彼は、【ヘラ・ファミリア】のベル・クラネルでした。
しかし、彼は【ヘスティア・ファミリア】のベルくんと姿形は同じですが、性格は全然違いました。
そして、彼は並行世界ではオラリオを襲った上…神をも殺していました。
また、彼は…。
「と、とりあえず…うちに来ないかい?」
「断る。俺の質問がまだだ。この世界の黒竜はまだ生きているんだな?」
「え?あ、ああ…まさか君は。」
「黒竜を討った。」
「「!?」」
「さすがに一人で殺るには時間がかかったがな。」
「一人だって!?」
「ヘルメス様!嘘は言ってないですよね!」
「言ってない!事実だ!」
「更に言ってやる、ダンジョンも単独で制覇した。この様子を見ると制覇してないようだな。」
「……何て偉業だ。」
「ハッ、それでも俺は世界の敵となったがな。」
「な、何故ですか!それだけの偉業を積めば大英雄と称えられて当然では!?」
「ハハハッ!称えられる?俺が…大英雄だと?ククク…。」
「ひっ…。」
「君はオラリオを襲ったと言ったね?…何をしたんだい?」
「全てを殺った。」
「「!?」」
「全て…?」
「ああ、オラリオにいるファミリア全て、一般市民全て、そして神々全員をな?」
「…ヘラがそんなことを命令するわけがない!」
「ああ、そうさ。だが、歩く時いちいち足元の虫を気にするか?そういうことだ。」
「……確かに君は【ヘラ・ファミリア】だ。その考えはね。」
「フン…。」
「ここが俺の世界ではないなら…再び繰り返すだけだ。」
「待ってくれ!…どうする気だい?オラリオを滅ぼすのかい?」
「…だと言ったら?」
「黒竜を単独で討てた君なら造作もないだろう。だけど…君の世界とこの世界は違う。」
「いいや、違わないさ。見ろ、この平和ボケしたオラリオを。俺の世界にあったものと同じさ。」
「話を逸らさないでくれよ、オラリオを滅ぼすのかい?」
「五月蝿い。送還寸前にするぞ?」
「ひっ…。」
「フン、安心しろ。繰り返すのは…黒竜討伐とダンジョン制覇だ。」
「なっ!」
「その前に聞こう、今のオラリオの最高レベルはいくつだ?」
「…7だよ。もうすぐ8になる子がいるけどね。」
「話にならんな。俺のレベルは14だ。」
「は?」
「ば、馬鹿な…う、嘘は言ってない。君は…そこまで至ったのかい?」
「ああ、だから話にならんと言っている。…こちらの俺のレベルは?」
「5…です。」
「はぁ…。」
「冒険者になってまだ半年すぎ、だけどね。」
「は?…そうか、あのスキルと似たものがあるわけだ。ククク…。」
「あのスキル…?」
「詮索はするな、殺すぞ。」
「「ひっ」」
「黒竜は北にある竜の谷だな?」
「あ、ああ。そうだよ。…まさか行くのかい?一人で!?」
「当たり前だ。俺の世界でも俺一人だけだった。誰の力も借りず誰にも頼らずにな、ヘラ様の恩恵さえあれば十分だ。だが…その前に行くところがある。」
「ま、待ってくれ!」
「行きましたよ…ヘルメス様。あのようなベル・クラネルは見たくもありませんでした。」
「俺もだよ…ヘラに預けられるとああなるのか。いや、無理もないな。あの状態となったヘラには。」
「ヘルメス様…まさか、こちらのベル・クラネルも【ヘラ・ファミリア】と関わりがあるのですか?」
「アスフィ、他言無用だ。関わりがあるどころじゃない、ヘラの子が産んだ子だ。ヘラの系譜だけではない…ゼウスの系譜もある。」
「なっ!?」
「こちらの彼は…ゼウスに預けられた子だ。はっ…!アスフィ、探せ!彼を探すんだ!」
「ど、どっちのですか?」
「え?あ、あー…さっきのベルくんだ!」
ウオォォォォォォォォ!
「「!?」」
「あ…ぐ、これは…咆哮!?た、立てません…。」
「あの方角は……まずい!」
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