キヴォトスに朝日が昇る   作:sosprin

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接触

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トリニティ ティーパーティー

 

トリニティ総合学園は騒然としていた。先日、突如としてトリニティ領空を侵犯し追いかけても追いつけなかった不審機の正体を暴くために、ティーパーティーや正義実現委員会が総力を挙げて調査を行っていた。また、その不審機は因縁の相手であるゲヘナの方向から飛来してきたことでよりトリニティ生徒の不安が広がっていた。不審機のデータをより調べたことにより、不審機のエンジンはミレニアムで昔開発されたジェットエンジンが使われているということだけだった。そのジェットエンジンは最新型ではないが、トリニティの装備の旧式化により対策が難しくなっていた。

 

「それで、正体は不明なのですね?」

 

「はい…現在調査中です…」

 

「わかりました。必ず、あの不審飛行機の正体を暴くのです。」

 

 

「はい、それでは失礼します。」ガチャン

 

 

「はぁ…なぜこうも次から次へと面倒事が…」

 

「ナギサは大変そうだね...私も分派間での協力の強化を伝えて、正実には騒動の沈静化、そしてスターフッドに情報提供をお願いしておいたよ。…それで、ミカのほうはあまり疲れていなさそうだが...何かしたかい?」

 

「もー!セイアちゃんはいっつも私につっかかるじゃんね!私もパテルのみんなに治安維持と情報収集をお願いしたよ!」

 

ティーパーティーの各面はミカとセイアがいつものように言い合いナギサが呆れるという日常と変わらずに、しかしながら不審機の調査と騒ぎの鎮圧のためにそれぞれができることをしていた。

2人が関係ないことで言い合う中、ナギサはさすがに耐えられなくなる。

 

「お二方、そのへんにしてください。喧嘩はいつものことではありますが今は緊急事態なんですよ!」

 

「ごめんごめん!わかったよ…」

 

「ナギサの言うとおりだ。申し訳ない。」

 

いつもは長く続く諍いも流石に状況が状況なので中断される。

 

「はあ、それにしてもあの不審機がここまでトリニティをざわつかせるとはね。まだトップになったばかりだというのに仕事が忙しすぎるよ。」

 

「そうですね…それにしても、皆さんゲヘナゲヘナと騒いでいますが、あれは明らかにゲヘナのものではないですよね…」

 

「うん。私の方でゲヘナに確認したが、そのような事実は一切ないとのことだ。それどころか、ゲヘナでも不審機騒ぎが起きていたようで情報の共有をしたいとのことだ。」

 

「そうだったんだ…ゲヘナのことは信用できないけど、そうなるとあの不審機ってどこのなんだろうね?」

 

「うーむ、赤い丸なんて見たことはないし。データベースにも載っていないらしい。」

 

「調査をさらに行う必要がありますね…安全保障的にも大問題ですし」

 

謎は深まるばかりだ。

 

 

────────────────────

トリニティ自治区 セントプール港

 

キヴォトスの中でも最大規模を誇るこの港は今日もいつもと変わらず賑わっていた。コンテナが積み上げられ、数え切れないほどのトラックが動いている。

トリニティにおいて、港の管理、警備はトリニティ生徒から成るポートオーソリティによって担われている。

 

ポートオーソリティ所属の2人は湾岸監視を行っていた。監視中、問題がおきた場合は現地の生徒によって対応、不可能な場合は正義実現委員会が出動する仕組みとなっている。彼女らは組織に入ってからずっとこの仕事をしてきたが、とくに問題が起きることはなく、一ヶ月前にゲヘナ生4人が侵入し暴れたくらいである。尚、そのゲヘナ生がどうなったから言うまでもない。

 

「はぁ…先輩」

 

「なんだ?なにかあったか?」

 

「いやそうじゃないですけど…この仕事、退屈すぎませんかぁ?」

 

「…言わないでください。それは私もずっと思っているのですよ。あぁ、声に出したらもっとつまらなく感じてしまいます。」

 

「こんな仕事真面目にやってても何も起こりませんよ〜さぼりましょ〜?」

 

「貴方はそれでもトリニティ生なのですか?トリニティ生たるもの、しっかりと風紀を保ち…」

 

「でも先輩もこの前抜け出してスイーツ食べに行ってましたよね?」

 

「…気づいていたんですか。」

 

「監視能力だけは培われますから、この仕事」

 

暇を持て余した2人は他愛もない話で時を過ごしていた。しかし暇な時ほど時間の進みは遅いもので、30分経ったかと時計を見てもたった5分しか進んでいない。

 

「先輩〜近頃に噂になっているあの件、しってますか?」

 

「あの件…?ああ、不審機の低空飛行のやつですか?」

 

「それですそれそれ!先輩はどう思います?」

 

「さぁ…そんなことより仕事に集中してください…」

 

「先輩は真面目なんだか不真面目なんだか…ん〜…寝よっかな……あれ?」

 

近頃聞く噂話をして時間を潰そうとしたが話題はすぐに切られた。

あまりにも暇すぎるのでお昼寝でもしようかと立ち上がり、レーダー画面をちら見する。

 

そこには航路ではない所に点が複数表示されていた。

 

「あれ?この時間帯にくる船ってありましたっけ?」

 

「いえ、ないはずですが…」

 

キヴォトス最大の港といえど、船が来ない時間帯は存在する。陸路も発達しているため、輸送量の半分は自動車や鉄道によるからだ。

しかし、予定にない船を感知した彼女らは一ヶ月前の襲撃、また近頃騒がれてる不審機の噂から退屈がなくなる喜びをすこし胸に抱きながら、警戒態勢に移るのだった。

 

「先輩先輩!不審船かもしれません!やっと退屈じゃなくな…じゃなくて、これってやばくないですか?」

 

「ええ、警戒するに越したことはないわ。全職員に報告と、念の為正実にも報告しておいて頂戴。出動要請は出さなくていいわ。」

 

「わかりました!」

 

彼女はウキウキしながら、しかしテキパキと行動する。

 

「まったく…今度は何が起きるのでしょう。」

 

窓から外を覗く。春の少し濁った青空が広く広がっていた。

──────────────────────

トリニティ沿岸から2km地点

 

日本政府は偵察により判明した現地文明に接触を図るため、外交官を派遣した。また、派遣先では何が起きるかわからない為、自衛隊も共に派遣されている。

当初、遠隔地への派遣は憚られたが、調査により日本列島周辺に敵性勢力が確認されなかったことにより派遣のハードルが下がっていた。未確認勢力との外交を行う上で一番の懸念点は言語問題だが、北方大陸において日本語、英語が使用されていたことから十分通じるだろうと推測されている。なお、優秀な外交官は軒並み転移の影響で失われ本国の寄せ集めを派遣せざるを得なかったのは政府の秘密である。

 

 

「何も現れんな…もう相手の領海に入っているはずなんだがな…」

 

「もしかして領海の概念がなかったりするんですかね。」

 

「さすがに領域の定義はなされてるだろう…戦闘用の艦船がないだけだと考えるがな。」

 

 

 

「それにしても…ずいぶんと繁栄しているな。」

 

「ええ、まるでオランダのロッテルダムと中国の都市が合わさったような街並みですね。」

 

遠くからはヨーロッパ風の市街が見え、更に奥に400mは優に超えているだろうというビル群が聳え立ち、その湾岸都市の繁栄ぶりが窺えた。

しばらく経って、通信が入る。

 

 

『こちらポートオーソリティ、所属を明らかにせよ。』

 

 

「こちら日本国海上自衛隊、寄港許可を求める。」

 

 

『すまない、そのような組織は聞いたことがない。目的は何だ?』

 

 

「貴国との接触と、願わくばトップとの会談である。」

 

 

『どういうことだ?接触?会談というのは?』

 

 

「我が国はこの世界に転移してきて、この世界のことを知りません。したがって、ついこの間発見した貴国との接触を行いこの世界のことを知りたいのです。」

 

 

『は、はあ…とりあえず、敵対の意思はないんだな?とにかく停泊許可をだす。E3ブロックに停泊してくれ、誘導を行う。話はそれからだ。』

 

 

「了解した。感謝する。」

 

 

その後は問題もなく停泊が完了した。停泊後、外交官である加藤、杉本の二人が港に降り立つ。港はコンテナが積み重なりクレーンが動きトラックが走り回っている。また、ところどころロボットやドローンが飛んでいるのが見える。空は晴れていて空の光輪が綺麗だ。

 

 

「は~、ここが前人未踏の土地ですか~なんだかわくわくしますね。」

 

 

「ええ、ですがあまりはしゃがないでくださいね?私たちの行動と結果は国の存亡にかかわるのですから...」

 

 

「わかってますよ...あまりに大きいプレッシャーで、緊張を解したかったので…」

 

 

 

「たしかに、ここまで重大な任務は初めてですからね...見てください空を、あのわっかはなんでしょうかねぇ」

 

 

「やはりここは別世界なんですね...見てくださいよ!あれ、ロボットじゃないですか?」

 

 

「おぉ...しかも自律しているように見えますね...この世界は日本よりも技術力が高いのかもしれません」

 

 

「だとすると技術関係で交渉は難しいですね...いやあ、交渉の前に知ることができてよかった」

 

 

 

外交官があたりを見渡し新世界に驚いていると、奥から警備隊だろうか、複数の人が近づいてくるのが見えた。 

 

 

 

 

 

 

 

...外交官は驚いていた。全員銃器を持ち、翼が生え、更には頭の上に天使の輪のようなものが浮かんでいるではないか!外交官は冷静に取り繕いつつ自己紹介した。

 

「はじめまして、加藤と申します。日本国外務省のものです」

 

 

「同じく、杉本です。」

─────────────────────────────

一方、少し前

 

 

正義実現委員会は騒然としていた。依然として不審機の正体を明かそうと調査している中、セントプール港から不審船の報告が入ったため、現在ツルギとハスミ、そして何人かの委員が確認を行うためにセントプール港へ来ていた。正直調査のせいで数日間寝られていないし仕事は普段の倍以上になり深刻なキャパオーバーなのだが...

 

 

「まったく...忙しいのにこんなところまでいかないといけないなんて...」

 

 

「まあ、あの港はこの前襲撃があったばかりだからまた事件が起きてる可能性は高いだろう。行く価値はある。」

 

 

「それにしても、日本国海上自衛隊なんて聞いたことありませんよ…たしかティーパーティーのセイアさんから丁重に迎え入れろとはいわれましたが…」

 

 

「ティーパーティーの連中は何を考えてるかわからんな。まあ、命令されたからには従うしかない。」

 

 

「そうですね…」

 

 

不審機と続き不審船が現れたことで正義実現委員会の仕事は限界を超えていた。しかし不審船が友好的な態度をとったこと、会談要求をしたことから、先制攻撃ではなく友好的な接触を行うことを決定した。接触はハスミが行い、ツルギは戦闘になった場合に奇襲をかけれるよう隠れるという方針に決まった。

───────────────

「ええ、よろしくお願いします。正義実現委員会の羽川ハスミと申します。(ヘイローがない…大人...?)」

 

ハスミは加藤、杉本と名乗る二人の男と接触していた。彼らはキヴォトスでも珍しい大人であり、ヘイローがない。そのため一発銃撃を食らうと致命傷になるだろう。

 

「それで、本日はどのような要件でトリニティ総合学園へ?」

 

「はい。先日の領空侵犯の謝罪と、国家関係の樹立および貿易交渉を求めにやってきました。」

 

 

「「なんだと!?」」「なんですって...?」

先日の領空侵犯、というワードを聞いて現場に緊張が走る。不審機の正体には手を焼いていたが、まさかこうもあっさりと判明するとは思っていなかった。

 

一般委員は怒りを抱き行動に出ようとするがハスミはセイアからの命令を思い出し、一般委員を制して冷静に対応する。

 

「なるほど…つまり外交交渉ということですね。連絡をしますので少々お待ちください。色々手配することがありますので。」

 

ハスミがスマートフォンを取り出しどこかへ連絡した。

 

「ありがとうございます。それにしても気になったことがあるのですが、ここは学園と言いましたか?この世界には国家はないのですか?」

 

「学園、まあ学園自治区といいますが、各学園は連邦生徒会に属していて、自治権を持ちます。そのため各学園は保有する領域の中で独自の学園運営を行っています。」

 

ハスミが学園自治区について簡素に説明した。

 

「…ところで、キヴォトスにおいてこれは常識のはずですが、貴方がたは一体…?銃も持っていないようですし」

 

ハスミは眼の前の人物が一体どこから来たのかを考える。キヴォトス人ならば学園自治区を知らないはずがない。また、銃器を所持していないのだ。キヴォトスにおいて、銃器を持っていない人は全裸で外を徘徊する人よりも少ない。

 

 

「はい。これはこちらの推測なのですが、我が国はこの世界に転移してきたと考えています。」

 

「はぁ?冗談も程々にしろ!」

 

委員の一人が叫ぶ。銃口さえ向けないが彼女らの緊張は次第に強くなっている。

 

「みなさん、お待ちください。....こほん、そうですね。キヴォトスの外からきたことはわかりました。しかしあなたがたの話を聞くと土地ごと転移してきたというのは...まあひとまず信じるとしますが....」

 

 

「まあ私たちも信じられませんが事実です...資料もあります。」

 

 

「ふむ...わかりました。会談を求めているのですね?上に報告しておくので、とくに問題がなければトリニティに滞在してもらうことになりますが。」

 

 

「特に問題はありません。よろしくお願いします!」

 

ピロンと音が鳴る。ハスミのスマートフォンのようだ。

 

「おっと、手配が完了しました。」

 

「仕事が早いですね。」

 

「不審機の件で何が起きても良いように警戒していたので…」 

 

「ああ、その件については本当に申し訳有りません。」

 

「ふふ…それは上がどうするか決めることです。それでは、私についてき────────」

 

 

ドッカァーン だだだだだだ!!!!!

 

 

突如として銃声と爆発音が聞こえた。

 

 

「ひっ!なんですか!?」

 

加藤は叫ぶ。

 

『こちらツルギ、襲撃だ。角付のやつらが攻めてきたぞ。』

ツルギから通信が入った。どうやらゲヘナ生が懲りずにまた襲撃に来たらしい。

 

 

「またですか…お二方は隠れていてください。私たちは大丈夫ですがヘイローのないあなたがたは一発でもくらったら危ないので。念のため、うちの委員を護衛に回します…君たちは彼らを護衛しろ。絶対に怪我一つさせるな」

 

 

「わかりました!」

 

 

ハスミは数人の委員に日本人の護衛を命令し、自身は加勢しに行く。

 

─────────────────────────

 

「一体何が起きているんだ!」

 

艦橋は騒然としていた、外交官をおろしたあと、しばらくすると爆発音が聞こえてきたからだ。港を見ると大爆発が起きていたり、コンテナが吹き飛んだり、まるで戦場のように大惨事となっていた。しかもその爆発は外交官のほうへと近づいている。

 

「くそっ…こんなことになるなんて!通信はできるか!?」

 

「試してみます!」

 

ズズズ…

 

『誰か聞こえますか!?』

 

 

「はい!一体そちらで何が起きているのですか!?」

 

 

『わかりませんが、おそらく、襲撃にあっています!現在この国…学園自治区の方に守ってもらっています!』

 

 

学園自治区という単語に疑問を抱くが、緊急事態のためそんなことを気にしていられない。

 

 

「わかりました!いますぐ救援のヘリコプターを用意します!退避してください!」

 

 

『ありがとうございます!』

 

 

やがてヘリコプターが発進し、港上空へと入る。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

ヘリコプターが着陸する。戦場はまだ遠いようだ。しかし時間はない。襲撃に巻き込まれないよう外交官を即座に避難させなければならない。

 

 

「自衛隊です!加藤さんと杉本さんはどこにいますか?!」

 

 

「ジエイタイの方ですか!?正義実現委員会です!お二方はこちらで保護しています!こちらについてきてください!」

 

 

「わかりました!」

 

 

隊員は学生であろう少女につれられ、二人の元に行く。ヘイローについて、またなんで学校の制服を着た明らかに子供と思われる女性が戦っているのか気になるが、いまはそんな場合ではない。

 

 

1分ほど走り、隠れている加藤、杉本を発見した。

 

 

「よかった、無傷ですか!?」

 

 

「はい、この方々が守ってくれたおかげで無傷です!」

 

 

「そうですか!この度は護衛に感謝します!」

 

 

「これが仕事なので...私たちはこのまま援護をしに行きます。速やかに退避してください。」

 

 

「しかしながらあなた方は大丈夫なのですか!?明らかに危ないですし避難したほうがいいと思われますが!」

 

 

「私たちはヘイローがあるので...この頭の上の奴です。これのおかげである程度は耐えることができます。私たちの今の任務は襲撃からあなた方を守ることです。見送ったら加勢しに行きますので」

 

 

「そうですか...(何言っているんだ...?耐えれる?いやいや、実弾だぞ。あんな爆発に巻き込まれたら一瞬で死んでしまう!学生が戦うなんてここは残酷すぎる。これも報告しておかなければ)」

 

 

「では、発進します。」

 

外交官はヘリコプターで避難した。

 

「加藤さん、杉本さん、もう安全です。大丈夫ですか?」

 

 

「え、ええ...大丈夫です。助かりました...」

 

「本当に爆発が起きたときはちびるかと思いましたよ...」

 

「同じくです,,,(それにしても、彼女たちは大丈夫なのでしょうか...)」

 

 

 

 

ヘリコプターに乗り退避した。襲撃は激しいものであったが、敵はツルギの前に歯が立たず無事鎮圧された。正義実現委員会は襲撃の後ティーパーティーにこの件を報告。ティーパーティーは会談を了承した。外交官は当初トリニティで滞在することになっていたが、治安がとても悪いことがわかったので当日までは護衛艦の中で待機となった。また、何人か自衛官を護衛に着けるか議論が繰り広げられたが、相手からの信用を得るために日本からの護衛はつけないこととし、その代わり護衛は正義実現委員会に委託することになった。

尚、戦いの様子は船から観測されていたが、子供が銃撃戦をしているその光景はなんとも悲しいものだった。あとから映像が解析され、その映像には被弾をしても死なずに動き続けている女子高生の様子が確認されたので解析班はド肝を抜かした。

 

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