いきおいトリップ!   作:神山

7 / 37
六話目

次の日。メイドさんに起こされるというスペシャルな出来事に感動しつつ、昨日頼んでいた洗濯物がもう乾いたというので受け取る。何故こんなに早いのかと聞いてみると、ファンタジーらしい返答が返ってきた。

 

 

「当家では水の魔法石が組み込まれている洗濯機で洗浄し、風の魔法石が組み込まれている乾燥機を使っているので早いのです。両方とも凄く高く普通の家や宿には置いてないので驚かれるのも無理無いですね」

 

 

私も初めは驚きました。と笑顔で言ってくれるメイドさんに癒されつつ考える。昨日暗かったが家などを見てみると中世ヨーロッパな感じのこの魔法世界側。どうやらフォールアウトと混じって変なところで近代化しているようだ。と言っても電気の概念が無いから魔法石とかいう物を使ってるようだが。ゲーム風に考えるならその属性の力が込められている~とかいう感じなんだろう。

 

 

「昨日のお部屋にて朝食があります。私は部屋の外におりますので何かありましたらお声をかけてください」

 

 

そう言ってメイドさんは部屋から出ていった。それを確認して置いてある洗濯物を見ると、名称の始めに全部『綺麗な』がついていた。これで見分けがつくな。

 

 

「出来れば洗濯機と乾燥機欲しいなぁ……」

 

 

服を全部Pip-Boy3000に入れてその中からレギュレーター・ロングコートに着替えながらボソリ。ぶっちゃけPip-Boy3000に入れておけるからいつでも使えるからな……服を綺麗にするためにも手に入れておきたい。そこら辺はギルドで稼ぐしかないか。

 

 

「ならさっさと行動あるのみだ」

 

 

部屋から出てメイドさんについていき、昨日の食事をした部屋につく。するとライルさんとサーシャさんが席について食事が運ばれていた。

 

 

「おはよう。よく眠れたかね?」

 

 

「おはようございます。お陰さまでぐっすり寝れました。サテラ達はまだ?」

 

 

「いや、部屋で朝食を取っているよ。レオナルドが歩けないだろう?それで本人はこちらに来るつもりだったようだが、昨日の事で吹っ切れたのかサテラがやたらと張り切っていてな。見事に世話女房になっているよ」

 

 

「昨日けしかけた甲斐があったってことね」

 

 

「アハハ、そうですね」

 

 

つまり、いちゃついてるという事ですね?わかります。ちなみに昨日結局サテラがレオナルドの身体を拭いて、心配だからとか何とか言って一緒に寝たのだ。けしかけといて何だが……このリア充めっ!

 

 

「時に、今日君はどうするつもりだね?サテラはレオナルドを医者に見せるのに付き合うようだしな」

 

 

朝食をパクつきながら考える。今日やるべき事は通貨の確認とギルド登録と出来れば依頼を確認、ヤオグアイのために新鮮な果物を買う事と金が余れば服の調達、そして有れば洗濯機と乾燥機の値段確認だ。

 

 

「とりあえずギルド登録をしておこうかと。何だかんだで登録出来ていないので」

 

 

「ふむ、そうか。なら昨日の賊討伐の事を言うと良い。昨日うちにガリアスに馬車の確認も兼ねて早馬を出してもらったんだが、どうやら少しは名の知れた盗賊共だったようでな。証明の手紙もあるからそれを持っていきなさい。報酬が出るはずだ」

 

 

「何から何まで……ありがとうございます」

 

 

「気にするな。君は娘の恩人だ。それに盗賊共の事は報告に上がった者が偶々そうだっただけだしな」

 

 

さも当たり前と言ってくれるライルさんに食事も終わって頭を下げる。それにしても昨日の今日でよくそこまで……ガリアスさんが頑張ったのかな?でもこれで資金が増えたことは嬉しい。どれだけかはわからんが、これで行動の幅が広がった。

 

 

「では、今から行かせて頂きますね。ご飯ごちそうさまでした」

 

 

「えぇ。行ってらっしゃい。あぁ……まだ私あのヤオグアイちゃんについて聞きたい事があるから、ちゃんと晩御飯までには帰ってきてね?」

 

 

「アハハ……わかりました。ライルさん、お世話になります」

 

 

「ハッハッハ!気にするな。サテラの動物好きはサーシャから来ているからな!ちゃんと戻ってこないとどうなっても知らんぞ?」

 

 

さいですか……まぁタダ飯に安全な寝床があるんだからそれくらい安いもんだ。昨日晩御飯中にヤオグアイについて話していると、その後サテラより早くヤオグアイと仲良くなってサテラと二人でヤオグアイを洗っていた。もののけ姫親子がいたのは記憶に新しい。

 

 

「では、また後ほど」

 

 

俺は一度頭を下げて部屋を出る。そして近くの執事さんが手紙を渡してくれたので受け取って、俺は公爵家から出た。すると横で寝転がっている毛がフサフサになったヤオグアイを発見。

 

 

「よぉ。綺麗になったじゃないか」

 

 

「ガゥ」

 

 

頭だけ起こしてこちらを見てくるので、門番さんが見ていない事を確認してPip-Boy3000を弄って奇妙な肉を十個程出す。この奇妙な肉、要は人肉なんだが……俺は食いたくないのでヤオグアイへ。一気に食べたので誰にも見られてはいないだろう。

 

 

「今日お前の果物買ってくるから、大人しくしといてくれよ?まぁサーシャさんかサテラが絡んでくると思うが、子供と遊ぶ練習だと思ってくれ」

 

 

「ガゥッ」

 

 

俺は異様に綺麗になったヤオグアイに背を向けて門に向かう。とりあえず門番さんに道聞いて歩きながら通貨の確認と、ギルド行って登録。地図があれば買うとするか。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。