デスゲメガテン   作:ニンカタ

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書ける内にサラサラと


仲魔と仲間

 

 「ていう事は本人ではないと?」

 「そうだな。あくまで、ペルソナというシリーズを下に再現された存在だ」

 

 命の危機からいきなりの主人公のエントリーに頭の中がぐわんぐわんしていたが、膝を突き合わせて話していくと冷静さがかなり戻ってきた。物語の中のキャラクターが出て来る。悪魔やらシャドウやらと実際に相対しながら今更何をとも思うが、それとこれとは話が別なのだ。

 

 「だから俺の中にある記憶は物語として語られた所までしか無いんだ。例えば八十稲葉に行く前はどうしてたかとか、物語が終わった後は何をしていたのかとかは聞かれても答えられない」

 「へぇ~何か不思議…」

 

 初めて会いはするが彼、ナルカミの人生とも呼べる事柄は大体知っている事になる。試しに色々と質問をしてみたが、公式で発表されているようなプロフィールと相違は無い。初対面だけど既知のような感覚。何とも言えない間柄である。

 

 『それはそれとして、仲魔が出来て良かったじゃない。マスター』

 「まあ…確かにそれはそうだな」

 

 質問が終わったタイミングを見計らってか、バロウズが祝福の言葉を送る。このまま一人で攻略する事になるのかなと半ば諦めてはいたが、1人でも仲魔が出来たのは素直に喜べる事だ。それにその仲魔は再現された存在とはいえかつてのヒーロー。頼りがいがあり過ぎるというもの。

 

 「これで俺の肩書きも分かったしな」

 

 英雄召喚師。メガキミの頃には無かった肩書きだ。ナルカミと契約したお陰か、黒塗り部分が消えて読めるようになった。とはいえ同じ人間の姿と生き方をしていたナルカミを仲魔として扱っていいものかと少し悩みもしたが、本人がそう扱ってくれと言ったので、素直に仲魔扱いをする事にした。彼自身も言ったが、あくまで本人に似せただけの存在故にそう気にする事はないとのこと。だがだ、

 

 「…英雄ってどうやって仲魔にするの?」

 「少なくともそこら辺には居ないな。説明は軽く省いて結論だけを話すと、今のところは俺しか仲魔に出来ない」

 「ふむふむ」

 

 何でも英雄召喚師という肩書きで契約出来るヒーローは一体が限度らしい。とは言っても今はと枕言葉が付くらしいが。つまりはレベルやらスキルやらを上げないと仲魔はこれ以上増えないようだ。

 残念に思う反面少し安心もした。歴代ヒーロー達が一気に自分の仲魔になったとしても、上手く扱える気はしなかったからだ。ぶっちゃけ英雄ナルカミ1人でも上手くやっていけるかなと心配な気持ちもあるので、段階を踏んでというのは助かる話。

 

 「裏切りはしないから安心してくれ、サマナー」

 (見透かされてんな〜……)

 

 そんな俺の心境を気にしてかナルカミはそう告げた。頼りにはなるのだろうが、少し不安な気持ちを抱きながらこの日は眠りに就いた。

 

 期日まで残り24日。到達階層6階。

 

 

 

 「ハアッ!!」

 「フッ!!」

 「ソレッ!!」

 (強えぇ……)

 

 今日はシンプルにタルタロス攻略へと赴いた。昨日の時点で実力は疑う余地もなかったのだが、目の前でサクサクとシャドウを斬り殺しているナルカミの姿を見ると、そんな小学生並みの感想しか出なかった。

 

 「シャドウ相手なら任せてくれ」

 

 その宣言に違わない活躍に最早俺居る?という心持ちになる。こっちが頑張って一匹倒してる間に2桁に迫るくらいにシャドウ殲滅してる姿はもう恐怖なんよ。

 

 「とは言ってもだサマナー。あくまで俺はシャドウ専門。悪魔との戦いでは一步劣るだろう。その時はサマナーの知識と指示に任せるしかない」

 「まあちょっとぎこちなくはあったな…」

 

 タルタロスに向かう最中。遭遇した悪魔との戦闘では、ここまでスムーズに戸惑いなく動いてはいなかった。ナルカミの物語に悪魔という存在はいなかった事から、その辺は得意ではないのだろう。

 最低限残った己の存在意義に安堵しつつ。13階へと続く階段を登っていった。

 

 「残りMP的に此処で区切る感じかな?」

 「そうだな。これ以上は俺も万全に戦える状態じゃなくなる」

 

 強くはあるとはいえ、レベルは自分と同じ。なのでMPもそこまで多いという訳ではない。アイテムを使えばまだまだ戦えはするが、時間に余裕があるうちは強行軍は避けたい。例えMPがあっても集中力は有限だからな。

 

 「てなわけで転送装置探すか」

 「先陣は俺が、サマナーは今まで通り後ろに頼む」

 「前衛頼むなー」

 

 まあ何だかんだ思うところはあるが、生きる確率が大幅に上がるのは良いことだ。そうして今日は昨日とは打って変わり、安全に探索を終えるのだった。

 

 

 

 「仲間増やすか」

 

 タルタロス攻略する順調に進んでいる今。改めて仲間を募る事を決断する。前とは違い一応自分もサマナーにはなった。なのでバロウズに頼んで募集をかけたところ、中々の応募がきたのだ。

 

 「うわ、思ったよりも多いな…」

 

 前は一件すら来なかった事を思うとかなり嬉しい事だ。多分タルタロス内で大暴れしているナルカミが有名なのだろう。前にナルカミに『ペルソナ主人公だったけど何か質問ある?』とスレ立てしてもらったところ凄まじい数の書き込みがあったからその知名度は推して知るべしだ。流石はかつての大黒柱。本人は本物ではないと謙遜しているが、その人気はこうして数に現れていた。

 

 「うーん、どうしようか」

 

 申し込まれた中にはメガキミで強かった肩書きのプレイヤーも居た。しかし悩んだ末にそういった肩書きを持つプレイヤーは省いていくことにした。人気、もしくは強い肩書きは何処からでも欲しがられるもの。今は仲間として組んでくれるかもしれないが、何時までも組んでくれる保証はない。なので今回はこれから長く付き合うであろう仲間を探す事にした。

 

 「…弱みに漬け込むみたいだけど、不人気肩書きも良いか…?」

 

 不人気肩書き。かつての自分のようなサマナーなのに仲魔居ないの?!みたいな不遇な肩書きを持つ者からもメッセージは来ていた。考え方はあれだが、ここで恩を売るというのも一つの考えだ。不人気が仲間を集められなかったのは自分自身が一番よく理解している。運良くナルカミが来たことで不遇からは逃れられたが、あのままであれば確実にソロであっただろう。

 

 「打算的だけど…それくらいしたほうが…」

 

 裏切ない仲間は無理でも、裏切りにくい仲間を作る事は可能だ。今不人気であるプレイヤーを仲間にして、恩を売れば、彼等は自分の元から離れようとはしないだろう。客観的に見て今のナルカミを保有する自分の立ち位置は高い方に居る。わざわざリスクを犯してまで抜けるという事は考えづらい。

 どれだけ強い仲間でも、困った時に居ないのならば居ないも同然。ならば少し余裕のある今のうちに仲間を育成して、離れづらい仲間を作りたい。このデスゲームでは、強い仲間よりも何時も居る離れない仲間の方が自分は欲しいと思った。

 

 「そうと決まれば先ずは相談だな」

 

 方針は決まった。後は仲魔の意志を聞くだけだ。仲間の間での意思疎通は大事だ。故にナルカミを呼び出して事情を説明したところ、自分が決めた事ならば構わないと返された。表情から見るに、本心でそう思っているようなのでこの方針で構わないだろう。少々やり方はあれだが、生きるためだ。

 

 

 

 

 「──という訳で貴方を選びました」

 「成る程。何でわざわざ私をと思いましたが。そういう事ならば納得ですね」

 

 そうして選別の末に選んだのはアプリ作成者という肩書きを持つ彼女。名前はリーマエラ・エルドというらしい。長い白髪に藍色の瞳は、彼女が異邦の人間なのだと理解させられた。彼女の持つ肩書きアプリ作成者はかなり人気がない。一見色んなアプリを作れるから良いのではと思うこの肩書きであるが、このデスゲーム、アプリは買えるのだ。

 エネミーソナーから百太郎、有名どころからマイナーどころまでマッカを払えば取得は可能。これはメガキミの頃から変わらなかった。故にどうしても、この肩書きよりかは別の人をとなってしまうのも仕方ないだろう。

 

 (駄目元で頼みはしましたが、まさかこうなるとは…)

 

 リーマエラの下に式の返事が来たのは昨日のこと。何か裏があるのではと警戒はしたが、提案自体は願ってもないことなので接触はした。そして話を聞けば成る程理解は出来る範疇だ。弱いがゆえに選ばれた。端的に言えばそうなるであろう考え方には少々思うところはあるが、それを呑み込めさえすれば今の立ち位置からは脱出出来るだろう。

 

 (こんな話、次はないですね…)

 

 思案、思考の果てにリーマエラは自身を納得させた。打算的な考えだが、中途半端な善意よりかは信じられる。そうして前向きに式の提案を考えていたリーマエラは、パーティーへと加入した時の自身の役割について質問した。

 

 「戦闘ではガンナーとして後衛からの支援を頼む事になると思います。今のところ攻撃役、遊撃役は揃っているのでエルドさんには其処を」

 「ガンナーですか…」

 「あ、例として挙げただけなので、弓でも投擲でも遠距離攻撃なら何でも良いですよ」

 (ポジションも悪くはないか…)

 

 肝心要の戦闘時のポジションも確認出来た。少なくとも前衛で切った張ったする必要がないのにはホッとする。

 

 (…うん、そうですね)

 

 今の己には高待遇も高待遇過ぎる扱いだ。パーティーは変えられないというデメリットはあるが、自分の肩書きを求めて来るプレイヤーが他にも居るとは思えない。此処は素直に頭を縦に振るべきだろう。

 

 「灘爪さん。貴方のパーティーに入っても良いですか?」

 

 ニコリと微笑みながら、彼女は式へと手を差し出した。シェイクハンド。親愛を向けるジェスチャーである。

 

 「これから宜しくお願いします。エルドさん」

 

 少し考えた後に手を伸ばして握る。向けられたのだから逆に断るのは失礼だと判断したから。

 

 『リーマエラ・エルドがパーティーへと加入しました』

 

 簡単なシステム操作をした後に、彼女が仲間になった。明日はエルドのレベル上げとフォーメーションを動かしての感覚合わせだ。

 

 期日まで20日。到達階層15階。

 

 




ナルカミはシャドウ特効的なスキルを持っているからシャドウ相手には滅法強いぞ!
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