キヴォトスに朝日が昇る   作:sosprin

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会見

官房長官による記者会

 

地震から11時間後、官房長官による記者会見が行われていた。

 

「えー本日0時丁度に発生した地震により皆様心底不安のことと存じます。

また、現状の被害については…

 

 

 

 

...したがって、国家非常事態宣言を布告し、非常災害対策本部を設立いたします。

我々は国民の皆様に一秒でも早く平穏をもたらすため、努力することを約束致します。

国民の皆様には不要不急の外出は控え、安静に過ごされるようご協力お願い申しあげます。」

 

官房長官は現在把握されている地震被害、その対策方針を述べ、海底ケーブルの切断や衛星の消失などから敵勢力の攻撃が起きている可能性を伝える。

官房長官の発表の後、記者団による質問タイムが始まる。

 

 

「今回の地震は全国で同時多発的にみられるなど、異常な地震とのことですが原因は判明していますか?」

 

 

「え〜原因についてはまだ現在調査中であり、不明瞭のためまた後ほど報告致します。」

 

 

地震が同時多発的に日本全土で観測されたことはすでに国民のほとんどが把握しており、専門家も頭を唸らせていた。おかげで対応も時間がかかり国民の不安も増大している。

 

 

「官房長官、地震の際に発生した謎の発光現象について、なにか判明していることはありますか?」

 

 

地震と同時に起きた発光現象も日本全土で確認されており、地震の謎と並行して議論が行われていた。内閣は一時火事や爆発事故などを想定したが、現在小規模なものしか確認されておらず話に聞くような空を包むほどの光の原因は不明だった。

 

 

「発光現象について、爆発や気象などが考えられましたが明らかな情報がありませんので実際には起こっていないものと判断しました。一番可能性が高い考えられうる原因としては火球による発光だろうと専門家から伝えられています。」

 

 

「現在、日本に来航の予定にある外国の船舶が全く確認されないとの報告各企業による取材で明らかになりました。それについて輸出入が途絶されているようです。また、国際線では着陸予定のほぼすべての旅客機がいまだに到着していないようです。このことについて把握はされていますか?」

 

 

「船舶および航空機の行方が不明となっていることについては確認はしていますが、原因は今のところ判明しておりません。現在外国との通信を試み状況の把握を急いでいますが、未だに通信は復旧していません。貿易も停止しており対処も困難な状況となっています。しかしながら、吉報をお待ち下さい。必ずや状況を把握し後ほど別の会見にて発表させていただくことを約束いたします。」

 

 

また一人の記者の質問が終わり、次の記者が質問する。

会見が始まってからかなりの時間がたった。どうやら最後の質問となるようだ。

 

 

「え~こちらはわが社が独自に仕入れた情報なのですが、本日未明の星空が我々の知る従来の星空と異なっていた、と多数の天文台から報告が寄せられています。有名なオリオン座が確認されずすべての既存の星座が変化している、そして本来見えるはずの火星すら見つからないとのことです。この異変はどうやら年が明けた瞬間から発生しているようで、今日の太陽の傾きについても1月1日に予想されるものではないと各天文台から指摘されています。これに関して、地震や噂の発光現象などとは関係あるのでしょうか?」

 

 

「え〜…その件については現在把握しきれていないので、答えることはできません…後ほど調査し報告いたします。」

 

 

「それでは、これにて会見を終了させていただきます!

 

総理! 質問はまだありますよ! 総理! さいごにひとつだけ!

 

 

この質問を最後に記者会見は終了した。

 

石から立ち上がり大声で呼びかける記者を横目に官房長官はそそくさと立ち去った。

 

この後、報道陣やとりあえず最小限復旧したSNSを通じて様々な異変が拡散され、さらなる混乱が広がるのだった。

 

────────────────────────

 

現在、日本と海外の連絡の一切が途絶してしまい情報が届かなくなっている。通信復活の目処が立たないことや、各機関や会見で寄せられた報告から、直接外国との接触を行い状況共有を行うため政府は自衛隊に偵察任務を要請、朝鮮半島方面へと自衛隊機を飛ばしていた。本来は国際問題となるため絶対に行わないが、いくら時間が経っても解決しないため、断腸の思いで決行された。

偵察機は九州より北西600km地点を飛行している。

 

 

 

「しっかしどうなっていやがるんだ…」

 

 

「本来なら、もう北朝鮮の領空の中のはずだ…それなのに異様に静かなどころか、陸一つ見当たらない。」

 

 

自衛隊機は対馬をこえて朝鮮半島へと進んだがいくら時間がたっても陸地が見えない。本来なら韓国を超えてすでに北朝鮮上空へと差し掛かるはずであり、自衛隊機が侵犯しようものならすぐに相手が接触してくるはずなのだ。しかしその気配は感じられずそれどころかただ海が広がるばかりである。

 

 

 

『進路が間違っている可能性はありませんか?』

 

 

「その可能性もあるか…」

 

 

システムエラーによって座標は進路方向が間違っている可能性を考える。しかし整備部隊からは異常なしとのことだし、司令部からも特に異常は感知していないとのことだ

実は彼は北方領土やサハリンが消失したという噂を耳にしたことがある。これはすでに自衛隊や国境付近の住民の間では噂されていて、彼は偶然にも釧路在住の知り合いがいるためその噂を聞いたことがあったのだ。

 

(本当に日本の周囲から全ての陸地が消失したのか…?)

 

 

彼は明らかに起こりえない、それでいてもなぜかありえると思えてしまう最悪のシナリオを思い浮かべるのだった。

 

 

──────約20分後

 

 

偵察を開始してから約2時間

 

 

偵察機は本来なら中国領空へと侵入しているはずだった。

 

 

「まもなく中国領空だ。本来なら国際問題だな…」

 

『何が起こるかわからん。今までが異常なだけで中国軍が急にでてくる可能性もある。注意せよ。』

 

朝鮮半島が見当たらないとは言え、ユーラシア大陸が消失したとは言えない。こちらが進路を間違っている可能性だってあるのだ。司令部からの注意喚起とともに、彼らは気を引き締める。

 

『ん…あれは… 陸だ!陸を発見しました!』

 

「それは本当か!?」

 

『はい!』

 

「ということは中国か?司令、陸地を発見した。状況から考えるに、前方の陸地は中国であると思われる。このまま飛行を続けるか?」

 

『ああ、陸地のほうへ飛行を続けろ。相手が出てくるか確認するんだ。国際問題は気にするな、責任なら上が取る手はずになっているからな。いまは状況の把握が一番の目的だ。もし中国軍を観測した場合はすぐに離脱しろ』

 

「了解した。陸へ向かう。」

 

 

発見した陸地へと接近する。中国空軍が出動する不安があったが、それは杞憂に終わった。

陸地は緑で覆い尽くされ、たまに町(かなり荒廃しているようだ)があることが分かった。

司令からは陸地の偵察および撮影を命じられ、しばらく任務を行う。

 

 

「...やはりあれは明らかに俺たちの知る中国ではないな」

 

 

『こちら司令、撮影は済んだか?』

 

 

「ああ、地形や陸上の様子など全てバッチリだ。」

 

 

『了解した、そろそろ帰投してくれ。』

 

 

「わかった...それにしてもあれはなんだ、虹か?」

 

 

『虹っすか?こんな晴れてる日に珍しいっすね。丸いですし、日暈ですかね?天気悪くなるのかなぁ』

 

 

「そうだな...いや、本当に虹なのかあれは?」

 

 

『あ~もしかしてあのうっすらと輝いてるような帯ですか?たしかに、色は虹には見えませんね。』

 

 

「一応記録しておくか...」

 

空にうっすらと見えた帯は虹のように見えたが、それにしては単色で青色な気がする。一応写真を撮っておくことにした。

 

 

今回の偵察で得られた情報はすぐに内閣へ送られた。

日本周辺の全ての陸地が消失若しくは置換されているか、なんらかの攻撃に巻き込まれている可能性があるとの報告を受け、政府は通常の貿易は完全に停止したと判断。

貿易が行えなくなり自給自足を余儀なくされた政府は残り僅かの資源を蓄え国家をより長く存続させるため配給制や外出自粛などを行うのだった。

また、謎の陸地に自衛隊を上陸させ、大陸進出のための基地建設と調査を行うことが決定された。

 

 

─────────────────

 

 

【挿絵表示】

 

 

新世界での日本地図。転移の影響により係争地が失われている。本写真は大厄災から数年後のものだ。

 

 

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