キヴォトスに朝日が昇る 作:sosprin
「隊長、遅いですね…」
副隊長とのこりの隊員は調査に行った隊員らを待っていた。しかし一時間経っても戻ってこないことに違和感と不安を覚えていた。
「もしや、中でなにかあったんじゃ…」
「さすがにそれはないだろう。誰もいないんだぞ?」
「いや、事故の可能性がある。俺たちも中に入ろう。」
待機していた副隊長と残りの隊員は校庭へと向かう。するとそこに高校生であろうか、女子生徒が出てきた。あたまの上に輪っかがあり、かなりカラフルな髪色であるため皆驚くが、それを上回る衝撃が走った。
調査に行った4人が捕縛されていたのだ。しかも銃を向けられている。
「お、お前ら!今直ぐ解放しろ!」
副隊長は叫び、隊員が3人に銃口を向ける。
「不法侵入してきたのはそっちだよね?一体何しにきたの、答えて。」
「俺たちは砂嵐に飛ばされてきたんだ。街を探索している。」
「ふーん。その服装いかにもって感じだけど、どこかの企業の回し者?軍隊?」
「我々は日本国陸上自衛隊、この地の遠い東から来ました。敵対の意思はありません。」
「敵対の意思はないって…勝手に不法侵入してるんだから信じられないよね〜?本当はどんな目的?」
「本当に砂嵐のせいなんだ!遭難した!」
グッ…隊長に銃が強く突きつけられる。
「本当のこと言わないと、本気で撃っちゃうよ?」
トリガーの指が少し動く
「ほ、本当になにもする気は無いんだ…信じてくれ…殺さないでくれ…」
「う、隊長…!俺ここで死にたくないです…」
銃口を向けられた隊員は怯え、今にも泣きそうになる。
「どうしたら信じてくれますか?」
副隊長が聞く。
「う〜ん、武装解除してから拘束かなあ。こっちの言うことに従ってね~」
「わ、わかった。」
隊員等は全員武器を捨て、両手を上げる。
その後、全員拘束された。
「さぁ〜て、それで君たちについて質問したいんだけど。」
桃色の髪をした小学生とも思える少女が質問を始める。
「どこから来たの?」
「ここから砂漠をずっと東に抜けた先にある、日本って国だ。」
「国?国っていうのは?」
「あ~...この世界でいう学園みたいなもんだな。」
「(この世界...?)でも、そんな名前の土地なんて聞いたこと無いけど…二人とも、聞いたことある?」
「いえ。一度も聞いたことないですね」
「ん、しらない。」
三人は頭を傾げた
「うーん、日本っていうのはどこかの企業?」
「いや、俺達は自衛隊っていう日本の軍…じゃなくて防衛を担う組織だ。日本は◯か月前、色々あってこの世界に飛ばされてな。もともとは地球っていう星にあったんだが、まあどういうわけかわからないがそういうことだ。」
「いや~嘘もここまでくると面白いね。それでもう命はいらないのかな~?」
「ふざけてると今すぐ撃つよ」
桃髪と犬耳の二人は覚悟ができたようだ、彼らはいまにも引き金を引こうとしている
「二人共落ち着いてください!今は情報を聞き出さないと。それで、自衛隊…でしたっけ?なぜここに来たのですか?」
「資源調査だ。我が国は膨大な資源を毎日消費しててな。最近トリニティ…だっけか?そんな名前のとこと貿易が始まったが、まだまだ不足していてな。んで、資源を開発するための調査を行っていたんだ。しかし、砂嵐にまきこまれて気づいたらここにいたってわけだ。」
「資源?こんなとこにはなにもないよ。掘っても廃墟が出てくるだけ」
「そうか…、石油とかはないのか?」
「石油が掘れたら今頃こんなことになってないよ〜」
「なるほど…こちらからの質問ですが、なぜ貴方がた3人はこの学校に?あたりは荒廃していますが、ここに住んでいるのですか?」
「…それは教えられないかなあ」
「さっきあの部屋をあさったとき、借金やらなんやらの書類があった。もしかして3人で廃校阻止しようとしてんのか?」
「…」
生徒の1人が言葉に詰まる。図星だった。
「廃校から救うとは大したもんだが…たった3人なのか?そんなはずはないよな?」
「…」
「はぁ…なるほどな。どんな活動をしているんだ?」
「私達の学校は借金を抱えてるのはあなたが言った通り、ひとまずそれを返すために日々奔走している。」
「ま、そういうことだね〜」
「上が返せば良いんじゃないのか?教育委員会やら理事会やら行政やらは?学校なんだから運営する組織がいるだろう。なぜ生徒が?」
「何を言っているの?学園は生徒が運営している。だから私たちが返さないといけない」
「そ、そうか…(そんな運営をしていてなぜ成り立っているんだ…!?)...ここはずいぶんと寂れてるが、食料とかは大丈夫なのか?みたところ店すらないが」
「基本的に買い出しには行くけど、お金も借金の返済でほぼないし節約だね」
「大丈夫なのか?」
「まあ大丈夫ではないけど…」
彼らの言うには個々の環境はかなりひどいようだ。このような子供の姿は見てて悲しくなる
「そうか…一応、上に報告はしておくよ…」
「報告…何をする気!?」
犬耳の生徒から銃口を向けられる。勘違いさせてしまったようだ。
「いやいや待て待て、もしかしたら支援を取り付けられると思ってな…」
「そう言ってくれるのは嬉しいんだけど、断るかな〜…悪い大人の餌食にはなりたくないんだよね〜」
「うちの国は人道的だ。前の世界でも数々の貧困に苦しむ人々を支援してきた。」
「そんなこと言われても信じられるわけが...」
「そうか...今までずっとだまされてきたのか?」
「まあ、そうだね…」
「毎週のように襲撃に来たり、ご飯がない日もあるし…借金は309年ローンだし、辛いことは多いけど、諦めるわけには行かない」
「そうか…そうかそうか…」
自分たちよりも幼い。子供たちが騙され、日々生きるために戦っているという。学生らしい青春も送れてはいないだろう。
「そうか…頑張ってきたんだな…」
隊長は涙ぐむ。
「えっそこまで泣くこと…?」
「なんだか、そこまで悪い人たちではないようですけど…」
「そう見えるけど、一応警戒ね。そろそろ日も落ちるし彼らに教室を一部屋与えて。う~ん...シロコちゃん、縄をほどいてあげて。」
「ん、いいの?」
「まあ武器は回収したし、ヘイローもないから戦ってもこっちが負けることはないだろうからね。監視は私が学校に泊まりながらするよ。」
「わかりました」 「ん、わかった」
「じゃああなたたちはおとなしくしててね?」
「ああ...ありがとう...」
その後、隊員らは拘束が解かれ夜は空き教室で雑魚寝することになった。