キヴォトスに朝日が昇る 作:sosprin
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日ト交渉が行われる一日前 砂漠
3両の装甲車は資源調査のために砂漠を進んでいた。航空機を使いたかったが大規模な砂嵐がよく起こり故障のリスクが大きいため、運用は断念された。その代わりに自動車を使って偵察を行うことになった。砂漠は確かに暑いが旧世界のサハラのように40度を超えることはなく、30度付近にとどまっている。正直日本の夏よりもましだ。
広がる地平線と雲一つない空の中で、
「なんもないですね...空は綺麗ですが。」
「ああ、とてもきれいだな。…しかし砂漠といえばイラクを思い出すな。」
「イラクですか...」
「ああ、あそこはひどかった。派遣されると伝えられて、行く先は非戦闘地域かと思っていたが、普通に砲撃はされるし戦闘だって毎日のように起きていた。市民も絶望しきっていたな…」
「それ、世間にばれたらやばいやつじゃぁ...?」
「うーん、まあな...それにしても、政府は異世界って言っていたが空以外はなんも変わりゃしない。もっとドラゴンとか異種族とかメルヘンとか、そんなもんを期待していたんだがな。」
「隊長、結構そういうの詳しいんすね…」
彼らは軽く雑談をしながら広大な砂漠を西に走り続ける。
しばらくして、視界の半分を橙で埋め尽くした殺風景が変わる。そこにはビルや建物が並んでいて、さらに不思議なことにその建物は半分埋まっていたり、廃墟と化していたりする。その建物の多さからかつてここが大繁栄を遂げていたことがわかる。一体この地に何が起きたのだろうかと考えながら、記録の為に一時的に車を降りて、調査を行った。
「形からして高層ビルか…ここには、かなりの高さの砂が積もっているんだな。」
「隊長、ここにも日本語のような文字が見られます。やはりこの大陸の公用語は日本語なのでしょうか。」
「理由はわからんが、まあそうなんだろうな。記録しておけ、上は新大陸の情報に飢えているからな。大喜びするかもしれん。…うん
」
ゴォォォォ…
うっすらと音がして隊長が後ろを見る。すると、そこにはとても大きな砂嵐が発生していた。あの砂嵐は前世界でも見たことがないほど大きい、ギネス世界記録級だろう。もっともギネスなんてものはもう無いが。
しばらく廃墟を調査していると、砂嵐はどんどんと強くなっているのがわかる。それどころか、接近してきているではないか。
「まずい!砂嵐から逃げるぞ!全速力だ!」
隊員らは急いで車に戻り、砂嵐から逃れるために、危険な地形にも関わらずエンジンを唸らせ最高速度で走り続ける。しかし砂嵐は大きくなる一方だ。
だんだんと視界が悪くなり、通信ができなくなる。窓からはカンカンと粒が当たる音が大きくなる。風もどんどん強くなり、やがて
「うわあああああ!!!」
車ごと吹き飛んでしまった。
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「う~ん...いてて...」
目が覚める。倒れているようだ。ゆっくりと立ちあたりを見渡す。
「ここは一体…?隊員は...」
横を見ると、横倒しになっている装甲車と、倒れている隊員が目に入る。
まわりには廃れた住宅街が広がっていた。家や電柱は傾いていたりひび割れている。
隊長が隊員の無事を確認する。どうやら被害は装備だけで、隊員は全員無事だった。
隊員を助け起こし、どうしようもないので探索を開始する。
...........
「本当に何もないな...」
一行は限られた装備(車は動かず、通信もできなくなった。いまやあるのは武器と食料と水だけだ。)とともに街を歩く。商店街はシャッター街になっているか砂に埋もれ、高層ビルも傾いていて危ない。ここまで一回も人をみなかったので完全にこの町は捨てられたと確信する中、街の地図を発見した。
文字はほぼかすんでいて見づらいが、高校があることだけわかったため、そこを目指すことになった。
強い日差しの中歩いていると
「ここですね…」
「今までの建物に比べたら割ときれいだな。」
目指していた高校に着いた。しかし、やはり人の気配はない。
「やっぱり、ここも誰もいないか…物静かだ。」
「ええ、住民がいないんですからねぇ。生徒もいないでしょう。」
「というかなんでこの校庭はこんなに散らかっているんだ...?」
校庭にはロッカーやら机やらが散らかり、挙句の果てに土嚢が積み重ねている。砂嵐で吹き飛んだのだろうか?
「とにかく少し進んでみよう」
「ええ」
隊員は校庭内に入り見渡す
すると何かを発見する。
「隊長、アレを見てください。」
「あれ?」
「校庭の砂に足跡があります。」
「昔のやつじゃないか?」
「いえ...この質の砂は一週間も経てば風化します。足跡があるということはここに誰か来ているということです。」
「探検家でもいるのか?とんだもの好きだな。まあ、立ち入ってみるか。」
「探検家なら、私たちも同じようなものでしょうに。」
隊員らは校舎内に立ち入る。ほとんどの教室が荒れ果て、床には砂がたまっている。もうずいぶんと長く使用されていないのだろう。人の気配はなくただ少しのものがちらかっていた。天井に穴が開いていたり窓が割れていたりと危ない。
1階にはとくになにもなさそうなので、隊員を2階、3階、4階にわけることにした。
隊長と一人の隊員が二階を探索することになり分かれて、廊下を進むと隊長は最近まで管理されていたであろう部屋を見つけた。
隊長が入室し、すこし見てみると机の上に書類や新しい食料をみつけた。どうやらまだ機能しているらしい、信じられないが。隊長は机や棚の中をあさり、書類を読む。内容は借用書と支援要請だった。学校の借金...この状況を解決しようとでもしたのだろうか?
まだ調べられるところがたくさんあるため、増援の隊員を呼ぼうとしたその時、
後ろから気配を感じた。いや、殺気だろうか?隊長はすぐに後ろを振り返ろうとするが、背中に何かを押し付けられる。
「いったい何をしに来たのかな〜?答えによっては、痛い目にあうかもよ」
「…!」
背中にはどうやら散弾銃が押し付けられており、勝てる見込みはない。このままでは蜂の巣にされてします。隊長は咄嗟に両手を挙げる。
脅されながら教室の外を出るとそこには、
「ホシノ先輩〜これで全員ですか?」
「ん、すぐに制圧できた。」
「た、隊長…」
どうやら隊員も捕縛されたらしい、一人は失神してすらいた。そのまま隊長も縛られる。
「この人たち誰なんだろう。」
「わかりません…しかし全員大人のようですね。」
「また悪い大人か〜皆撃っちゃ駄目だよ?みたところヘイローもなさそうだしもろい。すぐに死んじゃうかも。」
「ん、気をつける。でも何かあった時は、」
「その時はその時だね〜。じゃ、みんな外の奴らを倒しに行くよ」
「ん、わかった」「了解です!☆」