いきおいトリップ!   作:神山

15 / 37
十四話目

そして次の日。朝食を済ませた後すぐに村を出た俺は防具をパワーアーマーに切り替えてパフォレーターを取り出していた。ベガルタまではPip-Boy3000を見る限りそんなに遠くないのですぐにつくだろうが、油断は禁物だ。

 

 

「……ん?」

 

 

そしてしばらく小走りで進んでいくと動体センサーに反応が出てくる。少し距離があり、目視で確認も出来ない。その周辺を見てみれば少し大きめな岩がいくつかあるのでそこにいるんだろう。俺は一旦パフォレーターを背中に担ぎ、ブラックホークを抜く。鉢合わせになってしまったらこちらの方が小回りが効くからな。

 

 

「さぁて、何が出るかな?」

 

 

俺はブラックホークを両手で持ち、静かに進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

それからしばし。バレないようにゆっくりと身を屈めスニークランニングのPerksを使ってその岩場まで進んでいくのに成功した。うん。したにはしたんだ。

 

 

「……」

 

 

「……」

 

 

岩影に一度背を向けて岩越しに向こうを見れば、丁度こちらに向き直っていた、ヤツ。やや濃いめの肌色の筋肉質な肌に鋭い爪、悪魔を彷彿させる顔つき、尖った牙に前にせり出している短めの角、そして小さな棘つきの尻尾とくれば――

 

 

「……グルルァ」

 

 

「――何でこんな所で、デスクロー?」

 

 

愚痴が溢れながらも互いに動かずにらみ合い。向こうからすれば、俺はまさに飛んで火に入る夏の虫といった所だろう。みすみす食われてやるつもりは無いが……パワーアーマーもコイツの前じゃ心許ないぞ。

 

 

「グルルァァァァッ!!」

 

 

「ちぃっ!!」

 

 

どうやら向こうさんは短期なようで、俺の頭の中が一段落した瞬間にこちらに駆けてくる、って速いッ!?

 

 

「ガァァァッ!」

 

 

「うおっ!?」

 

 

一気に距離を積めてきたデスクローに、俺は即座に身体を起こしてブラックホークを構えようとするが、向こうの方が速く、すでに目の前まで来られてしまい、爪で斬りかかってくる。それを俺はのけ反る事で回避し、横に飛んで距離を取ろうとする。

 

 

「って連撃はキツイ!」

 

 

しかしデスクローは腕を振って勢いをそのままに身体を回転させて尻尾を振ってくる。それも何とか四つん這いから獣の様に飛んで回避する。それと同時に二発デスクローの胴体に撃ち込んでやる。

 

 

「ガァァァッ!?」

 

 

当たり所を見れば弾が腹筋を抉るだけに止まっており、致命傷には程遠い。しかし恐らくこの世界ではろくに傷つくということが無かったんだろう。めちゃくちゃ驚いている。まぁ通常の魔物程度じゃあ傷付きもしないし、魔法も効きづらいらしいからなコイツは。

 

 

「オォォォォッ!!」

 

 

我ながら恥ずかしい雄叫びを上げながら次々にブラックホークを撃ち込んでいく。あの厄介な機動力を奪うために足に風穴を開けて、リロード。時折それでも攻撃してくるのを避け、それをなんとかするために両肩をぶち抜き、リロード。そして俺は動けなくなったデスクローに近づき。

 

 

「お前は運が悪かったと同時に、相手が悪かったな」

 

 

――ドンッ

 

 

ブラックホーク特有の重量感ある発砲音と共に、ド近距離で頭を撃ち抜いた。見事に脳天に風穴が空いている。流石に後頭部は弾けとんだ脳みそで散らかってるが、少しアーマーに血がついた程度で何て事はない。

 

 

「勝てた、か……」

 

 

はぁぁぁ、と盛大に息をついて座り込む。いや、正直威圧感が半端なかった。ゲームでも色んな意味で怖かったのに、現実になれば尚更だった。途中で痛みに怯んでくれなかったらどうなってたことやら……まったく、せっかくのこの身体を上手く使いきれていないな。次にどう動けば容易く倒せるかが理解は出来ても行動に移せなかった。要練習だな。

 

 

「さて、剥ぎ取り剥ぎ取り」

 

 

一人脳内反省会を終えてPip-Boy3000を起動。デスクローに近づいて剥ぎ取りだ。ぶっちゃけギルドカードの記録機能でギルドで何か言われるだろうが、仕方がない。まだ静かに放浪の旅をしたかったんだがな……こうなりゃ遺物使いとしてのしあがってみるか?ある程度の魔物と化け物専門の。

 

 

「えっと?デスクロー……?」

 

 

Pip-Boy3000の画面を見れば、手とかじゃなく、デスクローと表示される。これはまさか……全部持ってけと?疑問に思ってギルドの化け物図鑑を見てみると、報酬部位自体は腕なんだが出来れば死体全部と書いてある。研究するとかそういうのだろうか?

 

 

「……まぁいいか。金がもらえれば」

 

 

俺はギルドランクがどれくらい上がるのかなぁ、などと暢気に考えながらPip-Boy3000にデスクローの死体を入れる。換金の時には出さなきゃいけないんだが、Pip-Boy3000は見せたくないな……魔法学院都市に着いたら出してひこずってくしかないか。かなり目立つのは確実だろうけど、Pip-Boy3000に目が向けられるよりはいい。まぁいずれはバレるかもだがな。

 

 

とりあえず、Pip-Boy3000に入ってる荷物を届けるのが先か。その時にデスクローがバレないことを祈ろう。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。