いつもの通りのワイワイぶりに彼は心底呆れましたが、悪い気はしていませんでした。
そしてヘスティアは…。
「はぁ…はぁ…。キミは…こちらのベルくんを心配しているんだね?」
「!?」
「キミは…こちらのベルくんが自分にならないかをね。」
「…何故、それを(こんなに早く見抜くとは…)。」
「いや、だって…キミ。泣いているんじゃないか。」
「…涙なんか流していませんよ(何故…わかるんだ!?)。」
「ボクにはわかるよ。ボクは孤児を守る女神でもあるから…キミは心でずっと泣いてきたんだね?」
「!!……こちらのベルはいい主神に…いい女神に恵まれたようですね(…羨ましいな)。」
「……見たところ、彼らに対してかなり手加減していたようだね。」
「え!?レベル7が軒並み倒されていますよ!」
「この子の本当の実力を出したら、オラリオは数分もたたずに荒れ地になるよ。そうだろ?」
「……はい(お見通しか…)。」
「サポーターくんたち、とりあえず彼らを回復してくれるかな?ボクは彼と話があるから。」
「大丈夫なのですか…?」
「大丈夫さ!」
「誓おう、ヘスティア様には一切危害を加えないことを。傷一つつけられないよう護ってやる。」
「…信じます。」
「安心しろ、リリスケ。こいつは間違いなくベルだぜ。」
「そうですね。外面が少々…ですが内面は同じですね。」
「見かけで判断して申し訳ございませんでした。」
「………いや、いい(いい奴等だ…)。」
「…こちらのベルは、いい仲間にも恵まれたようですね。」
「その言い方だとキミには仲間がいなかったのかい?」
「ええ。」
「キミはあちらの世界で何をしたんだい?」
「復讐を…しました。」
「そうかい…。それで満足したのかい?」
「…はい。」
「ははは、こちらのベルくんと同じで嘘が下手だね。」
「……(駄目だ…この方には嘘つけない)。」
「で、何をしたんだい?」
「ここオラリオで…多くの冒険者を、神々を殺しました。」
「そうか…。」
「単独で黒竜を、ダンジョン制覇しました。」
「へー、単独で…はぁ!?す、すごいね。けど…君はそれで満たされなかったんだろ?」
「……(はぁ…何故見抜けるんだ?)。」
「キミは…死のうとしてたんだろ?黒竜もダンジョンも、その理由づけにすぎないんじゃない?」
「!」
「…元の世界に戻るまでうちにこないかい?」
「…すみません。この世界の黒竜をどうしても早く討たなければなりません。」
「それはこちらのベルくんのためかい?」
「…お見通しですか。」
「でも、ダメだ。こちらの世界はこちらの子たちに任せなさい。」
「…このままでは全滅します。」
「…。」
「黒竜はそれほどの強さを…レベル14の俺、いや僕でもギリギリでした。」
「は!?レ、レベル14…まさかあのスキルか?」
「ヘスティア様、声が大きいです。他派閥もいます。」
「はっ!……キミは持っているんだね?」
「ええ、条件は違うと思いますが。」
「…こちらのベルくんはキミじゃない。キミには仲間がいなかった、でもこちらのベルくんは仲間がいる。」
「それでも…勝てません。」
「信じてあげれないのかい?」
「信じる…そんな感情はヘラ様によって潰されました。」
「はぁ…ヘラ。あの子は何をやってんだよ…。」
「ヘラ様を責めないでやって下さい。あの方は、母や伯母を含む眷属を一気に死なれて自暴自棄になっていました。僕にその矛先を向けられたことがありましたし、拷問されたし、罵倒されたこともありました。」
「それ、庇ってないよ。」
「でも…僕を14年間も育ててくれました。」
「……やはり、ベルくんはゼウスと…ヘラの義孫だね。」
「はい、気づいていたのですか?」
「ベルくんのお祖父さんのやってきたことを聞いて、まさかと思ったけどヘルメスから聞いて確信したね。ヘラの系譜は今はじめて聞いたよ。」
「奴らのようには驚かないのですね?」
「キミたちが誰の子であろうが、関係ない。ベルくんはベルくん。それだけさ。」
「………(こちらのベルは本当にいい女神に仕えたな)。」