キヴォトスに朝日が昇る 作:sosprin
日本国外交官の加藤と杉本は会談のため、トリニティのトップであるティーパーティーがいる本校へと向かっていた。
日本国外交官を載せた車が高速道路を走っている。
あの襲撃の迫力はいまだ脳裏に残っており不安に思われたが、予想していたよりは悪くないことがわかる。どうやら、あの襲撃もイレギュラーであり、普段の街は平和のようだ。
窓の外を見ると、市民の殆どは人間ではなく直立二足歩行の哺乳類であり、人型の所謂"生徒"もヘイローがあるなど地球人類とは違う。また、自律型ロボットも見受けられた。町並みはロンドンのようであるが、ところどころに超高層ビルがそびえたつ。また、道路に戦車が走っていたり、一般人が銃や爆弾を持っていたりするのは日本にはない光景だろう。
明らかに日本よりも格段に技術力が高く、男のロマン溢れるこの光景に外交官の二人は興奮を隠せない。
「あの…!」
「はい。どうかしましたか?」
「あの空の輪っかは一体何でしょうか!」
車の中で加藤はハスミに話しかける。委員の一人が明らかに未成年運転(そして無免許!)をしているが、気にしないことにした。この世界はどうやら常識が通じないことがわかってきた、今更ではあるが。
「はい、あれも私達の頭の輪っかと同じ、ヘイローです。一体どのような仕組みなのか、その起原は知られておりません。正体を解き明かそうとする団体はいくつかあるようですが...ところで、あなたの世界にヘイローはなかったのですか?」
「はい、ありませんでした。この世界には我々の元居た世界とは大きく異なる点が多く、ヘイロー以外にも二足歩行をする知的生命体は人間だけであり、人類以外の哺乳類が知性を持ち人間のようにふるまっているのはとても興味深いですね...頭の上のヘイローはどのような役割が?」
「キヴォトス人はヘイローのおかげで銃弾に撃たれてもある程度耐えられるほどの耐久力を有しています。ヘイローは命と同じようなもので、ヘイローが壊れたものが帰ってくることはありません。」
「なるほど…」
「加藤さん見てください!あの塔、あきらかに1000mは超えていますよ...!こりゃドバイもかてないな...」
「杉本さん...確かに興奮するのはわかりますが抑えてくださいね...すみませんハスミさん。」
「いえいえ、存分に楽しんでいってください。(ド、ドバイ...?)」
「あの...ヘイローって触れるんですか?」
「いえ、触ることはできません。ホログラムみたいなものですね。」
「試してみても?」
「ええ、どうぞ」
杉本の手は話の通り、ヘイローに触れることなく貫通した。
「おお...」
杉本がヘイローで遊んでいると、車ががたんと揺れその衝撃で杉本の手がハスミの頭に触れてしまった。杉本は急いで手を離す。
「あ。ご、ごめんなさい...!」
「ふふっ、大丈夫ですよ。ヘイローに触れることはできません。ヘイローというのは未だ謎が多いのです。ほら、もっと見ます?」
「寛大な心に感謝します...」
「はぁ...なにやってんだ杉本は...(やっぱり優秀な外交官が軒並み消えたのは痛いなぁ...)」
その後30分ほど、会談会場であるトリニティ本校に着くまで互いの世界について質問しあったり、杉本が興奮しまくったりしていた。加藤は少し頭を悩ませていた。