キヴォトスに朝日が昇る 作:sosprin
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トリニティ総合学園
トリニティはキヴォトス三大学園の一つである。長い歴史を誇り栄華を極め、強大な軍事力を保有し他校の治安維持協力や武力紛争にも対応している。特に隣のゲヘナからの自治区侵犯が多発し、自治区内での破壊活動や迷惑行為、そして過去から引きずっている憎悪により、相互の感情は最悪のものとなっている。
トリニティは俗に言うお嬢様学校であり財に溢れ、食や芸術、ファッション文化も栄え、華やかなイメージがある一方で、裏ではイジメ、陰湿な嫌がらせが行われ、退学に追い込まれる生徒も少なくない。また、この学園は複数の学園が統合されて形成された為過去の学園派閥が分派としていまだに残っており、毎日のように激しい政治闘争が繰り広げられている。生徒会長は3人居り、不安定な三頭政治が行われている。現在の政治状態は安定しているが、いつ崩壊するかは分からないのがトリニティだ。
そんなトリニティの一角で、今日もティーパーティーの3人は学園の方針について会議しながら優雅にお茶会をしていた。
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「本当に締結するの!?」
ガチャンという音と共に机や置かれた物が揺れる。桃と青のグラデーションの髪と白い羽を持ったその少女、聖園ミカは身を乗り出し今にも机を倒しそうな勢いだ。
「ああ、これはもう決定したことだ、ミカ。連邦生徒会長が発案したんだからな。容易く拒否もできんよ。まあまだゲヘナとの会談が必要だがな…まったく連邦生徒会長は何を考えているんだろうな。ほーれほれ」
でかい耳を持ち、明らかにコップを持つには不便な萌え袖が特徴である百合園セイアはシマエナガと戯れながら返答する。
今日の議題は今度結ばれるエデン条約についてだ。エデン条約とは、トリニティに隣接する三大学園の一つであるゲヘナとの不可侵条約であり、エデン条約機構を設立し、トリニティゲヘナ両校が主に治安維持等の面で協力することになる。しかし先述の通り両校の憎悪は深く、無事に条約締結となるかは不明だ。
「まあまあお二方とも落ち着いて。せっかくのお茶会を壊さないでください。それにしてもこのお茶は美味しいですね。苦労して仕入れた甲斐があります。」
「飲み過ぎだよ、ナギサ」「ナギちゃんはいつまでお茶飲んでるの!」
「お茶会では丁寧な振る舞いをしてくださいミカさん。私たちはトリニティの代表なのですから。」
「う…でも条約結ぶ相手ゲヘナだよ〜?本当にいやなんだけど〜」
「まったく…ミカのゲヘナ嫌いもここまで来ると病気だな」
「それって喧嘩売ってるよね〜?ねえねえ〜」
そしてガミガミとミカセイアの口論が始まった。二人の相性は良いとは言い難く、よく衝突している。口論の時はいつもナギサが止めに入るが
「落ち着いてください…せっかくのお茶が」
がみがみがみ
「お二方とも…」
がみがみがみ
…とまったく止まる気配がない。そのため
「…もう!二人共!落ち着いて!ティーセットで頭かち割られたいんですか!?」
「「ヒィッ…」」
と、ナギサの限界を超えたことで普段の行儀も忘れ爆発する。これによりやっとのことで口論は一時停止する。
「それにしても私がパテルの代表だなんて、みんななに考えてるんだろ〜。私政治とか得意じゃないのに…」
「確かに、ミカさんが代表に選ばれるとは正直思っていませんでした。」
「他人に言われるとちょっと傷つくよ…でも本当に私でいいのかな、二人共私よりも頭いいからさ。自信ないや」
「これは私の推測だが、前任の3人はあまり結束力が無かったと聞く。ミカとナギサの2人は幼馴染なのだろう?だからこれは能力より政局の安定化を狙っての判断と考える。これは各分派の上層部しか知らないことだが、今年の二学期末、前ティーパーティーは機能不全寸前だったらしい。だから今回の権限委譲は例年より2ヶ月早く行われたんだ。例の条約についてもまだ課題は多い。それに、他校が隙をついてくる可能性もあるしな。」
トリニティの性質上、分派同士の方針対立等により政治が困難になることもある。過去も似たような問題は多かったが、前任の軋轢は過去最大のものだった。さすがに問題だと認識した各上層部は、トリニティ内の他組織からの干渉を防ぐために秘密裏に口裏を合わせ、新たなティーパーティーを組織させた。これが現ティーパーティーである。
「なるほどね…私は利用されたってことか〜嫌だなそういうの」
「まあ悪く言えばそういうことですが、せっかく任されたのですし最後まで一緒にやり遂げましょう。ミカさん」
「そうだね〜よし!気張ろ〜!」
「まあ、条約についてはこのまま進めるとして、次の議題だ。装備の旧式化が深刻化している問題についてだが…」
ガチャン「失礼します!緊急の用件です。」
次の議題に移ろうとした時、扉が勢いよく開き小走りで生徒が向かってくる。
「どうしたんだい?話してくれ」
「はい…先ほど正義実現委員会からトリニティ上空に不審航空機が侵入したと報告がありました。不審機はゲヘナ方面から飛んできたとのことです。」
「え!ゲヘナの角付が喧嘩売ってきたの!?やっぱり信用ならないじゃんね!」
「ミカさん待ってください。まだゲヘナと決まったわけじゃ…もう少し詳しい情報をおねがいします。」
「はい、不審機はジェットエンジンを使用しており翼には赤い丸が描かれていました。ゲヘナで運用されている機体とは異なります。現在正義実現委員会が追いかけてはいますが、もうすぐトリニティ領空から離脱する模様です。」
「最寄りの基地に降ろすことはできないのか?取り調べたいものだが。」
「それが…不審機の速度はこちらよりも少々速く、トリニティで運用する機体では追いつけません。僭越ながら、やはり新しい航空機を導入したほうがよろしいかと。」
「あぁ…わかった、また何かあったらすぐ報告してきてくれ。あと、不審機の調査を進めてなんとしてでも正体を暴け。」
「はい。それでは失礼します。」ガチャン
「ふぅ…やはり装備の旧式化はすぐに解決しないとな。この頃は少しいざこざが起きるぐらいで何事もなく平和だったが…やはり油断はしてられん。
「ですが、お金もかかりますし…なによりゲヘナを刺激してしまうのでは?」
「そうだな、ゲヘナの生徒会長は情報網に優れているからバレる可能性も高いか。」
「2人共難しい話して置いてきぼりにしないでよ〜!」
茶会はまだ終わらない