一話目
「む?」
パチリと目を開けると、目の前には荒廃した大地が広がっていた。って、うおぉぉぉ!!今まで画面越しに見ていた大地が目の前にぃぃぃ!!しかも何か知らんが敵サーチとAPが頭に浮かんでくる!体力は出んが、残弾数とサーチが解るのはかなり良い!しかも背後にも何か出来てるし!これでミュータントとかに奇襲されるとかなくなったぜ!
「テンション上がるな」
……あれ?テンションほど言葉に抑揚が……出ない?まさか!?
――ピピピッ
「む?」
ヤベェヤベェと顔には一切出ずに思っていると、Pip-Boy3000から電子音が鳴る。こんな機能あったかな?と考えながらも弄ると、メモとかが入るとこに新着情報が追加されてる。
「えっと、神様から?」
――神様じゃ――
耕也や。ワシじゃワシ。神様じゃ。無事に行けて何よりじゃよ。ところでの、お主にワシ感情を抑え込むために神様パワー使っといたじゃろ?それをのー、解除せずに送ってしまったのじゃよ。じゃからこのメモを開いた時点で解除するよう弄くったのじゃが……何でか知らんがお主の『驚き』という感情のみを取り去ってしまったのじゃ。しかもお主の発する言葉の中だけピンポイントでの。訳がわからんわい。まぁ奇襲とかで驚いて攻撃食らうとか、驚いて固まるとかがなくなるだけじゃ。他はちゃんと抑揚つくからの。安心せい。いずれは治るじゃろう。あとどうせならと、V.A.T.S機能と索敵機能を付けといたからの。頑張ってこいよ~!
ぬぁんだってぇぇぇぇぇ!?それじゃあ敵が頑張って奇襲してきても「あ、来たか」って程度で、身体はキッチリ動くわけか!
「良いじゃないの!」
おぉ!やっと言葉に抑揚が……!何か感慨深いな……だがいつまでもこうして突っ立ってる訳にもいかない。ここはすでに異世界なんだから、しかもフォールアウトの化け物共に魔物やらもいるという死亡フラグ満載の場所だ。レイダーやタロン社の傭兵共はどうかは知らないが、居るとすれば尚更危険だし。
「えっと……とりあえずこのままじゃすぐ死ぬから……」
俺はPip-Boy3000の武器防具欄を弄る。いくら神様パワーで身体能力強化されてるからって、頭をぶち抜かれたら流石に死ぬだろうしね。
「Perkは取ってるからパワーアーマーは着れるな……よし」
俺は普段着からリオンズプライド・パワーアーマーに変更する。この防具ならもし人と会っても、多分怪しまれる事はないと思う。エンクレイブならヤバいだろうが、Brother hood of Steelのエースチームのこれならちょい浮くだろうが、いきなり撃たれるとかは無い……はず。
ちなみにこの二つの勢力は敵対しており、しかもエンクレイブは従わない現地民を容赦なくぶっ殺していたりしたから受けが悪い。ウェイストランドのBrother hood of Steelはなるたけ助けてた様だが、今現在どうかはわからない。結局どっちも似たような組織だったし……が、とりあえずその場しのぎって事で。急に会ったりした時用だし、防御力高いからね。
「さて、どうしようか……」
Pip-Boy3000には地図登録は一切無いし、今わかってるのは敵性反応は今のところ無し、そんで俺の真後ろ……と言っても遠いいが森がある。となると、適当に行くよりはそっちに行く方が良いかな?
「まずは、あそこからか……マッピングも出来るだろうし行くか」
俺はそう呟いて、Pip-Boy3000から念のために武器を取り出す。まず背中にクサンロング・アサルトライフルを出し、右足に高威力のマグナムで何故かホルスター付きのブラックホークを出す。ゲームじゃないので同時装備が出来るのは嬉しい。それに持った瞬間頭にそれの動作や使い方が流れてくる。まぁスキルマックスだし、平和なVault101から出てきてすぐなのに銃の修理や核爆弾の解除が出来る主人公だからな……まぁ俺の場合は神様パワーなんだが。
「よし、行くか」
俺は一度装備を確認し、背中のクサンロング・アサルトライフルを両手に持って森に向かって歩き出した。