キヴォトスに朝日が昇る 作:sosprin
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早朝
季節は冬真っ盛り、日照時間は短く暗い世界が続く。その為まだ空は暗い青色であり、部屋の電気をつけなければ足元がはっきりと見えない、なぜか少し落ち着く時間帯。
そんな中、寂れた学校に突如として大きな声が響いた。
「起きろ!朝だぞ!」
「うわうるさ…」
「うるさいとはなんだ、うるさいとは。もう朝だぞ?それに、こんな拘束されてる状態でよくのうのうと寝られるものだな。それで、いつまでもこうしてはいられん。学校から脱出しよう。」
「は、はあ。しかし脱出ルートなどの手がかりはあるのですか?」
「うむ。実はな、昨日数人で校内を調べ回ったんだ。そしたらこの付近の地図を見つけてな。西の方に駅がある。そこから隣町にいくんだ。隣町にいけば、通信機器などが得られるかも知らん。」
「そう上手くいきますかね…お金だってこの世界じゃ使えないでしょうし、そもそも駅に行っても電車には乗れないでしょうよ」
「そこは歩いていけばいいだろう。見てみろ、深夜の偵察グループが集めてきた物資だ。まあ、拘束された時に取られたやつだな。生憎あいつらは校内にいない。監視もないようだしな。」
「…罠という可能性は?さすがにザルすぎません?」
「そうであっても、なんとしてでも逃げ出さなければならない。明日の命の保証はないからな。生きる道は自分で切り開いていくのが俺等のモットーだろ?」
「たしかに、そうでしたね。」
「じゃあ、隊の皆も起きたことだし作戦説明だ!」
「まず、この学校には裏口がある。ここから出ると一本道がある、ここを左にずっと進むと駅があるため、そこから線路に沿って隣町まで歩くんだ。敵は今のところ観測できていない。しかし、いつどこで現れるかわからないため、朝早くの行動となる。では、準備開始!20分後に作戦を開始する。準備が終わったものは各々1階東階段の裏口前まで来てくれ。」
「「了解!」」
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20分後
「…点呼終わり!よし全員揃っているな!」
「「はい!」」
「よし!作戦は先ほど説明したとおりだ。裏口をでたら一気に駆けていくぞ。4kmだ。普段の訓練よりは楽だろう?その他変更は特にない。皆、なにかあるか?」
「「ありません!」」
「よし!いい気合だ。それではここを脱出して生きて日本に帰るぞ!作戦開始ぃ!」
ガチャ!ザッザッザッザッザッ
部隊は裏口の扉を開け、重い荷物を持ちながら走って一本道を駆けていく。駅まではここから10km、少々長い道のりだが日々鍛え上げてきた彼らにとって10kmは楽勝だ。この一帯は整備があまりされておらず、一本道の状態は悪くボコボコしていたり障害物が散らかっていたりするが、彼らはそれを易易と乗り越える。
時間が経ち、残すところ2km日が出てきて砂漠特有の日差しが少しずつ強くなってくる。しかし彼らは汗を垂らしながら止まることなく走り続けた。
「よし…皆、あと2kmだ。どうだ?楽勝だろ?」
「ええ、いつもちゃんと訓練していて良かったと思いましたよ…!自分はまだまだいけます!」
「私もまだまだいけます!」
「某も!」
「おう!お前ら!看板だぞ!駅の表記が出てきたな!あともう少しだ。気張れ気張れ!」
「「はい!」」
彼らはいついかなる時でも互いを鼓舞し合いながら訓練し、作戦を遂行する。部隊の結束力は強固なものだ。
そんな中、彼らの脱出劇を覗くものがいた。上空に一機のドローンが滞空していた。ドローンにはカメラがついている。
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駅まであとすこし、全貌が見えてきた。駅は寂れ、ところどころひび割れている。しかしこの地域のほぼすべての建造物がそうであるため、もはやなにも思わない。ただ、彼らは安堵するばかりだ。
「お前ら…!もう少しだ。ほら、駅が見えてきたぞ!寂れはいるがな!駅についたら水分補給だ!各自小休止をとったら線路沿いに進んでいくぞ!日光に気をつけろ!ここは砂漠だからな!」
「おお…もう少しか…」
「これで生きて帰れるんだな!俺たち!」
「まだ早いんじゃないか?もしかしたら追ってくるかもしれんぞ?」
「ないない、あの学校から駅まで10kmの道のりだ。さすがに追いつけはしないだろうよ」
「自転車で爆走してきたら?」
「ま〜大丈夫だろう。」
「お前ら口を動かすのもいいが足もちゃんと動かすんだぞ!駅まであともう少しなんだからな!」
そして、やっと駅にたどり着いた。太陽は完全に姿を現し、すでに地面がゆらゆらと揺れるほど熱せられている。各員は水分補給を行い、隣駅へと進むことにした。
「よし、お前らちゃんと水分はとったな?それでは次の道のりだ!隣駅までは20kmあるが、そこまで行けば安全だろう!電車は金がないから使えない。しかしそれは俺たちの根性で乗り切ろう!」
「はい!」「やってやりますよ!」「うぉっしゃ〜!」
「元気がいいな!よし作戦再か───」
休憩を終え、移動を再開しようとしたその時
ドガガガガガガガガガァン
進む予定だった道が爆発した。小型ロケット攻撃だ。上空をよく見ると小さなドローンが浮かびこちらを向いている。
「な、なんだ!?」
「もしかしてバレたんですか!?」
部隊が狼狽えていると後ろからは人影が現れた。先日部隊を撃滅し、教室に拘束したあの少女たちだ。
「君たちぃ、一体どこに行こうとしていたのかなぁ?」
桃色の髪をした少女はこちらにショットガンを向けている。撃たれたらひとたまりもないだろう。
「ん、ドローン攻撃はこれでいい?ホシノ先輩」
「シロコちゃんナイスアシスト〜!いい爆発だったよ〜」
「それで、この人たちどうするんです?私のミニガンで制圧してもいいですが、彼らにヘイローは有りませんよ?」
「うーん…まあいきなり撃つわけにもいかないしね〜」
ほのぼのとした雰囲気だが、明らかに殺意はでている。部隊は武器を構え、対抗しようとする。
「お前ら!なぜ攻撃する!我々はただ脱出したいだけだぞ!」
「え〜だって君たちおじさんたちの学校で悪いことしてたでしょー?急に侵入してきて、学校の備品やら思い出やらをごそごそと漁ってさ〜。おじさん全部知ってるよ〜深夜にこそこそして怪しいと思ったんだ〜」
「全部バレてたのか…」
「あんまりおじさんたちのこと、舐めないほうがいいよ?」
「ヒィッ…」
桃色髪の少女の目は狩りを行う獣のようで、獲物を仕留める寸前のようだ。
「最後に聞くよ?いますぐ学校に戻って罪を償うか、ここで蜂の巣にされて死ぬか、どっちがいい?」
「ホシノ先輩、殺人はいくらなんでも…」
「でも、悪い大人だよ?砂漠に埋めちゃえばなんとでも…」
どうやら本気のようだ。生殺与奪権は完全に握られている。前者の提案を呑まなければ、未来はないだろう。
「しょうがない、わかった。降参するよ。」
「隊長!」
「お前らも急げ!」
隊長は武器を捨て、装備をおろし手を上げて地面に伏せる。隊員も一瞬間戸惑ったが、すぐに隊長の通りにした。
「ふ〜ん、物わかりはいいんだね。やっぱ死ぬのは誰でも嫌だもんね。じゃ、また拘束するけどいい?」
「あ、ああ。でも、いつ俺たちを解放してくれるんだ?本当に俺たちはここで遭難しただけなんだ。何をしたらいい?」
「う〜ん、簡単に信用できるわけないよね〜。ま、学校に戻っていろいろ協力してくれたら解放してあげてもいいよ〜その代わりいろいろ私たちのお手伝いとか雑用を任せよっかな〜、監視付きでね。」
「わかった…」
その後、部隊全員が昨日のように捕縛されて、学校に戻ることになる。
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「うーんじゃあ、これからやってほしいことを伝えるよ?」
「ああ。」
学校に連れ戻された部隊は自己紹介をした後、生徒三人に監視されながら雑用をすることになった。
3つの班に分かれ、一つは掃除、一つは設備の修理、最後はホシノによる尋問となった。
掃除班はシロコの監視下で廊下や教室の砂、埃を掃き、落書きなどの汚れを落とす。そして机などを整えた。
そして
「ん、すごく綺麗…!」
教室や廊下は新築のようにピカピカになった。自衛隊式の掃除、整理整頓術を存分に活かした結果だ。
「ふ〜…こんなに掃除したのは久しぶりだな。」
「ああ、学生時代を思い出すよ。」
「あの頃は箒で遊んだりしたな〜こうやってよ!」
「おいおい、魔法使いみたいに飛ぼうとするなって〜!」
隊員たちは人仕事を終えて楽しそうに箒で遊んでいる。
そこにシロコが話しかける
「ねえ、どうやったらこんなにきれいになるの?私達が掃除してもここまではならない。」
「ん、ああシロコさんでしたっけ?そうですね、僕達は掃除をとても重要なものと考えているんです。例えば戦闘や作戦を行う時、装備が足りなかったり無くしたりしたらまずいじゃないですか。ですから、日頃から身の回りを整えることで自分の物を把握できるようにしているんですね。その賜物がこの結果です。」
「ん、なるほど…正直ここまで掃除が上手いのは尊敬する。こんなに掃除が上手ければ怒られることもないし」
「今度掃除術教えましょっか?多分しばらくはここにいると思うので」
「ん、おねがい。ところで…その箒の遊び、楽しそう」
「お、わかってくれるんですね!昔は掃除中にチャンバラごっことか魔法使いとかやって、めちゃくちゃ怒られましたけど、今は先生もいないですしね!掃除も終わったしみんなでチャンバラごっこでもしましょ!」
「よっしゃ!」
「やっちゃおう!」
「ん、楽しみ」
…………
少し場面が変わって整備班、ここはノノミの監視のもと学校の老朽化した設備の応急処置や復旧作業を行っていた。
「うーん…ここが腐っちまってんな。ここのパーツって予備あるか?」
「ちょっとまってくださいね!…ありました!どうぞ!」
「よし」カチカチ、ガチャ
「これでしばらくは大丈夫なはずだ。」
「ありがとうございます!一ヶ月前からここらへんの水が飲めなくて大変だったんですよ〜」
「割と歴史が長いんだっけか?ここの学校は」
「まあ、たしか昔はキヴォトスの中でも最も栄えていたと聞きます。ここも元は別校舎だったんですよね。ただ、本校舎はもう砂漠に埋もれちゃいました」
「そうか、建物をまるまる埋め尽くす砂嵐なんて恐ろしいものだ…」
「すみません!ちょっと皆さん来てもらっていいですか?管が引っかかってて取れなくて…」
「ん、どうした!いま向かうぞ」
ザッザッザッザッ
「あ〜たしかにこれは面倒くさいな。みんなで引っ張ればいけますかね?」
「やってみましょう!」
男4人で管を持ち、引っ張る。
「「ぐぬぬぬぬ…」」
しかし、管はびくともしない。硬い岩に挟まれているような
「…これダメですね。なにか器具を探すしかないかもです。」
「ちょっと待ってください、これくらいなら私一人でいけるかもです〜」
「え?ノノミさんが?一人で?」
ノノミから信じられない発言が飛び込んできた。男4人で抜けない管を、一人で抜くというのだ。はっきり言ってありえない。しかしノノミは
「はい!こう見えて私割と筋肉あるんですよ〜それではいきますよ〜そーれ!」
ガキィィィィン!!
「ぬ、抜けた…」
「す、すげえ!」
力技で管を抜いてしまった。さっきの4人の踏ん張りが嘘のようだ。
「えへへ〜筋トレは女子の嗜みです!」
ノノミが笑顔で決める。と、そこに
「おいおい、だれか筋トレって言ったか?」
「あ!坂本さん!」
「筋肉が関わると性格が変わる、坂本さんだ!」
坂本、普段はおとなしい隊員。しかし筋肉が関わると人が変わってしまう。超ムキムキである。
「筋トレといえば、俺。これマメな?」ムキィィィィ
「すげええええ!!」
「それでノノミ…だったか?おまえさん、筋トレしてるんだって?」
「はい!ショッピングと筋トレは最高です!」
「そうか!よっしゃいまから筋トレしよう!」
「え、でもいま一応仕事中っすよ?」
「何いってんだ見てみろ。今日のやるべきところは終わったぞ?」
「え?本当だ!全部終わってる!いつの間に!?」
「ふぅん、俺の筋肉、舐めちゃあかんぜ?」ピクピク
「やっぱり坂本さんの変わり具合はなれないなあ…」
「じゃあ始めようか、俺に追いつけるかな?」
「私のこと舐めないでくださいよ〜?力なら溢れてます!」
そして、筋トレ超人バトルが始まった。