
……
「総理、こちらが先程の地震の被害報告です、まだ正確ではありませんが…」
「うむ、ありがとう。しかし、奇妙だな、日本全国で同時に揺れが観測されるとは。」
「ええ、このようなことは今まで観測されませんでしたね。しかも地震の直前に空が光り輝いたという情報が」
「ふむ...どこかの施設が爆発でも起こしたのか...?空が光るほどとなると大規模事故が起きているやもしれん。消防と連携を密にしてインフラ設備の被害状況を集めてくれ。」
「わかりました。それでは、失礼します。」
内閣府職員が一連の報告を伝え終わったと同時に、外務大臣が入ってくる。外務大臣の名は藤森真二郎。史上最年少で外務大臣となった男だ。
「どうしたのだ、藤森大臣。こんな時間に。」
「はい、各国の大使館から自国と連絡が取れないとの報告がありました。今のところアメリカ、ヨーロッパ諸国、中国、韓国、中東やアフリカの一部の国から報告があがっています。また、米軍基地から演習中の複数の艦船の行方がわからなくなったと。」
「なんだと?いやしかし、それは先程の地震の影響じゃないのか?いくら対策しているとはいえ、過去最大規模の地震だ。とにかく通信の復旧をしなさい。」
災害による外交回線の遮断対策は成されてきたがそれでも完璧とは未だ言えない状況であった。
「わかりました。職員に調査と復旧作業を進めるよう手配し──」「失礼します!総理!」
外務大臣の報告中、またもや扉が開き今度は防衛大臣が入ってきた
「おお、どうした。只今外務大臣の報告を聞いているから、少し待って欲し────「申し訳ありませんが総理、本当に一刻を争う緊急事態です!」
「ああ…わかったわかった。外務大臣すまんな。方針は任せるからあとはよろしく頼む。それでは、防衛大臣、報告を頼む。」
「我が国の人工衛星、いえ、世界のすべての人工衛星の行方がわからなくなりました。」
地球周回軌道上の衛星は各機関により厳しく監視されていて、異変が起きた際はすぐに報告が入るようにされている。しかし、追跡していたはずの全ての衛星がロストし、それは日本の衛星も完全に消失したことを意味する。
「どういうことだ?ただ施設の通信機能が故障しただけではないのか?」
「はい、施設の機能は全て正常ですが、どの衛星も応答がありません。通信も行えず、現在GPS機能等国民生活と深く結びつく機能が停止。国民生活や復旧活動に深刻な支障が出る可能性があります。」
「なにかしらの攻撃の可能性はあるのか?」
「その線も捨てきれません。」
これまで受けた数々の報告を受けて、災害に漬け込んだ敵勢力の攻撃の可能性を考える。
「そうか…とりあえずインフラ被害等のさらなる報告を待つことにする。は〜…この隙に漬け込まれて攻撃なんかされちゃあたまったもんじゃないな…」
数時間後、国外へつながるすべての海底ケーブルが切断されていたことが判明、不明敵対勢力による攻撃が行われた可能性が急上昇し、総理は非常事態宣言を発令した。