「立て、それで最強だと?笑わせる、俺はまだ魔法さえも使ってないぞ?」
「ぐ…。」
「【暴喰】も哀れだな、ベヒーモスの毒でこんな猪ごときに終止符を討たれるとはな。」
「ザルドを侮辱するな!」
「ああ、侮辱だ。貴様も奴も脆弱、惰弱だ。」
「うる…さい!」
「温い。」
「があああああああっ!」
「…確かにあの子から私の恩恵を感じる。」
「お祖母ちゃん…。」
「【猛者】でも赤子同然か…。レベルが14あるというのは本当のようだな。」
「あっちの僕は…お祖母ちゃんの眷属なの?」
「あちらの私ではないが、確かにヘラとしての恩恵を感じる。」
「……あっちの僕は黒竜を単独で討ち、ダンジョンを制覇したそうです。」
「ああ、聞いている。」
「でも…オラリオを、フィンさんたちだけでなく神様たちも殺したため世界の敵となりました。」
「……ああ。」
「どうして…どうして!」
「すまない…。」
「あ、ごめんなさい!こちらのお祖母ちゃんのせいではないとわかっています…。」
「いや…私のせいでもある。お前を…お前たちを一人にさせてしまったことだ。」
「…フン、その程度か。情けないな…。」
「う…ぐ。」
「…片目でも奪えばやる気でるか?なあ、猪。」
「ぐ…。」
「そうか、それが望みか。」
「やめろ、ベル。」
「…初めまして、こちらのヘラ様。」
「ヘラ…だと!?何故、ここに!?」
「様づけしろよ、猪。」
「ぐああああああっ!」
「オ、オッタルさーん!?へ、ヘイズさん!」
「いい気味ですねー。」
「ちょ!?」
「大丈夫ですよー、ベルちゃん。」
「どう見ても大丈夫じゃありません!あ…息が弱くなってきた!ヘイズさぁぁぁん!」
「仕方がありませんねー。」
「やりすぎだ…ベル。」
「これが【ヘラ・ファミリア】でしょう?ヘラ様。」
「……あちらの私は、徹底的にお前を仕込んだようだな。」
「ええ、心身共に。」
「……すまない。」
「こちらの貴女に謝罪してもらっても意味がありません。」
「…お前は…私、いや私達【ヘラ・ファミリア】を恨んでいるのか?」
「…仇を取らせてくれた力、恩恵をいただいたことには感謝しています。こちらへくるまでは。」
「どういうことだ?」
「こっちの俺と話しました?かなり甘っちょろいでしょう?」
「……まあな。」
「慈悲深い女神様の眷属になり、いい仲間に囲まれ、オラリオの人気者になっています。」
「何だと?」
「しかも…美人で優しい女性ばかりモテています。あらゆる欲を抑制された俺でも嫉妬したくなりますよ…。」
「よし、それについて詳しく話せ。」
「かしこまりました。」
「…頼む、それはやめろ…、やめてくれ。違う世界でもお前からそれをされると…私がつらい。あちらの私がやらかしたことはわかっているが…それでもだ。」
「…わかりました。」
「やあ!久しぶりだね、ヘラ。元気だったかい?」
「ああ、ヘスティアは元気そうで何よりだ。」
「あー、キミはしばらくボクといっしょに行動することとなったよ。窮屈だろうけど。」
「いや、望むところだ。うちの義孫…二人が世話になった。」
「あー、ベルくんたちかい?…ヘラ、キミの義孫だからじゃない。ベルくんだからだ。どっちもね!」
「…ああ、貴女は変わらないな。」
「神は不変だろ?」
「ヘスティア、私はどうすればいいのだろうか?」
「へ?」
「こちらのベルはあの人に半年前育児放棄され、あちらのベルは私によって洗脳された…。」
「……。」
「こちらのベルは貴女に拾われたという非常な幸運に恵まれた、しかしあちらのベルはあちらの私によって人格をつぶされ洗脳され…復讐の道具に成り果て、大偉業を果たしたというのに世界の敵となった。」
「……ヘラ、あちらのキミはキミじゃないよ?」
「それでもだ…。あの子は…正に私が望んだ【ヘラ・ファミリア】の集大成だ。誇りたいが、誇れない…。」
「何故だい?」
「あの子達の母…メーテリアは優しい女性だった、【ヘラ・ファミリア】の中でも異端中の異端。まさに良心そのものだった。こちらの私でも…メーテリアに合わせる顔がない。特にあちらの私はメーテリアに託されたというのに!」
「やめなよ、ヘラ。自分を責めたってしょうがないだろ?」
「わかっている!わかっているんだ!」
「一旦落ち着こう、ね?」
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